リクエストは、少しだけ休ませて貰い、書かせて貰いました。
今作の中で、連載再開前の作品の中で、リメイクをしたい作品があれば、リクエストの方まで。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=316111&uid=45956
魔術師とは、「根源」へ至ることを渇望し、そのための手段として魔術を用いる者。
そう、俺に教えられたのは、少し前の出来事だった。
俺の家系は、どうやら、その魔術師の家系であったらしい。
魔術師としての才能が、兄の方が優れていた事もあり、元々、俺は魔術師として跡を継ぐ予定はなかった。
『魔術』などに興味に欠片もなかった。
だが、不幸の事故故なのか、兄は亡くなった。
その結果というべきか、本来ならば魔術とまるで関係なかったはずの俺は、魔術の世界に入る事になった。
「君の境遇はとても同情するよ、本来ならば魔術と関係の無い表の世界で生きているはずの君にとって、この世界はかなり居心地を悪く感じるだろう」
俺に対して、目の前に椅子に座る少女は笑みを浮かべながら言う。
美しい金髪のロングヘアーに空色の瞳を持った愛らしい少女。
本来、日本で暮らしていた俺にとっては、そんな彼女と関わる機会など、ほとんどないはずだった。
ならば、なぜ、俺がそんな少女と関わる事になったのか。
「居心地と言われても、そもそも、許嫁と言われても、困惑しかないのだが」
その日、俺は生まれ育った日本から離れて、親から言われたイギリスに辿り着いた。
厳重な警備があり、俺の持っていた物のほとんどを取り上げられた。
身体の隅々まで、危険物がないのか。
そうして、俺が案内された部屋に待ち構えていたのが、その少女だった。
「まぁ、お家同士が勝手に決めた事。それも、互いに急遽だったからね」
そう、少女、ライネス・エルメロイ・アーチゾルデは答えた。
彼女もまた、俺と似た境遇を持っているらしい。
家系の源流刻印には適性が高かったため、叔父の死後傾いたエルメロイ家のトップに担ぎ上げられる。
「そして、互いの家系の血を絶やさない為に、我々は婚姻関係を結んだ訳だ。それにしても、なかなかに奇妙な人物だとは聞いたよ」
「・・・そう言われても、俺自身は特には興味はないがな」
「謙遜しなくても良い」
そう、ライネスは、そのままその手にある資料を見つめる。
それは、おそらくは、俺の家での過去の出来事が書かれているのだろう。
「互いに、異なるとはいえ、聖杯に因縁がある。君自身はどうなんだい?聖杯に対して、興味は」
「ない。そもそも、俺自身は根源と言われても、興味も何も無いからな」
「だとすれば、私としては嬉しい限りだ。なぜならば、君という夫がいても、周囲には文句は出にくい」
「そうか」
そうしながらも、俺は特に興味はなかった。
周囲は、その根源や血筋など、それに執着している。
けど、俺にとっては、興味はない。
ただ、単に、俺は。
「斬りたいか」
「・・・」
そう、俺の事を見抜いたように、こちらを見る。
「言っただろ、君の経歴は調べたと。そして、君の血筋も。いや、この場合は血筋ではないな」
「さぁな」
「とにかく、私は君を必要としている。同時に君は私を必要としている」
そう、ライネスはゆっくりとこちらに歩み寄る。
「私がこれから歩む道は血に染まるだろう。だが、君にとって、それは望む場所であるだろう」
「・・・俺自身、そう考えた事はない」
「だが、思った事はあるだろう」
笑みを絶やさなかった。
どこまでも、見通したように。
「・・・何時か、お前を斬るかもしれないぞ」
「あぁ、だが、そんな君に私は鞘となろう」
「鞘?」
それには、首を傾げる。
「あぁ、鞘だ。脆く、すぐに砕けるかもしれない鞘だ」
「・・・その鞘の名は?」
「愛だよ」
「愛」
一瞬、何を言っているのか、分からなかった。
だが、ライネスは、すぐに俺に近づく。
「私に惚れろ、宮本七花」
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