「四怨姉さんの幼馴染?」
それは、夜桜家でのとある会話から始まる。
夜桜の婿養子となった太陽が、その話を、幼馴染であり妻である六実から聞いた時には驚きを隠せない様子であった。
「そう言えば、太陽は知らなかったけ。私も直接は会った事ないし、たぶん、家族ではほとんどは知らないけどね」
「知らないのに、幼馴染って、どういう感じなんだ?」
そう、太陽は首を傾げるが。
「ほら、お姉ちゃんは、普段はネットで仕事をしているじゃない。だから、自然とオンラインゲームもやっているんだけど、その中で特にクソゲーだっけ?それを中心にやっている幼馴染がいるんだ」
「へぇ、その人が幼馴染?けど、普通に分かるのか?」
「その人、プレイヤー名をいつも同じだし、チャットでもだいたい会話で察するから」
「そうなんだ、けど、仲は良いの」
太陽の、その素朴な疑問に対して、六実は少し首を捻らせる。
「結構な頻度で喧嘩しているねぇ」
「あっ二刃姉さん、喧嘩というと」
「まぁ、互いに罵り合っている事があるね。かなり口が悪くて、私が来た時にその事を注意した事はかなりあったけど」
「そっそれじゃ、仲は悪いんですか」
「そうでもないんだなぁ、これが」
「嫌五、というと」
「四怨の奴、普段は仕事で結構忙しくしているけど、そいつと一緒にプレイしている時には、無茶でも絶対にやるんだよね」
「そうなんですか、けど、四怨姉さんとやるって事は」
「うぅん、七割以上は勝っているね」
「七割」
普通ならば、少ないと言えるだろう。
だが。
「あの四怨姉さんが七割」
「そういう意味では、ゲームに関して言えば、かなり互角だからね。あいつはあいつで楽しんでいるんだよ」
「そうなのか、それで、その人というよりもプレイヤー名は」
「あぁ、確かサンラクだっけ」
「…」
サンラク。
その名前を聞いた瞬間、太陽は冷や汗をかいた。
「どうしたの、太陽」
「その六実、聞きたいんだけど、その人の情報を調べたりは」
「しないよ、あくまでもネット上だし、マナー違反だからだって」
「というよりも、なんでそんなに焦っているんだ、太陽」
そうしている間にも。
「・・・たぶん、俺、知っているかも、リアルサンラク」
「マジで!どこに」
「ほら、六実、学校のクラスで俺と一緒によくゲームの話題を出している奴いるじゃん」
「あぁ、楽浪君って、もしかして」
「その、プレイヤー名をサンラクって言っていたから」
「わぁお」
それを聞いた嫌五の表情はかなり悪かった。
「けっ嫌五、何を企んでいるの?」
「いやぁ、何、弟として、お姉ちゃんの幸せを考えるのは当然じゃない、だったら、太陽と六実のような感じで結ばれるのも良いかなぁって」
「嫌五、相手は一般人だよ、そんな事をして良いと思うかい」
「けど、どこの馬の骨と分からない奴よりも、安心して任せられる相手の方が二刃お姉ちゃんも安心だろ、そこで聞くけど、そいつの印象は」
「えっ、悪い奴じゃないよな」「そうだね」
「ねっ、どうだい?」
「…ふむ、少し考えようじゃないか」
「二刃姉さん!?」
その言葉に、思わず太陽は叫んでしまう。
「どっどうなってしまうんだ、これって」
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