男の名は鑢八種。
八種の身長は高く、さらには細身でありながらしっかりと鍛えられた筋肉があった。
だが、その体格とは裏腹に八種には剣の才能が一欠片もなかった。
手に刃物を持ったとしても、刃物で目の前の物を斬る事は出来ず、空を斬るだけである。
だが、それとは違い恵まれた体格は当時でも珍しすぎる程に恵まれていた。
その力は鬼をも越える力を持ち、鋭い牙を持つ鬼の歯も男の拳の前では全てが折れる。
「それで、俺に何の用なんだ?」
そんな八種のとある日の事だった。
彼は普段から住み慣れている山から降り、とある屋敷で一人の人物と対面していた。
男は顔の上半分が焼けただれたような痕がある人物名を産屋敷耀哉である。
幼い頃からの親友である八種を見つめながら、言葉を発する。
「何、一つ提案をしたくて来てもらったんだ、八種」
「提案?
悪いけど俺はあんたの期待には答えられないぞ」
「それは分かっている。
君は剣の才能が私よりもない。
悲しいことにそれでは十二鬼月達は倒せない」
「あぁ、刀を持っている奴が相手だったら負けない自信はあるけどな」
「そう、だからこそだ。
君の存在は奴にとっては切り札になる。
日輪刀を破壊する事に長けた鬼の誕生、それだけは阻止をしたい」
「つまり、俺には死んでもらいたいという事か?
別に良いぜ」
そう言うと八種は何事もないように首を出す。
「いいや、それはしない。
君には他にやってもらいたい事がある」
「やってもらいたい事?」
疑問に思った八種は首を傾げる。
「あぁ、蝶屋敷での護衛を頼みたい。
あそこは鬼滅隊にとっては重要な場所だが常に柱がいる訳ではない。
だからこそ、柱ではなく、そして誰よりも強い君に頼みたい」
「別に良いぜ。
どうせ山暮らしをしているだけだからな」
「あぁ、それともう一つ、すまないが待ってくれないか?」
「??」
耀哉の一言に疑問に思いながら、時を待つこと10分程、彼らの部屋に入る人影が
「失礼します親方様」
「来てくれましたね、しのぶ」
そう言い、入ってきたのは蝶の羽を思わせる羽織身に纏った女性が入ってきた。
「しのぶ、紹介します。
彼の名は鑢八種。
私の古くからの親友で、今度から蝶屋敷の護衛を任せようと思っている」
「護衛ですか」
「はい、蝶屋敷が襲撃されても、対処は可能だと思います」
「心遣い感謝します。
それでしたら、喜んでお受けします」
「あぁ、それともう一つありました。
良かったら、しのぶ、八種と婚姻してはいかがでしょうか?」
「「はい?」」
その言葉に疑問に思った二人は同時に首を傾げた。
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