「しのぶさん、その人は一体?」
「鑢八種さん。
この度、蝶屋敷の護衛をする為に来られた方です」
そう言いながら、しのぶは少し困った笑みを浮かべながら、八種を紹介する。
「どうも、八種だ。
よろしく頼む」
そう言いながら、当初は人間味がない無表情な姿に加えて、これまで見た事のない程の巨体に当初はあおい達を始め、皆困惑していた。
だが、生活を始めてから、一ヶ月経つと共に、八種という男についてを知り始めた。
普段からぼーっとしている事は多くあるが、力仕事を手伝ってくれ、嫌な顔を一つせずに仕事を行っていた。
「それにしても、本当に何者なんですか、あの方は?」
「分からないわ。
古い友人だとしか聞かされていないけど」
そう言いながら、あおいはしのぶに尋ねた。
その事についてはしのぶ自身も深くは聞いておらず、知らない男でいきなりの婚約という事であまり話していなかった。
「少し、話してみましょう」
そう決意すると共に、その夜、蝶屋敷の天井に上る。
八種は普段から何もする事がない時は蝶屋敷の屋根から月を眺める事が多かった。
「月見、好きなんですか?」
「月が好きというよりも、何もしない時にはなんか見てしまうんだよ」
しのぶはそう言いながら、八種に近づきながら、彼女は見つめる。
「あなたは、本当に何者なんですか?」
「さぁな。
俺自身も誰なのか分からない。
人間かもしれないし、刀かもしれないし」
「刀?」
その単語に疑問に思ったのか、しのぶは尋ねる。
「俺の親父はなんというか人間味が薄い奴だった」
(それはあなたが言うの)
そう言いそうになったしのぶだが、ぐっと堪えるように話を聞く。
「それで、俺の母親はなんというか変な奴だった」
「変な?」
「あぁ、なんでも否定否定と言っており、可笑しそうに笑っていた」
「それは、確かに可笑しい人ですね」
八種の言葉に今度は同意するように頷く。
「そんな二人は仲が良いのか悪いのか分からなかったがな。
ある日、鬼が襲ってきた」
「っ!」
その言葉を聞き、しのぶはその時に起きた悲劇を想像した。
「まさか、ご両親は」
「いや、鬼は簡単に始末したよ。
その時に産屋敷に会ったんだ。
まぁ、その後、親父達は海外に地図を作りに行った。
俺はその後は面倒だったから山に籠っていた」
「籠っていた?
鬼を始末する事ができたのなら、鬼滅隊に入る事もできたのでは」
「いや、俺は鬼を始末できたのは、鬼の身体を粉々にする程に切り裂いて、戦えない程にしただけだよ」
「始末?」
そう言いながら八種は空を見つめる。
「俺は剣の才能はない。
それは親父も同じだった」
「剣の才能が?」
そう言いながら、八種は懐に仕舞っていた猩々緋鉱石を見せ、同時に石を手刀で切り裂く。
「なっ!」
その石はまるで刀で真っ二つに綺麗に斬り裂かれた。
「これは、刀で斬られたように」
「俺が使うのは虚刀流。
手「刀」や足「刀」を多用するため、「刀を使う」武術だ。
ただそのせいなのか、俺には刀を使う才能がまったく無いんだよ」
「なるほど、だからこそですか」
鬼を倒す程の力を持っているが、鬼を見逃す可能性が誰よりも高い八種は鬼滅隊に入れたのだろう。
そして何よりも
「なんというか、虚しい目ですね」
そう言った八種の目を見つめたしのぶは自然に寄り添った。
「んっ?」
「少し寒いので」
そう言いながら、その心の距離は近づいた。
2周年記念作品は
-
オーバーロード
-
名探偵コナン
-
鬼滅の刃
-
ぐらんぶる
-
混血のカレコレ
-
SSSS.GRIDMAN
-
Fate/Grand Order
-
閃乱カグラ
-
ガンダムEXA
-
怪獣娘シリーズ