「でっできた」
その晩、奏は自身の能力で作り出した物を見つめながら机の上に俯く。
彼女が作り出したのは世間で言う所の惚れ薬に近い薬品であった。
「それにしても、探せば本当にありそうで怖いわね。
まぁ、実際には惚れ薬じゃないけどね」
そう言いながら、手の中に納まっている薬を見つめながら、呟く。
「あれ、奏ちゃん、それはなに?」
「別に、少し試しに作ってみた飲み物だけど「あっそれだったら、少し頂戴」あっ!」
「んっ、これなんだかまずいけど?」
「勝手に飲まない!!
あぁ、もうこの薬幾らかかったと思っているの!!」
その怒鳴り声を聞き、茜は思わず目を瞑ってしまう。
「ごっごめんなさい!
あっ白野っ…」
その時、窓の外に見えたのは、丁度買い物から帰る途中の白野の姿だった。
「あっやばっ!!」
奏はすぐに茜を止めようとしたが、窓から飛び出した茜はそのまま
「白野ぉ!!」
「えっあかぐぁ!!?」
窓から飛び出してきた幼馴染を見て、白野は驚きの声を出す事しかできず、そのまま腹部から来る衝撃と共に壁にぶつかる。
「えっえぇ?!」
「白野ぉ」
「なに、なにっ!?」
いつもとは明らかに様子が違う幼馴染の姿を見て白野は混乱しながら、周りを見つめる。
「しっしまったぁ!?
しかも、なんていうタイミングなのよ!!」
そう言いながら、奏はすぐに白野の元へと行き、茜を掴む。
「ほらっ、こっちに来なさい!!」
「やだぁ、白野と一緒にいるぅ!!」
「どうなっているのぉ!?」
あまりの状況について来れず、白野は頭を混乱させるしかない。
「仕方ないわ。
岸波君、ごめんだけど、あなたの家で匿ってくれるかしら?」」
「えっ別に良いけど、一応、説明だけでもお願いできる?」
「それぐらいは良いわ」
そう言いながら、未だに腰にしがみついている茜を引きずる形で三人は白野が住んでいるマンションへと入る。
「さて、奏さん。
この状況について何か知っているの?」
「えぇ、少し実験程度で作った飲み物が思った以上に効果があったのよ」
「実験?」
疑問に思った白野が首を傾げるが、奏はそのまま息を吐きながら
「簡単に言うと人間を一時的に刷り込みにさせる事ができる薬よ。
これを飲んだ人間は最初に見つめた人間に対して、普段は隠している好意を表に出してしまう薬よ」
「なんでそんな薬を!?」
「すっ少し実験よ」
(本当は白野に飲ませて、刷り込みで私と恋人にする予定だったけど)
「えへへぇ、白野」
そう説明している間にも茜の甘えは激しくなっていた。
「どうにかできませんか?」
「そうね、この薬は未知な所が多いから、効果が切れるまで時間がかかるわ。
だから「えぇい」「ぐわぁ!?」ちょっ」
そんな奏の説明の途中で茜は思いっきり白野をソファに寝転ばせた。
「なっ何をするんだ!?」
「えぇ何って、何を」
そう言いながら、茜はとろんとした目でゆっくりと白野を見つめていた。
「これって、やばいっ!!」
すぐに事態を理解した白野はそのまま抜け出そうとしたが
「逃がさないよぉ」
「ちょっ茜!?」
すぐに能力を発動させた茜によって、二人はそのまま拘束された。
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