「ありがとうございましたー!」
「遂に手に入った……ふふっ」
路地裏にあるアダルトショップからオナホの入った袋片手に颯爽と出た俺──
それもそのはず、今日買ったのはただのオナホではない。俺たちオナニストの間では伝説級に有名な使えば腰が砕けてしまい、気付いたら射精していると言われている素晴らしい代物なのだ。
店員から秘密裏に入荷することを教えてもらってから今日この日まで日課であるオナニーだって必死に我慢してきたんだ、笑みを隠しきれるはずがない。スキップしちゃっても良いくらいだ。
オナホ片手に笑みを浮かべているのは傍から見れば完全に不審者であった──が、そんなことは気にもとめず帰路に就く。
「……よし、始めるか」
部屋のドアをしっかりと施錠し、カーテンを閉め切り、待ちに待ったオナニーの準備をする。
オナホの箱を慎重に袋から取り出し、早速開けようとするが妙に身体が強張ってしまう。
生粋のオナニストであるこの俺も伝説級のオナホを前にして緊張しているということか……。
そう自分に言い聞かせ平静を保ってみせるも依然として緊張は解けず、手の震えを抑えながらなんとか開封。そして、ゆっくりとオナホ本体を取り出す。
「おお! これが伝説級のオナホのお姿……素晴らしいな」
思わず声が出てしまうほど感激していると、まだ箱に僅かな重みを感じる。すかさず箱をひっくり返すとポトッと何かが落ちる。
ご親切にローション付きだったか、ありがたい。
取り出すとそのまま向かって左側に置き、続けてオナホも向かって右側に置く。
「さ~て、あとはオカズを用意するだけだ、へへっ……」
ベッドの下に手を突っ込み、あるものを引っ張り出す。
これだ、これこれ。この日のために読まずにとっておいた大好きな絵師の描いた薄い本だ。
本をローションの置いた所の少し奥に置き、そっとズボンとパンツに手を掛け一気に下ろす。そのままオナホの少し奥に置き、静かに深呼吸する。
「すぅ……いよいよだ……」
もう何日オナ禁したか分からないほど我慢してきた俺のペニスは綺麗に並べられたオナホやローションを前に今にも破裂しそうなほどギチギチに怒張していた。少々酷い絵面ではあるが俺の頭の中ではもうほぼ伝説級のオナホで抜くことしか考えられないでいた。
ごくりと生唾を飲み込みオナホに手を掛けた──その瞬間だった。
俺の体は金縛りにあったかのように固まり、身動きが取れなくなってしまう。その後、俺と先程置いたオナホ達を囲むようにして魔法陣のようなものが床に浮かび上がる。
おいおいおい、なんだこれ!!? 何が起こってんだ……!?
身動きが取れないため魔法陣を見つめていると、眩しい光と共に何かが姿を現す。
「こ、ここはどこですか〜!? 誰が
「はぁ!? えええええぇっ!? おお、女の子っ……!?」
驚いた。目の前に現れたのは綺麗な赤い髪に黄色とピンクのオッドアイを持つ、俺より少し小さい小柄な垢抜けない女の子だった。
金縛りがいつの間にか解けていたのか、俺は勢いよく後ろに尻もちをついてしまう。
「あれ? もしかしてあなたが……? ⋯⋯って、なな、なんで丸出しなんですかぁ!!?」
俺に気付いた女の子はこちらに近付くものの俺の姿を見るなり声を荒らげ目を手で覆い隠した。慌てているのか全く覆えていない。
言われて気が付く。素っ裸で尻もちをついた俺の体勢は自分のモノを女の子に見せつけているかのようだった。
だが、悪い気はしない。正直この女の子、いい感じに幼くて俺のどタイプだ。むしろもっと見せつけても良いくらいだ。
「な、何してるんですか〜、早くそれしまってください〜! じゃないと……」
その言葉を最後に急に下を向いて黙り込んでしまう。まるで人形のようにピクリとも動かない。
「なっ⋯⋯! お、おーい、大丈夫か?」
そう言いながら何度も肩を揺すってみせる。
しばらく揺すっていると意識が戻ったのか、ふっと顔を上げこちらをじっと見つめてくる。
その瞳は先程とは打って変わって、両方とも若干色気を感じるピンク色に染まっていた。思わず吸い込まれそうになる。
「やっとまともに話が出来るね、ご主人!」
吸い込まれそうな意識を聞き慣れない言葉で遮られた。
「ご、ご主人!? なんなんだよ?」
口を開いたかと思えば、言っていることの意味が分からない。態度もさっきのオドオドした感じから大分変わってるし、一体何が起こったんだ?
「だってご主人がウチを喚んだんじゃないの?」
「さっきも言ってたが、その喚んだってのはどうゆうことだ? 俺はお前をどっかから喚んだのか?」
「ご主人が魔法陣作ってウチを魔界から召喚したってこと。めんどいからウチは喚ぶって言ってるけどね〜」
「魔法陣? 召喚? あー、なんか出てた気がするわ、魔法陣⋯⋯」
さっきのことをよーく思い出す。
確かに魔法陣も浮かび上がってたし、そこから召喚されたかのように出てきてたな……。でも召喚した覚えは全くない。
「あー、その様子じゃ喚ぼうとしないで喚んじゃった感じ?」
「心当たりが全然無いし、多分それだ」
「はぁ……極たまにいんだよね、そういう人。どういう奇跡か知らないけど偶然喚んじゃうの。まぁ一から説明したげるからよく聞いてね」
「お、おう」
何が何だかさっぱりだが、俺の疑問が晴れることを願って今はこいつの話を聞くことにしよう。
「ご主人がアダルトグッズを魔法陣型に並べて性欲を捧げたから色欲の魔王であるウチが召喚されたわけ。これ以上はちょっと難しいからウチにもよく分かんないや、あははっ」
「は? まだ分かんないことだらけなんだが? それに魔王ってなんだよ、馬鹿にしてんのか?」
魔王だと? こんな娘が? しかも色欲。だが、よく見てみれば胸の谷間やおへそ、太ももがいやらしく露出しており、男の性欲をくすぐるエッチな格好をしている。
「ば、馬鹿にはしてないから⋯⋯! ほんとのことなんだってば!」
そうは言うものの簡単に信じられるはずがない──と思いきや、この状況には一つだけ心当たりがあった。
それは一か月ほど前に匿名掲示板で見たとあるスレだった。
確か、魔界から来た可愛いエチチな女の子に献身的な性欲処理をして貰い最高の一週間だったというような内容だった気がする。読んでる時には創作のSSだと思ってたが、まさか自分に起ころうとは思いもしなかった。
「それにしてもご主人、相当性欲凄いっぽいよ~。喚ばれる娘って捧げられた性欲の量によるんだけど、ウチみたいな魔王クラスにもなると相当必要だからね」
「なんだよそれ⋯⋯」
嬉しそうに性欲を褒めてくるが、こちとら性欲を褒められたとこで素直に喜べん。
「で、ウチもこっちに喚ばれた以上やらなきゃいけないことがあって⋯⋯それにはご主人の力が必要なんだよね⋯⋯」
「は? なんだよ、それ」
さっきまで軽い感じだったのに急に真面目トーンになったぞ、こいつ。
「それはね、ウチがご主人の性欲処理をする代わりに精子を貰うこと」
「えっ⋯⋯?」
あまりに真面目な顔して言うもんだから唖然としてしまう。
正気か、こいつ? こんなセリフ、エロ漫画とかでしか聞いたことがない。
「開いた口がなんちゃらってやつ? でもまぁそういうわけだからさ、早速せーしちょうだい♡もうお腹ペコペコでさ〜、あはは」
そう言って俺に迫り、下半身に手を掛ける女の子。すぐさまその手を払い除ける。
「だからって、いきなり現れた見知らぬビッチにはいどうぞって出来るか!」
「ビ、ビッチじゃないし! ティナだし! あっ! もしかしてご主人どーてーなんだ〜、だからビビってるんでしょ?」
馬鹿にするように小悪魔的な笑みを浮かべて挑発してくる。
「ど、童貞なわけないだろう、ふん」
カチンときて、くだらないとは分かっているが、つい見栄を張ってしまう。
「ふ〜ん、どーてーじゃないんだ〜。そう言えば、ご主人はなんて名前なの? これから色々するわけだし、ご主人じゃ呼び辛いじゃん? 教えてよ〜」
「誰がお前なんかに教えるか!」
「え〜、いーじゃんいーじゃん。ウチは名前教えたのにご主人だけ名前教えてくんないのはずるじゃ〜ん」
女の子改め、ティナが腕を軽く引っ張ってくる。腕にティナの豊満な胸が当たり、柔らかな感触が腕を介して直に伝わってくる。
目視だがEカップはあるであろう胸の押し付けはいくら腕とはいえ、俺には刺激が強すぎる。こういう所が童貞たる所以なのだろう。
「や、やかましい、凪緒だ! 凪緒!」
耐えられなくなった俺は取り乱し気味に勢いよく腕を振りほどいた。
「へー。じゃあ、凪緒って呼ぶねー。凪緒ー♪」
少し乱暴すぎたかと思ったが、そんなことは気にもせずウザさ全開で当然のように呼び捨てにしてくる。
「おい、クソギャルビッチ……! この際だからハッキリ言うが、俺はお前みたいなグイグイ来るウザいギャルビッチが苦手なんだ!」
終始こいつのペースで我慢の限界に達した俺は反撃の意も込めて、思っていることを全て吐き出した。
読んでいただきありがとうございました。やる気があれば続きます。