生まれてすぐに保健所に僕。麻原翔太は入れられてしまった。それはお父さんが僕が産まれる2週間前に交通事故で亡くなり、お母さんも僕を産んだ次の日に病気で亡くなってしまい、周りに引き取れる大人がいなかったことが原因なそうな。
そして、僕が保健所に入れられて10年の月日が経とうとしていたある日、保健所に1人の女の人と全身黒ずくめの男の人がやってきた。
「おい、誰だあの女の人。超おっぱいでかいじゃねぇか。」
「えっ、あ、うん。そうだね。ってかなんてこと言ってんの?」
隣でたまたま一緒に食事をしていた子がヒソヒソ越えでニヤニヤしながらそんなことを言ってくる。
たしかに大きい。それでいて腰は括れていてとても.......じゃなくて。何しに来たんだろう?ごつい男の人たちもいるけど。
そんなことを考えていると、所長がドアを乱暴に開けて食堂に入ってきた。
「あ、麻原翔太君はいるかね!?」
「えっと、あの、はい!ここです!」
「おぉ、ここにおったか。それを食べたら所長室においで。お話があるから。」
何やら大事な話があるそうだ。でもあの女の人たちと関係あるのかな?
「おい、お前何やらかしたんだ?まさか売り飛ばされるんじゃ.......」
そう、ここにいる保健所の子達は10歳近くなったら強面の男の人たちに連れていかれ、なんか色々大変なことになるらしい。
その内容が内容なのか、所長に聞いてもブルブル震えて何も答えて貰えないし、それは僕達のあいだでよからぬことが起こる。というふうにしか捉えていなかった。
「わかんない。でも多分大丈夫だと思う?わかんないけど。」
「おいおい不安になること言うなよ。まぁ、離れても元気でね。」
「うん、分かった。いってくる。」
こうして僕は食堂をあとにした。
そして、所長室の前で軽く深呼吸をし、伸びをして僕は所長室のドアを開ける。すると、そこには所長が1人で大きな椅子に座っていた。
「おぉ翔太くん。いらっしゃい。そこに座ってね」
僕は促されるまま、ソファーに座り込む。それを見て所長も僕の向かい側に座った。
「でだ、翔太くん。君に質問なんだが.......君、親戚っているかね?」
「いや、分かりません。お父さんとお母さんが亡くなった後にそのような人にあったような記憶がないし、それにいたとしても今頃その人のおうちで生活していますよ。」
「ふむ、やはりそうか。まぁ、そんな翔太くんに朗報だ。君に新しい家族ができたよ」
この言葉を聞いた時、僕は嬉しさのあまり頭の中が真っ白になった。
今まで買い手もとい里親が見つかるまで、所長とは違った人達にどれだけひどい仕打ちを受けたのか。それを思い出したからだ。
まず、里親についてだが10歳になった辺りで里親が見つかるのはほぼありえない。というか不可能に近い。なぜならそれくらいの歳になると扱いが面倒だったり反抗期真っ只中でもあるからだ。だから一般的には0~5歳までの子が引き取られやすいのだが.......
「どうやら君の遠い親戚のようだね。なんでもインビシャス社の御令嬢さんだか何だからしいよ。」
インビシャス。どんな会社なのかは分からないけど、たしか海外進出などを沢山している超大手企業だと言うのは聞いたことがある。そんなとこの人がなんで僕を.......
「そ、それって本当なんですか?」
僕は恐る恐る尋ねる。しかし、所長はいかにも嬉しそうに笑って言った。
「なに心配になってんだい。大丈夫だよ。あの人達は信頼できるよ。とりあえずこっちにおいで、家族に会わせてあげる。」
そう言って所長は僕の腕を引っ張った。