黒川宮高校。
そこは、日本のある県に位置する高校だ。
黒川宮高校運転訓練場 17時25分
今回は、この学校の警務部機動捜査係に密着した。
「はい、左。右、右だって!右!」
「は、はい!」
俺の名前は
今は車両の運転訓練を行っている。
この学校は、面積が大きいため、車両での移動が基本となる。
今運転している車は130系マークX。中期型だ。
「麹町、俺今からティアナで追いかけるからさ、お前ついてきて。」
「わかりました」
先輩は、急ハンドル急ブレーキ、更にはドリフトまでしてきやがった。
「オラオラオラァ!ついて来れねえのかオラァ!」
あいつはもう、逃げる側の人間だ。
突然先輩のティアナが停車した。
「今日はもう終わりだ。明日やろう。」
俺の運転の教習に当たるのは晴海先輩だ。
運転の鬼と言われている。以前は交通係で不良を取り締まっていたが、その運転の上手さから、機捜係に転属となった。
「この車このまま当直車になるから、立体じゃない方の駐車場に置いといて」
「わかりました」
俺は先輩をおろし、そのまま駐車場に行く。
運転訓練場と、駐車場までは距離がある。
「はー、今日も疲れたなあ…日勤でよかった…」
俺は心底本日が当直ではなくてよかったと思うのであった。
あの時までは。
警務部室庁舎 18時00分
「あ、穂さ、今日泊まり行ける?」
身長163cmで美女。だが疲れると俺に色々してくる。
一応2年生なのだが、2回留年している馬鹿である。
「えっ、どうして…」
「いや、今日なんか2ペアくらい捜査一係にパクられちゃってさ、当直員足りないんだよね」
「えー、マジか…まあ明日予定ないしいいっすよ」
「へぇ、明日予定ないんだ!」
俺はこの時、童貞卒業を期待した。
「私の家に遊びに来ない?」
俺は、勝ちを確信した。
第3校舎 18時40分頃
「あの…先輩…?」
彼女の名前は
本校2年生。ここは人気のない第3校舎。
現在は不良の巣窟と化している。
「あの…なんで第3校舎なんかに…」
「お前に裏カジノ教えてやろうと思ってさ。金欠なんだろ?」
「金欠ですけど…その…うぅ…」
「じゃあ素直についてこいよ。儲けさせてやるからさ。」
「嫌です…」
「瑛里子、そういやこれ、なぁにぃ?」
「えっ…」
「言うこと、聞くよな?」
「…はい」
警務部室庁舎 18時30分
「それじゃ、運行前点検するから。」
「は、はい…」
「あ、てかお前運転していいって言われてる?」
「えっ、あっ、言われてないです…」
「子供扱いかぁ~可哀想…」
「ひでえ!」
「ふふふ、かわいいなあ」
そう言うと、彼女は俺にキスした。
「続きは当直おわってから、ね?」
俺の春来たぁ!と思ったのは、この時だけである。
「んじゃ、穂の運転許可警務部長に掛け合ってくるわ。警務部長今残業中だから」
「あ、ありがとうございます…」
彼女は、庁舎へ戻っていった。
本日乗る車は∨36スカイライン。2010年導入モデル。
もう、10年も前の車っていう訳だ。
「穂~」
美菜先輩が帰ってきた。
「なんか、警務部長曰く、全然OKだって。晴海先輩が「あいつは交通でも活躍できるほどっすよ」とか言ってたらしい。やるじゃん~」
突然先輩が抱きついてきて、フリーズした。
こんなのを報道部が撮影なんかしてたら、警務部長が切腹事案だ。
「あ、てか警ら初めて?」
「そうっすね、機動警らは初めてっす。」
機動警らとは、自動車による警らのことである。
「そかそか、今から開局するときの手順教えるから覚えてね」
「は、はい」
「まず、本部に無線を入れる。814から警務本部。」
「うわぁお、プロっぽい」
「私4年は居るからね…」
{警務本部です、どうぞ}
「無線が帰ってきたら、なるべく早めに…出車開局、これより校内広域警ら出向。以上814。って無線を入れるの。」
「めっちゃプロ…」
「照れるからやめろ!!ったく…」
{了解、交通事故防止に留意せよ、以上警務本部}
「そしたら、カーロケの状態を警らにする。」
「ほおほお…」
「そしたら周辺の通報状況とか、周辺のパトカーとかが全部出てくるの。すごいしょ?」
「えっ、すげえ」
「んじゃ、今日は…どういうルートで行こうかな…」
「とりあえず出ますね…」
警務部の駐車場は、立体駐車場と平面駐車場の二種類がある。
立体駐車場は地下1階、地上4階建ての大型駐車場だ。
立体駐車場から出ると、目の前に女子宿舎が見える。
「はー、着替え見れねえかなぁ」
「ははは、てか、来年から混合寮になるかもしれないの聞いてないの?」
「えっ!?」
「すると…同棲できるね♡」
衝撃が強い。俺は間違えて左にステアリングを全切りしてしまった。
「いや、先輩…意地悪はやめて…」
「もう1年留年したら同じ学年、だね」
「俺童貞だからそういう話されると事故りますよ!?」
「えっ、意外…童貞なんだ…」
「童貞っす…」
あぁ、警ら開始数分から下ネタをカマしてしまった。
第3校舎 19時30分頃
彼女らは、「ブラックジャック」というゲームをやっていた。
ブラックジャックとは、カードの合計点数が21点を超えないように、プレイヤーがディーラーより高い点数を得ることを目指すゲームである。(出典:Wikipedia)
「瑛里子ぉ~?お前俺が貸したチップ全部使い切るとかねえよなぁ?」
「うぅ…」
彼女は、先輩である
鷹觜が彼女に無理やり借金させられるのにも理由がある。
鷹觜は、彼女の弱みを握っているのだ。
この学校に入学前のこと。彼女はインターネット上に全裸の写真を公開していた。
それを裏ネットなどを通じ、鷹觜の手に渡ったということだ。
「そいや瑛里子、お前喉乾いてねえか?」
「は、はい…」
「これ飲めよ」
「は、はい…」
彼女は緊張により、喉が乾いていた。
そこに鷹觜は、睡眠薬入りの飲み物を差し入れた。
彼女は眠っている。
以下、事件内容については本件の犯罪事実を引用することとする。
被疑者は、黒川宮高校第3校舎3階の305教室内において、裏ネットを経由し入手した、被害者の全裸写真1枚を、同女に提示した上で「言うこと、聞くよな?」などを申し向けた上、被害者を極度に畏縮させた上、被疑者ら数名が開催する、裏カジノにおいて、強いて100万円相当のカジノチップを貸付けるなどした上、被害者を強いて姦淫しようと企て、被害者に対し、「これ飲めよ」などと申し向け、睡眠薬入りの飲み物を飲ませ、被害者が眠るやいなや、手足を拘束し、服を脱がせた上強いて淫行した上、被害者に対し、強いて塩酸フェニルメチルアミノプロパンを含有する水溶液を注射したものである。
第3校舎 21時頃…?
「あの…お願いです…もう…やめてください…」
「しゃあねえなあ、一緒に見ようぜ、ハメ撮り」
「えっ…」
私は、鷹觜の仲間が撮影していた、強姦の様子を見せられた。
「きゃああああああああ」
私は発狂した。
「さぁて、最後はキメセクと行きますか…。」
腕に何かを打たれた。痛い。
なんていうんだろう…ああ…
また挿入された。だけど…なんか…気持ちいい。
私は意識を失っていた。
第3校舎 22時頃
「ふっ、もういっか。楽しかったぞ、オナホール」
「あひぃがとぉ…ごじゃいましゅぅ…」
私は恐怖やらなんやらで逃げたかった。
誰も助けてくれない。
どうしよう。このまま宿舎に戻っていいのだろうか。
覚醒剤を打たれた。捕まらないだろうか。怖いし気持ち悪い。
私の体は汚されている。
第3校舎付近 22時42分
「なあ、穂」
「なんです?」
「なんか、その、私の勘がヤバさを感じている」
「ほお…」
「ちょっと小銃持ってくよ。あと拳銃抜いて。離れないでね。」
「えっ、マジ?」
「私はいつだってマジ。」
美菜先輩は迷うことなく、3階へと駆け上がる。
「警務部だ!誰か居るなら返事しなさい!返事しなかったら不法侵入で逮捕する!」
「たしゅ…けて…」
誰かの声がしたような気がした。
そこは305教室。
「先輩!こっち!」
「…クソッ!至急至急、814から警務本部、第3校舎内にてレイプを受けたと思われる被害者を発見、大至急女性警務部員の応援を要請する。」
俺は本部に至急報を入れた。
{811から警務本部、レイプの件、第1校舎前から緊走で臨場する。}
{803から警務本部、811に随行。}
{捜1から警務本部、これより専務員派遣する、どうぞ。}
応援がやってくる安心感。たまらねえ。
「穂、ちょっと周辺警戒して。怪しい奴いたら適当に脚撃っていいから。外出てくれる?」
「おけ」
俺は外に出された。流石に、男からのレイプに遭った後に男と接するのは辛い。
第3校舎 22時57分
「瑛里子ちゃん、今お話できる?」
「うぅぅぅ…」
彼女は泣いていた。
「よしよし…まだ心の整理付かないよね…よしよし…」
彼女は被害に遭って間もないのは確かだ。
ってなると、周辺に犯人がいるかもしれない。
「瑛里子ちゃん、ここは大丈夫。ここに男の人は入れないから安心して。」
彼女は話ができない。
「…ん?」
私は注射器を発見した。
「瑛里子ちゃん、もしかしてこれ打たれた…?」
彼女はこくり、とうなずいた。
「そっか…。これがなにかとか、色々調べることあるから病院行こう?ね?」
彼女はまた、こくりとうなずいた。
廊下から足音が聞こえてきた。
「美菜ちゃん、どういう状況?」
彼女は自動車警ら係の
「あーと、シャブ打たれたのは確定。なんとなくだけど、眠剤飲まされて無理やり、って感じかな」
「あら…犯人の人着とか聞けてる?」
「いや、会話できてない。」
「おっけ、とりあえず救急車要請するわ」
この学校内には、研究施設として病院も備わっている。
彼女は私を抱きしめたまま、動かない。
「これから救急車で病院行くけど大丈夫?」
彼女は首を横に振った。
「そっか、私と一緒ならいい?」
今度はうなずいた。
「愛純ちゃん、毛布ほしいのと、パトで病院搬送する旨流してくれる?」
「おっけ。人着わかんない?」
「今はYES・NOで答えられる質問しかできないわ…。」
その時。
「待てゴラァ!」
廊下から、穂の声が聞こえた。
「えっ…?」
廊下に乾いた銃声が響く。
「…この音、うちらの銃じゃない」
私は何百回も射撃訓練を行ったからわかる。
この銃声、トカレフだ。
「銃を捨てろ!」
愛純ちゃんの声が響く。
と、同時に、緊急発報の音が響く。
「愛純!そこにHKある!」
「借りる!」
私のHK416を彼女に貸した。
彼女ならなんとかしてくれる、はず。
が、ドアから見えたのは彼女が倒れる姿。
聞こえた音は乾いた銃声。
「…瑛里子ちゃん、大丈夫だよ。」
私はホルスターから銃を抜いた。
最悪、私が盾になって彼女を守れればいい。
私の使命は時にみんなの盾となり、みんなの剣となることだから。