二年のもうすぐ一学期も終わろうとしていたその日、僕は課題を教室に忘れ、取りに教室へ戻った僕ははじめて後輩、健屋花那という女の子に認知された。
生まれて十六年経ってるけど、家族以外の人に認知されたのははじめてで大概、僕はいない存在となる。
「……」
教室に慌てて入った僕はスクールカーストの上位にいるイケメンと行為の真っ最中だった彼女と一瞬にして目が合い、僕は彼女に心臓をぎゅっと捕まれ、心の内側を覗かれているような感覚に陥り、彼女に対して恐怖心を植え付けられた僕は自分の席においてあった課題を取れずに急いで教室を出てしまった。
一年の子だよな……? 三年にも二年にもああいう女の子居なかったし……。
内心慌てながら教室から離れると、ホっとしたのか疲れが一気に押し寄せてきた。
「八舞先輩。これを教室に取りに来たんじゃないですか?」
自分の名前が呼ばれ、咄嗟に声が聞こえた方へ振り返ると先程まで行為の真っ最中だった彼女が何かを取りに来たんだと察してくれたのか、僕が取ろうと教室へ戻った課題のプリントをわざわざ僕を追ってここまで持ってきてくれた。
「あ、えーっと……うん。そう。それ。その……ありがとう?」
「なんでそこで疑問形なんですか? すこやはショックで泣きそうです……」
すこや……あ、一年の健屋花那って子か。珍しい名前だったから記念に覚えとこうと思った子だ。
「その……泣かないでください……。あの……その、なんて言ったらいいんだ? 彼としてる最中だったのに良いのかなって思っちゃって君と彼の行為を邪魔しちゃったら悪いと思ったし」
「へ……? そんなこと気にしてたんですか? 先輩は」
変なことを僕は言っちゃったのか、面をくらって少しあんぐりしていた。
あれ? 僕、そんな変なこと言っちゃったのかな?
「あれは気にしないでください。あれとは成り行きで付き合ってあげてたようなものなので。行為も下手でしたからノれませんでしたし」
先輩をあれ扱い。それに後半の行為については自己申告しなくてもいいと思うんだけどな……。
「そんなことよりもこの後お茶しませんか? 先輩」
「……なんで?」
「先輩のこと知りたくなりました。なのでお茶しましょう。すこやの家で」
今、彼女はなんて言った? 初対面の男に知りたくなったから自分の家でお茶しようって誘われたのか? ぼくは……。
彼女のあまりにも衝撃すぎる言葉を受け止めきれずにいたら、気付かぬ間に彼女は僕の利き腕を抱きしめ、僕の顔を見ながらニコッと微笑んでいた。
「では先輩? すこやの家までレッツゴーです!」