娼館「LOTUS」 作:シェンタンチョコ
移動都市国家「龍門」。
破滅的な局所災害「天災」を回避するために建造された多数の移動都市の中でも最大級の移動都市であり、同時に世界経済を左右しうる程の経済力を誇る。
その経済を支えるのは残酷なまでの格差社会だ。煌びやかなネオンに飾られた摩天楼が建ち並ぶ中央部に対して、都市外周付近には粗末なスラム街が形成され、貧しき者はそこで押し込まれるように暮らす。
そして、その三階建ての建物は二つの世界の境界線に近い、宵闇迫る繁華街の外れにぽつりと立っていた。
『LOTUS』
建物正面の木製の扉に打ち付けられた金属プレートにはその五文字だけが刻まれ、他の店のようなネオン看板すら掲げられていない。レンガ造りの壁には目立った装飾もなく、小さな窓からは明かりが漏れている。
そんな建物にきょろきょろと周囲を警戒しながら歩み寄る青年がいた。フェリーン族の特徴である猫めいた頭上の三角耳をぴくぴくと動かして視線を巡らすその様は、彼がこの周辺に通いなれていない事を逆に主張している。年は若く、羽織っているカーディガンも上質のものだ。おそらくは上流階級に生まれた苦労知らずの学生であろう。世間擦れしていないその顔には、まだ少年のあどけなさが残っていた。
「………」
学生は落ち着かない挙動のまま扉の前まで来ると、ごくりと喉を鳴らしてから小さくノックをした。
「はい、どうぞ~」
扉越しに若い女性の声が返ってきた。青年は背を伸ばし、精一杯の虚勢を張ると扉を開けた。
「あら、随分と若いお客さんね」
そう言って青年を出迎えたのは、桃色の髪を肩口まで伸ばした若い女性だった。尖った耳と細い尻尾が、彼女がザラック族である事を物語っている。その身体は白いボディスーツに包まれており、豊満な胸の膨らみからきゅっと締まった腰周り、更にそこからの尻から太腿にかけて再び豊かな曲線を描いていた。
入口正面のカウンターに肘をつき、女性は青年を値踏みするように見つつ言った。
「ここは初めてよね。誰かに教わったのかしら?」
「え!? ええっと……大学の、先輩から紹介されて」
その視線の艶めかしさに青年はたちまち虚勢の衣を剥がされ、彼女の問いかけに素直に答えた。自分にこの場所を教えた先輩の名を挙げると、女性は納得がいったように頷いた。
「ああ、あのコ……ふふっ、可愛く鳴いていたのに此処を気に入ってくれたのね」
何を思い出したのか、女性は愉快そうに笑う。青年がどう言ってよいか分からないままいると、笑い終えた女性は改めて青年に向き直り、手元に置かれていたアルバムめいた帳面を開いた。
「ふぅ、ごめんなさい。さて……聞いているとは思うけれど、ここは決して安くは無いわよ?」
「は、はい。ちゃんと用意してきてます」
「よろしい。それじゃあ、ここから選んで貰っていいかしら? 今なら全員空いてるわ」
そう言いつつ、均等に女性の写真が並べられたページを指し示す。写真の下にはそれぞれ名前と数字が書かれており、それが「価格」のようだ。
エクシア、ズィマー、ドゥリン、バニラ……どれも本名ではないだろう。偽名、いわゆる源氏名という奴か。
「……値段、結構違うんですね」
「基本的にはウチは『ハズレ』は居ないわ。ただそれでも人気とか、テクニックの得手不得手とか多少はあるから」
青年は更にページをめくる。その中の一人、自分よりも年下に見える少女の写真の下の価格に目を止める。他の女性よりも桁がひとつ多い。
「この、極端に高いのは?」
「処女だから」
「っ!?」
さらりと答えた桃色髪の女性の言葉に、青年は思わず息を呑んだ。そんな驚愕を意に介さぬように彼女は手を振った。
「色々とあるのよ、色々と……まあ、君には彼女はお薦めしないわね。
「え!? い、いや、僕は……!」
「隠さなくていいわ。ここまでの反応で大体分かるから」
「……はい」
小声で青年は答える。女性は身を出し、自分からページをめくり、写真のひとつを指し示した。
「私のお薦めとしては……彼女なんか、どうかしら?」
その指の先に写っていたのは長い銀髪の一部を顔の左右で結わえた、貫頭衣を思わせる衣装に身を包んだ女性だった。年としては20代半ばくらいであろうか、やや垂れ気味の大きな瞳がおっとりとした印象を与える。写真の下に書かれた名前は「プラマニスク」。価格はやや高めだが、青年の手持ちでどうにか届く値段だ。
「彼女、元の職業が……っと、今のは聞かなかった事にして。まあ、相手をリードするのが得意なの。筆おろしの相手ならウチで一番」
「ええと、じゃあ、彼女で」
「素直ね……それじゃ、聞いてると思うけど料金は先払いね。あと、悪いけど簡単に検査させて貰うわ」
「分かりました。それじゃ、これで」
青年は財布を取り出すと、皺の無い龍門幣札を何枚か取り出しカウンターに置いた。彼にとっては食費を削って貯めた程度の金だが、スラム住人であれば一ヵ月暮らすに十分な額だ。
女性は札の枚数を確認するとボディスーツのファスナーを少し下げ、露わになった深い胸の谷間にそれを挟んだ。青年の視線が思わずそちらに吸い寄せられる。
「はい、それじゃちょっと腕を出して」
ペンライトのような器具を女性は取り出し、青年の腕を取ってカーディガンの袖を捲った。二の腕の静脈辺りを探り、そこを照らす。
「……はい、OK」
身体の一部が結晶化を始め、最終的に内臓が結晶化する事で死に至る死亡率100%の難病。基本的に感染は罹患者の死体からしか起こらないが、生きている感染者に対しての世間の警戒は強い。こうして血管内の結晶率を測ることで大凡の感染・非感染を確認する事ができる。これは別にこの娼館だけの話でなく都市部ではホテル、デパート、病院、遊園地──人の集まる場所では必ず行われているもので、青年としても慣れたものだ。
女性は頷くとペンライトをカウンターの下に戻し、今度は番号が刻まれた鍵を取り出すと青年に渡した。
「部屋は二階の一番奥。今から準備させるから、君はシャワーを浴びて綺麗にして待ってて。皮は被ってる?」
「か、被っていません!」
「ふふっ、特に
唐突な問いかけに青年は赤面しつつ答え、そのまま上に向かう。女性は声をかけつつ彼を見送り、カウンター内に設置された通信機のボタンを押した。
「プラマニクス、ご指名よ。相手は学生の童貞くん。緊張でガチガチになっているから、ゆっくり手ほどきしてあげて」
『承知致しました。初めての方は久しぶりですね……楽しみです』
通信機の向こうからおっとりした声が返ってくる。
「部屋番は210、着るものは……何時も通りでいいと思うわ」
桃色髪の女性、ロドスアイランド製薬実働部隊・特殊オペレーターであるグラベルは彼女──同組織・補助オペレーターにして“カランドの巫女”と称される聖女、プラマニクスに言った。
『はい、それでは支度して参ります』
「よろしくね~」
グラベルはそう言うと通信を終え、ひと息ついた。
「さて、今日も頑張って稼ぎましょうか」
この娼館経営が始まって一ヵ月ちょっと。女衒の真似事も板についてきたと自分でも感じる。
グラベルは再びカウンターに肘をつき、此処に至る経緯を思い返した。
「……皆さん、お集りいただき、ありがとうございます」
ロドス・アイランド基地、ブリーフィングルーム。
集められた十数人の女性たちを前に彼女、実働部隊リーダーであるアーミヤは頭上から突き出た長い耳を揺らしつつ言った。身長142㎝の小さな身体と幼さを残した顔立ちは「可愛い」と呼ぶに足るものだが、今はその表情に強い緊張を浮かべている。
「あいがとうも何も、呼んだのは手前だろうが。ンで、何だ? 新しい作戦か?」
ボア付きコートを着た熊耳少女、ズィマーが長机に脚を乗せたまま尋ねた。その攻撃的な姿勢に怯える事もなくアーミヤは答える。
「はい、非常に重要な作戦です。ただ……本作戦への参加は任意とします。説明後、拒否される場合は退出していただいて構いません」
「任意とは珍しいわね。そんなに危険な作戦なの?」
普段の作戦であれば、アーミヤの上官である指揮担当の“ドクター”が選抜し編成を行う。基本的にそこで拒否は認められない。当然とも言えるグラベルの問いかけにアーミヤは言葉を濁した。
「危険と言いますか……まずは、説明を聞いて貰えればと思います。手元の資料を広げてください」
各人の手前に置かれたバインダーをアーミヤは示した。そこには「ロドス・アイランド製薬実働部隊 財政改善計画概要」と書かれている。
グラベルが最初のページを開けると、まず最初に右肩下がりのグラフが目に入った。あるポイントから急激に落下している。
「皆さんもご存じの通り、チェルノボーグにおけるリユニオン・ムーブメントの蜂起から組織の肥大化が進むにつれ、私たち実働部隊も急速な組織強化、オペレーターの育成、基地の増築など、様々な事を求められています」
そう語るアーミヤの言葉は事実だ。リユニオン蜂起以前にも実働部隊は活動をしていたがそれ以前、以降で比べれば大規模なスカウトなども行い部隊の規模は大きくなり、またそれまでは滅多に居なかったオペレーター昇進なども積極的に行われるようになった。
「皆さんのご協力のお陰もあり、今の実働部隊は以前より遥かに多くの事を行える、精強な部隊になりました。しかし……同時に、私たちは深刻な資金不足に陥っています。そちらの表に書かれているのは隠し立てない数字で、現状のままですと二ヵ月後には組織の維持すら難しくなる見込みです」
「そっ、そんなに厳しい状況だったんですかぁ!?」
新人狙撃オペレーターのジェシカが泣きそうな声で言った。アーミヤは頷きつつ言葉を続ける。
「医薬品部門も経営計画を立ててはいますが……短期的な効能が期待できるものではありません。そこで、今回の計画を発案するに至りました」
「ハン、『アタシ達に身体を売れ』とか言うんじゃねえだろうな?」
からかい含みのズィマーの言葉。
しかしアーミヤはぴくりと反応を示し、表情を強張らせた。
その様子に、ズィマーも表情を硬くする。
「おい、アーミヤ?」
「……今回のブリーフィングに鉱石病の
「……!」
アーミヤの言葉を聞き、グラベルは素早く室内に視線を巡らせた。
口元に笑みを浮かべ座るマトイマル、腕を組み、愉快そうに事の推移を観察しているエクシア、ぺらぺらと資料を物珍しそうに眺めているプラマニクス、不穏な話の流れに警戒を露わにするスカイフレア、ズィマーの横でにこにこと座っているグム、更にその横でハードカバー本を広げるイースチナ、座ったままこっくりこっくりと船を漕ぐドゥリン──他にも何人かいるが、確かにいずれも非感染者だ。
「次のページを見てください。龍門側の支援により、所有者の死去により国有となっていた屋敷を提供していただきました」
「アーミヤ!」
「ズィマーさん、ご質問は説明を終えてから伺います」
尚も詰問しようとしたズィマーにアーミヤは言うと、説明を続けた。
「現在、龍門においての風俗需要は高く、また都市中央部の富裕層やその子息にあたる学生などは極めて裕福な状態にあります。これを利用して非感染者の女性オペレーターを従業員としての娼館を経営。超短期的な財政再建を目的とするのが今回の作戦です」
「非感染者に限定した理由は?」
グラベルが手を挙げ質問した。自身としては答えは分かっているが、皆に周知させるための問いだ。
「龍門は感染者の入国を厳しく制限されています。ロドスの実働部隊は特権として活動を許可されていますが、粘膜接触が起こり得る作業については非感染者に限るようにとの判断です」
「……なるほどね」
大体は予想通りの返答。グラベルは頷いた。
アーミヤは改めて室内の一同を見回して言った。
「ここで一旦、皆さんの判断を仰ぎたいと思います。ここまでの説明で作戦参加を拒否される方は退出してください。これによるペナルティはありませ……」
ごん、と重い音が響いた。一同の視線がそこに集中する。
「……つまり、アタシらに
長机が殴られた場所から変形している。
ズィマーは拳を戻し、アーミヤを睨みつけた。
アーミヤは言葉を選ぼうとしたのか少し返事に詰まり──結局、誤魔化すのを諦めたのか率直に答えた。
「……はい」
「ハッ! ロドスも焼きが回ったなぁオイ!」
「そ、そうですわ! 幾ら何でも、これは作戦の範疇を超えています!」
賛同するように猫耳を逆立ててスカイフレアが立ち上がった。彼女はヴィクトリア出身のお嬢様だ。到底受け入れられるものではないだろう。
一方のズィマーも怒りが収まらないままに席を立った。
「ロドスが潰れるってんなら勝手に潰れとけ、アタシら自治会はウルサスに戻る! 行くぞ、グム、イースチナ!」
「え!? 手伝わないの、ズィマー姉ちゃん?」
「はあ!?」
離席を促したグムの予想外の返答にズィマーは呆れたような声をあげた。
「お、おい、グム! 何言ってるか分かってんのか!?」
「分かってるよ? そうしないと、ここの皆がご飯を食べられなくなるんでしょ? だったら手伝わないと!」
「馬鹿! そういう事じゃなくって……」
「落ち着いて、ズィマー」
本をぱたんと閉じ、イースチナがズィマーに流し目を送る。
「イースチナ?」
「現状、軍隊ですら苦戦するリユニオンに民間で対抗できるのはロドスだけ。実働部隊が解散すれば、もはや民間人を守る組織は無くなる。私たち学生自治会だけでの対抗は無謀。それは分かってるでしょう?」
「い、いや、そうだけどよ……」
「それにこの作戦は、死傷率で言えば通常の作戦より大幅に安全よ。『自由のためには命をも惜しまず捨てる』……そう決めたのにズィマー、貴女は自分の身体すら差し出せないの?」
「……っ!」
「わっはっはっ! どうやらズィマーの負けのようだなぁ!」
哄笑したのはマトイマル。机の上に乗って胡坐をかくと、彼女はアーミヤに言った。
「吾輩、色々とやってきたが花魁の真似事は初めてだ! 面白い、この身体でどこまで相手ができるか試してやろう!」
「ありがとうございます、マトイマルさん」
礼をするアーミヤに向けて、別の手が挙がった。エクシアだ。
「ねえアーミヤ、それって報酬はどうなるの?」
「え? はい、後でご説明するつもりでしたが……通常の報酬に加えて特別手当付与、それに貢献度の高かった方には特別賞与も予定しています」
「おお! 気前がいいねえ。それならアタシもやるよ!」
まるで簡単なアルバイトを引き受けるように承諾したエクシアに、横に座る同僚のテキサスが言った。
「……安請け合いし過ぎだ」
「いいじゃない、上得意様のピンチなんだし。テキサスだってこの前の査定が微妙で、お財布寂しいんでしょ?」
「………」
テキサスは無言で視線を逸らす。
続いて、震える手が一同の中から挙がった。
「わ……私も志願しますっ!」
顔を真っ赤にして手を伸ばすジェシカに横のバニラが驚きの声をあげた。
「ちょ……ジェシカ、貴女まだ未経け……」
「そ、それでもっ! 皆さんのお役に立ちたいんですっ!」
「み……皆さん、何を考えてますの!? 自分をもっと大事に……!」
場の流れの変節に戸惑いつつ、スカイフレアが抗議する。そんな彼女にエクシアが言った。
「ねえ、スカイフレア。そんだけ拒否するって事は、ひょっとして処女?」
「なな……そっ、そんな訳はありませんわ! こう見えてもヴィクトリアでは……!」
「なら良いじゃない。まさか協力組織のピンチに、『王の杖』駐在主席魔術師さまが手伝わないって事は無いよねえ」
「………!」
言葉を失うスカイフレア。
アーミヤは沈黙を取り戻した室内を見渡し、退出者が出てくるかを待った。
「──では、作戦説明を続けます」
再びアーミヤが口を開いた時、部屋の人数は変わらないままだった。
シャワーを浴び、身体を拭いた青年はバスタオル一枚を腰に巻いた姿でダブルベッドに腰かけていた。
シンプルな部屋であった。小さな机と椅子、中央にダブルベッド、角には鏡台とゴミ箱、冷蔵庫。ベッドの枕の位置には小さな台があり、男性用の避妊具が幾つか置かれている。
「………」
どこか落ち着かなげにそわそわと室内を見渡す。これから──ここで始めるのだ。
そんな事を青年が考えている内に、コンコンと戸がノックされる。
『お待たせしました。入ってよろしいですか?』
「え!? あ、はい!」
落ち着いた声がドア越しに届く。青年はびくりと反応すると、やや上ずった声で答えた。
「失礼します」
ドアが静かに開けられ、白い貫頭衣に身を包んだ銀髪の女性が入室してきた。片手には盆を持っており、湯のみが二つ乗っている。
「改めまして……プラマニスクと申します。よろしくお願いしますね」
そう言うと彼女は柔らかく微笑み、盆を机に置いた。
「い、いえっ! こちらこそ……」
こういう店の女性は写真映りを良くしたり、あるいは加工したりなどで現物とのギャップが激しいと聞いた事があったが、彼女に限ってはそんな事は無かった。
写真の彼女の微笑みは変に出来が良いというか──まるで日頃から大衆に笑顔を見せ慣れているような不自然さを感じさせた。しかし今の彼女の笑顔は写真より自然で、見ているだけで青年から緊張を取り払ってゆくようだ。
白く美しい肌には染みのひとつも無く、艶やかな銀髪は腰まで伸びてまるでそれ自体が装飾品のように彼女を飾る。種族的には青年と同じフェリーンのようだがその尻尾は大きく、鮮やかな銀色に灰色の水玉模様が浮かんでいる。
背は青年よりもやや低い160㎝ほど。貫頭衣の裾から覗くむっちりとした太腿のラインが美しい。
「お茶、いかがですか?」
プラマニスクは青年の横に座り、湯のみを手渡した。
「あ、ありがとうございま……っ!?」
それを受け取った青年は礼を言おうとして言葉に詰まった。貫頭衣の側面から彼女の白い乳房が覗いている。下着を上下とも着けていない。
赤面しつつ、青年は動揺を抑えようと渡された茶を飲んだ。強い苦みと香味が口腔内に広がる。
「……随分と苦いですね、これ」
「私の地元の薬草を使った健康茶です。精力を高め、身体を内側から温めます」
そう言うとプラマニクスは自分の湯呑を傾けた。
「初めて……なんですよね?」
「え!? えっと、その……はい」
ゆっくりとした口調で聞いてくる彼女に青年は照れつつ答える。
青年の初々しい反応に、プラマニクスは言った。
「大丈夫ですよ、私も初めてですから」
「ええっ!?」
驚く青年に、プラマニスクはくすくすと笑った。
「フフッ、冗談です」
「お、驚かさないでくださいよ……」
青年は大きく息をつき、湯のみを机に戻した。その様子を見て、プラマニスクも自身の湯呑を置く。
「少しは緊張、解けたみたいですね」
「……ありがとう、ございます」
「では……始めましょう」
プラマニクスは青年に身体を寄せ、細い指を腰に伸ばす。バスタオルの上から半勃起状態の肉棒に触れ、上下に柔らかく擦る。
「うっ……!」
青年はびくりと身体を震わせた。自分以外が肉棒に触れるのは、幼少の頃に母親に触られた以来だ。
「これは……立派なものをお持ちですね。今までお使いになられていなかったとは思えません……」
プラマニクスは青年の耳元に口を寄せて囁きつつ、更に行為を進めてきた。バスタオルの結び目を解き、股間を外気に晒す。屹立した肉棒は血管を浮かべて反り返り、びくびくと存在を主張している。
「挿れる前に一度
「はっ、はいっ……!」
プラマニクスは指を一度離し、自分の口に含んだ。
「ンッ……ンンッ……」
しばらくの間、彼女は口をもごもごとさせてから指を抜いた。唾液に塗れ照り光る指で、再び青年の肉棒を柔らかく握る。
「くっ、あぁっ!」
「我慢しないで、いいですからね……」
囁きを重ねつつ、身体を密着させてプラマニクスは手淫を続ける。薄い布越しに彼女の体温と乳房の感触が伝わってくる。香水だろうか、石鹸の匂いに混じった神秘的な香りが青年の鼻をくすぐり、理性を痺れさせてゆく。
青年は股間から立て続けに送られる刺激に身を震わせた。「痛かったら言ってください」とプラマニクスは言ったが、彼女の手つきは見事なものだった。僅かの痛みも覚えさせず、快感だけを肉棒に与えてくる。
くちゅくちゅと扱かれる内に、亀頭からも先走りが滲み始めた。粘りある液体が鈴口から溢れ、手淫の動きをより滑らかにしてゆく。
「まだ、大きくなってきています……素敵、です……」
プラマニクスの吐息が熱くなってきているのが分かる。緩やかだった手の動きは次第に早くなってゆき、竿の根元から先端まで大きなストロークを描く。
彼女の大きな銀の尻尾は嬉しそうに左右に振られ、奉仕する事に感じているプラマニクスの悦びを青年に教えてくる。
次第に射精感が強まってきている。腰を浮かし、青年は言った。
「も、もう、射精そうです……っ!」
「構いません、このまま……」
「あっ、ああぁっ!」
きゅっと握り方が狭くなり、竿全体が締め付けられる。絶頂の声と共に青年は達し、精液を放出させた。どろどろとした白濁液がベッドのシーツを、プラマニクスの指を汚してゆく。
「うっ、は、はぁ……」
「こんな沢山……気持ちよくなって頂けたのですね。嬉しい……」
うっとりとプラマニクスは言うと、指に絡む精液を躊躇う事無く口に含んだ。こくんと嚥下し、熱い吐息を漏らす。
「凄く濃い……それでは、続きと参りましょうか?」