「え」
日高の口から出た淫らな言葉に矢口の胸がドクンと高鳴る。
(え、いまこいつ何て言った? お、おま……)
音はちゃん耳が拾っていた。
意味も解った。
だけど彼の日常の中ではあまり耳にする事がないせい脳が戸惑っていた。
(くそっ、なんだってチンコとかチンチンはそんなに気にならないのに、女になるになるとこんな……)
改めて考えてみると理不尽に思えた。
何故性器を表す言葉は男性より女性の方が口にするのが躊躇われるし羞恥を感じてしまうのだろう。
男同士でも口にするのが恥ずかしい言葉なのにあろうことか女性が、しかも日高がそれを口にしたのだ。
結論から言って矢口は非常に興奮しつつあった。
本人は未だに焦って彼女にまだ言葉を返せないでいるが、腰から下の“彼自身”は素直な反応を示していた。
(あっ……)
矢口を揺さぶるつもりで放った言葉に実は相応の羞恥心から鼓動を高鳴らせていた日高は気付いた。
自分の言葉に虚を突かれて彼は今反応に困って注意を自身の顔に向けていた。
だからさり気に視線を下げても気付かれることはなかった。
日高の視線の先には恐らく無意識に反応したであろう膨張した“それ”が反り勃っていた。
内心動揺したが何とか気を落ち着けて日高は視線を矢口の顔に戻す。
(うん、気付いてない)
矢口は動揺から日高の視線が一瞬下がったことにも、そして自分自身の反応にも気付いていないようだった。
その状況が彼女を少し冷静にした。
(これってつまりさっきのわたしのことばに矢口くんが反応したってことだよね。そっか、ふふっ……)
何だか苦戦している対戦キャラの攻略の糸口を見つけた気分だった。
(今の矢口くんはさしずめ待ちガ〇ルってとこかしら。と言ってもこっちの攻撃をガードしたり避けようとするだけだから、一方的にゲージは削れててKOまであと少し……)
日高は考える、最後の決め手を。
このままちまちま攻め続けて崩すのも甘い時間を過ごすようで悪くないように思えたが、どうせなら気持ち良く必殺技でKOしたい。
故に彼女は決めた、必殺の一撃を。
「へ? ひ、日高……?」
すっと目を閉じて膝で挟んでいた矢口の腕を解放した日高は
矢口は彼女の顔をを見ていたのでその動きに合わせて視線も自然とそれを追う。
立ち上がった日高は矢口と目が合っていることを確かめるとニッコリ笑って言った。
「ね、私さっき言ったよね?」
「え?」
「見せてあげるって」
「あ、え……」
ここまで完全に主導権を握られっ放しだった矢口は余裕すら感じさせる日高の笑顔に圧倒されて脳が再び混乱する。
(そういえば言ってた。なんだっけ……あれ、えっと……)
つい先ほどの事なのに言葉を紡げずに鯉のように口をパクパクさせる矢口。
日高をそれを見て楽し気に目を細めてクスリと笑って言った。
「オ・マ・ン・コ」
「!」
その言葉に明らかに動揺した矢口が目を見開く。
「ね、気付いてないの?」
「……え?」
「今、もう、見えるんだよ」
「あ……」
「顔……正面、向いてみて……」
「……っ」
まるで支配されているかのように日高の言葉に従って視線を正面に向けた矢口はその先の光景に息を飲んだ。
「……どう、かな?」
目の前にはピンクの壁があった。
少し前に見た薄くて細い草の園を冠した艶肌の柔肉に縁どられた優しい筋ではない。
日高は矢口の視線が戻るのに合わせてただ性器を見せるのでなく、両手でその肉付きの良い大陰唇をしっかりと開いていた。
「あ……」
矢口はその光景に釘付けになった。
彼も年頃の少年なので授業で習う事以外の知識はあった。
同性の友人の付き合いや個人的な細やかな興味から画像や動画で見た記憶もあった。
だけどそれはあくまで知っているという知識であった。
こういうものか、こういうものなんだな、という前知識だ。
彼はそれで何となく少し大人になった気がしていた。
これで下ネタを振られたり異性にからかわれても、多少余裕を持って受け応えができるぞ、と。
だがやはり現実のインパクトは凄まじいものであった。
浴室の水分か日高自身の体液によるものかは定かではなかったが、目の前で怪しく蠢き光るそのピンク色のそれは、写真は勿論動画以上の情報量で矢口の脳をぶん殴って思考停止させた。
「あ、あの……その……やぐ……ちくん? どう……?」
自分の一番恥ずかしい所の一つを凝視したまま固まってしまった矢口に、流石に不安と羞恥から日高が声をかける。
だが彼女の声は届いていないのか、まだ彼は反応しなかった。
「ね、ねぇ矢口君? そ、その……ね? 見ても良いんだけど……あ、あはは。何か、その……ねぇ、どう……?」
日高は再度矢口に声をかける。
その3度目の言葉で漸く矢口は意識を“それ”以外に向けたが、彼の脳内はすっかり日高の“それ”で一杯になっており、やっと絞り出した言葉は彼のその時の気持ちをそのまま形にしたものだった。
「……ああ、オマンコだな。日高の……これが……」
「っ……矢口くん……!」
その言葉を聞いた瞬間、何故かは解らなかったが、自分の愛しい
名前が平仮名になったり、敬称が感じだったり平仮名だったりするのは、何となくその時の人物の心情の蕩け具合を表したくてそうしました。