童貞がインキュバス(仮)に転生したのでレビュアーズに入ります。 作:ナットーごはん
『我は魔王なり……今こそ魔族が世界を支配する時……!』
ここはカズオ含むスタンク達が拠点にしている中央街。
その中にある人通りの良さそうな広場で身長およそ数10メートルはありそうな巨大なツルペタ幼女……もとい悪魔の王、“魔王”が大きな声を響かせて世界征服宣言をしていた。
『現在は魔導の発展が著しく遅れッ!本来もう開発運用されているべきはずの便利な魔法技術が研究段階で滞っている現状にある!!ゆえに!この魔導軽視の状況に歯止めをかけるべく、魔王デスアビスに血塗られし一票を!!』
……とまあ、世界征服宣言と大袈裟に言ってみたものの、ようするにこれはただの政治演説である。
あらゆる世界が混在するこの世界では、様々な種族の政治家達がいる。そんな中、魔王であるデスアビスは“悪魔党”と呼ばれる政党の代表であった。
そんなデスアビスの演説を、カズオ達は少し離れた通りから眺めていた。
「うるせぇな。でもまあ可愛いから許そう。」
「もう選挙の時期か……100年おきくらいでいいのにな……」
「なんであの魔王、マイクロビキニ着てるんだろ……」
上からスタンク、ゼル、カズオの順。
それぞれが思った事を口にして、魔王の演説自体にはあまり興味が無さそうだ。内容については話半分程度にしか聞いていない。
「今の与党はどこなんですか?」
カズオ達と一緒に来ていたクリムがふとそんな疑問を口にした。
「そういえば俺も知らない。」と、カズオもスタンクとゼルの方を向く。
「今政権取ってるのはオーク党だ。」
「まあ、バランス考えたらそこになっちまうよな。」
オーク。つまり豚の獣人だ。
この世界では現在、豚が国王なのか……
「……なんでバランス考えたらオーク党なの?」
「それはだなカズオ。オークが政権取ったらまず食料が超安くなるんだ。税金もほぼ最安、それでいてサキュバス街にも予算を回してくれる!」
「あいつらの政策、完全に庶民の味方だからな。」
うんうんと腕を組んで頷いているスタンクとゼル。
オーク党が掲げるモットーは【発展より安定を、労働より安眠を、いっぱい食って、寝て、遊んで、ヤろう!それで生物は皆幸せです!】である。
三大欲求を武器にされたらそりゃ政権取るわな……日本にも見習わせたい政治演説だとカズオは思った。
「じゃあ二人もオーク党に入れるの?」
「いや、オークはほっといても通るから、俺はサキュバス党に入れる。ゼルは?」
「俺もサキュバス党。数議席は欲しいもんな。サキュバス党。」
「さ、サキュバス党!?」
サキュバス党マニフェスト。【1に性欲、2に性欲。3、4が無くて、5に性欲。性欲に手厚い支援を!】
……兎にも角にも性欲に特化した分かりやすい政党らしい。
一部の変態達からそれはそれは熱烈な支持を受けている事だろう。目の前の
『――以上、悪魔党代表デスアビスでした。ご清聴、ありがとうございました。』
不真面目な政治の話をしていると、いつの間にか魔王デスアビスの演説が終わっていた。
大地を震わすほどの大演説だったが、オークやサキュバスが相手では悪魔党は荷が重いだろう。
……ちなみにカズオはサキュバス党を支持する事に決めた。
政権を取ってくれても構わない。
「……でもあの子可愛かったな……よし!次悪魔っ娘のサキュバス店に行くか?」
スタンクが魔王デスアビスを見上げながらそんな事を言った。
「いいね!」
それに対しカズオは親指を上げて答える。
悪魔っ娘。それは日本の二次元美少女業界を支え続けてきた王道の萌え要素。
悪魔党は支持しないが、悪魔っ娘のサキュバス店になら行ってもいい。
「んー……悪魔かー……悪魔はちょっとな……」
「ボクも苦手かも……そもそもボク天使ですし……」
しかし、スタンクとカズオがノリノリであるのに対し、残り二名は難色な反応を示している。
天使であるクリムはまだ分かるのだが、レビュアーズのスケベ二柱であるゼルまでもが否定的であるのは少し意外だった。
「何だよ。お前ら悪魔っ娘ダメなの?」
「悪魔ってもしかして人気の無い種族な……」
「そうなのですよッ!!!!悪魔族は人気が無いのですッ!!!!」
「「うわっ!?」」
カズオとスタンクの言葉を遮って、突然一人の悪魔の男が大声を出しながら現れた。
その悪魔は全身緑色で、頭からは二本の触角が伸びており、ガタイのいい筋肉質な体つきをしている。
……有り体に言ってしまえばピッコロさんのパチモンみたいなヤツだった。
「だ、だれ?」
「……失敬。
デモンツーと名乗ったナメック星人……もとい悪魔はペコリと頭を下げて名刺を渡してきた。
「話を戻しますがッ!!」
「うっさ!」
「我々純正悪魔族はいつも結婚したくない種族トップ5に食い込んでいるのです!!ゆゆしき事態ですよこれは!!!」
「ぼ、ボリューム抑えて!抑えて!」
力強く力説するデモンツーは胸元から《100種族に聞きました!結婚したくない種族ランキング!》という用紙を取り出した。
恐る恐る見てみると、そこには結婚したくない種族、第2位悪魔。と確かに書かれていた。
理由はワガママ、DVされそう、オーラが怖い。などなど。
ちなみに結婚したくない種族1位は
……あれに負けたら正直終わりである。
「へー、悪魔ってうさんくさいイメージだったがそこまで人気無かったんだな。」
「アンデッドは納得の一位だな。」
アンケート用紙を覗きながらゼルとスタンクがふんふんと頷いている。
「……ちなみに結婚したい種族ランキングもあるのですが、それの10位には現在、カズオさんの“チートインキュバス”がランクインしておりました。」
「なんでっ!?」
デモンツーの言葉にカズオがずっこけた。
……そもそもチートインキュバスというのはカズオがただテキトーに名乗っているだけの、仮の種族名でしかない。
そんな国民アンケートみたいなのに乗るほど有名な名前では決してないはずなのだが……
デモンツーが取り出した《100種族に聞きました!結婚したい種族ランキング!》と書かれた用紙を見てみると……
「俺だ……」
見ると確かにチートインキュバスが第10位の枠に乗っていた。カズオの写真と共に。いつの間に撮られたのだろう……
まあチートインキュバスという種族はこの世にカズオ一人しかいないのでカズオの写真を使うというのは仕方ないと言えば仕方ないのだが……
「って仕方ない訳あるかーい!!種族じゃなくて個人を指してるだろがこれは!!誰だ!?俺に投票したやつ!?」
「カズオさんが今まで相手してきたサキュバス嬢さん達からの手厚い支持らしいです。」
「なんつーところにアンケート取りに行ってんだよ!?」
「他にも食酒亭を利用している何人かの女性客がカッコイイからとカズオさんに投票したみたいですね。ちなみに写真もそこでこっそりと入手したらしいです。」
カズオはガクリと膝をついた。
いくら結婚したい種族というポジティブなアンケートとはいえ、こんなの肖像権の侵害である。
助けを求めるように
「おーおー、流石。イケメン様は違いますねー。」
「モッテモテでうっらやましー。」
嫉妬混じりの表情で見下されてしまった。
カズオに仲間はもういない。
クリムはなんかモジモジと複雑そうな表情で顔を赤く染めていた。意味不明な反応だ。
「……ところで、あなた方のレビュー……私どもも拝見しております。」
「……このタイミングでその話する?」
話を切り返し、続いてデモンツーはカズオ達が書いているサキュバス店レビュー記事の写しを取り出した。
何でも出すなこいつ。
政治家の部下がなんてモノ持ち歩いてるんだとカズオは思った。
デモンツーが言うには、カズオ達が今までレビューしてきた種族はこれまでランキングで空気だった種族達でもグッと注目度が上がったとかなんとか……
「……そこであなた方にお願いがあります。」
声を潜めるデモンツー。
それを見て(エロに関してはやたらと)察しのいいスタンクとゼルがそのお願いとやらの内容を瞬時に見抜く。
「それはつまり悪魔のイメージアップのため……」
「俺達に悪魔っ娘をレビューしろと依頼したいわけですな?」
ニヤリと笑う二人。
「でもレビューでお世辞を書いたりしないぜ?」
「つまり、悪魔のイメージが上がるような記事にしたければ……美人でエロくて最高の悪魔っ娘をお出しするんだ!さあ出せ!そっちが出して、そして俺達も出すモノを
グイグイ詰め寄っていくスタンクにデモンツーは一歩引いた。
「そ、そうしたいのはやまやまですが……選挙期間中に有権者を接待してしまうと……公職選挙法に引っ掛かってしまいますので……」
「使えねぇなこの野郎。」
中指を立てるスタンク。男には厳しいのだ。
「こ、個人的にヤッてもらうしか……ハハ……」
そう言ってデモンツーはキョロキョロと辺りを見渡すと、誰もこっちを見ていない事を確認し、スタンクの胸にそっと悪魔のサキュバス店の紹介名刺を押し付けた。
「まあ、ギリギリ出来る範囲で……優良店のご紹介だけしておきます……」
「……」
「それでは失礼いたします!!悪魔党をどうぞよろしく!!」
「うるさっ!」
大きな声で礼をして、デモンツーはそのままボワンとどこかへ消えてしまった。
声のボリューム設定が故障したヤツだった。
「……で……」
「……どうするよ?これ……」
残った全員で貰った名刺を覗き見る。
魔族専門高級店《悪魔の穴》と書かれていた。
ゼルがうーんと顎に手を当てる。
「悪魔の店ってぼったくりとか詐欺が多くてイヤなんだが……さすがにこういう紹介でぼったくり店は出さないか。」
この店なら今日レビューしに行く店は悪魔でもいいぞとゼルは頷いた。
「じゃあ今回は……」
「青肌の悪魔っ娘で決まりだな!」
「いっちょ悪魔合体といくか!」
男達は張り切った様子でオーッと手を上げた。
「ぼ、ボクは今回パスしておきますね……」
体質的に悪魔が苦手なクリムを除いて。
・
・
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そしてその日の夜。
クリムの代わりに犬獣人のブルーズ、そして今回行く予定の店と同じ種族である悪魔のサムターンを誘ってカズオ達は名刺に書かれたサキュバス店を目指していた。
「……そのデモンツーとかいう男、広報の名を騙る詐欺師とかではあるまいな?……同族だけに信用できぬ……」
自身が悪魔であるゆえに、誰よりも今回行く店について怪しんでいるサムターン。ブルーズも隣で頷いている。
どうやら悪魔とは本当に誰からも信用の無い種族らしい。
「ちゃんと調べておいた。あのデモンツーとかいうヤツは悪魔党の正式な広報で間違いない。……だが店が当たりかどうかまでは知らん。」
ゼルのその言葉にスタンクが眉を顰める。
「もしハズレだったらボロッカス書いてやる!」
「だな。」
「あ、着いたよ。」
そしてたどり着きたるは最近魔界から進出してきた店ばかりが建ち並ぶサキュバス街。
その中央にドンッと構えているのが女性の尻の絵が大きく書かれたサキュバス店。
《悪魔の穴》。
「よーし、それじゃあ入――」
ボインッ♥️ボインッ♥️
「――ッ!!」
店に入ろうとしたその瞬間……
とんでもなく大きな胸をした二人の美女がゆっさゆっさとその爆乳……いや超乳を揺らして、《悪魔の穴》の“隣”にあった店へと入っていった。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
男達は食い入るようにしてその様子を見ていた。
そして最終的に、吸い込まれるようにして《悪魔の穴》……の“隣”の店へと入っていったのだった。
次話エロ。
明日投稿予定。おっぱい。