童貞がインキュバス(仮)に転生したのでレビュアーズに入ります。 作:ナットーごはん
ずいぶん書いてきたんですね僕。しんみり。
「あ、あの……お金が必要なんです……私をここで……雇っていただけませんか?」
とあるサキュバス店にて、眉を下げ、おどおどした表情で面接を受ける一人の少女がいた。
「うーん……君も大変だとは思うけどね。だけどうちも慈善事業で店を出してる訳じゃないから……」
面接官であるボーイはその少女を見て、はぁ……とため息をついた。
その少女の容姿がどう見ても魅力的には見えなかったからだ。
「そ、そこを何とかお願いします!私、お金を貰えるなら何でもやります!泣き言は一切言いません!」
しかし少女は引き下がらない。なんとかして雇って貰おうと、必死で目を開いて面接官に自分の魅力をアピールしようとする。
「あー、あー、見苦しい。もうこの際だからはっきり言わせて貰うけど……うちは大きい娘専門のサキュバス店なの!君みたいな小さい娘が店の中にいすぎると、店の品質が下がるからこれ以上は雇えないの!分かった?」
少女はガーンとショックを受け自らの胸を押さえた。
しかし何も間違った事は言われていない……サキュバス店はお客様に自分の魅力を売る仕事だ。
魅力の全く無い、“小さい”自分がここで働こうと思った事自体がそもそもの間違いだったのだ……
「……はい……お時間いただき……ありがとうございました……」
少女はトボトボとそのサキュバス店を後にするのだった……
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ここはお馴染み食酒亭。
スタンク、ゼル、カズオの三人組は今日もここで夕食を取りつつ世間話と言う名の猥談に花を咲かせていた。
「カズオ、お前あの低級淫魔の店潰したんだってな。」
「つくづく罪づくりな股間をお持ちだよなぁお前って。」
「べ、別に潰したくて潰した訳じゃないし!ていうか勝手に潰れたんだよ!あれは!」
話の内容は先週行った低級淫魔の詰め合わせ店、《淫魔の狂喜乱舞》についてだ。
あの後、あそこの店は本当に潰れ、代わりに会員制の倶楽部ハウスみたいなものが建っていた。
はたしてあんな立地条件の悪い場所に建つ倶楽部なんかに人は集まるのだろうか……
「それでお前、あの淫魔達どうしたよ?」
「全員嫁にしたとか?」
「してないよ!……とりあえず食酒亭でのカズオルールだけは伝えておいたけど。」
「あー……カズオルールね……」
「それならあの淫魔達がこの店に突撃してくる心配はないか。」
スタンクとゼルはホッと一安心した。
あの店で瀕死になるまで搾り取られた経験は、二人にとっては軽いトラウマである。
「……? “カズオルール”って何です?」
聞き慣れない単語を耳にしたクリムがエールとリンゴジュースを運びながらスタンク達のいる席へとやって来た。
「あれ?お前ここで働いてるくせにカズオルール知らないの?」
「はい。スタンクさん。何です?カズオルールって?カズオさんと何か関係が?」
「ああ……これはクリムが地上に落ちてくる前の話になるんだが、カズオのちんぽの虜になって、そのままカズオにガチ恋しちまうサキュ嬢達が結構いたんだよ。」
「え゛……そ、そうなんですね……まあカズオさんて凄く優しくてかっこいいですし……も、モテるのも当然かと……」
「まあ腐ってもインキュバスだしなこいつ。その腰付きに皆メロメロになっちゃうんだろな。このドスケベ製造機め!」
「その絶倫で一体何人の女落としてきたんだ!このドスケベ製造機!」
「誰がドスケベ製造機だっ!!」
スタンクとゼルにからかわれ、カズオは顔を赤くしてズズッとリンゴジュースを一気飲みした。
「……それで、カズオさんがサキュ嬢さん達に好意を抱かれて……その後どうなったんです?」
「ん?ああ、それでな、食酒亭にまで押し掛けてカズオに求婚してくる嬢が結構いたんだ。」
「か、カズオさんに求婚!?」
「一時期は酷かったぞ。食酒亭はカズオ目当ての客の溜まり場みたいになっちまってたからな。ははっ。」
「そ、それは……なんというか……凄いですね……」
クリムは興味深そうに椅子に腰掛けた。
「だけどそれだと他の客に迷惑だろ? だから、“カズオ目当ての客は食酒亭には来店禁止”っていうルールが1年くらい前に制定されたんだ。それが“カズオルール”。」
「な、なるほど……でも皆さん、よくそのルール守ってますよね。特に淫魔さんなんかはルールなんて無視してやって来そうですけど……」
「カズオルールを破った者にはペナルティーが課せられるからな。」
「ペナルティー?」
「ああ、カズオルールを破った者は一年間カズオとの接触禁止の刑だ。ツタのやつがそう勝手に決めた。」
「んでカズオもそれを了承。この罰が想像以上に効果てきめんでな……それからというもの、カズオの事が好きなやつほど食酒亭には近寄らなくなったんだ。」
「い、一年間カズオさんと接触禁止……?」
クリムは思わず想像してしまう。一年間カズオと会えない日々を……見かけても声をかけてはいけない……声をかけても無視される……そんな日々を……
「……ッ!!?」
何故だか分からないがクリムは身を引き裂かれるような恐怖をその身に感じてしまった。あまりの恐怖に思わずカズオの顔を見て安心感を得ようとする。
(お、女将さん……なんて恐ろしいペナルティーを考え付くんですか……)
はぁはぁと肩で息をするクリム。
「どうした?クリム。具合でも悪いのか?」
「い、いえ!なんでもありません……あはは……そ、そういえばカズオさんは結婚とかは考えたりしないんですか?そんなにたくさんの女性から好意を向けられてるのに……」
ふとクリムは考える。カズオならいつだって結婚出来るだろうと。いつだって幸せを掴み取れるだろうに、何故結婚をしないのか。
「結婚したら女遊び出来なくなるからやだ。」
「………」
「「だっはっはっは!!」」
割りと最低な理由だった。
スタンクとゼルがゲラゲラ笑っている。
そうやって何気ない話を続けていると……
「スタンク、ゼル、カズオくん。あんた達に依頼が来てるわよ? あとクリムくんは何サボってるの。」
「あ!すみませんメイドリーさん!」
食酒亭、もう一人の給仕娘、メイドリーが一枚の封筒を持ってスタンク達の席へとやって来た。
「依頼? 護衛か何かか?」
メイドリーから封筒を受け取ったスタンクが中の手紙を取り出す。
「依頼主は? なぜ直接来ない?」
「スタンク。それ何が書いてあんの?」
送り主不在の手紙に怪訝そうな目付きとなるゼルとカズオ。
スタンクはコホンと手紙の内容を読み上げた。
「《単眼娘のレビューを書いてください。店はお任せいたします。五人分の取材費を同封します。》だってさ。」
「よし行くか!」
怪訝な目付きは一瞬にして吹き飛んだ。
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こうしてスタンク、ゼル、カズオにプラスして、カンチャルとクリムが加わり、一行はサキュバス街へとくり出した。
「毎回こういう依頼ばっかりだったらいいのにな。」
「ははっ、そうだな。」
「でも五人分の取材費と謝礼金まで出して一体誰がこんな依頼してきたんだろね?」
「単眼フェチのどっかの金持ちじゃない?下調べにでも使うんでしょ。」
「……それでどこのお店に行くんです?」
上からスタンク、ゼル、カズオ、カンチャル、クリムの順。
「そうだなー……とりあえず単眼店であれば店の指定は無かったし、とりあえずてきとーな所でいいだろ。」
そうして一行がやって来たお店は、単眼娘専門店《単眼倶楽部》。
「いらっしゃいませ。お客様。」
店の中に入ると受付のボーイが揉み手をしながらスタンク達を迎えてくれた。
流石単眼専門店だけあって、ボーイも単眼、つまり一つ目であった。
「今日はどのような娘をお探しで?」
「この店の売りというか、おすすめは?」
「売りですか……」
スタンクに売りを聞かれたボーイはニヤリとその一つ目をニヤつかせる。
「ウチの売りと言えばそれはもう大きさに尽きますね!!」
「「「「「おおっ!?」」」」」
「FサイズからHサイズ……果てはKサイズまで!!あらゆる大きさの娘を提供できますッ!!」
全員がゴクリと生唾を飲み込んだ。Kカップのおっぱい娘なんてなかなかお目にかかれないので当然だ。
「はいっ!じゃあボクは一番大きい娘で!!」
「あっ!カンチャルてめぇ!」
「抜け駆けすんなッ!」
カンチャルが我先にとビシッと右手を上げた。スタンクとゼルがそれを取り押さえる。
「まあまあ、ここは早い者勝ち……という事で、メガロちゃん!ご案内!!」
「はーいっ♡」
ボーイが嬢の名前を呼ぶと、奥の部屋へのカーテンが開き、そこからKサイズの娘がやって来た、のだが……
「「「「………え?」」」」
……その胸は平坦であった。
そしてその代わりに、目が物凄くデカかった。顔の半分以上が眼球。
「いかがでしょうこのサイズ!!魔界中探してもこれほどの巨眼っ娘はめったにお目にかかれませんよ!!」
自信満々そうに目のデカい嬢を紹介するボーイ。
大きさが自慢て、どうやら乳ではなく目のサイズの話だったらしい。
(えぇぇ……目……って言われてもなぁ……)
ツリ目、タレ目、ジト目、一重に二重、カズオはどの目も好きだが……しかし、大き過ぎる目というのは正直ちょっと想定外だった。こう言っては何だが、目玉のおやじを思い出してしまった。
スタンクとゼルも微妙そうな表情で固まってしまっている。
「わぁー綺麗だな……吸い込まれそうな光沢がいいですね……」
唯一クリムだけは巨眼に理解を示している様子。サキュ嬢名簿を見てわくわくしている。名簿の中の女の子達も、皆目がデカかった。
「ボクこのHサイズの娘指名してもいいですか?」
「ああ……いいよいいよ。好きにしな。」
残ったスタンク、ゼル、カズオの三人でボーイの事をチョイチョイと呼ぶ。
「? なんでしょうか?」
「ボーイ。俺らは普通サイズが好みなんだ。」
「そうそうバランスのいい娘がいいぞ。」
「小さい目の娘はいないの?」
「え゛!? そ、そう言われましても……ウチは基本巨眼店ですので……」
ボーイは信じられないものを見るような目でスタンク達の事を見た。それからうーんと悩んで。
「え、Aサイズの娘でしたら……二人だけいるのですが……」
そう言って出てきたのは、スタイル抜群の二人の美女。
目のサイズもちょうどいい。というか普通に可愛い。
「……」
「……」
「……」
スタンク、ゼル、カズオの三人は互いに目配せをすると……
「「「さいっしょはグー!!ジャ~ンケ~ン……」」」
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「何故だ……何故なんだ……」
カズオは負けた。重要な所でいつも負ける。というか前世を含め、今までじゃんけんで勝てた記憶が一度も無い。
カズオはじゃんけんが恐ろしいほど弱かった。
「………」
がっくりと床に膝をつき、絶望しているカズオを見てボーイは軽く引いていた。
ちなみにスタンク達は既にもう別室だ。譲り合いの精神は無い。
「……俺は所詮、先の時代の敗北者じゃけェ……!!」
「な、何をおっしゃられているのですかお客様?」
「取り消せよ……!!今の言葉……!!」
「お客様?」
「グララララララララ!!」
「お客様ッ!? お気を確かに!!」
狂ったように変な笑い声をあげるカズオを見てボーイはドン引きだった。このままじゃいけないと思ったボーイは恐る恐るカズオに声をかける。
「あ、あの……お客様……」
「……すみません……ショックでつい……」
「えっと……それは大丈夫ですが……あの、そういえばもう一人だけAサイズの娘がおりまして……」
「え……マジっすか!?」
「は、はい。実は今日うちに面接に来た娘なんですけど……貧眼だったので不採用にしていたのですが、あの……今ならまだ連絡はつくかと……」
「お願いします!!」
「は、はい!」
ボーイは慌てて長距離連絡用の魔道具を取り出した。有り体に言ってしまえば電話だ。
ボーイはそれを使って今日面接に来た娘へと連絡を取る。
「………はい!大丈夫です!お客様!すぐ近くにいたらしく、あと10分ほどで来られるそうです!」
「しゃーー!!!」
連絡がついたと聞き、ガッツポーズを決めるカズオ。ボーイはホッと一息ついた。
……そして6分後。
「お待たせいたしました!さ、採用のご連絡、あ、ありがとうございます!はぁはぁ……!」
息を切らした単眼の女の子が店の中に勢いよく飛び込んできた。
白い髪に白い肌。その体つきは全体的に細く小柄だったが、胸だけはぽよんと大きく実っていた。
そして自信なさげなつぶらな瞳がなんともまあ可愛らしい。小動物のような守ってあげたくなる感じの目である。
「はぁ……はぁ……」
「お客様の前で息を切らすとは何事ですか!」
「す、すみません!すみません!」
「あー、いいよいいよ。全然大丈夫。急いで来てくれたんだよね?ありがとう。」
ぺこぺこ下がる頭を見てカズオは苦笑いを浮かべながら頬をかく。
なんというか、雰囲気が全然サキュバス嬢っぽくない。新人さんかな?そう思っていると……
「それでお客様……本当にその娘でよろしいのでしょうか? こう言ってはなんですが……その娘、かなりの貧眼ですし……それにまだサキュバス店で働いた経験も無い、未通女だと履歴書にも書かれておりましたので……」
「未通……え!?き、キミ、処女なのッ!?」
「あぅ……はぃ……も、申し訳ございません……!」
顔を真っ赤にして泣きそうな表情で頭を下げてくる単眼ちゃん。
こんな可愛い娘の初めてが貰えるのならむしろウェルカムだ。
五桁にも及ぶサキュバス嬢を今までに抱いてきたカズオであるが、処女の娘を抱いた経験はいまだに皆無である。
「わ、私、貧眼だし、エッチの上手なやり方とかもよく分かりませんけど……でも一生懸命頑張りますから!だから、だから私を……選んでください!!」
「もちろんだよ!」
カズオはグッと親指を立てた。
というかわざわざ呼んでおいて、今さら突き返すような外道な真似、カズオには出来ない。
「ありがとうございます……!」
「うんうん。それでキミ、名前は?」
「メイと……申します……」
「メイちゃんね。うん覚えた。よしそれじゃメイちゃん。今日はよろしくね。」
「は、はい!こ、こちらこそよよ、よろ、よろしくお願いします……!」
そうしてカズオとメイは共にプレイルームへと消えていくのであった。
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