童貞がインキュバス(仮)に転生したのでレビュアーズに入ります。 作:ナットーごはん
これで日間、週間、月間、四半期、年間……五つの項目で一位をいただいちゃった事になります。
これも全て読者の皆様と原作様のお陰でございます。心からの感謝をお送りいたします。
「たまにはいいもんだな。思い出に浸ってみるってのも。」
「ああ、そうだな……」
「……色んな所に行って、色んな人達と出会ったよね~……」
ここはお馴染み食酒亭。
スタンク、ゼル、カズオの三人はテーブル席に腰を掛けながら、小さな紙切れのような物をジッと眺めていた。
「? なーに見てんのよ。どーせいやらしいものでしょ?」
いつものドスケベトリオの集会に、怪訝そうな視線を向けてきたのは食酒亭の看板給仕娘、メイドリーである。
「何だよメイドリー。いきなり失敬な奴だな。これは思い出なんだ。俺達の旅路のな……」
「……へー? なに? 旅の念写風景とか?」
いつになく真剣な表情のスタンクに、メイドリーはひそめた眉を元に戻す。もしかしたらいやらしい物ではなく、綺麗な風景でも見て感慨にふけっていたのかもしれない。
メイドリーはスタンクが持っている紙切れを覗き込んだ。
するとそれは……
エルフのおやど、エルマ。
『人間さんて若くてカワイーよね♡子供っぽいのにアッチはスゴくてそのギャップが大好きヨ。また来てね♡』
妬き鳥・秘伝のタレ、エルドリー。
『歩いてこんなところまで会いに来てくれるなんて嬉しいです♡また来てねとは気軽に言いにくいケド、また来てほしいな。』
おかしらのアジト、プリッツ
『今日は来店ありがとう!出演サキュバスムービーも買ってね観てね使ってね♡』
単眼倶楽部、アイシャ
『がっつり3回もしちゃって私もなんだか自信でました!最後時間なくて慌てちゃったケド、フィニッシュ間に合ってよかったネ♡』
「……」
それは、スタンクが今まで抱いてきたサキュバス嬢達から貰った名刺の束だった。
「やっぱりいやらしいものじゃないの!!」
メイドリーはビキリと青筋を立てた。
「別にいやらしくねぇだろ。ただの名刺だぞ?」
「いやらしい店で貰った名刺でしょうがっ!! これのどこが旅路の思い出よ!!」
「はははっ!」
男達の思い出とは、時に女性には理解されがたいものなのである。
苛立った様子で去っていくメイドリーを尻目に、スタンク、ゼル、カズオの三人は特に気にした様子もなく各人自分の持つ名刺の整理を続けていくのだった。
「にしても、どれも懐かしいよなぁ。」
「レビューが他人に見せる思い出ならば、名刺は各個人の思い出である。」
「色んな女の子を抱いてきたよね~。」
一通り名刺の整理が終わると、それらを仕舞う為に男達は名刺ケースを取り出す。
「よいしょっと……」
「「デカッ!?」」
カズオの取り出した名刺ケースは、広辞苑サイズの分厚さであった。
「いやいやいや!? カズオお前、どんだけ名刺貰ってんだよ。カネといい名刺といい性欲といい、普段からお前は色々と溜め込みすぎなんだよ!?」
「サキュ店行き始めてまだ2~3年程度の奴が何で百年以上サキュ店行き続けてる俺よりも貰った名刺の数が多いんだよ!?」
「いや……でもこれ、ほとんどサキュバスタワーの娘達がくれた名刺だよ?」
カズオが所持する名刺の量があまりにもミレニアム過ぎたので、若干ドン引き状態のスタンクとゼルであった。
この男は一年の間に一体何人の女を抱いているというのか……
とにもかくにも、そんな感じで各人自分の持っている名刺の片付けをしていると……
「ん? 何だっけこれ?」
ゼルの持つ名刺の中から、一枚の見慣れない名刺が出てきた。
「どうしたゼル。」
「何それ?」
「えっと……魔族専門高級店《悪魔の穴》。だってよ。」
「? あ~~、そういえばあったなぁ、そんなのも。」
「えっと、確か……選挙の時に貰ったやつだよね。ピッコロさんが押し付けてきたやつ。」
「いや、ピッコロって誰だよ!? カズオ。」
その名刺は過去(この小説の11話で)悪魔党の広報担当悪魔、ピッコロさんことデモンツーが悪魔っ娘のレビューをお願いします! と、頼んで渡してきた時の紹介名刺であった。
「もうすっかり忘れてたわ。」
「何だかんだで行けてない店だよな。」
「間合いが悪かったよね。」
あの時はたしか……隣にあった
「「「……」」」
三人はジッと悪魔の店の名刺を見つめる。名刺は淫靡な雰囲気を醸し出す紫色をしていた。
ずっと行けてなかった店の名刺を見ていると、途端に行きたくなってくるのが男心である。
「……なあメイドリー。今日クリムは?」
「え? クリムくんなら、朝からトレントおじいさんのスパイス店に、調味料の買い出しに出かけてるけど?」
「なるほど……それならあと数日は帰って来ないな。」
ゼルはニヤッと笑って悪魔店の名刺を握り締めた。
「どうせクリムは、悪魔は闇っ気が強くて嫌だって言うんだ。今のうちに俺らだけで行っておくか? 悪魔の店。」
「そうだな。今まで縁がなかったが……そろそろイッておくか!」
「イこう! イこう! 色んな意味で!」
「「「わははははっ!!」」」
という訳で、本日カズオ達が行くサキュバス店は、悪魔っ娘のサキュバス店に決定されたのだった。
いやらしく笑うドスケベトリオを見て、メイドリーは「は~やだやだ……」と、今日もため息をつくのだった。
・
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そうしてスタンク、ゼル、カズオの三人は、ハーフリングのカンチャル、犬獣人のブルーズを誘い、五人で魔族専門高級サキュバス店、《悪魔の穴》へとやって来たのだった。
「ようこそ悪魔の穴へー。」
店の中に入ると、頭にツノを生やし、青色の肌をした受付嬢の悪魔っ娘が、ぶっきらぼうな態度でカズオ達の事を出迎えてくれた。
見た目は普通に可愛らしい悪魔っ娘なのだが、接客態度はあまりよろしくなさそうだ。流石は結婚したくない種族ランキング二位といったところだろうか。
「それで? どちらさまからのご紹介でいらっしゃいました?」
「紹介? ああ、一応これが。」
招待されて来たのかどうかを聞いてくる受付悪魔っ娘に、ゼルはデモンツーに渡されていた紹介名刺を渡した。
すると……
「はい。ちょっと拝見……ふむ。悪魔党広報担当デモンツーさんからの…………悪魔党!? ぅぁぁぁぁ……!!?」
名刺に書いてあった悪魔党の名前を見て、受付悪魔っ娘は元々青かった顔をさらに青褪めさせてガタガタと震えだした。
「し、失礼しましたァ! これはこれは、どうぞようこそいらっしゃいましたァ!!」
そして受付悪魔っ娘はそのまま華麗なるスライディング土下座へと移行。さっきまでの素っ気なさはどこへ消えたのか……
「……なんか露骨に態度が変わったぞ、オイ……」
「は、ハイ! それはもう変わりますともっ!」
床に押し付けていた頭を勢いよく上げる受付悪魔っ娘。
その額にはびっしりと汗が滲んでいた。
「この名刺は悪魔党からの紹介名刺ですからね! それはつまり、現魔王であられる、デスアビス様との契約でもあるわけなので。最高のサービスを心掛けないと、それは魔王様との契約違反になりかねませんから!」
「ふーん……なるほどねぇ……?」
「悪魔は何よりも契約を重んじる種族なのです。ささっ! ではどうぞ、奥へとお進みください!」
「う、うん……」
そうして一行は揉み手と営業スマイルを繰り返す受付悪魔っ娘に連れられて、店の奥にある広間へと案内されたのだった。
そこにはたくさんの悪魔っ娘達がエロティックなセクシー衣装に身を包んで並んでいた。
「おおっ! カワイイ悪魔っ娘達がこんなに!」
「はい。ではお客様方、どの娘と快楽契約を結びますか?」
「写真じゃなくて
「悪魔族は、生れつきの個体差が大きいですから。直接目で見て選んでいただくのがいいかと。」
受付悪魔っ娘ちゃんの言う通り、悪魔はその見た目にかなりの多様性がある種族だ。
可愛い系の悪魔っ娘もいれば、デモンツーのようなナメック星人のような見た目の悪魔もいる。
数十センチのフェアリーサイズに、3メートルを超える巨大な娘……
青肌、緑肌、紫肌……
さらにツノの形状、翼や尻尾の有無など、その違いはまさに千差万別である。
「なるほどねぇ。……じゃ、せっかくだし俺は一番大きいキミで。」
たくさんいる悪魔っ娘達の中から、最初に嬢を選んだのはスタンクだった。
身長3メートル強の、この中で最も身長の高い娘を選択。なかなかに思いきったチャレンジである。
「じゃあボクは同じくらいのサイズのキミで。」
「俺はあの娘がいい。」
「ワシはあの娘で。」
カンチャルは小学生くらいの身長の娘を。
ゼルは長身スレンダー貧乳のお姉さんを。
ブルーズはガッシリした体格のふくよかさんを選択。
「じゃあじゃあ俺は~誰にしようかな~? よりどりみどりで迷っちゃうな~。」
残るはカズオ一人。どの悪魔っ娘にしようかとアゴに手を当てて考えていると……
「ならば我を指名するがいい!! 可愛がってやるぞ!!」
「へっ?」
どこからともなく、威厳のあるような無いような……とりあえず可愛らしい女の子の声が聞こえてきた。
「だ、誰? えっ!?」
何だと思い辺りを見回してみると、広間の床に巨大な魔法陣が展開されていた。
そしてその魔法陣の中から、超巨大なツルペタ幼女が、ニョキニョキと、せり上がってきて――
「ふっふっふっ……あいたっ!?」
そのまま天井に頭をぶつけた。
「な、なんじゃ!? ちょっ!? ここ天井低すぎッ!!」
ぶつけた後ろ頭を押さえながら、ぷんぷんと文句を垂れる巨大ツルペタ幼女。
いや、天井が低いんじゃなくてあんたがデカイんだろ! とは、誰もが思ったツッコミである。
魔方陣の中から突然現れた巨大ツルペタ幼女は、目測で身長およそ10メートル。
スタンクが選んだこの店で一番身長が高い娘よりも遥かにデッカかった。胸は小さいが。
「……というか、あんた、魔王じゃん。」
どっかで見た娘だな~と思っていたカズオは、そこでようやく目の前に現れた巨大ツルペタ幼女が何者なのかを思い出した。
彼女は前に(この小説の11話で)街の広場で演説を行っていた悪魔党の代表……魔王であった。
「……こほんっ。 そうだ! 我こそが魔族の王……つまり魔王! デスアビスである!!」
ちょこんと三角座りをしながら名乗りをあげるデスアビス。なんとなくカッコ悪いが、天井が低いので仕方がない。
「……にしても、何で魔王がこんな所に出てきたんだ?」
「どう見ても場違いだよなぁ……」
「うんうん。」
突然の大物(物理的にも)の登場に、軽くビビるレビュアーズ達。
ちなみに悪魔っ娘達は全員ガクブル状態だ。蛇に睨まれた蛙のごとく固まってしまっている。
「我がここに来た理由か? まあ話せば長くなるのだが……一言で説明するなら、我はカズオに復讐をする為に、ここまでやって来たのだ!」
「…………は?」
突然の魔王からの名指し。カズオは目を点にした。
「え、いや待って、復讐ッ!? 俺に? いやいやどゆこと!? 何でッ!!?」
いきなり復讐だとか言われても、勿論カズオには魔王から恨まれる覚えなど全く無かった。
なので訳が分からずアタフタしていると、そんなカズオの元に優しい笑顔を浮かべたスタンク達が集まってきて、それぞれポンとカズオの肩を軽く叩いてきた。
「あばよカズオ……今まで楽しかったぜ……」
「お前の事は300年は忘れねぇよ……」
「骨は拾ってあげるからね……残ってたらだけど……」
「あの世でも元気でな……」
上からスタンク、ゼル、カンチャル、ブルーズの順。四人は早々にカズオの命を諦めた。
悪魔の中でも最上級に位置する魔王に狙われてしまったのだから仕方がない。
「いやいやいや!! 待てーーいッ!! 縁起でもない事言わないでよ!? そもそも魔王さんは何で俺の事恨んでんだよ!? 俺あんたの事は遠目でしか見たことないんだけど!? 恨まれる覚えが無いんだけど!?」
当然のように異議を申し立てるカズオ。
しかしそれに対しデスアビスは、ギリリッと鋭い歯を噛み締めた。
「覚えがないとはよく言えたものだな! おぬしは我の魔導研究パートナーを腑抜けにしてくれたのじゃ! おかげでこの世界の魔導技術の発展が、ますます遅れてしまうではないか!! どうしてくれる!?」
「……魔導研究? パートナー? 一体何の話?」
「しらを切るでない! “デミア”じゃ!! あやつを籠絡したのはおぬしであろう!!」
「………???」
「まだとぼける気かッ!?」
デミアを籠絡したとか言われても、カズオは全然ピンとこなかった。
「俺、別にデミアさんに何かをした覚えはないけど……?」
「本当か?」
「本当だよ。強いていうなら――72時間生ハメ耐久セックスしたくらいかな?」
「それだろ!!どう考えても!!!!」
ガーっと唸りをあげてカズオを睨み付けるデスアビス。三角座りのままなので、ビジュアル的な迫力は全く無いが、おぞましいほどの魔力を溢れさせて自らの怒り具合をアピールしてきた。
「この件に関して、我は本当に怒っているんじゃからな!!」
「えー……そんな事言われても……俺はただ、デミアさんがイイって言ったからエッチしただけだし。だから文句があるならデミアさんの方に言ってよね!!」
「ぬうっ!? ぐぬぬぬぬぬ……!!」
フンッと腕を組んでそっぽを向くカズオ。
仮にも魔王が相手なのに、よくそんな態度取れるなと、まわりの者達はハラハラしながら二人のやり取りを見守っている。
「こうなったら……勝負じゃ!」
「……はい?」
「我と戦え! カズオ! 勝負をして我が勝ったらデミアは元に戻してもらうからな……!! そして我に絶対の服従を誓え!!」
「……は? いやいやいや、フツーに嫌だよ。今日の俺はサキュバス店にフツーに遊びに来ただけだもん。」
「なら何も問題はない。戦いの勝ち負けはセックスで決めるからな!」
「は?」
「デミアが言うておったのじゃ。『デスアビスも一度カズオくんとエッチしたら分かるわよ』……とな。だからデミアを堕としたおぬしのそのセックステクニックとやら……我にも見せてみよ! それで我を堕とす事が出来たなら、その時はおぬしの勝ちじゃ! おぬしの言う事は何でも聞いてやろう!」
「……?? え~っと……つまり俺は、魔王さんにエッチを誘われてる訳? ならイイよ!」
((((イイのかよ!?))))
この場にいたデスアビス以外の全員が心の中でカズオにツッコミを入れた。
「くっくっく……契約成立じゃな。」
「ぐえっ!?」
デスアビスはニヤリと不敵な笑みを浮かべてカズオの事を鷲掴みにした。
高身長男子のカズオだが、デスアビスに掴まれると途端にお人形サイズである。
「な゛……な゛に゛す゛る゛の゛ん゛……?」
「ここでは狭くてヤル事もヤれんからな。とりあえずカズオ、おぬしには一度、我の城にまで来てもらうぞ。そこでセックス対決じゃ!」
「……は? 城? 城って何ッ!?」
「魔王城だ。では行くぞ!!」
「えええ!? ちょ、待って!? あっ!? うあああああーー…………」
そうしてカズオは、魔王デスアビスと共に、魔方陣の中に吸い込まれるようにして消えていったのだった……
残されたスタンク達はポカンである。
「……おい……カズオのやつ、魔王に拐われちまったけど……大丈夫なのかあれ?」
「ま、まあ……エロしに行っただけっぽいし? 死ぬ事はないだろ。たぶん……」
「悪魔族は契約を守る種族らしいからね……ねぇ?」
「は、はい! それはもう、間違いありません!」
「なら……大丈夫なのか?」
上からスタンク、ゼル、カンチャル、受付悪魔っ娘、ブルーズの順。
もしも本気でカズオが殺されそうなのであったなら、スタンクもゼルもカンチャルもブルーズも、一応は助けに行くつもりであったが……
魔王本人がエッチするだけだと明言していたので、とりあえずは大丈夫だろうという事にしておくのだった。
「……じゃあ、カズオはカズオで魔王とエッチしてるだろうから、俺達も俺達で青肌悪魔っ娘と悪魔合体といきますか!」
「「「おー!」」」
単純に関わるのが面倒くさいだけだというのは内緒である。
次話エロ。