※この作品はR-18です。

童貞がインキュバス(仮)に転生したのでレビュアーズに入ります。   作:ナットーごはん

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R-18週間ランキング一位ありがとうございます。



鳥の店へ

この世界の酒場には冒険者の掲示板という物がある。

 

冒険中に得た希少な情報を書き記して載せられる場所だ。有益な記事を書けば別の店や街にも転載され、報奨金も出るという……

 

そして酒場に集まった冒険者達は今日も有益な情報を得ようと真剣な様子で掲示板を見つめていた。

 

「スタンクさんは7点。ゼルさんは6点。サムターンさんは8点。皆さん高評価ですね……」

「ぬるぬる……」

「情熱の極みっスかぁ……」

 

冒険者達が見ているのは《海のヌルヌルタコ娘♡ダゴンちゃんと一発!》という……

ようするにスタンク達の書いたサキュバス店のレビュー記事であった。

 

あれからスタンク達は色んなサキュバス店に行ってはレビューを書き、こうして冒険者の掲示板へと貼り出していたのである。

今回書いたレビュー記事は海底神殿にあるというタコ娘(ダゴン)専門のサキュバス店、《滝壺の渦潮》についてだ。

 

「ん?カンチャルの評価は微妙だべな。4点?」

「カズオさんの評価もイマイチっスよ。3点。」

「なになに……アソコの吸い付きも良いし、密着プレイはとても気持ちいいのだが、気に入られると離してもらえなくなり引き剥がすのにとても苦労した。そしてその間の延長料金はしっかり取られた……べか。」

「勉強になります。」

「だけんど、オメ童貞だっちゃ?」

「……来たるべき時のために、知識を蓄えておくのです。」

 

レビュー記事を読んで盛り上がる冒険者(モブ)達を見て、食酒亭の看板ウェイトレスであるメイドリーは今日も呆れた様子でため息をつくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

下界に落ちてきた天使、クリムを助けて数週間が過ぎた。

相も変わらずカズオ達は冒険者として活躍している。

先日旅に出掛けた場所は海底神殿。そしてそこでは冒険だけではなく……勿論“アッチ”の方でも活躍してきたという訳だ。

 

「はぁ……やっと吸盤痕が取れた……」

「カズオ、お前ホント気持ち悪いくらい全身吸盤痕だらけだったもんな。」

「どんだけ激しくヤッてたんだよ。」

 

場所は冒険者達の酒場、食酒亭。

そこでカズオ、スタンク、ゼルの三人は先日行った海底神殿での冒険談……ではなく、その時寄ったタコ娘(ダゴン)専門のサキュバス店の話をしていた。

 

「だから激しくヤッてたとかじゃなくて単純に放して貰えなかったんだって。」

「まあ確かに。あの吸盤の吸い付きはなかなか取れないよな。」

「ああ、アソコもチューチュー吸われ過ぎてタコができるかと思ったぜ。」

「タコ娘だけに。」

「「だっはっはっは!」」

「……ハァ……」

 

下らないダジャレで爆笑するスタンク、ゼルを見てカズオはやれやれとため息をついた。

この二人が下ネタ好きなのはもう慣れたが、まわりに人がいる酒場とかではもう少し声のボリュームを抑えてほしい。

カズオは樽グラスの中のリンゴジュースを飲み干した。

 

「はーい。スタンク、ゼル、カズオくん。これあげる。」

 

そうやって雑談しながら昼食を取っていると、ウェイトレスであるメイドリーが飛んできた。

そして三人の前にポーチサイズの皮袋を置く。

中からはジャラリとお金の音。

 

「ん?なにこれ?」

「掲示板記事の報酬よ。」

「え"っ!?あのレビュー売れたのッ!?」

 

カズオが驚いたのも無理はない。

掲示板に乗せた記事はそこそこ人気が出ないと報奨金が出ない……つまりこの金はカズオ達の書いたレビューがそこそこ以上に売れたという証であるのだ。

 

“エルフ500歳人間50歳騒動”のあと、皆でなんとなくお遊び気分で書き続けてきたサキュバス店のレビュー……

 

何を血迷ったのかある日ゼルがそれらを纏め、スタンクが勝手に掲示板へと貼り出したのだ。

それがまさかまさかの大盛況。

こんなの貼ったりして、お役所さんとかに怒られるんじゃないかな~と思っていたカズオだったが、その予想は斜め上の方向へと裏切られてしまったのだった。

 

「みーんなあんた達の記事持ってくのよ。いやね男って……」

「うぅ……マジっすか……穴があったら入りたい……」

「おいおいカズオ。そこは穴があったら入れたい。だろ?」

「うるさいよ!」

 

あんなの誰も見ないと思ってたから放置していたのに……

まさか報奨金が出るほど大勢の人に見られるとは……

カズオはとたんに恥ずかしくなった。

 

「あんな落書きが金になるとは。おっ、しかもまあまああるな。」

「マジで?うわぁ……本当だ……」

 

袋のヒモを緩めるスタンク。ジャラジャラと袋の中から出てくる金貨の数を見てカズオはげんなりした。

そんなに売れたのか。エロ体験レビュー記事。

メイドリーが汚い金を見るような目で銭袋を見ているのは気のせいではあるまい。

 

「……どうするの?そのお金?」

「どうするってメイドリー。」

「決まってるだろ。」

「「新しい種族をレビューしに行くのさ!!」」

 

今日も今日とでスタンクとゼルの息はピッタリだった。

カズオはさらにげんなりする。

 

「これは仕事だな。」

「ああ仕事だ。だよな?カズオ。」

「……俺に振らないでよ。」

「なーに言ってんだ。一番ノリノリで長ったらしいレビュー書いといて。」

「ああああああああ!!!」

「よーし、じゃあ次行く店決めよう。」

 

羞恥に沈むカズオを無視してスタンクとゼルがあーでもないこーでもないと次に行くサキュバス店を相談し合う。

メイドリーは「あー、やだやだ。不潔。」と仕事に戻っていった。

……もう、こうなったらなるようになれと、カズオは現実逃避を決め込んだ。

 

レビューを書いてその売り上げが次のサキュバス店代の足しになるのなら文句も言えない。

こういう時は吹っ切れるのが一番なのだ。

エロの魔の手に呑まれよう。

 

「おーい、クリム。」

「はい?注文ですか?スタンクさん。」

 

そしてエロの魔の手はちょうど近くでグラスを片付けていた天使さまにも迫る。

 

天使の輪っかが治るまでの間、生活費を稼ぐためにクリムはここ食酒亭で給仕(バイト)として働かせて貰っていたのだ。

 

「お前ここで働いててそろそろ給料でたろ。お前もくるか?」

「え?行くって…………ぅえっ!?あ……あの……その……」

 

スタンクが何を言いたいのか理解したのだろう。

クリムの顔が真っ赤に染まる。

そしてもじもじしながらもカズオ達のいる席へと飛んできた。

いいのかクリム。こっちの道は堕天への一歩だぞ。

 

 

 

……結局クリムを含めたスタンク、ゼル、カズオの四人で次行く店を話し合う事となった。

 

「うーん、やっぱ可愛い子がたくさんいる所だろ。」

「マナが豊富な所がいいな。」

「俺は相当なゲテモノ店以外ならどこでもいいよ。」

 

上からスタンク、ゼル、カズオの順。

やはりあーでもないこーでもないと話は平行線を辿っている。

 

「……あの……それじゃあ……ゆ、有翼人のお店とかどうでしょうか?」

 

そこでクリムがおずおずと右手を上げて挙手してきた。

向こうの方で給仕しているメイドリーの方をチラチラ見ながら。

 

「「「有翼人?」」」

 

三人もチラリとメイドリーに視線を向けてみた。

有翼人とは人間に鳥の要素を付け足したような見た目をした種族である。

ちょうどメイドリーがその有翼人だった。

……なるほど。クリムの好みの女の子はメイドリーみたいな子なのか。

カズオはそっと心のメモ帳にこの事を書き記しておいた。何かあったらこれでイジってやろう。

 

「……うーん、有翼人かぁ。その店はちょっと遠いぞ。行って遊んで帰ってで多分二週間くらいはかかる。」

「え?そうなんですか?スタンクさん。」

 

スタンクがテーブルの上に地図を広げ、それを皆で覗き込む。

 

「確かにちょっと遠いな。」

「遠いな~。」

「遠いですね。」

「ああ、だが良さそうだな。有翼人。」

「うん。」

「だよな。」

「は、はい……」

 

全員でメイドリーの方を見る。

 

「ッ!!?」

 

メイドリーは何か悪寒のような物を感じ取りカズオ達の席へと振り返る。

サッと全員で視線を反らした。

 

「お前ら有翼人の店行くの?それなら俺もついて行っていい?」

 

話していたらニョロリと細長い人影が近づいてきた。

上半身が人間で下半身が蛇の見た目をした種族。男ラミアのナルガミである。

 

「ふしゅ~!しゅるる~!」

 

興奮してるのかナルガミの鼻息は荒い。先割れした舌がしゅろしゅろと口の中を出入りしている。

 

「ナルガミ。お前も来るのか。」

「別にいいけどお前そんな有翼人好きだったか?」

「おうよ!あのむしゃぶりつきたくなる外見……見てるだけでもうたまんないだろ!?」

「…………」

 

はたしてその情熱は一体どこから来ているのだろう。性欲からか……はたまた食欲からなのか……せめて性欲からであって欲しいとカズオは切に思った。

今のナルガミは完全に獲物を狙う蛇の目付きをしていたが……

 

「それじゃあこの五人で出発だ!!」

「目指すは森の奥にあるという有翼人のサキュバス店!!」

「エロい事しまくるぞ!!」

「「「おおーーッ!!」」」

「「おー……」」

 

張り切った様子で雄叫びをあげたのはスタンク、ゼル、ナルガミの三名。

小さな声で言ったのはカズオとクリムの二人だ。

 

うるさい!!とメイドリーがいた場所から三つのお盆が飛んできたのでカズオとクリムの選択は正しかったと言えるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしてやって来たのは遠方の森林にある有翼人専門のサキュバス店。《妬き鳥・秘伝のタレ》

 

「やっと着いたな。」

「長い道のりだった。」

 

なお、ここまでの冒険の道のりは尺の都合でカットさせていただきました。ご了承ください。

 

「それじゃあさっそく入ろうか。」

「そうだな。」

「ドキドキしてきた。」

「う~……神様ごめんなさい。ボクはまた穢れてしまいます……」

「はぁはぁ!!ふぅ~しゅるしゅる~!!!」

 

約一名、目がヤバイ奴がいるが、特に気にせず男達は受付へと向かっていった。

そして――

 

「……申し訳ございませんが、本店ではラミアのお客様はご遠慮いただいております。」

 

「「「「え……」」」」

「ガーーーーーーーーーーンッ!!」

 

ここに来て一番鼻息荒くして期待していたナルガミがまさかのNGを食らってしまったのだった。

 

「そ、そんな……」

 

ナルガミの口から魂のような物が抜け出した。

そのままにょろにょろと崩れ落ちる。

脱皮した蛇の脱け殻みたいになってしまった。

 

「だ、大丈夫か?ナルガミ。」

「これは流石に同情するわ。」

「まあ……ほら、蛇って鳥の天敵だから。仕方ないよ。」

「えっと……えっと……元気出してください!」

 

上からスタンク、ゼル、カズオ、クリムの順。

ナルガミは涙を流しながら「いいんだ……せっかくここまで来たんだし……お前らだけでも楽しんできてくれ……」と言ってくれた。

 

ナルガミには悪いが、確かにここまで来て何もしないで帰るというのはあり得ない。

 

という訳で、一人の尊い犠牲者を出しつつも男達は戦場へ赴く事を決意したのであった。

 

「この子カワイイな。」

「こっちの子もいいぞ。」

「みんな綺麗だね。」

「うわぁ……」

 

「……お前ら……サキュ嬢名簿開くのはせめて俺が店から出ていったあとにしろよ……」

 

慈悲の無い男達の行動にナルガミは血の涙を流すのであった。

 

 

 




次話はエロ。
今日か明日の夜には上げたい。
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