※この作品はR-18です。

幽霊との甘い生活!幽霊や妖怪、カッパにトイレの花子さんや雪女、更には人魚、座敷童子までみんなまとめて面倒みちゃう。だってみんな可愛い女の子だから。   作:EMO

113 / 119
狼女7

 墜落したヘリの周りにも火の手が上がっていた。

 ヘリからは怪我をした黒尽くめの戦闘服を着た集団が這い出て来る。

 

 ヘリを落としてくれた子グモ達は危険なので避難して貰い、俺たちだけがこの墜落現場に来たのだ。

 

「や、やってくれたなぁっ! 

 ヤマダァァッ!」

 怒り狂った黒髪の男がヘリから出て来た。

 そんなに高い位置からではない墜落なので怪我程度ですんだ様だ。

 

「お前たちは間違いを二つ犯した。

 一つはこの森を焼いた事だ。

 そして二つ目は俺のフィーナに銃を向け、剰え発砲した。

 だから罰を与える。

 大人しく死ね」

 俺はフェリックに目配せした。

 顔だけ狼に変身したフェリックはまず、負傷している黒尽くめの集団に襲い掛かる。

 狼顔のヘンリーも片腕ながらもフェリックに続く。

 

「ギャァァァァ」

「ヤメロォォ」

 パンッパンッパンッ

 銃を撃つ音が聞こえるが全て空振りだ。

 フェリック達の動きの方が速い。

「ギャァァァァッ!」

 フェリックが銃を持った黒尽くめの男の腕を噛みちぎり腕を放り投げる。

 

「クソゥッ!」

 ベンと呼ばれた男が何か棒状の物とタンクの様な物を担いでヘリから這いずり出てきた。

「ベンッ! 

 それを寄越せっ!」

「嫌だっ! 

 コイツらは俺が殺る(やる)」

 黒髪の男の言う事を遮りベンがタンクを背負う。

 

「死ねヤァァァァ」

 ベンが棒状の筒を俺とフィーナに向けてトリガーを絞る。

 ボォォォォッ! 

「パパッ危ないっ!」

 フィーナが俺を抱き抱えて後ろに飛び退く。

 すると、さっきまで俺たちがいた場所を炎が覆った。

 火炎放射器だ。

 

「ちっ! 

 感のいい奴めっ! 

 銃が効かんなら焼くだけだっ!」

 尚も火炎放射器の炎を俺たちに向け放つ。

 

 

『ほう……中々面白い遊びをしておるな……』

 森の中から摩利香さんが現れた。

 背後に無数の子グモを従えて。

 

 摩利香さんの左手が胸の高さで横なぎに一閃された。

 ヒュンッ! 

 何かが空を切る音がした後に、

 ゴトッ

 ベンの首が落ち、背負ったタンクの上部が切断された。

 摩利香さんの霊糸だ、鋼鉄並みの強度を保ちながら目に見えない程細く、摩利香さんの霊力で自由に動き岩なども簡単に切り刻む。

「ベンッ!」

 黒髪の男が叫ぶ側からタンクの燃料がベンだった身体に溢れ火炎放射器の炎が燃え移り炎上する。

 

「おのれぇぇぇっ! 

 キサマ女郎蜘蛛かっ!」

 コイツ意外と凄い奴かも? 

 一目見て摩利香さんを女郎蜘蛛だと見破るし、アドルフィーナも人狼だと直ぐにバレた。

 只の厨二病患者じゃないかも知れない。

「俺の左眼が疼くぜ、この眼はお前ら妖怪に潰された代わりに魔力結晶を埋め込んだ魔力眼だ。

 お前らの……」

 ヒュンッ! 

 あっ、摩利香さんがまた左手を一閃した。

 ゴトッ

 黒髪の男の首が落ちてしまった。

『この男ウザイ』

 摩利香さんの一言でこの男の一生は幕を閉じた。

 

 

 ヘリの周辺のフェリック達も粗方終わっている。

 生きているものはいなかった。

 

『人狼よ、すまぬな。

 あまりにもコイツがウザイから思わず殺って(やって)しまった。

 お主達の復讐相手だったのだろう?』

「いいえ、構いません。

 女郎蜘蛛の女王よ、助かりました。

 我らの復讐はこの黒服の奴らで成しました」

 フェリック達は満足そうに頷く。

 

『なら良かった。

 コイツらの死体は子グモ達の餌にしても良いか?』

「はい、どうぞご自由に」

 フェリックが了承すると同時に摩利香さんの背後にいた無数の子グモ達がワラワラと死体に群がり一つづつ眉にして運び森の奥に消えていった。

 

『それでは後始末も終わったし帰るか』

「はい」

 摩利香さんが来てからあっと言う間に片付いてしまった。

 

 

 

 

 

 リゾートホテルに戻ってからフェリック達に今後の事を聞いた。

 朝に再会した時にアドルフィーナの事は話したが、今後の事は聞いて無い。

 アドルフィーナな人狼族の王だから人狼族の里に連れて帰るのが筋なのだが……。

「フェリックさん……アドルフィーナを連れて帰るんですか?」

「いいえ? 

 何故連れて帰るんですか? 

 アドルフィーナ様の故郷はシン様の住むあの家ですから」

 へっ? 

 本当に? 

 良かったぁー。

 俺もフィーナとは離れたく無い。

 

「良かったなフィーナ……」

 横にいるフィーナの頭を撫でる。

 目を細め気持ち良さそうになすがままになるフィーナ。

 

「シン様、本来ならアドルフィーナ様は小狼の姿で生まれ自然の中で王としての資質を養いながら成長し、数十年を経て今の様な姿になる予定でした。

 それが、いきなり王の姿で現れたのです。

 身体と心のバランスが取れてないかもしれません。

 ですから父と母であるあなた方の側で立派になって貰いたいのです。と言うか、人狼の血は三分の一程しかないかも……。

 あと……あなた方の家を我ら人狼族の聖地として巡礼の許可を頂きたい」

 アドルフィーナの教育の件は分かっている。

 しかし、聖地巡礼は勘弁して貰いたい。

「い、いや……聖地って……。

 ウチ狭いから何人も入られたら……」

「いや、いや中に入るなどと恐れ多い……外から建物を拝見させて頂くだけです」

「ま、まあ外からなら構いませんが、ご近所さんや住人の方に迷惑にならないようにして下さい」

「はい、心得ています。

 建物の周囲半径一キロ以内は立ち入り禁止にする予定です。

 アドルフィーナ様ご本人への接触禁止も徹底します。

 それから…………」

 フェリックが長々と条件を語ったがほとんど聴いてない。

 要は俺たちがアドルフィーナと平和に過ごせればそれでいい。

 

 

『話は終わったか?』

 白雪たち雪女が部屋に入ってきた。

「はい、どうぞ」

『シンよ、我らからも話がある。

 ………………』

 白雪の話は、このリゾートに現れた密猟者……幻獣ハンターの事だった。

 今までは自分たちに害するものの存在を忘れていた。妖怪同士でのいざこざはあったが、それは存在理由に起因する事柄がほとんどだったので禍根は無かったが、対人間になると別だ。

 人間は欲で動く。

 そして、その欲を妖怪たちに向けた組織が幻獣ハンターなのだ。

 今回は全滅させたが必ずまた来るだろう。

 だから白雪たち雪女と女郎蜘蛛の摩利香さんはこの地を捨てる……と。

 代わりに俺たちが住むマンションを提供して欲しい。

 人間達の中に紛れ込んだら今回の様に火を使ったり過激な攻撃はして来ないだろう。

 妖怪たちは皆見た目は人間だから人間に紛れ込みやすい。子グモ達の餌はカラスなど都会の害獣に指定されているものを定期的に狩ればなんとかなるそう。

 

 何より日本の守護神の立場になったチヒロが住むマンションだから並のハンター達には近づく事すら難しいだろうからだ。

 

「しかし、俺の住む二階は殆どの部屋が埋まってしまってるからな……」

『ん? 

 我らは別の階でもよいぞ?』

「他の階は既に住人が居ますし……」

『異なことを……以前お主の家に遊びに行った時には他の階には殆ど住人が居らんかったぞ?』

「へっ? 

 そんな事は……」

 

 俺は直ぐに会長に電話して二階部を社宅化した経緯と他の階の住人が居なくなった事の確認をして貰う事にした。

 

 [なんじゃ、そんな事か? 

 いきなり電話して来るから非常事態でも起こったかと思ったわい。

 あのマンションは既にワシが建物毎買っておる。

 元々お前の住む二階での怪奇現象を発端にして悪い噂が出ていたから住人が次々と部屋を売りに出したのだ。

 何せあると分かっている二階にだけ行けない不気味なマンションだからかなり安く買い叩いた。

 だから今住んでるのはお前たちの二階だけだ。

 だから好きに使っても構わん。

 女郎蜘蛛が住むなら余計に歓迎だ、霊糸を宜しく頼んでくれ。早川も一緒に住むだろうから安泰だ。

 あのマンションはお前にやるから好きにしろ。

 忙しいから切るぞ。

 帰ったら報告しろ。]

 ガチャッ

 

 俺の返事も待たずに切られた。

 

 まっ、取り敢えずはなんとかなった感じだ

 

 早川さんにも報告して引っ越しの準備をして貰うかな……。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。