幽霊との甘い生活!幽霊や妖怪、カッパにトイレの花子さんや雪女、更には人魚、座敷童子までみんなまとめて面倒みちゃう。だってみんな可愛い女の子だから。 作:EMO
[幽霊屋敷は潰せ!
妖怪は殺せ!]
物騒な横断幕を掲げた集団がリアル幽霊屋敷を運営するショッピングセンターに現れデモをしている。
雪花と花子を含めて幽霊や妖怪達は直ぐに俺のマンションに避難した。
[蜘蛛妖怪の霊糸で出来た服を着るな!]
全国の社寺にも横断幕を掲げた集団がデモを繰り広げた。
カッパが居る池や座敷童の住む旅館なども反対運動の対象になっていった。
日本各地では、これまで神と崇めていた存在まで悪とする風潮が出来上がっていた。
年老いた人は反対したが、ネットに被れた若者を中心に神や怪異を祀る社を破壊する行為が流行った。
また、その行為を面白おかしくネット動画に投稿しる連中も現れ全世界中が神を含めた怪異を否定し始めた。
俺たちは静観を決め込み、幻獣ハンターに対しての行動を止めた。
世界中の妖怪や幻獣を始めとした怪異には暫くは姿を隠して人間からは見えない様にして貰った。
****幻獣ハンター本部****
「わっはははっ!
見たか我らの力をっ!
高々妖怪の分際で我らに盾付きおって。
妖怪どもは我らの獲物であれば良いんだっ!」
日本にある幻獣ハンター本部の中でも一番豪華な部屋の中に居る太った男が踏ん反り返りながらテレビを観ている。
そのテレビ画面にはレポーターが破壊された各地の社を紹介しながらその祀られていた神などの説明をしていた。
比較的公平な番組らしく、破壊した者の感情や破壊された社の管理者や神様の事を分析しながらリポートして、神の社を汚した奴は必ずバチが当たると締めくくった。
「ふんっ、神のバチが怖くて幻獣ハンターなんぞやれるかっ!
あのテレビ局の表のスポンサーを降りさせろ」
太った男が我が物顔で秘書の女に指示する。
秘書の女は至って事務的にその指示を下に伝え、また元の様に静かに待機する。
****???****
「き、教皇猊下っ!
きっ、今日も奇跡が消えましたっ!」
ある場所で祈りを捧げていた年老いた人物へ中年男が駆け寄る。
「またですか……今度は何処ですか?」
落ち着き払った声でその中年男に聞く。
「は、はい……それがこの上にある像のお姿が……」
「なっ、なんですとっ!
アレはっ……」
老人は中年男の言葉を聞いた瞬間に顔を真っ赤にしてから直ぐに意識を手放した。
「教皇猊下ぁぁぁっ!
だ、誰かおらぬかぁぁっ!」
倒れ込む寸前で老人を支えた中年男が必死で助けを呼んだ。
****日本某所****
「おいっ、カメラスタンバイOK?」
「OKだ」
「なぁ、止めないか……こんな事したらバチが当たるぞ……それに俺はこの人の事好きだし……」
三人組がある墓所の様な所の前に居た。
「なんだよ、怖気付いたのか?
大丈夫だって、いくら平将門だって言っても現代には居ないって、バチなんか怖くないって」
「でも……平将門だけは止めよう……洒落にならないから……」
気弱そうなセリフとは裏腹に体格のいい男が二人を止めようとする。
「……もういいっ!
お前はクビだっ!
せっかく有名になるチャンスをやったのにっ!
フニャチン野郎は帰ってマスでもかいてろっ!」
「わ、わかった……俺はこの件から引く……じ、じゃあな……」
男は去り際にその墓の上に黒い影が覆うのを見たが一瞬の事だったので意識から外れていた。
「ウェーイ!
スリーウェイチャンネルのウェーイことウェーイだぜっ!
えっ?
ことになってないって?
ウェーイっ細かい事は気にすんなっ!
んでだなっ!
今日はここっ!
何処だか分かるかなっ?
チッチッチッチッチッチッ……ブーッ、ハズレっ!
そして、正解者には豪華景品を贈ります。
尚、発送は発表をもってかえさせてもらいます。
チャンチャン。
……さあ、答え合わせの時間です。
答えは……ドロロロロロッ!
平将門の首塚でしたっ!
では、ウェーイが何故首塚に来たかと言うとぉ。
平将門の首を土産に幻獣ハンターに入る為ですっ!
さあ、拍手っパチパチパチッ!
みなさんはこのウェーイの出世物語の最初の目撃者になるんですねっ!
だから番組の登録を忘れないでねっ、ウェーイ!
さあ、早速発掘調査しましょうかっ!」
ウェーイ男が本当に首塚の真横の土の部分をツルハシで掘り始めた。
ザシュザシュザシュッ!
ツルハシで硬い土を解してからスコップに持ち替えて土を掘る。
一時間程掘っただろうか、なんの成果も無い穴が空いた。
その風景も含めてカメラマンは撮り続ける。
「ウェーイッ!
何にも無い……とりあえずは幻獣ハンターは諦めて……そこ、早っとか突っ込まない。
だから嫌がらせに立ちションしまぁーす」
穴の淵に立ったウェーイ男がズボンのチャックを下ろし、ウェーイ自身を取り出しシャァーッと小便を放つ。
刹那、その穴に向かい雷が落ちた。
当然小便を放つウェーイ男にもそれを伝い雷が身体を覆う。
横で辛うじて難を逃れたカメラマンが尻餅をつきながらも這々の体でその場を離れた。
その場には黒焦げになりながら立ち尽くすウェーイ男が残され、
『いつから日本人は敬いの気持ちを忘れてしまったのか……もう……護るべき日本は無くなった……』
寂しく将門が呟いた。
****オカルト課****
「萌美ちゃんは大丈夫ですか?」
コーヒーを飲みながらソファで寛ぐレイジさんに話し掛けた。
「ああ、今となってはシンのマンションに引越して正解だったよ。
妖怪や霊が見える存在も妖怪と同じように忌避されだしたからな」
あのマンションには特殊な結界が張ってあり、マンションの住民に悪意がある人は近づけない。
「そうよね、私達の会社はそんな事は無いけどね」
アカリガ心底ホッとしたような顔で机の上で頬杖をつく。
「本当……最初に会長から鶴の一声があったから浮き足立つ社員が居なかったものね」
マキも同意しながらお茶を啜る。
「私なんてモロ妖怪ですから、肩身が狭くなるところでした」
サクラは自前の霊糸をせっせとレース編みしていた。
オカルト課のメンバーはここ最近は仕事が無く、事務所でヒマをしながら喋っていた。
妖怪や霊が表に出なくなってから数ヶ月が経過した。
更に言うと神様までも居なくなっているのだ。いや、存在はするが人間に対して干渉しなくなった。
この事の重大さに気付いた人間は少ない。
お読みいただきありがとうございます。
出来れば評価もお願いいたします。