※この作品はR-18です。

幽霊との甘い生活!幽霊や妖怪、カッパにトイレの花子さんや雪女、更には人魚、座敷童子までみんなまとめて面倒みちゃう。だってみんな可愛い女の子だから。   作:EMO

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幻獣ハンター5

 ****某国某所****

 

 キキーッ!

 バゴンッ!

 ドカッ!

 

「キャァーッ!

 だっ誰かっ、助けてぇっ!」

 女性が暴走した車に轢かれた子供を抱えて有らぬ方に足が曲がったままで誰かに助けを求めている。

 

 だが、誰も助けない……助けても自分に利が無いから。

 これまでは他人を助ける事で徳を積み天国に行けると思っていたが、それを判断する神が居なくなった。

 世界各地の教会から聖光が消え、神の奇跡と言われた現象が消滅した。

 

 聖女や巫女と呼ばれる神の声を聞く事が出来た神の代理人すら神から見放された。

 

 元々は人間が勝手に怪異や妖怪を神々として崇拝してバランスをとっていたところへ、幻獣ハンターに踊らされ不可思議な現象全てが怪異や妖怪の仕業であると思い込まされた。神の奇跡も同様に扱われる様になり神々への信仰心が徐々に薄れ自己主義に成り下がった人間に愛想を尽かした神々が顕現するのをやめたのだ。

 これは、この国だけでは無く全世界規模の出来事だった。

 

 ただ、ダナンに居る人々の精霊信仰だけは普遍的だったので変わらず妖精のチャムは存在した。そして、そのダナンに人間に疲弊した神々が集まりだしこの地に奇跡が集中し始めた。

 

 これに目を付けたのが幻獣ハンターだ。次の獲物を妖精のチャムと定め、チャムの捕獲計画を立てていた。

 

 最早、幻獣ハンターに怖いものは無かった。

 

 

「いいかっ!

 あの妖精を捕獲するんだ。

 あるお方があの妖精を欲している。

 くれぐれも傷を付けるなよ、商品価値が下がるからな」

「「「「はっ!」」」」

 複数のハンター達が幹部の男から命令を受け早速行動に移った。

 

 

 

 ダナンには十数名の精鋭チームが入り作戦を立てていく。

 

 

 ダナン郊外にある大きな建築物を遠くから監視する数名の男達がいた。

 

 神殿と呼ばれる妖精の住居だ。当然の様に警備兵が常駐していて見つかれば銃撃戦になる可能性がある。

 事前情報によれば中には警備兵がおらず、内部には妖精の世話をする数名の女性が居るだけだそうだ。

 周りに居る警備兵をなんとか出来れば仕事は簡単そうだった。

 

(やはり、この警備兵を排除しなければならないか……)

「隊長、街のゴロツキを雇ってこの周辺で騒ぎを起こさせますか?」

「そうだな……試しにやってみるか……」

 隊長と呼ばれた男が部下からの提案を呑みゴロツキ共を集める為にダナンの街に戻った。

 

 しかし、ダナンの街のゴロツキやアンダーグラウンドの奴らは皆依頼内容を聞いた途端に拒否して誰も雇えない。

 警備兵を相手にすることを嫌がった訳では無く神殿に対して悪意を向ける事に強く忌避した。

 幻獣ハンター達の誤算はダナンの人々の妖精に対する愛着と信仰を舐めていた事だ。

 妖精を単なる商品としか見ていない奴らには理解すら出来ない感情だった。

 

 そして、この街の妖精信仰は全ての人々に浸透していたのだ。

 だから、幻獣ハンターのこの行動が街全体に知れ渡るのに然程時間は掛からなかった。

 

 妖精を拐うつもりだと感づかれた幻獣ハンター達は顔を知られたハンターの身を隠させ、作戦を練り直した。

 

 既にダナン全体が敵になった幻獣ハンターは最悪は一般人相手にも強硬手段を使う事を前提として作戦を立てていた。

 普通ならば一旦、作戦自体を取りやめて撤退する場面だが幹部がそれを許さなかった。

 依頼主が早くと催促するのだ。

 だから多少は無茶な作戦でも強行しなければならなくなった。

 

 隊長は仕方なく部隊を二つに分けて一方を警備兵の陽動に向け、残りを妖精捕縛部隊とした。

 最初からこの部隊編成で行けば早かっただろうが問題もある。

 陽動隊側の回収に時間が掛かり、下手したら陽動隊の全滅も有り得るのだ。

 

 捕縛部隊は専用の回収ヘリが待機しているのでなんとかなるが、ベテランのハンターを陽動だけに使うのには躊躇された。

 

 しかし、もう時間が無い。

 妖精を護る為に一般市民も神殿に向かい始めている。

 

 隊長は急遽、陽動部隊を警備兵に向け攻撃を仕掛けさせた。

 だが、警戒していた警備兵も陽動と分かっているようで中々神殿から離れない。

 隊長もそれを予想していたので攻撃ヘリを投入して警備兵を一掃していく。

 無残にも一方的な殺戮が繰り広げられる中、その場に一般市民が現れた。

 警備兵がやられた側から一般市民が肉壁を作り神殿への侵入を阻止しようと立ちはだかる。

 それらを更に蹴散らしながら神殿への侵入を試みる幻獣ハンター達。

 既に数十人もの死者を出しながらも神殿を護るダナンの市民達。

 

『やめなさいっ!

 これ以上私達の大事な子らを殺すなっ!』

 妖精チャムが全精力を使いその場に居る幻獣ハンターを気絶させ、攻撃ヘリは墜落した。

 その殺戮が一瞬で収束し、幻獣ハンター達は捕らえられ無残に八裂きにされた。

 全精力を使い果たしたチャムは実体化が解除され消えた。

 

 そして、この状況は冷静に撮影されていて全世界に配信された。

 

 幻獣ハンターによる攻撃で妖精チャムが消えた事実とそれを落胆する人々。

 幻獣ハンターが怪異だけでは無く人間にも無慈悲に攻撃する姿。

 これらが全世界に配信されると人々の間に幻獣ハンターに対する不信感が芽生え始めた。

 

 

 

 そんな時に全世界一斉にある放送が流れた。

 

『……ご機嫌よう……人間共よ……我は対幻獣ハンター組織"千鬼"のリーダーの平将門だ。

 

 お前たち人間共には失望した。

 

 己だけが良いのならば獣以下だ。我ら神や怪異と言われる存在は数多(あまた)おり、それらの総意で獣以下に力を貸す道理が無くなった。

 

 だからお前達が勝手に絶滅しようが我らは感知しない。

 

 だが、我らに敵対するならば即座に我らは反撃する。

 

 忘れるな、我らは何処にでも存在する。

 お前達の隣人が、上司が、部下が、友人が我らかも知れん。

 

 では、元人間共よさらばだ』

 この放送に驚いた全世界の宗教関係者は即座に幻獣ハンター組織の排除を試みた。

 当然の如く宗教関係者にも幻獣ハンター組織と関連した者達がおり、それらは追放又は処刑された。

 そして、全世界が幻獣ハンターを敵視し始めそれらに依頼をしていた一部の人間は白日の元に晒され処刑対象になった。

 

 日本国内でも動画配信で顔を晒しながら寺社仏閣を破壊していた人物は社会から消えていった。

 勿論、マスコミに踊らされ幻獣ハンター擁護をしていたコメンテーターも同じ運命を辿る。

 

 ただ、日本では昔から八百万(やおよろず)の神の考えが浸透していた事もあり一部の外国人や若者を除くと然程混乱は無く、通常の生活に戻るのは早かった。

 

 

 

 

『ねえ、シン……そろそろ人間を支配してみない?』

 




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