幽霊との甘い生活!幽霊や妖怪、カッパにトイレの花子さんや雪女、更には人魚、座敷童子までみんなまとめて面倒みちゃう。だってみんな可愛い女の子だから。 作:EMO
廊下に面する各部屋から黒服が次々に出てくる。
全員鉄砲を持っている。
「お前ら、止めぬかっ!」
釜ヶ崎翁が一喝するが、鉄砲を構えるのを止めない……。
もしかしたら計画してのことかもしれない。
「仕方ない、裏口から行くぞ。
お前ら、時間稼ぎできるか?」
釜ヶ崎翁がレイジさんたちに向かう。
「はい、お任せを。
ヤト頼む」
カァーとヒト鳴きしたヤタガラスが巨大化してレイジさんの前に陣取る。
「ギンっ!」
「キンッ!」
アカリさんとマキさんの前には実体化した2メートルの狐の霊獣が現れた。
「ここは任せてシン達は行ってくれ……」
レイジさんが下手なウインクした。
「はい、頼みます。
危なくなったら直ぐに逃げて下さいよ。
アカリさんもマキさんも女の子なんだから傷物にならないで下さいよ」
「傷物になったらシンに貰ってもらうわよ」
アカリさんが俺の冗談に笑って返してくれた。
「よしっ!
開いたぞっ!
来いっ!」
釜ヶ崎翁が秘密のドアを開けてから走り出す。
俺と花子、雪花とリリーも一緒に走り出した。
もうすぐ90才になろうかと言う老人の動きではない……。
5分程走っただろうか、目の前に洞窟がありそこには重厚な扉が設えてあった。
扉は既に開けられており、俺たちは早速中に入った。
中は薄暗く、空気が異様に乾燥している。
しばらく行くとまた扉があり、中から明かりが漏れていた。
中に入るとケンザキがベッドの前に立っている。
「近寄るなっ!
コレは俺の物だっ!
この力は俺が引き継ぐ事になってるんだっ!」
ベッドの上には一体のミイラが寝ていた……。
コレが人魚?
ミイラが?
辛うじて長くて白い髪の毛が女性であろう名残だ。
俺の想像する人魚の様な魚の下半身では無く人の足がついている。
寝姿に着物が着せられていて……。
「ケンザキっ!
止めろっ!
そいつはまだ生きてるんだっ!
お前にはまだ制御出来んっ!」
釜ヶ崎翁が必死で止めようとする。
「うるさいっ!
俺はアンタを超えるんだっ!
コイツは貰って行くっ!」
ケンザキがミイラを抱き抱える。
すると、ミイラの目が開かれて動きだしケンザキの喉元に喰いついた……。
「ギャァァッ!」
ケンザキとミイラがその場に倒れ込む。
ブチッグチャ
肉の噛みちぎられる音がする……。
ブチッ
ケンザキの喉元が喰い千切られた。
穴の開いた喉元からヒューヒューと息が漏れる音がする……。
そして……息の音もしなくなった……。
俺と釜ヶ崎翁は唖然として見ている事しか出来なかった……。
『シンッ!
この
一時的に私が凍らせて保護するわっ!』
「頼むっ!」
雪花がミイラからケンザキを引き剥がしミイラの衣服を丁寧に直してミイラを凍らせた。
『シン、外になんか来たからちょっと眠らせて来るね』
リリーが外に出て行った。
「お主、凄いな……。
こんなに妖怪達が自ら動くとは……。
因みに、そこの赤い服の妖怪、花子と言ったか?
花子はシンの護衛か?」
『いいえ、私はシンさまの性処理担当です』
おいっ!
赤い顔してモジモジするなっ!
本気にしたらどうするんだっ!
本当だけど……。
「わはははっ!
お主の妖怪達はユーモアのセンスもあるのかっ!
楽しそうだなっ!」
とりあえずは花子のボケを釜ヶ崎翁は流してくれたようだった。
冷凍したミイラを連れて洞窟を出ると数人の黒服がスヤスヤ寝ていた。
リリーも艶々しているから黒服から精気を吸ったのだろう……。
屋敷に着くと中は無数の黒服が死屍累々としていた……。
レイジさんとアカリさん、マキさんは傷ひとつ無く無事だった。
まだ意識のある黒服はキンが尻をパンパン叩きながら遊んでいるし……。
「情けない連中じゃ、ケンザキなどの小物に騙されるなど……」
釜ヶ崎翁は倒れている黒服には一瞥もくれずリビングに入って行った。
多分30坪はあろうかと言うリビングの隅に行って何やらやってから俺の元へやって来た。
ビリッ
釜ヶ崎翁が何やら護符の様なものを破り捨てた。
『『『『おぉぉぉーっ!』』』』
外が騒がしい。
「これで人魚は自由じゃ。
他の妖怪もな……」
釜ヶ崎翁がみんなを解放してくれたみたいだ。
「でも、その……今まで縛ってた反動とか無いんだですか?」
「それは仕方ない事なのじゃ。
ワシが甘んじて受けるつもりだ……」
釜ヶ崎翁は妖怪に殺されるつもりなのだ。
自分を犠牲にして他の人に敵意が向かない様に……。
俺は外に出てから妖怪達の集まりの中に入った。
「すみませんが、この中のリーダーは誰ですか?」
『はい、我です』
牛頭が一歩前に出て来た。
「あの、今回の件は解放されたと言う事で収めてくれませんか?」
『しかし、それでは我らの長年の怨みが……』
「では、俺の死後の魂を代わりに差す出すのは?」
『いやっ!
それだけはっ、お辞め下さいっ!
チヒロ様が何をするかっ!
分かりました、今回はシン様に免じてこれにて収めましょう。
では、我らはこれにて……』
敷地に居た全ての妖怪達が各々の思うままに飛び立っていった。
ポカンと見ていた釜ヶ崎翁が口を開いた。
「お主、本当に何者じゃ?
ワシはお主に助けられたのじゃな……。
この地はお主に譲る、好きに使え。
ワシからの礼じゃ。
それから、この地での事は他言無用じゃからな」
しばらくしてからケンザキ氏が病死した事が地方記事に小さく掲載された……。
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