幽霊との甘い生活!幽霊や妖怪、カッパにトイレの花子さんや雪女、更には人魚、座敷童子までみんなまとめて面倒みちゃう。だってみんな可愛い女の子だから。 作:EMO
妖精のチャムが発見されたのはあの小屋の前だった。
早朝に川に来ていた女の子が第一発見者だ。
偶然にもこの女の子が妖精の言葉が理解出来る霊媒師の家系の子供だったのですぐに妖精だと認識された。
其処からは速かった。
一気にダナン中に汚れた川の浄化と妖精顕現の話が広がった。
「すごいなぁ、あんなに人が集まってる」
昨夜の河川敷に数え切れない程の人が集まって、小屋に向かって祈りを捧げている。
既に小屋の近くに神殿らしき建物の建設が始まっていた。
『あっ、シンさん。
ありがとうございます』
遠目で見ていた俺たちをファムが見つけて寄ってきた。
妖精だから普通の人には見えない。
「チャムはどうなるんだ?」
『さあ?
普通妖精は実体化なんてしませんから、分かりません。
今の力を使いきったり、信仰が無くなったら元の姿に戻るんじゃないですか?』
ファムも軽く言う。
『まぁ、たかだか数十年人間と一緒に居るのもいいんじゃないですか』
そう言うものだろうか。
『シンさんは、この後どうするんですか?』
「俺たちは2~3日様子見してから帰るよ」
会長にはここに来る前に状況を説明してある。
川の汚染の経緯を含めて調査して貰う。
俺たちにする事はほとんど無いが、チャムたちの事が気になったからもう少しだけ様子見する事にしたんだ。
それから2日程は特別な事は無く過ぎた。
ダナンの人々には特別な事だらけだったが。
神殿はさながら一夜城の様に作られてチャムが移り住んだ。
ちなみに、もう少し上流の聖なる場所に本格的な神殿が建設される予定だ。
完成までは二、三年掛かるらしい。
俺たちは、チャムの様子伺い以外は観光を満喫した。
夜はアカリとマキとサクラを満喫した……。
「それじゃあ、チャムによろしく」
『はい、今度来た時は私の相手をして下さいね』
ファムがモジモジしながら俺の手を取る。
そうならもって早く言えよー!
すぐに相手したのにー!
空港でしかももうすぐ飛行機に乗るタイミングじゃあ何もできないじゃないかぁー!
「シン行くわよ」
後ろ髪を引かれる俺の手をアカリが引っ張る。
『危ないっ!』
ファムが叫ぶ!
俺の頭の横を黒いセミ見たいな物体が横切った。
ちょうどアカリが引っ張ってくれたからぶつからなかったようだ。
黒い物体は旋回して、俺たちの周りを浮遊している。
よく見ると黒い物体は五つあり、俺だけでなくオカルト課全員を狙っている様に見えた。
「サクラっ!」
『はいっ!』
サクラも一瞬で理解して、霊糸を黒い物体に向けて射出して五匹まとめて捕獲した。
いやー、スパ○ダーウーマン凄いわっ!
「これは?」
『
このまま送り返しちゃいましょう。
送り主と依頼主に呪が帰りますから二度とこう言う事をしなくなるでしょう』
そう言うとファムが黒い物体を掴みフゥーッと息を吹き黒い物体を飛ばした。
普通はシャーマンが単独で呪を飛ばす事は無い。
必ず依頼主がいるのだ、そして送り返した場合は呪が倍になって依頼主とシャーマンを襲うのだ。
だから普通のシャーマンはこんな事はしない。
やったのは裏稼業のシャーマンの筈だ。
だから誰にも遠慮なく送り返せる。
「シンさん、何かあったんですか?」
出国準備をしていた茉莉さんが近寄ってきた。
「いえ、別に。
シャーマンからの贈り物を返品してただけです」
「???
はあ……そうですか……」
俺たちは予定通りの飛行機に搭乗して帰路についた。
帰国すると、ベトナムの妖精の話題で持ち切りだった。
日本だけでなく、世界中が。
ダナン行きのツアーなんかはキャンセル待ちの人気だ。
翌日、ホーチミンからの飛行機内で大騒ぎした日本人が原因で飛行機がホーチミンに引き返し日本人が逮捕される事件があった。
機内で酒に酔ったような状態で大騒ぎしたようで、会社と自分の名前を連呼しながら暴れる様子がユーチュー○にアップされていた。
もちろん、それを流用したニュースもだ。
「七飯プロデューサーって見ないと思ったらホーチミンまで行って何してたんだ?」
『さあ?
歓楽街巡りでもしてたんじゃないですか?』
「それより、俺たちの取材はどうなるんだ?
あのプロデューサーの仕事だろう?」
レイジさんは七飯プロデューサーより取材の方が気になるようだ。
多分、萌美ちゃんにお父さんがテレビに出るからなんて自慢したんだろうな。
翌日、撮影スタッフ全員がオカルト課に来た。
「すみませんっ!
あの企画はボツになりましたっ!」
いきなり勝也さんが謝ってきた。
「な……なぜだ……」
レイジさんが明らかに落胆している。
「はい、あのプロデューサーはクビになるようなんですよ。
そして、あの企画はプロデューサーが独断で決めたもので会社を経由してないのが分かりまして……」
「つまり、金が出ないと……」
「はい、そうなります」
まあ、そうなるわな。
しかし、あのプロデューサーは予算がどうのこうのって言ってたような……。
「でも、予算は通ってるんでしょ?」
「それが、あのプロデューサーの手なんですよ。
予算を組んだフリして発注してから多めの本格的な予算を組んでその差益を自分のポケットに入れるんです」
質問したアカリも唖然としている。
今の時代にそんな古典的な詐欺まがいな事をやってるなんて……。
「まあ、今回のクビもそれらを洗い出してからみたいですから懲戒解雇の上、告訴されるって噂ですよ」
『「「雉も鳴かずば撃たれまいに」」』
アカリとマキとサクラが仲良くハモったが、何を意味してるんだ?
数日後、撮影スタッフがまた来た。
「実は、あの撮影を編集して売り込みたいと思いまして。
許可を頂きたく……」
もちろん、俺たちの顔にはボカしを入れて貰うが河川敷の小屋での妖精の登場シーンなんかはしっかり撮れていて学術的にも価値があるそうだ。
編集された物を見せて貰い、一応納得のいくものだったのでOKした。
後日放送されると大反響で注目が集まった。
オカルト課ではなく、妖精に……。
ある意味助かった、ネット上の興味が分散され北海道旅行の事もチラホラ程度になってるし。
落ち着いたらダナンに行こう、ファムとチャムに逢いに……。
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