幽霊との甘い生活!幽霊や妖怪、カッパにトイレの花子さんや雪女、更には人魚、座敷童子までみんなまとめて面倒みちゃう。だってみんな可愛い女の子だから。 作:EMO
昔々、ある海辺に、1人の漁夫の男が住んでいた。
ある日、男が漁をしていると、とても大きな蛤が獲れた。男は、この大きさまで育つのは大変だったろうと、蛤を逃がしてやった。
しばらく後、男のもとに美しい娘が現れ、嫁にしてほしいと言う。男の妻となった娘はとても美味しいダシのきいた料理を作り、特に味噌汁が絶品であった。しかし妻は、なぜか料理を作っているところを決して見ないよう、男に堅く約束させた。
しかし男は、どうすればこんなうまいダシがとれるのかと好奇心に負け、ついに妻が料理をしているところを覗いてしまう。何と、妻は鍋の上に跨がって排尿していた。
男は怒って妻を追い出した。妻は海辺で泣いていたが、やがて元の姿を現した。それはかつて男が命を助けた大蛤であった。そして蛤は、海へと帰っていった。
お約束始まります。
蛤女房1
彼女は焼き鳥そっちのけで白肝を食べていた。
胡麻油に塩を入れたものに白肝の切り身をたっぷり付けてから美味しそうに口に運ぶ。
横にあるビールジョッキにてを掛けて一口流し込みまた白肝を口に運ぶ。
俺は何か親の仇の様に食べている姿に目を奪われていた。
それにかなりの美人だ。肩下くらいの髪の毛を後ろで一つ括りにしていて清潔感があり二十五、六歳くらいかな?
『おかわりっ!』
「カヨちゃん、もう品切れだよ。
本当に全部食いやがって……」
店の大将がぶつぶつ文句を言っているが、目が笑っている。
まあ、あれだけ綺麗な女性相手だとこれ以上文句も言えないか。
「ご馳走さま」
俺たちは焼き鳥屋を後にして旅館に向かった。
今回、俺とマキは出張で地方の港町に来ている。
最近現れ出した舟幽霊に対しての依頼があったから。
舟幽霊とは沖に出た舟に取り憑いて沈没させる妖怪で対策としては底の無い柄杓を渡すと諦めて帰って行くと言うお茶目な妖怪なのだが、何故か今になって問題になって来ている。
大体、現代の舟に高々妖怪が汲み上げる水位で沈む舟は無い。
情報収集も兼ねて焼き鳥屋に入り軽く食事をしてから予約していた旅館に来た。この旅館は料理自慢の宿で海鮮鍋が好評だそうでマキも楽しみにしていた。
「いらっしゃいませ」
旅館に着くと恰幅のいいおかみさんが出迎えてくれた。
夕食は七時から部屋で食べる事にして俺たちは予約していた家族風呂に仲良く入り、
「はぁぁんっ……いっくぅぅぅ……」
マキの喘ぎ声が風呂場にこだました。
夕食は海鮮鍋がメインだった。新鮮なお刺身などを堪能した後に頂いた海鮮鍋は濃厚な貝出汁が食材に合っていて大変美味しゅうございました。
「私どもの料理は如何でした?
宜しければ料理長がご挨拶させて頂いているのですが」
「はい、大変美味しかったです。
是非この鍋を作った方にお会いしたいです」
食後のデザートを女将さんが持参してくれながら挨拶にまわって来てくれた。この料理を作った料理長も廊下に待機しているそうだ。
『失礼します。
本日はありがとうございます。
本日の料理の担当をいたしました
入って来た料理長を見て驚いた。旅館に入る前に寄った焼き鳥屋さんに居た白肝ばかり食べていた美女だったから。
白い厨房着に髪の毛は小綺麗に纏めてお団子にしてあり、座敷に入ると三つ指をつきお辞儀をした。
『あの……何か……』
俺がじっと彼女の顔を見ていたら首を傾げた。
「い、いやっすみません。
実は先程焼き鳥屋さんで貴女を見かけたものですから」
『あっ、貴方は舟幽霊の事を聞いてた方たちね。
あれを見てたの?
恥ずかしいわ』
彼女が頰を染めて俯く。
「あっ、いや……お鍋美味しかったです。
特に貝から取った出汁がもの凄くってシメのうどんまでペロリでした」
『は、はい……ありがとうございます』
浜崎さんはまだ真っ赤になったままだった。
出汁について幾つか聞いたが誤魔化されてしまったが、まあ当たり前だろう。料理人にとって自分だけのレシピは宝だろうからな。
デザートまで平らげてからまた家族風呂に入って、
「はぁはぁ……シン……浜崎さんの事気になってるんでしょ……はぁんっ……でも……今は私だけを見て……ふぅんっ……」
対面座位で愛しながらマキが釘を刺してきた。
別に俺は浜崎さんは気になってないんだけどな……。
その夜はマキが燃えた……確かに二人っきりは久しぶりだけど。
太陽が黄色いぜ……。
翌日は被害に遭った舟を見る為に港へ向かった。
港に到着してからその船を見せてもらう。普通の漁船だったが、気になったのがその船は日本の船籍ではなかった事と被害者が居ない事だ。
港湾の責任者に聞いてみると舟幽霊の伝説は昔からあるが、この船が舟幽霊の被害に遭ったかどうかは分からないそうだ。
確かに霊障の感じはしない。もしかしたら只の事故だったのかも。
しかし、噂が有るのも事実だ。幽霊案件では噂をバカに出来ない。シッカリと調べないと何処で足元を掬われるかもしれない。
そんな時に浜崎さんに出会った。
近くにある市場に食材の買い出しに来たそうだ。
「浜崎さんはどう思いますか?」
『舟幽霊の事?
そうね、悪いことをした奴らをやっつけてくれてるからいいんじゃない』
「悪い事?
あの船、何かしたんですか?」
『あら、聞いてないの?
あの船の奴らは密猟者なのよ、その証拠にウニとかアワビなんかを満載してたのよ』
なるほど、でも何故港湾の責任者はその事を言わなかったんだ? 確か岡村とか言ったっけ。
『あまり言わないでね。
あの男も密猟に加担してるらしいのよ。
だけど証拠もないしさ……』
浜崎さんが悔しそうだ。
なるほど、たからその密猟者の船を沈める舟幽霊は味方なんだ。
『それでね、いい難いんだけど……その密猟者を捕まえる手伝いしてくれない?』
「はい?」
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