幽霊との甘い生活!幽霊や妖怪、カッパにトイレの花子さんや雪女、更には人魚、座敷童子までみんなまとめて面倒みちゃう。だってみんな可愛い女の子だから。 作:EMO
『チヒロよ、来たぞ。
覚悟は良いか?』
『待ってたわ平将門。
さあ、私の力を持って行って』
新月の日、将門がシンのマンションにやって来た。
『ふむ、シンが拐われた割には冷静だな。
いや、逆か……内に燻る怒りが凝縮されているのか』
『なんでもいいわ、さっさとやって。
そして九尾の狐からシンを取り戻して』
チヒロは怒りを抑え込む事が難しくなっている。
爆発寸前だ。
だが、怒りを爆発させる相手は将門ではない九尾の狐なのだから。
そして、チヒロではシンを取り戻せない。
平将門でなくてはダメなのだ。
崇徳院や菅原道真は九尾の狐から格付けされてしまっている。
あの二人では九尾の狐には決して勝てない。
だから自らの霊力を将門に託す。
『ふむ……。
面白い、チヒロよお前の想いと我の想いのどちらかが強いかな?』
『なんの事?』
『まあ良い。始める』
将門がチヒロに近付き抱きしめる。
将門の胸元にチヒロの頭があり、その頭を抱きしめて胸元へ強く押し付けた。
すると、将門とチヒロが強く光り輝く。
チヒロは真っ白な世界にいた。
何も無い只の白い世界……。
いや、自身も白い……。
この世界が私自身なんだ……。
何故ここにいるの?
私は何?
……ヒロ……。
何処からか私を呼ぶ声がする……。
私?
……チヒロ……。
私はチヒロ?
……シン……?
そうだっ!
私はチヒロだっ!
シンを取り戻すんだっ!
すると辺りの真っ白な世界が色付き始める。
『ふははははっ!
面白いぞチヒロっ!
我を取り込めチヒロっ!
我の力を使って九尾の狐を倒せっ!』
平将門の霊力がチヒロの周りに渦を巻いている。
禍々しい真っ黒な渦。
さっきまであの渦に飲み込まれていたんだ。
今なら分かる、平将門の愛が……。
この関東を含めて日本を守ろうとする最悪の怨霊の想いが。
何故一人で九尾の狐に立ち向かおうとしたのかも……。
菅原道真や崇徳院すらも九尾の狐の術中にはまり間接的に操られていたのだ。
それを知って敢えて孤立する道をえらんだ。
そして、自滅覚悟で九尾の狐に挑もうとした。
『お父さん……』
『ふははははっ!
我を父と呼ぶか。
ならば我が娘よ、我を取り込め、そして共に闘おうぞ』
チヒロが禍々しい真っ黒な渦に向かって両手を広げた。
すると渦の中心が竜巻の様にチヒロに向かい、竜巻の先がチヒロに迫る。
竜巻の先端がチヒロの胸に届くとそこから身体の中に消えていく。
次々と真っ黒な渦が回転しながらチヒロの中へ入る。
どれくらいの時が過ぎたろう……。
膨大な将門の霊力がチヒロの中へ収まった。
(チヒロよ、我が娘よ。
最後の仕上げだ、魂を同期するのだ)
『はい、お父さん』
チヒロが胸の前で手を合わせる。
すると、チヒロの身体を光が包む。
数分後、光が収まり変化したチヒロが現れる。
顔立ちはチヒロだが、年の頃は20代後半くらいになり背丈も伸び180センチ程ある。
真っ黒な長く伸びた髪は腰より下。
大きく張りのある胸、細い腰、スラリと伸びた脚。
どこか中性的にも見える。
『ふぅー。
これでいいの?』
(そうだ、それでいい)
『そういえばこの部屋ってこんなに狭かった?』
(いや、此間来た時から変わっておらんぞ。
お前が大きくなっただけだろう?)
『大きく?』
チヒロの頬を冷や汗が滴る。
クローゼットに設えてある姿見の前に来た。
『いやぁーっ!
私が、私がマッチョになってるぅーっ!
これじゃぁシンに嫌われるぅーっ!』
姿見の前で崩れ落ちるチヒロだった。
そこからは将門の必死の説得でなんとか気を取り直した。
将門も必死だった、まさか助け出す筈のシンに嫌われるかも知れないから辞めると言い出すとは思わなかった。
将門の霊力を受けたから身体が最適化したが、霊力に慣れたら元の身体に戻る事などを泣きじゃくるチヒロに説明した。
娘であるチヒロの強さと弱さを同時に実感して複雑な将門だった。
(落ち着いたか、チヒロよシンはお前の今の姿を見て嫌いになる程度の男なのか?)
『シンはそんな人じゃないわっ!』
(なら構わんだろ)
『で、でも……。
こんなマッチョは……』
(ある意味新鮮だと思うがな。
お前の周りにいないタイプだろう?)
『はっ!
なるほどっ!
ギャップ萌えパターンもあったわ。
イェーイッ!
やる気出てきたわっ!』
(我が娘ながら心配になってきた……。
単純過ぎないか……)
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