※この作品はR-18です。

その男、粗暴につき 改変版   作:もっち~!

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本日2本目


SS:灰色の系譜

 

 

---七草真由美---

 

「お父さん、気になる男性がいるんだけど…」

 

リビングで父と二人きり。狸親父の顔色をうかがった。これまで、私には浮いた話がまるでなかった。果たして、狸親父の表情はどうなる?

 

「うん?一弥だったら、ダメだ。司波達也なら問題は無い」

 

私の揺れている心を読んだのか、秘めていた男性の名前を二人共に当てた。でも、なんで、一弥君はダメなんだ?

 

「一弥君とは見合わないから?」

 

以前、一弥君とは釣り合わないと言われたけど…ダメって、そんなにダメなの?

 

「努力して、彼に見合う女性になっても?」

 

「真由美、場所を変えよう」

 

リビングで気軽に話せる話ではないのか?父の書斎に場所を移した。

 

「ここなら、盗聴の心配は無い」

 

盗聴されて困る話?戸惑う私。

 

「一弥と真由美は、遺伝子的にダメなんだ」

 

遺伝子的にダメ?それって、親近相姦の恐れ…はぁ?

 

「まさか、お父さん…一弥君のお母さんと…」

 

浮気の末の妊娠…狸親父…それは最低な行為だよ。

 

「一弥には母親はおらぬ」

 

狸親父の答えは、想像の範疇になかったものだった。

 

「母親がいないって?どういうこと?」

 

サングラス越しの為、父の表情は読めない。

 

「一弥は、私の精子と万能細胞で作った卵子が受精して、産まれた子供で、試験管ベビーだった」

 

試験管ベビー…不妊治療の末にある選択であるが、万能細胞って、つい最近の技術である。

 

「卵子の元になった彼女は、私の最初の婚約者だった。だけど、彼女は12歳の時に誘拐され、救出された時には、子宮が破壊されてしまったんだよ。その結果、子供の産めない彼女との婚約は破棄され、いまも彼女は独身だ」

 

その女性、そんな歳で女の幸せを奪われたのか…父に掛ける言葉が浮かばない。

 

「彼女の姉が懐妊した頃、彼女も子供が欲しいと思うようになって、彼女は最先端科学を頼った。その当時の道徳観とか倫理観とかを無視した異端的な手法で、受精をさせ、借り腹を経て、一弥は出産されたのだ」

 

それは、臨床試験を重ね、データを重ねて、認可された手法ではないってことで、違法医療行為に当たる。

 

「その結果、一弥は産まれた。本来有るはずの卵子の遺伝子情報を持たずに…」

 

父の表情に陰りが見えた。一弥君には人間であれば持っていて当然の遺伝子が無い可能性があるのか。

 

「何が無いの?」

 

「人間が一番初めに持つ感情…母子愛だよ。一弥には本当の意味の母は居ないからな。その延長で、一弥には愛情が無いのだ」

 

好きとか愛とか分からないって、これが原因なのか。気づくと涙していた私と父。

 

「問題は出産後の検査で判明したんだ」

 

愛情が無いことだけでも大問題だと思うのだけど、まだ問題があるの?

 

「染色体異常を起こしていた。一弥のタイプはYYだった」

 

女性はXX、男性はXY、じゃ、YYって、何?

 

「一弥が人間かどうか怪しいという話になったのは、その頃だよ」

 

人間では無い…一弥君は何者なんだ?

 

「原因は直ぐに判明した。卵子の細胞に男性の細胞を混入された。調査の結果、混入された細胞は、九島烈だった」

 

九島烈…この国の軍需産業を担う九島家の現当主で、魔法師の世界では『老師』と言われる、伝説的な魔法師である。この世界には、魔法師と魔術師がいる。魔法師は魔法と言う名の超能力を使え、魔術師は魔術と言われる魔法を使える。これらの存在は、一般の人には知らされていない。

 

「それは、男性と男性の間に生まれたってことですか?」

 

脳裏に浮かんだ素朴な疑問をぶつけてみた。

 

「あぁ、そういうことになる。彼女の細胞で作った卵子は、受容体としての機能を持ち、私の精子と融合したのだが、その卵子は受精前に九島烈の細胞と融合していたそうだ。長作さんの知らない間に、烈が担当医に強権を発動したそうだ。「儂にも1枚噛ませろ」って」

 

「長作さんって?」

 

「一弥の戸籍上の実父だよ。彼女のことを立ち直らせてくれた恩人だ。九島烈のしたことは、借り腹をしてくださった長作さんの奥様の命をも奪った。YYなんて染色体の一弥が体内に誕生し、奥様の身体は身籠もった一弥を異物と認識し、アレルギー反応を起こして、命をなくされたんだ」

 

一弥君…産まれながらの殺人者なのか?

 

「そのことが判り、九島烈は一弥を見守る側にシフトした。資金援助は勿論、教育支援、将来設計に至るまで。だが、一弥の行く末には不安が付き纏う。この先、どう変化するか誰も予想が付かないからだ。それだけに九島烈の罪は重い。魔法師サイドでは老師として敬っているが、長作さんの門下生の間では、老師ではなく大罪人なんだ。ここまでだ。これらの情報は極秘情報レベル5だ。墓場まで持っていけよ」

 

話し終えた父の姿は、10歳ほど歳取ったように思える。極秘情報レベル5…超重要極秘情報であり、国の根幹を揺り動かす程の情報という扱いである。

 

「真由美…一弥に、一弥の秘密を知られるな。頼むぞ。私に何か遭った時は、真由美が見守って、サポートをしてやってくれ」

 

「一つだけ教えてください。卵子の提供者は?」

 

「四葉家当主、四葉真夜だ」

 

あまりにも大物の名前を聞き、呆然とした。年齢の割に若く見える女性で、未だに独身。彼女が一弥君を実子と思っているなら、四葉家の次期当主の座は一弥君になるのかもしれない。彼女の影響力を考えると、この国の行方を左右する事態になりそうである。

 

 

 

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