---佐藤美和子---
六月の終わり、私、高木君、千葉君、白鳥君、交通部の由美と苗子が、会議室に集められた。そこには目暮警部と知らない女性が待っていた。ミニスカートが印象的な制服…まるでミニスカポリスのように見える。男性陣の鼻の下が伸びているし。なに?この女は?
「みんな集まってくれたな。紹介しよう。彼女は警察庁広域捜査室の林田リン特別捜査官だ。この度、彼女の作る特別捜査班に、我々が参加することになった」
警察庁の特別捜査官って、一弥と同じ階級である。
「紹介されました林田です。リンとお呼び下さいね。白鳥副総監に優秀な捜査員を推薦していただき、ここに集まって貰いました」
副総監の推薦で集められたのか。文句が言えそうも無いな。
「で、今回の捜査対象ですが、通称『黒ずくめの組織』と呼ばれる集団です」
聞いたことの無い団体名である。
「この集団は、過去に様々な悪事をしてきたのですが、最近トップが変わり、単なる環境保護団体になったのですが、そう簡単に組織の色は変わらないと思うのです。そこで、この組織を調べ上げる事にしました。FBIの日本支局が協力体制を取ってくれるそうなので、海外の情報をより早く手に入れられると思います」
「その組織を捜査するに当たって、突破口はあるのですか?」
白鳥君が質問をした。
「それがですね。まるで分かりません。突破口が有るとすれば、ラムと言う人物です。現在の組織のナンバーワンと言う事が分かっています。現在、その組織には、公安は勿論、FBI、CAI、MI6などの諜報機関が、潜入捜査官を派遣していて、日夜情報収集をしてくれています」
「ラム?」
「あ!子羊の肉では無く、ラム酒のラムです。その組織のメンバーはお酒の名前をコードネームとして使っています。幹部で分かっているのは、ジン、ウォッカ、ベルモットなどです。彼らの本名、顔は不明ですが、過去の未解決事件から、怪しい事件を探してください」
霞みを手に掴むような話である。潜入捜査員からの情報だけで、捜査するのか?それって…
「潜入捜査員の安全は確保されているんですか?」
私は他人事では無いので、質問をした。
「されていませんよ。彼らは覚悟して、潜入しているんです。それが彼らのプライドですよ」
そうは言うが…一弥だったらって考えると…
「私は、参加しません」
断言する私。だが、
「認められません。捜査メンバーに選ばれた以上、捜査員を辞めるのは二階級特進時です」
それは、死なない限り、抜けられないのか?
「後、今回の捜査が終了するまで、独身の方は、プライベートの制限をさせてもらいます。どこで、秘密が漏れるか分からないですからね」
「彼氏に会えないんですか?」
由美が質問をした。
「流石に優秀な捜査員ですね。その通りです。寿退庁も認めません。これは国家に関わる事件になりそうなので、ご了承くださいね」
「了承出来無いです。なんでプライベートを犠牲にしないとダメなんですか?私達の人権はどうなるんですか?」
一弥と会えないんなるなんて、あり得ない。
「近藤特別捜査官の彼女にしては。軟弱ですね」
私に不敵な笑みを浮かべる林田リン。
「一弥のことを知っているんですか?」
挑発しているのか?
「勿論…あなた方の家族関係、プライベートに至るまで、精査済みです。事故物件が混じっていると問題ですからね」
「一弥と会えなくなるなら…」
職場放棄も有りかもしれない。
「近藤捜査官は、我々の身内です。問題ありませんよ。次長の無理難題を日々、クリアしているしねぇ。逆にあなた方二人の仲を裂いたと思われると、私の立場が怪しくなりそうです」
苦笑いしている林田捜査官。一弥の方が立場が上なのか?
「由美さんでしたっけ?あなたの彼氏も問題ありません。お会いになって大丈夫です。他の方々は、NGですからね」
喜ぶ由美、青い顔の白鳥君。
「あの~、私は…」
白鳥君が訊いた。
「あなたの彼女は、学校の教員ですよね?ダメですよ。由美さんの彼氏は、ご兄弟に同業者がいるので、問題は無いのです」
由美の彼氏の兄弟に同業者?誰だろう??
---林田リン---
1日目、無事に終了だ。慣れないことは、楽しいが、気を遣う。
「お疲れさまでした」
「本当に疲れたわ」
住居にしているマンションに戻ると、部下が待っていた。
「そちらはどう?」
「ひょうたんから駒かな?導かれるように、三人が出会えましたよ」
特殊メイクを落として、素顔になる。表情筋が疲れたかな。少し化ける対象が若すぎたか。彼に癒して貰いたい。
「そうなると、同居しているの?」
「いえいえ、彼は通いですよ。下宿先を引き払うと、不審がられるでしょ?そもそも、彼自身は気づいていない」
「それもそうね」
通いか…今度、私の家にも寄ってもらうかな。
「じゃ、今後に期待していますよ。佐藤刑事と宮本警部補を危険から遠ざけてくださいね、ベルモット」
「そっちもフォローをしっかりやってね、バーボン」
まさか、警察庁内にモグラが居るとは思わないだろうねぇ~。当面の危険人物はFBIのジョディかしら?彼女はライに丸投げしたけど、大丈夫か?
林田リンはオリキャラです。
原作の人間関係はなるべく崩さないようにしていますが、背後関係は原作と違います(^^;;
ライ、バーボン、ベルモットは同じサイドです。