弘一さんの出張のお供、何故か真由美もいるんだけど…
「今年は大阪で剣道大会があるのよ。私の同期の渡辺摩利が参加するの」
嬉しそうに話す真由美。弘一さんは、警察庁からのゲストって扱いで招待されたのだそうだ。
「一弥君、食べたい物、飲みたい物があれば頼んで良いからね」
ホテルのルームサービスで飲み喰い自由らしい。
「宴席はアルコールが出るから、一弥君は真由美とホテルで待っていてくれ」
えっ?真由美と同室で宿泊…何かの意図があるんだな?
「ねぇ、一弥君、外で食事しようか?」
大会は明日なので、今日は自由行動のようだ。大阪って粉物文化だよな…あっ!大阪って、アイツがいたよな。服部平次がさぁ。なんか、塀の中へ行きそうな予感が濃厚である。
「どうしたの、一弥君」
「うっ!次長様のお嬢様のガードですから、周囲を警戒して…」
「そんなゴテゴテの警戒はいないわよ。私だって、少しは戦えるんですからね」
狙撃手でしたっけ?
「あれ?一弥?」
知っている声が聞こえた。一段警戒レベルを上げた俺。
「そんな警戒しないでも大丈夫や。和葉だよ。アイツはおらん」
笑顔の和葉がいた。周辺にはアイツがいないようだ。
「一弥の彼女?」
「いや、バイト先の上司の娘さんだよ」
「そうなんだ…ねぇ、一弥、彼女出来たん?」
「いや、出来ていないと思う。セフレは多いけど…」
「セフレってなんやねん?」
「おうちで調べなさいね。じゃ、またな」
和葉と別れた。
「ねぇ、セフレはどのくらいいるの?」
真由美に訊かれたが、即答出来無い。人数を把握していないからな。
「まぁ、それなりに…」
「好きな子は出来たの?」
「う~ん、どうなんだろう?誰が好きって、よくわかりません。好きかどうかって、どうやって判断するんですか?」
「それは難しいわよね。個人差もあるし」
好きかどうかの明確な判断基準をきぼんぬです。
◇
翌日、剣道大会をVIP席に座って観戦。VIP席と言っても、最前列付近のパイプ椅子席であり、あまり良く見えない。一般席のように、2階席から全体を見るのが良い気がする。
「コンドー!勝負せぇ~!!」
沖田だ。あの沖田総司の六代目である。コイツ、京都代表だったなぁ。
「大会委員長に直訴してくる」
沖田は足早に大会本部へと駆けていった。
「どうするんだ、一弥君?」
弘一さんに訊かれた。
「沖田程度と戦ってもなぁ…」
アイツは勘違いしているのだ。俺の祖先は団子屋であって、近藤勇では無いって、言ってあるのだが、信用しないというか。結果、沖田総司の子孫と、近藤勇の子孫との特別試合が組まれた。大会本部は、沖田の戯言を信じたようだ。真実を知っている弘一さん親子が笑っているし。やるしか無いのか。
試合する気なんか、これっぽりも無かったのだが、紅葉が俺の道着と剣を持ってきてくれた。そう言えば、沖田と同じ高校だっけ?
「あの剣道小僧を叩きのめしてね」
って、言われても…俺の剣、木刀なんだが…防具も持っていないし。そもそも剣道なんか習っていないし。
「お前の流儀で来い」
沖田は防具に木刀である。まぁ、いいか。高校生男子の部は沖田が優勝だったようだ。あの服部がいないから、目立たずに優勝していた。
沖田は中段の構え、俺は下段の構えで向かい討つ。アイツの得意技は五段突きだったかな?まぁ、出たとこ勝負だな。沖田が先に動き、防具の無い俺の喉元を突きに来た。沖田の剣を下から突き上げ、そのまま32連撃でボコった。勿論防具の上からだ。
打ち終えると、旗は沖田の方に上がっていた。まぁ、剣道のルール的にはそうなるな。俺、すり足で無く、ステップを踏んでいたもん。
「ちょっと、待て!」
弘一さんが判定に苦言か?大会本部の者達が弘一さんに群がり、その間に、担架で沖田が運ばれていく。沖田の防具はボロボロだった。胴は割れ、小手で護られた両腕は骨折だろうな。面だけは金属であるが、側頭部には金属は無い。
出入り口には、顔馴染みの府警の忖度刑事達が集結しだした。俺はその群れに向かって歩いていく。逃げれば、逃亡罪が付きそうだし、公務執行妨害がオマケつきそうだよな。
◇
今回も過剰防衛の為、即送検された。塀の中で夏休みか…まぁいいか。って言うか。試合で過剰防衛ってなんだ?俺はサンドバッグになれば良かったのか?
翌日、弘一さんと真由美が迎えに来てくれた。
「大阪府警のスピード送検は、見事だが、服部本部長に抗議しておいたよ。試合を申し込み、返り討ちに遭ったからって、あれは無いなぁ」
「いつものことですよ。だから、俺は試合には出ないんです」
剣道の試合に剣術使いが出ても碌な事は無い。ルールが違う上、剣道は警察関係者の聖域であるから。剣道のルール無視で、侮辱されたと思っているのかもな。
「悪かった。試合を許可して」
弘一さんが俺に頭を下げてきた。
「気にしないでください。これが俺の日常ですから」
都会は住みにくいなぁ。山に帰るかな。
◇
しかし、山には帰らずに、弘一さん達と東京へと戻ってきた。俺を待ち焦がれている奴らがいるからだ。
「ねぇ、一弥、お土産は無いの?」
インデックスが肉まんを蒸さずに食っている。コイツ、それで旨いのか?
「ねぇねぇ、お好み焼きを食べたいって、ミサカはミサカは、リクエストしてみる。一弥、作ってよ~」
ラストオーダーが、久しぶりの再会の為か、やたらと纏割りつき、10032号は、無言で俺の臭いを嗅いでいた。一週間ぶりに来てみれば、こんな状況になっていた。長期間の放置は危険そうだ。
「一弥、分かっている?明日、連れて行ってね」
美琴を学園都市に連れていく約束をしていた俺。突然の転校で、友達に声を事情を話しておきたいそうだ。
「迷子になると厄介だから、ラストオーダーとインデックスは留守番だぞ。10032号、責任を持って見張っておけよ」
そうだ、コイツらの名前をどうにかしないと。長すぎる。10032号に至っては、囚人か奴隷みたいだし。
「おい!インデックス、ネコのエサを喰うな!今、お好み焼きを焼くから待て!」
う~ん、調理担当を置いた方がいいな。適任者に誰かいないか?
翌日、バイクの後部座席に美琴を乗せ、学園都市へと出発した。特に渋滞も無く、予定通りの時間に美琴の友達の元へと着いた。
「お姉様…」
突然抱きつく少女。
「黒子…痛いよ」
「だって…だって…お久しぶりですから」
「新春さん、佐天さん、元気していたかな?」
「どうして、突然、転校なんか?」
「そうですよ。水くさい」
三人に少女達の視線が俺に集まった。俺、誘拐犯か?
「そんな目で見ないであげて。今、彼にお世話になっているんだよ」
「おい!お前!お姉様に変なことしていないでしょうね」
「変なことって?」
「えっ、それは…」
顔を紅潮させる少女。つまりはそういう行為かな?
「していないよ。美琴は大切な妹枠だ」
成長待ちだな。
「信用出来ませんね。じゃ、私も一緒に住みます」
「却下だ。もう、無理…」
これ以上、お子様は増やしたく無い。ただでさえ、妹達が徐々に増えているし。10032号しか判別出来無い俺には、、誰が増えたのかも不明なレベルであった。
「じゃ、美琴。時間になったら迎えに行くが、自販機は蹴るなよ」
「分かっているわよ!これでも、成長しているんだからね」
俺は、美琴を彼女の友達に預け、学園都市内を徘徊することにした。
◇
蘭を調理要員に考えたが、蘭を連れていくと、蘭の父親が栄養失調になりそうだ。あの人、基本ビールしか飲まないし。誰がいいかな?
「ちょっと待ちなさい!」
ショートヘアの女性に呼び止められた。
「あなたがプリエステスをダメにした男ね」
プリエステス?誰だ、ソレ?
「人違いじゃないか?」
周囲をヒッピー風の男女に囲まれていた。コイツら、何?一斉に得物を手にして襲い掛かって来た男女。適当に受け流していく。最初に言葉を掛けた女性の元へと向かう。
「ちょっと…なんですか…」
胸に手を…隠れ巨乳?巨乳系は苦手であるが、どこかで味見がしたい。
ふと、周囲を見回すと、日光で何かが光っている。糸か?ピアノ線か?ふと、そう思うと脳裏で『メタル・バースト』と言う声が聞こえ、糸らしき物が真っ赤に燃えて消えていった。
「何?今。何をしたの…」
何かに驚いている目の前の女性に抱きつき、逃走を図る俺。
以前、行ったホテルに女性を連れ込んだ。俺を見て、怯えている女性。かわいいなぁ。志保もこんな感じならいいのに。
「お前の名前は?」
「五和です…」
ご褒美に股間に指を這わす。
「あ…もうやめてください。おかしくなりそうです」
五和の股間はズブズブに濡れていた。
「どこの所属だ?」
「天草式十字凄教です」
ではご褒美に、もう一度股間に指を這わす。
「ダメっ…もうダメです。来て…お願い…」
涙で潤んだ目。嫌いじゃない。
「なんで、俺を襲ったんだ?」
「プリエステスをダメにしたから…」
「プリエステスって?」
「あ…ダメ…」
肝心な処で、白目を剥いて、意識が飛んだ五和。誰に訊けばいんだ?
『一弥が奴隷契約した女だよ。う~んと…刀を持っているよ』
脳裏にインデックスの声が響いた。あぁ、あの女か。アイツを呼びだせばいいのか?『奴隷召喚 神崎火織』と脳裏で響くと、目の前にこの前の女が現れた。
「何?えっ!五和…大丈夫か?五和…」
召喚した女の後ろから抱きつき、うなじの臭いを嗅ぐ。
「お前…五和に何をした」
反抗的な目つき、大好物だよ。力尽くで火織を制圧し、言葉責めにて火織の心をへし折ってあげた。床の上に、目から涙をこぼし、倒れている無様な女のできあがりだ。さて、五和も奴隷契約しておくか、一弥の為に…
◇
あれ?また記憶が定かではない。あの時の刀の女性がが床に倒れ、天井を見て泣いていた。俺の下には五和がいた。五和の股間にあるダムに俺のアレが入っている。気持ちが良い穴だ。胸の感触も悪くない。
「なぁ、五和。料理出来るか?」
「はい…出来ます」
「じゃ、うちのキッチン担当になってくれよ。ご褒美はたっぷり上げるから」
「あ…はい…」
心、ここにあらずのようだ。このままじゃ連れ帰れないなぁ。お風呂で洗って、服を着せないと…
---食蜂操祈---
突然転校して行った御坂さんが、彼氏と共にいらしたそうである。少しイタズラで、彼氏の心を弄ぼうとしてのだが、この私のレベル5の能力が効かないかった。「心理掌握」所謂、記憶の一時書き換えであるのだが。
「お前、今、俺に攻撃をしたな?」
彼に見られた途端、身体の自由が奪われた。私よりも強力な精神感応術のようだ。マズイって…
「ふ~ん、便利な能力を持っているな」
コイツの能力って、スキルコピーか?受けた攻撃スキルをマスターしてしまうってヤツだ。
「じゃ、ここでストリップをしてくれ」
公園だよ、ここ…彼に見て貰うように一枚ずつ、ゆっくりと脱いでいく。通行人達の視線を感じる。
「なんだよ、見られているだけで、濡れて居るぞ」
御坂さんの彼って、こんなに暴力的なのか…後2枚だ…まずブラを外した。乳首が立っているのが分かる。最後の1枚を脱いだ。
「じゃ、そこで、オナニーショーをしてくれ」
女の子の尊厳が壊れていく。彼に自慰を披露している私。泣きたいのに、泣けない。今まで、こんなことをしていたのか?
「罪悪感はあるのか?」
心が読まれている。読心術も使えるのか。私の身体は淡々と自慰を続けている。
「試食させろ」
御坂さんの彼と…私は初めてなのに…
「一弥…何しているの?」
救いの女神か?御坂さんの声。彼女の方へ振り返る彼。その瞬間に術が解けた。下着と服を手にして、物陰に隠れる。
「あれ?何をしていたんだ?」
まさか、彼も術に掛かっていたのか?誰が何の為に?
「最近、記憶が飛んでいるよね?精密検査をしたら、どう?」
「そうだな」
---宮野エレーナ---
一弥が記憶が飛ぶと検査を受けに来た。だけど、どこにも異常が無いのは検査しないでも分かっている。既に原因は分かっているのだ。一弥の人格チェンジのせいだ。裏人格のラムが現れてる時、ラムの行動時間中の記憶は一弥には一切残らない。
総て、九島烈のせいである。アイツの細胞が原因であるのだ。一弥の中に芽生えた意識…我々の新しいボスであるラムだ。ラムはインデックスとラストオーダーと意識レベルでリンクしている。
一弥が戸惑うのは無理も無い。一弥の能力では無いからだ。ラムの能力は『スキルコピー』と『オーケストラ』である。『オーケストラ』は、七草弘一の『オクテッド』の上位互換で、アイドリング状態である魔法を無制限で保持出来る。
その為、ラムは無詠唱で魔法を連発出来るのだ。本来、魔法を行使する場合、演算記憶領域と言う脳のエリアの容量で発動出来る魔法のレベルが決まるそうだが、四葉真夜の遺伝子により、その領域さえも無制限であると言う。
一弥の能力は物理的な物だけである。『スポンジ』と言うスキル。教わったり、見聞きした知識、情報、技、スキルなどをマスターする能力だと言う。これはラムの『スキルコピー』の影響らしい。
我々は一弥を見守り、末永く生きて欲しい。それは、ラムも同じである。だけど、ラムの活動時間が増えてきている。このままでは一弥はどうなってしまうんだ?
「お母さん、一弥、大丈夫だよね?」
志保が心配そうに訊いて来た。
「わからない。厚司さんもわからないって。染色体異常…タイプも数も人間ではあり得ないことになっているの」
「一弥はダメなの?」
「最善を尽くすわ。長作さんの息子だもの。一弥を人間に戻すことが、恩返しなんだろうし」
ラムは、一弥の行動時間中は、インデックス、ラストオーダーとの交信は出来る様だ。なので、妹達を使って、何か策がないかと、ネット上を探っているようだ。ラムの人格は一弥がベースである。身近で困っている者助けてあげたい精神を受け継いでいた。但し、ラムにとっての身近な者は一弥だけであるが。
先代のボスとラムに欲しい物を与えたラム。その結果、組織を総て相続している。ラムはメンバーの一人一人と話し合い、出来る限り、望みを叶え、その見返りに、一弥のことを皆に託したのだ。
姉には一弥の問題を話し、新しい組織のことを話し、納得をして貰った。一弥のしたいことの実現と、一弥を生かすこと。これが、新しい組織の目的であり、最終目標であるのだ。
その為に、一弥の護りたい者は危険から遠ざけ、ジャマ者達もまた、一弥から遠ざけている。
「一弥はどう?」
ベルモットがやってきた。
「眠剤で寝かしてある。一弥に真実を知られないようにしないと。コイツ、結構、繊細な部分もあるからさ」
自分が害を為していると知れば、きっと…それは、ラムが恐れている事態でもある。一弥の突発的な行動は、ラムでも止められない。
「誰かと所帯を持たせて、静かに暮らせれば良いが…」
烈のせいだ。所帯を持たせてあげたいが、一弥には愛情という感情が無い。好きという感情が、まったく分からないのだ。かといって、今更、烈にはどうにもならない。悔い改めたところで、一弥には影響しないのだ。
「殺しても無駄な人間だな、ヤツは…」
ジンもウォッカも、長作さんにお世話になっていた。ラムの圧政から、若かった彼らを護ってくれていたのだ。ベルモットは、資金援助を受けていた。スポンサー付きの女優は、プロデューサーに歓迎される。そうして彼女は、大女優の道を歩んだのだ。
「問題はまだある。美優と深雪だ」
長作さんの最後の作品である。遺伝子的には双子であるが、クローンである。彼女達にも真実は知られてはマズイ。勿論、宇佐美もだ。
「神に反旗を翻した行為の数々、罰を受けているのかもしれないわね」
「でも、罰を受けるのは彼らじゃない。彼らは被害者なのよ」
だけど…一