夏休み…美優からスマホを貰った。美優、ウザミン、英里、蘭の連絡先が入っている。
「お兄様、連絡をくださいね」
美優は夏休みでも生徒会という会議があるそうで、制服姿で出掛けた。ウザミンは、まだ寝ている。夜更かしのようだ。俺は、付近の掃除へと出た。夏休みは獲物が多いと、美優から聞いている。狩り場に最適な場所も教わっている。
「一弥君!」
狩り場に向かう途中で、女性に声を掛けられた。
「えぇっと…佐藤刑事でしたっけ?」
以前、事務所から救い出した女刑事さんだった。
「あの時はありがとうね。今日は、これからヒマ?」
「まぁ…」
不良狩りなんて言ったら、補導されるかもしれない。佐藤刑事の車の助手席に乗り込んだ。
「美和子って呼んでいいわよ、一弥君」
連れて行かれたのは、柔道場であった。
「さてと、いい汗をかこうか、一弥君」
それは、柔道の相手をしろと?レンタルの柔道着を借りて、美和子と組手をしていく。警察官って柔道か剣道が必須だっけ?なかなか手強い美和子。大外刈りから四方固め。流れるような技の転移である。
「一弥君、本気出していいのよ」
美和子の質感を味わっていたんですが…では、本気で行きますか。美和子の手首を極めて、切り返し、無理矢理引き起こしてからの巴投げ。背中から落ちる美和子に更に襲い掛かり、腕ひしぎ逆十字固めに持ち込んだ。固めつつ、美和子の胸に顔を埋めていく。
「ちょっと…臭い嗅がないでよ。恥ずかしいなぁ」
肩をタップされたので、技を解いた。
「一弥君って、意外にエッチなの?」
「健全な男子です。女性に興味があります」
今度は組み合って直ぐに巴投げ崩れの三角固め。
「うっ…うぅぅぅぅ…」
苦しそうに悶える美和子。太ももをタップしてきたので、技から解放してあげた。
「一弥君。強いなぁ」
「そうでも無いですよ」
シャワーを浴びて、ランチをごちそうになり、お城のような建物に入っていく。
「ここは?」
「来て見たかったんだけど、一人では来られなくてね」
所謂ラブホであった。俺も初めて空間である。雑誌とかで見たことはあるけど。鍛錬仲間が山に大人の雑誌を持ち込んで、それを見て性欲を抑えていた記憶が蘇る。俺もそれらの雑誌で、性教育は受けていた。
「ふ~ん、内部はこうなっているのか」
回転式のウォーターベッド。天井は鏡仕立てである。お風呂場には怪しい椅子が…ベッドサイドには、こりゃまた怪しげな玩具がおいてあった。美和子はベッドの上に横になり、静かな寝息を立てている。これは、襲っていいよってことかな?それともピンクトラップかな?
恐る恐る美和子の上に乗り、服の上から肉感を確かめていく。
「いいんだよ。好きにして…あの時、、色々諦めたんだ。薬を打たれ、乱されていくんだなって…君みたいなヤツなら、この身体、貰って欲しいんだよ」
寝言かな?
しばらくすると、美和子から性教育を受けていた。女性の喜ぶ行為を習い、怪しげな玩具の使い方を習う。
「もっと、欲しい」
美和子の中で何度も出している。あの…ゴムをしていないんですが…
「歳上は嫌い?」
「そんなことは無いです。だって、俺の初めてですよ、美和子さんは」
「奇遇だね。私も初めてだよ」
初めての割によく知っている。俺の気持ちの良い部位とか…美和子の舌が俺を這う。それだけで元気を取り戻す俺。まだ、出来そうだ。
「美和子は刑事やっていて、怖くない?」
「助けて貰った時、もの凄く怖かったよ。もう、日の目は見られないかもって…そんな中、君が助けに来てくれたんだよ」
いや、助けに行った訳では無い。英里の危険を排除しに行っただけだ。
「これからも私を護ってね」
美和子の口に俺のアレが吸い込まれて行く…
◇
京都の山の中にいる。スマホは圏外の為か連絡は出来無い。蘭と美優には毎日連絡をするように言われているのに…修験僧に混ざり、鍛錬をこなしていく。
滝行、瞑想、険しい山の登山下山を繰り返し、出会った獲物を屠っていく。下山した折に、蘭、美優、美和子へ連絡をして、鍛錬に戻る。
山小屋に戻ると、獲物を干し肉にしていく。
「一弥、熊を狩ったのか?」
先に来ていた修験僧に訊かれた。
「まぁ、出会っちゃったからね」
薬効のある部位を修験僧達にお裾分けしていく。同じ山で鍛錬を積む者は仲間であるから。
『遭難者が出た。捜索に協力してくれるか?』
無線から声が聞こえた。この小屋は山岳救助隊のベース基地も兼ねている。救助隊員は常駐せず、いるのは修験僧ばかりであるが。
「人数は?」
俺が応答した。
『あぁ、一弥君か。3人だ。男1女2』
世俗から離れている修験僧達はあまり協力しないが、俺がいるときは俺が対応していた。
「わかった。予定コースをファックスしてくれ」
しばらくすると、登山計画書が送られてきた。これって、修験コースじゃないか?一般人の登山コースじゃない。
「職業は?」
『高校生だ。鍛錬目的だと言っていたそうだ』
無理なことを…登山家でも難しいコースである。サバイバル技術、格闘技術が必要なコースである。修験僧か、レンジャー部隊で無いと難しい。修験僧の格好から、登山者の格好に着替え、捜索に足を踏み出した。
この辺の山々は坂本家の所有である。一般人は立ち入り禁止なのだが、今回の遭難者はお偉い人のご子息達だったらしく、ごり押しで入山したそうだ。自殺願望者か?樹海へ行けばいいのに…
そもそも、登山コースでは無い為、見晴らしが悪い。麓の救助隊は、険しい奥まで入っては来ない。なので、俺の捜索範囲は、そこになる。尾根道を歩く。足跡を探すが無い。川沿いか?そもそも登山コースでは無いので、道すら無い。修験僧の先輩から後輩に伝えられる道である。地図
なんかも無い。それは、誰でも入って来られなくする為だそうだ。興味本位の者達を遠ざける意味があるんだとか。
俺はこの坂本の山の山守に師事していたので、この山々の特性をたたき込まれた。朝方に一気に気温が下がる。靄が出たときは特にだ。夏場であることから、軽装の予感。きっと、最悪凍死だな。
『男性を救助した。残り女2だ』
無線から音声。
「一弥、了解」
俺は返答をした。
「どこらにいるって?」
『山の中だそうだ』
う~ん、それはそうなんだが…って、雨が降ってきた。最悪なパターンだな。一番近い山小屋へ向かうか。二重遭難は危険だし。
◇
山小屋に辿り着くまで、女性を2名発見した。しかも、知り合いである。助かった男の顔が浮かぶ…
「こちら、一弥、女性2名発見。山小屋で雨を回避する。明日の朝、迎えに来てくれ」
『ベース、了解』
連絡が取れた。山小屋に和葉と紅葉を運び込む。二人共体温が下がっている。囲炉裏に火をおこし、マキをくべていく。雨で衣服がずぶ濡れである。乾かすか…二人の着ている物を脱がし、小屋の中で干していく。
次は栄養補給だな。持って来た干し肉を、水を張った鍋に入れ、火に掛けた。で、持って来たタオルで二人の身体を拭いていく。
「一弥…」
紅葉が意識を取り戻した。紅葉の身体に小屋にあった毛布を掛けた。ちょっとカビ臭いが、無いよりましである。
「紅葉、もう大丈夫や」
それに対して、和葉の身体は震えている。低体温症か?暖める方法は1つ、身体を重ねることだな。俺も着ている物を総て脱ぎ、一応、乾かしておく。この後、食材を確保しないとダメだろうから。
「和葉、アイツでなくて悪いが…」
和葉と身体を重ねた。和葉の体内は思って居た以上に冷たい。身体を密着し、乾いたタオルで和葉の背中をこする。乾布摩擦である。
「紅葉、話せるか?」
「うん…」
「どうして、ここに来たんだ?ここ、私有地だぞ」
坂本家は修験者には開放しているが、一般人には開放していない。それは秋になると、松茸目当てのハンター達が、こぞって入ってくるから。
「服部君が…一弥と勝負するって…」
なるほど。勝つところを紅葉と和葉に見せようとしたのか、あのボンクラは…
「何故、止めなかった」
「服部君が勝つ処を見たかった…」
いや、アイツに勝ち目は無い。この1ヶ月で俺はレベルアップしたんだから。
「おい、和葉…大丈夫か?」
「平次…」
あのボンクラ、モテすぎだろうに。って、俺の身体も冷えてきたようだ。一旦、和葉から離れ、囲炉裏にマキを投入し、室温を上げ、乾布摩擦で寒さを吹き飛ばし、再度和葉と交わる。それを何度も繰り返し、紅葉にもした。
「紅葉、服部でなくてゴメンな」
「一弥で良かった。服部君なら、死んでいたかもしれない」
それは和葉の前では、紅葉は抱かないってことだろうか。
「和葉もゴメンな」
「平次のアホンダラが悪いんや。一弥、そんなに自分を責めたらアカンでぇ」
和葉の意識もしっかりしてきたので、俺は衣服を着て、雨具を装着して、食材を取りに出掛けた。雨は止む気配が無い。周囲は真っ暗な闇に取り囲まれている。勘を頼りに、キノコや山菜を摘み、川で魚を捕って、小屋に戻った。
小屋に入り、二人の様子を見た。寒そうだ。そうだ!小屋の倉庫に入り、酒瓶を持ち出して来た。少量なら、体温が上がるはずだ。二人に酒を飲ませ、採取してきた食材と小屋にある調味料で、鍋を完成させて、二人に喰わせていく。
朝、雨が上がり、小屋の周りに靄が発生している。気温低下のサインである。囲炉裏の火を絶やさないようにして、二人と交互に身体を交わらせ、体温低下を防ぐ。
「もっと、突いていいよ」
「胸を甚振って」
二人共性行為に嵌まっているようだ。まぁ、運動と言え無くも無い。二人の体温は上がっているし。
『こちら本部、出発する。天気はどうだ?』
「昨夜は降り続いたが、今は止んでいる。靄発生だ。防寒保温装備を頼む」
『了解』
二人の服装は軽装過ぎるので、防寒保温装備を依頼した。朝ご飯は、乾パンに缶詰である。二人に乾ききった衣服を着せて、毛布をかぶせて寝かせる。体力低下も危険だからだ。
昼頃、捜索隊がやってきた。
「おい!コンドー、勝負や!」
俺を見つけるなり、服部が木刀を手にして、襲って来た。素手で木刀を掴み、服部の懐に入り込み、その場で投げた。
「剣の勝負で投げは無しやで」
俺は素手なんだが…
「じゃ、お前の反則勝ちにすればいい」
パチン!
パチン!
乾いた音が2発。服部の頬を叩く、紅葉と和葉。
「アホンダラ!何してんや。一弥は恩人やで~」
「服部君…それは無いと思いますわ」
二人は怒り心頭である。
「コンドー!貴様、二人を籠絡してんかぁぁぁぁ~!」
籠絡してと言えば、したかな。二人と一晩中ヤッていたからな。
「平ちゃん、アレはアカンな。和葉の言う通りやで」
和葉の父親が同行していた。
「近藤一弥だな。服部平次坊ちゃんを病院送りにした件でタイホや」
何で?こんな時に…俺の手首に手錠が打たれた。服部のヤツ、息の掛かった刑事を連れて来たのか…
◇
京都府警本部の取り調べ室。過剰防衛として、タイホされたそうだ。まぁ、そうなるよな。病院送りにしたのは事実であるから。
「事実ではあるが、服部が竹刀を持って来たんだぞ。じゃ、何か?俺が何もせずに、服部の一撃を食らえば良かったのか?」
「そうだ。このクズがっ!坂本家の名を騙るクズのくせに」
忖度刑事か…京都は坂本家信者が多いし。
「おい!いいすぎやで」
その忖度刑事を窘める和葉の父親。
「で、どうすればいいんだ?何年ぶち込まれればいいんだ?」
「貴様の様なヤツは、一生入っていればいいんだ」
「じゃ、直ぐに手続きしてくれ。俺はどうでもいい。ぶち込みたければそうしろよ」
「一弥君…投げやりになるんやない」
和葉の父親しか庇ってくれない現状。ここは京都府警であり、大阪府警である和葉の父親はオブザーバー程度らしい。俺は、護送車に乗せられて、留置場へ運び込まれた。
翌朝、美優と英里がやってきた。
「一弥君、大丈夫?」
「お兄様、不当逮捕ですよ。私、猛抗議しました」
事態がでかくなっていそうだ。二人のおかげで、釈放された俺。
「一弥君、どうしたい?」
「暖かい布団で寝たい」
あの二人の救助で、徹夜明けの上での、ブタ箱入りである。身体が冷え切っている。俺は、京都駅近くのホテルにチェックインして、ベッドで一眠り。その間に、美優と英里が京都府警に対し、猛抗議したそうだ。その結果、翌日の新聞には、
『京都府警 未成年者を不当逮捕 妃英里弁護士怒りの猛抗議』
という文字が躍っていた。英里は俺が思っていたよりも、有名で優秀な弁護士だったらしい。坂本家としても、抗議したそうだ。義父と美優の名前を使って。その結果、警察庁が動き、今回の忖度事件の関係者を一斉処分したそうだ。
お昼…何日ぶりの真面な食事だろうか。俺の胃袋を心配した美優と英里が、中華粥を用意してくれていた。う~ん、暖まるなぁ。
「で、俺は前科何犯なんだ?」
「一弥君に前科は無いわよ。まさか、京都府警に言われたの?」
英里の瞳が光った気がした。
「許せない…お兄様を虐めるなんて」
美優の怒りは収まっていない。
「そういや、紅葉と和葉の容体はどうだ?」
「一弥君の処置のおかげで、大丈夫みたいよ。それにしても、人命救助した人を逮捕って、許せないわ」
英里もヒートアップしている。