婚約破棄された私を会社の上司である常務が溺愛してくるんですけど、 作:EMO
香奈美と付き合うきっかけは単純だった。
ただ気が合って一緒にいて楽だったから。
そして香奈美は綺麗だった。
周りへの自慢になるし秘書課に配属されているので社内では花形ポストだ。
そんな女が俺の彼女だなんて一種のステータス以外何ものでも無い。
そして当然のように婚約した。
しかし、中々時間の都合が合わずに結婚式が決められない。
ずるずると引き伸ばしていつの間にか一年が経った。
そんな時に新入社員の遥香が現れた。
香奈美とは違い可愛い系の女子で頭はそれ程では無かったが機転が効くので俺は可愛がった。
そして、男女の関係になるのに然程時間は掛からなかった。
遥香といる時は自分をさらけだす事が出来た。
香奈美と一緒に居る時は楽だと思っていた事が実はかなりのストレスだったと知ってしまった。
俺が所属する営業二課に常務がよく朝礼に顔を出す。
強面のやり手の人物だが俺は苦手だ。
香奈美の上司だからと言う理由だけでは無くあの目が苦手なんだ。
全てを見透かすようなあの目で見られると自分がいかに矮小な人間かを自覚させられるようだから。
そして一年後に香奈美との婚約を解消した。
理由は香奈美とのセックスの相性が合わなかったから。
香奈美は俺とのセックス時は必ず受け身でマグロ状態だった。
未熟な俺ならばそれでよかったが俺には遥香がいた。
セックスにも貪欲で俺のどんな要望にも応えてくれる。
正直、香奈美の美貌は勿体なかったがこれ以上付き合っても俺には何のメリットもなかった。
そろそろ周りにもバレそうだったし香奈美にはバレたく無かったから。
だから別れたんだ。
香奈美と別れてから暫くして例の常務が俺の元へやって来て「君には失望した」と一言いってから去っていった。
俺には何のことか分からなかったので無視したが。
ヤバイヤバイヤバイ
遥香が妊娠したのを機に婚約をしたが、それに気を取られてとんでもない事をやらかしてしまった。
禁輸品を先出ししてしまった。
後半年は先に解禁になるって言われてたんだが、先方がどうしてもいるって言われて軽くサインをしてしまった。
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ
これって政府案件じゃないか……バレたらクビだけじゃ済まないぞ……。
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ
まずは俺のサインを回収して……と……他の書類に紛れ込ませて……。
よしっ!
ひとまずは安心だ……いや……誰かが責任をとれば……よしっ!
部長の書類に……細工は……と……PCの痕跡は消した……出来たっ!
これで俺が関与した形跡は無くなった。
えっ?
なんで常務が?
あれからかなり経ってるぞ?
今更?
えっ?
何故俺たちの部署にも調査がはいるんだ?
常務はトップだから逮捕されたんだろうけど何故今更?
はぁ?
常務は人身御供?
本当の犯人を別ルートで探してるって?
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ
「あの事件は本当は無かった筈だったんだよ。
あと数ヶ月で規制緩和される予定の商品を先走って輸出してしまったんだ。
だから今は誰憚る事無く輸出出来るんだ」
「じゃあ、誰かの陰謀?」
「それは分からない。
でも輸出した事実は残ったから誰かが罪を被らないと会社が倒産して残された社員や家族たちが路頭に迷う事になるから俺が泥を被ったんだ」
そうだったんだ。
でもその誰かってもしかして……。
「ねえ、政久さん。
そういえば前の会社のあれ……えっと……元彼……名前忘れちゃった……その彼が逮捕されたそうね」
「ああ、彼か……ある意味目を掛けてたんだが、彼はダメだったな……短期的な案件なら大丈夫だが長期的な案件の場合は目先の利益に目を奪われて失敗をする。
ただ失敗をするだけなら挽回の余地はあるが、それを隠そうとする姑息さが見え隠れしていたんだ」
「はあ、なるほど……でも、逮捕容疑の背任って何したんでしょうね?」
「さあ?
既に関係者ではなくなった俺には分からないな」
「ふぅーん。
でも、一応はザマァって事で」
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