3年生が引退して、ついにパワプロの夏が幕を開けた。新キャプテンとして任命されたパワプロは地区大会を優勝し甲子園出場、果てには日本一となってプロ入りを目指す。そんな目標を掲げた。
他の部員たちは乗り気ではなかったが、しかし前回の試合のパワプロの活躍を思い出した。初打席で初球ホームランをかまし、更には誰も打てなかった豪速球を外野の頭まで持っていったことを。
彼とならば出来るかもしれない。そんな希望がパワプロには集まっていた。
「もちろん無理にはとは言わない。けど、俺についてきて欲しい。俺はこのチームのみんなと優勝したいんだ」
それは間違いなくパワプロの真意であった。これまでのループで地区大会準優勝は出来てもその先に進めずに苦しみもがいたパワプロには、プロ入りのためにも優勝することが最速最短かつ最高の終着点だ。
けれど、それは1人では成し遂げられない。野球が9人で行うスポーツである以上、パワプロたった1人が抜きん出ていても意味が無いのだ。
それに、ここにいるメンバーは3回のループを通して最高のメンバーだった。彼に成長のきっかけを与えた宇渡はもちろん、いつも自分と共にいてくれた矢部や、自分を慕ってくれる小田切。
「うん、私もみんなと優勝したい」
「私も私もー!」
「異議なーし!」
「まぁ、私がいて負けるってのもね」
そして、3周目のループで性交による経験値獲得のためとはいえ、仲を深め、肉体的な関係を持ってしまった4人はパワプロに賛同する。
「オイラも賛成でやんす!」
「ボクも!」
「俺も!」
彼女を皮切りに親友や他のチームメイト達もパワプロの思いを汲んでくれる。その様子に監督は涙ながらに頷いた。このチームなら出来る。いや、勝たせてみせると彼の瞳に熱い闘志が灯る。
春の甲子園は捨ておき、狙うは夏の甲子園ただ一つ。こうして彼らの思いがひとつになり、大きな目標へとパワフル高校野球部は走り出した。
(でも、その前に……)
夏休みも直に終わる。メンバーが一致団結したのはいいが、こちらには片付けねばならない問題が残っているとパワプロは他の部員たちと共におぉーっ!と手をあげる4人の少女達を見つめた。
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「ごめん!みんな!」
あと3日で夏休みも終わるという日に、パワプロはみずきに無理言って彼女の家に4人の少女を集めた。京野小筆、夏野向日葵、天音姫恋、橘みずき。彼女達は全員、パワプロと肉体関係を持っており、それは今もなお続いており、パワプロは全員に知られるのは時間の問題だとこうして彼女らを集結させた。
部活は練習三昧で夏休みの課題など終わらせていないであろうメンバー達のために始業式の日まで休みとし、その間にパワプロは自らの関係を精算しようと開口1番にここにいる全員と肉体関係にあることを話して頭を下げた。
それに真っ先に声を荒らげたのはみずきであった。
「はぁ!?あんた……はぁ!?」
「本当にすまない」
夏休みが始まる直前から関係を持ち出したみずきはそれは大いに驚いた。彼女はパワプロが姫恋と肉体関係にあることに関しては承知していたが、それがまさか他に2人いると思わず怒りを覚えた。
「女誑しにも程があるでしょ…」
「それだけ先輩が魅力的って事ですよ、みずきちゃん」
「……なんであんたはそんなに平気そうなの?」
どんよりするみずきに対して、同い年の姫恋はパワプロを責め立てる気はないらしく呆気からんとしていた。
「まぁ、関係を迫ったのは私ですし……」
女の影があるとは思ってはいたが、まさかここまでとは姫恋にも予想外であったが、別に自分が蔑ろにされているわけでもないので構わなかった。
「向日葵先輩は?」
「ん?私は知ってたよ」
「はぁっ!?」
1番この中で鈍感そうな向日葵がパワプロの肉体関係を知っていたというに聞いたみずきも姫恋や小筆と驚きを隠せない。
そもそも、向日葵がパワプロとの情事に及んだのは小筆との関係に気付いたからであり、パワプロが姫恋やみずきと練習を抜け出していれば「あぁ…あの子たちもか…」と思い至るのは自明の理であった。
「……パワプロくんはみんなとどうしたいの?」
そして、この中で一番最初に関係を持ち、恋人関係にまでなっていた小筆が温度のない声で尋ねる。
小筆からすれば、自分の知らぬところで恋人が色んな女の子に手を出してはセフレを作っていたという真実を今知らされたわけなのだが、観察が得意な彼女がパワプロの女の影に気づかないわけでもなく、いつ言い出してくれるのかと待っているのが実状であった。
それが夏休みが終わるギリギリで、卒業前でなかったのはパワプロなりの真摯さが、一応垣間見えると小筆には僅かな温情があった。もし、これが卒業ギリギリに言い出していれば彼の野球人生を含めて全てを台無しにしているところであった。
「………」
どうしたい、と聞かれてパワプロは口を開かない。申し訳なさそうに顔を顰めるだけで、言葉を紡ごうとはしなかった。こんなことをしておいて許されるとも思ってない彼に、何か願望を口にするというのははばかられたのだ。そんなパワプロに小筆は静かに言い放った。
「……こうなると、男らしく誰か一人に決めるべきだと私は思う」
誰かひとりを選ぶ。当然だ。現代の世の中では浮気や不倫は悪とされており、2股や3股、増してや4股など周りから見れば印象は最悪でしかないだろう。
けれど、誰か一人を選ぶというのはパワプロには難しい選択であった。
何故ならば、目の前にいる女の子たちは身体を重ねて、可愛らしい姿を何度も見ては好意以上の対象としてしまっているからだ。
その中からたった1人だけを残して他を切り捨てるなんてことはパワプロには出来なかった。
「悪い。それはできない。都合のいい言葉だってのはわかる。けど、俺は、みんなの事が好きなんだ。本当にすまない。だから、1人だけを選ぶのは……できない」
重苦しく身が裂けそうな思いになりながら、言葉を綴ったパワプロに小筆は胸が締め付けられる気持ちになる。浮気をされて、黙ってほかの女の肉体関係を持った男に対して、本来なら嫌悪や殺意を抱かなくてはならないのに、目の前の男にはそんな感情は抱けなかった。
「というか、お付き合いとか性交渉を持ちかけたのはどっちからなんですか?」
「えっ、あっ、わ、私だけど…?」
何の意図があるかわからない姫恋の質問に小筆は恐る恐ると、当時のことを思い出して恥ずかしくなりながら言うと、それを聞いた姫恋は肩を竦めた。
「小筆先輩には悪いですけど、負けですね。恋愛は好きになった方が負けですから」
「け、けど、パワプロくんも私のこと好きって…!」
「それは嘘じゃないでしょ。現に私たちの関係を上手く保ちながら先輩ともシてたんでしょ?」
みずきが口を挟むように言うと、小筆は思い出す。自分以外にもこんな可愛い子達がいて、股を広げてくれるのにパワプロは決して自分との関係を蔑ろにはしなかった。いつも通りに電話すれば出てくれて、デートに誘ってくれて出かけたりもした。性交をしてからは自分勝手に彼を求めることが多くなったが、それでもパワプロは受け入れてくれた。そのことを思い出して小筆の目頭が自然と熱くなる。
「じゃあ、決まりだね」
そう言ったのは今まで静観していた向日葵で、彼女は周囲の目を集めると人差し指を立てた。
「パワプロくんは誰か一人を選びたくなくて、私もパワプロくんとの関係を続けたい。だったら、答えはひとつしかないんじゃない?」
「そ、それってつまり…」
「私は全然いいですけど」
「ほんと、あんたの倫理観どうなってんのよ…」
向日葵の言おうとしてることを察した3人はそれぞれ違った反応を見せた。小筆は3人と顔を見合わせ、姫恋は頷き、みずきはそんな姫恋に引いていた。
けれど、誰も向日葵の案は否定しなかった。それはつまり。
「え、えっと、いいの…?」
躊躇いがちにパワプロがそう尋ねる。かなり無茶苦茶なことだ。
「まぁ、姫恋の論法からいけば好きになった私の負けだし……いいわよ」
「私は初めから異議なしでーす」
髪をいじりながらデレたみずきに、こういうことには寛容というかただ単にブレーキがない姫恋が頷く。提案者の向日葵は初めからその気なのか特に口にすることはなく、小筆を見ていた。
「好きになった方の負け……うん、分かった」
周りに知られたら自分も含めて白い目を向けられる。もしかしたら下卑た目を向けて行為を求めてくる輩も現れるかもしれない。
そんな状況なのに彼女達はパワプロを選んだ。結局、全員パワプロが好きでパワプロに弱かったのだ。
こうしてパワプロは4人の女性と交際を続けることになった。とは言っても、以前と変わらず小筆とはデートをして、向日葵とはキャッチボールをして、姫恋のカップルの観察に付き添い、みずきとは互いの能力を高め合い。それでいて、全員と肌を重ね合った。
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付き合い、と呼べるかわからない関係が始まってから1ヶ月が経過した。
その中で大きな出来事といえば、新学期早々にパワフル高校に転校生がやってきた。その名も星井スバル。パワプロの少年時代の野球仲間であり、覇道高校から転校してきた彼は野球部にやってきた。
「倒したいヤツがいる。けど、ボク1人じゃ適わない。でも君となら」
「……あぁ、いこう。スバル!」
いきなりの再会と青春ドラマのような活劇を得てパワフル高校に新エースが誕生した。新参者が唐突にエースになったその事には誰も文句はなく、スタミナに懸念のあるみずきも「楽できるからいい」と歓迎こそはしないも拒否もしなかった。
そんな感じでスバルの加入以外は普段と変わりなく、パワプロは練習に打ち込んでいる。けれど、学校の日だろうが、部活中だろうが、オフの日だろうが付き合いの一環と呼べるか定かではない肉体接触は繰り返されていた。
毎日誰かしらと性行為をすることで、パワプロは経験値を得ることが出来、彼女達は性欲やら愛を満たすことが出来ている。win-winの関係であり、性を貪れるパワプロも特に愚痴も不満もなく過ごしていたのだが、ふと姫恋の前である言葉を口にしてしまった。
「そういえば、複数でシたことないな」
矢部くんから借りたことのある同人誌だと3Pとか複数でやるのがあって、1度はやってみたいと思ってはいたのだがループを繰り返すうちにそんなことも忘れていた。
しかし、ふと思い出して今ならできるんじゃないかと思ったのだが、流石に無理かと自嘲した時、目の前の少女の目が光った。
「それです!それですよ!」
「えっ、何が…」
「善は急げ!ですよ!!」
呆れたように肩を竦めるわけでもなく、姫恋は勝手に賛同するとはだけていた衣服を正して走り出した。スマホを片手に誰かに電話をかけているが、話している様子からその相手は容易に想像できた。
「せんぱーい!何やってるんですかー!早くいきますよー!!」
そう何やら企んでいる後輩に呼ばれてパワプロはズボンのベルトを閉めると立ち上がって、彼女の後ろを追いかけた。
これからどうなるか予想がつき、また頭を下げないといけないのかなと苦笑しながらもその心は穏やかに躍っていた。
恋愛では好きになった方が負けなんだけど、野球では打っても投げても負ける時は負けます。ホームラン4本打っても味方が打たれたり、味方が誰もヒット打たなかったら4点しか取れないの…世知辛い。
パワプロをよく知らない人のための解説
【原作との変更点】
パワプロの幼なじみで覇道高校でエース争いをしていた星井スバルが2学期早々にパワフル高校に転校して来るところは同じなのですが、パワプロが木場の球を捉えたのを見た事で、逃げの転校ではなく、パワプロと共に木場を倒すためにやってきたことになっております。木場からは逃げたと思われてたり。
けれど、そんな負け犬よりも初打席で自分の球を打ったパワプロに対して対抗心を燃やす木場くん。パワプロが成長しすぎて周りにも影響を与えてしまった結果である。
難易度的には上がってないものの、1月3週目からランダムイベントでできる木場との対決で3勝すると決勝戦で当たる木場がハチャメチャに強くなります。
あとパワプロくんがチームの主砲な主将に輝いたことでカリスマ性がついてます。
ざっくりまとめると
原作
スバルが逃げてくる。みんなで甲子園だ、おー!
今作
パワプロ「みんな優勝しようぜ!」チームメイト「おー!」
スバル「パワプロ、ボクと木場を倒そう」パワプロ「よしきた」
木場「パワプロ絶対負かす」
ヒロイン「はぁ♡はぁ♡」(弾道があがった!)
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