昼休みが終わり俺たちのクラスは教室に集まってミーティングをしていた。
「どうかな?
異世界喫茶で出すお茶受けにでも……」
俺はまずは牛肉の干し肉を作った。
よくラノベで読む冒険者が旅に持って行く携行食だ。
最近ではオーブンレンジで簡単にドライフルーツを作れる様になったのでそれの応用で作ってみた。
味付けは塩と胡椒のみでビーフジャーキーより硬いやつだ。
ハーブティーと一緒に出す。
後はオークのソテー、まあ豚肉のソテーだ。
コカトリスのホワイトシチュー、単なる鶏肉のホワイトシチュー。
異世界に来た日本人が作ったカレーライス、普通のカレーライス。
異世界に来た日本人が作ったパンケーキ、普通のホットケーキ。
異世界に来た日本人が作ったクッキー、サクサクバタークッキー。
などを試食として用意した。
カセットコンロを五個用意してそれぞれの調理に使った。
シチューとカレーは家で作った物を温め直すだけだ、クッキーも予め作ってきた。
基本コンセプトは異世界なので複雑な味は避けてシンプルな塩味をメインにしてある。
あの世界は香辛料料理が多かったから濃い味付けだったが、ラノベでは塩味の料理が多く見受けられたのでそちらを採用した。
カレーライスだけはマオのリクエストで俺特製だが。
「……ぐっ……うんっ……美味い……ふぅ〜、やっと噛み切れた」
孝己が干し肉と格闘していた。
かなり硬いが噛めば噛む程味が出る筈だ。
「美味しい……美味しい……おかわりっ!」
カレーライスを食べていたマオが笑顔でおかわりを要求する。
クラスメイトはマオの食欲魔人ぶりに驚くがマオはどこ吹く風だ。
基本的にマオは俺以外からどう見られようと無関心だから。
長年イジメられていて誰からも助けて貰えなかったから他人に関心が無くなっていた。
「マオちゃん、そろそろ練習いいかな?」
クラスの女子がマオをライブの練習に誘う。
「ングッングッ……ゴックン……まだ足りないけど……いいよ」
マオが名残惜しそうに引っ張られて行く。
カラオケでの特訓の成果かマオの歌は好評で上位を狙えると皆意気込んでいるようだ。
「よぉーし、残ってる奴らは衣装合わせなっ!」
孝己が全員に声を掛けた。
コンセプトが異世界なのでメイド服や執事服ではダメだと言う事でなるべく異世界を意識したデザインの衣装を用意してある。
比較的背の高い女子はビキニアーマーで女戦士と、金属鎧風のコスプレの女騎士。
可愛い系の女子はパーティードレスを着て王女様や悪役令嬢。
運動部の男子は漏れなく冒険者の格好。
残りはゴブリンやオーガなどのファンタジー生物の格好だ。
俺はレストランのオヤジ役なので普通にコックの衣装にエプロンだ。
着替えた順に教室に集まった。
うん、女子は皆似合っている。
特にあのビキニアーマーは反則技だ。
普通の水着に皮でアーマー風にしているが、胸の谷間が丸見えだし、下のVラインなんかが……男子連中は股間を押さえて隠れてるし。
「にしし……どうよ……私も満更でもないでしょ」
女戦士役の女子、
こいつは、自慢するまでもなくクラス以外からも人気のバレーボール部のホープだ。
部活中には飛び跳ねると同時に揺れるその胸に注目が集まっている事に本人は気付いていない。
「んもぉ……サヤちゃん……あまり見せびらかすのは……ううぅ……恥ずかしいよぉ……」
女騎士の格好をするのはこれまたバスケットボール部のホープの
これまた水着の上にプラスチックで加工した鉄鎧風のプレートアーマーだが、女騎士を強調する為胸のアーマー部が飛び出し、腰から下もミニスカ風のアーマーだ。生足が艶かしい。
因みにプレートアーマーは工作部の奴に作ってもらった。
その時に円城寺にスリーサイズを伝えて貰ったが双方共に顔を真っ赤にしていた。
そしてその女騎士プレートアーマーのレプリカが工作部の代表作になり工作部に語り継がれてゆくのは先の話。
「ほほほっ……平民は妾に膝まづきなさい……ほほほっ」
紫色のパーティードレス姿で現れたのは
綺麗に着飾って髪の毛も縦ロールにしてくれてかなり気合が入っているが、こいつバリバリの庶民のはずだ。
「おほほほっ……パンが無ければパンケーキをお食べなさいっ!」
金髪カツラを被りピンク色のパーティードレスを着た王女役は
他の女子は恥ずかしがって町娘のシンプルな格好で出てきた。
「よおー、俺たちはどうだ?」
孝己を始めとした運動部連中は革のズボンに革ジャンで、肩にトゲトゲが付いた肩パッド姿だ。
何処の世紀末ザコだ?
絶対にコンセプトを履き違えている……。
「格好いいだろう、せっかくだからみんなで揃えてみたんだ」
「あ、ああ……い、いいかもな?」
俺はこれ以上言えなかった。
集団で同じ格好をると余計に世紀末のやられ役にしか見えない。
そしてゴブリンやオーガのコスプレをした連中も入ってきた。
オーガは角が生えていて格好いいがゴブリンは全身緑色のタイツを着ていてハッキリ言ってキモい。
本人が喜んでやっているので何も言わないが、クラスの女子からは目を背けられていた。
「よしっ、みんな揃ったな。
本番は明後日だ。
準備は今日と明日しかない。
見ての通り全く内装が出来てない状態だ。
男子は徹夜するからな、女子は六時までは許可を貰ってるがそれ以降は帰宅してくれ。
それじゃぁ、やるぞっ!」
「「「「「おおーっ!」」」」」
孝己の音頭に全員拳を上げた。
****??? ****
「よしっ、潜入は上手くいった。
勇者ユウの存在は確認出来たか?」
「まだです。
この敷地内に居るのは確実ですが、人数が多過ぎて確認に手間どっています」
「残っているのは、中等部とこの高等部の校舎だけです」
「中等部は考えられんが、一応確認しろ」
「はっ!」
「高等部は例の集団自殺した暴走族グループの仲間が居たはずだな?」
「はい、既に事故死していますが、在籍していました」
「その件も含めて勇者ユウが関与している可能性がある。
いや、勇者ユウがやったならば説明が付く。
やはり、高等部が一番怪しい」
「しかし、誰も勇者ユウの顔を知りません。
いくら微量な魔力をぶつけたら反応すると言ってもそろそろ我等の魔力が尽きそうです」
「そうだな……魔力が回復するまで一時的に休むか……勇者ユウに対した時に魔力切れでは対処出来ないからな。
夕刻まで各自注意しながら身体を休め魔力の回復に努めよ」
「「「「「はっ!」」」」」
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