過程は省くが、何やかんやで何となーく週末にセックスする関係の轟 金剛と鏡 慶志郎。
別段、2人は恋人という関係でもなくセフレという関係でもない。
嫌いというワケでもないが、好きという感情は持ち合わせていない。
寧ろ、お互いに何でコイツなんかと……という気持ちの方が大きいけれどセックスはする、何ともビミョーで奇妙な関係を結んでいる。
何から何まで正反対の2人は会社では通常通りに新規開拓の営業先の奪い合いとか、カプセルホテルのサウナ室で無駄に汗を流して我慢比べ対決だとか事あるごとに張り合っており、およそ仲が良いようには見えない。
少なくとも周囲からは「まーたやってるよ、あの2人」と半分、呆れられながら見守られているのだ。
ただ性格は合わないがセックスに於いて身体の相性は良い、と互いに内心では認めていて、発散したくなったら何処ぞのシティホテルにシケ込むか、金剛が慶志郎のマンションに泊まって気の済むまでヤり倒すのが、ここ最近のルーティーンとなっていた。
そんなワケでその週末もフラリとマンションを訪れた金剛を拒む事なく慶志郎は招き入れ、早々にベッドへと縺れ込んだのだった。
「……ん、」
まだ夜が明けきらぬ時刻。
ぐっすり眠っていた慶志郎は身体を引っ張られて目を覚ました。
昨夜、散々ヤッて疲れ切って気絶するように眠ってしまったのだが、深い眠りから浅い眠りに浮上したところで、隣で寝ている金剛が無意識に慶志郎を引き寄せた為に軽い衝撃で目覚めたのだ。
「ったく……またか」
心地好い眠りの邪魔をされ、慶志郎はぶつくさ不機嫌に呟いて金剛の腕の中から逃れたが寝ている金剛は気付く事なく、ぐぅぐぅとそのまま眠っていてゴロンと大の字になる。
何時からかこうして時々、2人で眠っていると金剛は慶志郎を抱き枕のように引き寄せて惰眠を貪るようになっていた。
最初の頃は鬱陶しい!と押し退けていた慶志郎だったが、何度やっても直らないので段々と馬鹿馬鹿しくなり、文句を言ったところで本人が全く覚えてないものだから最近は好きにさせている。
……まあ、何だかんだで自分より少し体温の高い金剛の腕の中は気持ち良いのもあるが、今朝ばかりはもう少し眠っていたかった事もあって、ちょっとムッとした。
ムッとしたついでにコイツも叩き起こしてやろうと、ほんの少しのイタズラ心が沸いて慶志郎は何気なく2人で被っていたブランケットをペロッと剥ぎ取った。
ヤる事ヤッてそのまま寝ちゃったので当然ながら、慶志郎も金剛も素っ裸である。
金剛を起こそうとした慶志郎は息を飲んで固まった。
大の字で寝ている金剛のブツが見事にそそり勃っていたからだ。
いわゆる朝勃ちというヤツである。
セックスなんてもう、結構な回数ヤッていてお互いに舐めたり触ったり揉んだり吸ったり色々イロイロしているが、金剛のブツをじっくり観察などした事は余り無かったように思う。
金剛の陰茎から目を離せず、慶志郎は彼を起こさないようにそっと下半身へと近寄った。
先刻まで叩き起こそうとしてたクセにwww
「……大きい、な」
顔を近付けてマジマジと金剛のブツを眺め、慶志郎はポソッと呟いた。
金剛も慶志郎も日本人の成人男性の平均以上に身体が大きく、備えているブツもその体格に見合ったもので恐らくは、そっちも平均よりは大きめの方である(推定)
金剛はどうか知らないが、その道のプロのお姉さまにお世辞抜きで褒められた事もある慶志郎なので、己のブツと比べても見劣りしない金剛のブツも間違いなく大層ごリッパなものであると確信している。
改めて見る彼のブツは長さ的にはほぼ変わらないが、金剛の方が若干胴回りが太く、ズル剥けの亀頭はやや浅黒くてエラが張ってカリ高で、寝息を立てる金剛の呼吸に合わせてユラユラ揺れており、それが何だか誘われているようでゴクリと生唾を飲み込み、慶志郎はそっと手を伸ばして握ってみた。
途端にまだ少しだけ柔らかかった陰茎はビキビキと硬さを増し、数本の血管を浮き上がらせて完全にMAX状態となった。
ビックリして思わず手を離してしまったが、もう一度そーっと握ってみる。
〈あ……すご…い、〉
手の中でドクドクと熱く力強く脈打つ男のシンボル。
握ったまま、ゆるりと上下に手を動かすと「ん…」と金剛が微かに呻き声を上げたので焦って咄嗟にそちらを見るが、彼は少し身動ぎしただけでスースーと寝息を立てており、安堵した慶志郎はもう一度ユルユルと手を上下に動かしてみた。
何処をどう弄れば快感を得られるかは個人差はあるものの、大体は同じ男だから分かっている。
金剛の陰茎を凝視しながら慶志郎が段々と動きを速めると、先端がジワリと濡れて透明な体液が溢れて手を濡らし、ニチャニチャと粘着音を立てる。
チラリと金剛を見ると眉を潜めてやや息を乱しているが目覚めた様子はなく、だが明らかに慶志郎の手淫によって感じているようだった。
寝ていてもちゃんと自分の手で感じているんだ、と思うと何だか妙に興奮して扱く手はそのままに、慶志郎は更に顔を近付け先端に舌を伸ばして舐めてみた。
滲み出る体液は何とも形容し難い苦味があり眉を潜めてしまうが、慶志郎の舌の動きに反応してかピクンピクンと動く陰茎に気を良くしてそのまま亀頭を口に含んでみる。
むわっ、と鼻を突く雄の匂い……否、金剛の匂いに頭がクラクラした。
時折、視線を金剛に向けて彼の様子を確かめつつ、舌先で亀頭を優しく舐め回して唾液を絡めてしゃぶる。
よほど深い眠りなのか、微かに呻くものの一向に金剛が目覚める気配は無く、段々と慶志郎の行動は大胆なものになっていった。
金剛の太い陰茎は喉奥ギリギリまで咥えても口に全て収まりきれず、ゆっくりと上下に頭を動かし慶志郎はいつしか口淫に没頭していた。
ちゅぽ、ぐぽ、と静かな室内に濡れた音が響く。
陰茎から絶え間なく溢れる体液は慶志郎の口内を一杯にし、己の唾液と混ぜ合わせながらも溢さないように喉を鳴らして余さず嚥下していくとカッと胃の中が熱くなり、瞬く間に身体がぶわりと熱を帯び始めた。
金剛の体液と己の唾液で口周りをベタベタにしながら陰茎を一旦抜いて唇で幹をやわやわ食み、根元の裏筋を辿り先端の方へ舌を滑らせ愛撫する。
その間も扱く手は休めない。
「……ぅ、あ、ぁ…」
額に薄く汗を滲ませ寝ている金剛が眉を寄せ、切なげな喘ぎ声を漏らした。
そっと目線を向けると眠ったままの男は厳つい顔を紅潮させていて、普段は意思の強さを示すように吊り上がっている眉を下げて息を乱しており、それが嫌味もなくセクシーで少し悔しくなる。
ムサ苦しい、無骨と揶揄される金剛だが決して醜男ではない。
慶志郎がシャープな顔立ちの美男子ならば、金剛は精悍な顔立ちの美丈夫なのだ。
普段は無愛想で愛想笑いの一つも出来ないのに、こういう時だけ無駄に色気を振り撒くのは反則だろう、サムライボーイのくせに。
彼とのセックスは気持ち良くて好きだし、自分が抱かれる立場でも特に文句もないが、感度の高い慶志郎はいつも金剛の愛撫でグズグズにされて前後不覚になってしまう。
毎回毎回、主導権を握られっ放しなので偶にはこうやって自分の思うようにやってみたかったのだ。
せいぜいワタシの舌で感じていればいいさ。
などと心中をモヤモヤさせている慶志郎だが陰茎を舐めしゃぶるその顔は金剛に負けず劣らず、熱に浮かされたように紅潮して欲情で蕩けており、それに呼応するように己の陰茎もいつの間にか痛い程にそそり勃って触れもしないのに、タラタラと快楽の証を垂れ流していた。
つい数時間前まで、金剛のソレで己のナカを存分に蹂躙され、気持ち悦い処を何度も何度も抉られて絶頂へと押し上げられていた事を身体はしっかりと覚えていて、思い出すと尻の中もズキズキと疼き始める。
ズルズルとはしたない音を立てて金剛の陰茎を咥えねぶりつつ、慶志郎は先走りを指に絡め後孔にそっと這わせた。
数時間前まで金剛を咥え込んで触れたソコはまだ柔らかさを残していて閉じ切っておらず、指先を潜らせると痛みもなくスルリと入り込む。
内襞が熱くグネグネと蠢き、少し慣らすだけで大丈夫そうだった。
2本の指でナカを軽く慣らしてから引き抜き、慶志郎はもう一度、金剛を見やった。
未だ彼は眠りこけていて、すぐに目覚める様子も見られない。
慶志郎は身体を起こすと極力、音を立てないようにサイドボードからローションのボトルを取り、適量を掌に乗せて人肌に温めると、金剛の陰茎に塗りたくった。
金剛に背を向けてそんな事をしていた慶志郎は、だから気付かなかった。
彼がうっすらと目を開いて己を見ていた事に。
妙にチンコが気持ちイイと思ったら……なーにやってんだ、コイツは。
実は割と早い段階で目を覚ましていた番長は、己に背を向けてせっせと良からぬ遊びに耽る金髪係長に起きた事を悟られないよう、気配を殺してそっと彼を観察していた。
途中まで確かに金剛はグッスリと眠っていた。
寝ていたが不意に下半身が……正確には己の分身が温かい何かに包まれトロけるように気持ち悦くなり、夢現で得も言われぬ快感を甘受していたのだが段々と意識が覚醒していくにつれ、これが夢ではないと気付いてそっと目を覚ましてみれば、隣で寝ていた筈の金髪エリートがそれはそれは美味そうに朝勃ちキメた己のチンコをしゃぶっていたというワケだ。
いつも素直ではない、ひねくれた性格の男がどういう風の吹き回しでこんな事をやっているのか金剛には分からず起き上がろうとしたが、いや待てよと思い留まった。
せっかく上司が自ら進んで御奉仕をしてくれているのだから、ここはひとつ部下として有り難く受けてやろう。
そう考え直して金剛は寝たフリをしていたのだ。
腹黒番長めww
時折、こちらを覗き見て金剛が起きてないかと確認する慶志郎にわざと唸ってやれば、ビクつきながらも愛撫を再開する。
彼の舌が陰茎を這い丁寧に幹を舐めては敏感な先端を咥え、唇で優しく食んで擽り、内側の頬肉で亀頭を扱いて溢れる体液を溢さず飲み込む音が聞こえ、それだけで欲望が頭を擡(もた)げる。
長い金髪を耳に掛け、一心不乱に陰茎を舐めしゃぶる後ろ姿が扇情的で、更には自分で自分の後孔を解すというサービスまで見せつけてくれて視覚的にも大概クる。
慶志郎が己から離れてサイドボードに手を伸ばしたので、すうすうと寝息を立てて気配を探る。
暫くゴソゴソしていた彼だが、ややして生ぬるいトロリとした感触が陰茎に落とされて、それがローションだと知れた。
再び薄目を開ければ此方に背を向けたまま慶志郎が膝立ちで己を跨ぎ、ローションでテラテラと滑る陰茎を後孔に押し当て、ゆっくりと腰を下ろしていくのが見えた。
目の前で丸見えの後孔に己のチンコが飲み込まれていく様は、色んな意味で金剛を限界に持っていった。
クソ、このエロ係長が。
「んっ、ぁ、……は、あ、あ…っ」
流石に一気には挿れられないのか、じりじりと腰を落とし慶志郎が苦悶の声を上げる。
時間を掛けて陰茎を全て飲み込み、慶志郎の尻がペタンと金剛の下腹にくっついた。
「……う、」
根元から先端まで柔らかでヒクヒクと蠢く肉壺に包まれ、金剛も堪らず呻く。
すげえ……クソ気持ちいい。
「んんっ」
広げた金剛の両足の間に手をついて、慶志郎が腰を上げる。
半分、抜いた所でまた腰を落とす。
そうやって何度か腰を上下に動かしていた慶志郎だったが。
「あっ、違……ん、ココ、じゃ…」
興奮と快感で白い肌を赤く染めつつ、クイと腰を回す様子にどうやら自分の気持ちいい処に上手く当てられず、もどかしいようだ。
金剛は金剛で、生殺しのような快感に苛々してきていた。
バカ違ぇよ、ソコじゃねえ。
ああもう、じれってえなァ。
テメエから乗っかってきたんだ、文句は言わせねえ。
我慢の限界を超え、カッと目を開いた金剛は腹筋を利用して勢い良く跳ね起き、後ろからガッチリと慶志郎を抱き込んだ。
突然の出来事に腕の中の男がビクウッ!と驚き、その反動で金剛のモノを飲み込んでいるナカがキュウと締め付けてきて思わず弾けそうになるのを漢気でどうにか堪える。
そんな事で無駄な漢気を発揮するのも、何だかなあというところだが。
「ヒッ!?」
「……よお、お早うさん。随分と面白れぇ事をやってんなァ?」
驚愕して振り向く慶志郎に、係長さんよ?とニタァと笑ってやれば、彼は見る見る顔を引き攣らせた。
「なっ…い、いつからっ…!?」
「テメエが美味そうに俺のをしゃぶってる時からだよ」
お前アホか。
そう言って金剛は後背位を取ると慶志郎の腰を持ち上げ、勢い良く叩き落とした。
「んああっ!?」
「よっぽど鈍感じゃなきゃ、こんな事されていつまでも寝てるワケねえだろうが、よッ!」
「ひっ、あっ、あぁんっ」
抱き込んだままズン、と彼の敏感な部分を容赦なく抉る。
「悪かったなあ……アンタがそんなにヤり足りねえって気付かなくてよ?」
「待っ…ち、ちが、あっあっあっ」
「違う?人のチンコを好き勝手にしといて違うもクソもねえだろうが…っ」
パニックで泡食ってイヤイヤと逃げる慶志郎の両足を後ろから抱えて広げがっちりホールドし、再び腰を持ち上げると雁首が内襞を捲りながらずるるう…と抜けていくのが分かる。
「あっ、あっ、と、とど、ろっ…、---ッッ!!」
どずん、ともう一度腰を叩き落とし、ゴリゴリと前立腺を擦ってやるとイク寸前だった慶志郎が前に触れる事なくそのまま絶頂に達し、ビュルビュルと白濁を噴き上げた。
「んっ、ぐっ…!」
同時に彼のナカが凄まじい勢いで収縮して金剛のモノを締め付け、流石の番長も堪え切れずに最奥で熱い飛沫を迸らせる。
だが散々っぱら彼の痴態に煽られていたお陰で、ナカに埋め込んだまま金剛のけしからん肉棒は再び固さを取り戻し、内側から容赦なく割り開いていく。
絶頂の余韻でひ、ひ、と掠れた呼吸を繰り返す彼の耳元に金剛は唇を寄せて低く嗤ってやった。
「せっかくアンタがその気になってんだ、気ィ済むまでヤろうぜ?」
金剛のセリフにこの後の展開を悟り、此方を振り仰いだ慶志郎が涙を浮かべてグシャ、と顔を歪ませた。
「おら、しっかり腰振れ。アンタ、ダンスは得意なんだろ?」
「あ、ぁあっ、も、もうっ…むりっ…、むり…!」
「聞こえねえなあ?」
後背位から再びベッドに寝そべった金剛に背を向けて跨がり、慶志郎は真下から突き上げられてグズグズと泣いていた。
両腕を後ろで掴まれて引っ張られ、背をグッと仰け反らされている為に普段とは違う角度で金剛の陰茎が胎内を抉ってくる。
逃げようにも逃げられず空イキを繰り返し、突き上げられる度にポンポンと腰が浮いては落ちて、気持ち悦くて辛くて……でも、何処かでもっと欲しいと思う自分が居て、思考はもうグチャグチャだった。
ぱつんぱつんと肉と肉のぶつかり合う音、抜き挿しする度に響く水音、啜り泣く声、興奮で乱れる吐息。
全てが互いを昂らせる為の興奮材料でしかない。
「は…っ、絶景…」
金剛もまた、慶志郎のそんな姿に煽られて普段の8割増しで厳つい顔が更に凶悪なものになっていた。
己を迎え入れる慶志郎のナカは誂えたようにジャストフィットし、突き込めば悦んで根元から先までやわやわと包み煽動し、抜いていけば行かないでとばかりに縋りついて締め付ける。
まるで、金剛の為にあるかのような。
そりゃそうだ、慶志郎のソコが金剛のモノを覚えるまで、徹底的に躾けたのだから。
性格も生き方もまるで正反対で何ひとつ共通するものがない2人なのに、身体の相性だけは抜群にいいのだ。
片手で慶志郎の両腕を掴み直すと、金剛は空いた手を伸ばしサラサラと揺れる彼の髪を引っ掴んだ。
「あっ!痛、いっ…!」
「しっかり踊れよ、係長。抵抗すっと痛ェだけだぜ」
ぐいっと髪を引っ張ると頭皮に走る痛みに耐えられないのか、慶志郎がカクンと顎を上げ、ボロボロ涙を流して言われるままに腰を揺らした。
その動きを読んでタイミングをずらし突いてやると、望んだ快感を得られなくて辛いのか、慶志郎はまた悲鳴を上げる。
「もっ…ダメ、あぁあぁあ゛あ゛ーっ…!」
イク、イキたい、むり、頼むからっ…轟!
泣いて泣いて懇願するその姿に漸く満足すると金剛は身体を起こして掴んだ腕と髪を解放し、繋がったまま彼を引き摺り倒して上から伸し掛かった。
既に慶志郎の目は焦点が合っておらず、ただイキたいと泣きじゃくる。
「……慶志郎、」
溢れる涙を指で拭い、金剛は彼の耳元に口を寄せた。
「------…か?」
囁かれた言葉に慶志郎はウンウンと頷き、震える腕を金剛の首に回して抱き着いてくる。
「ああ、好きなだけイケよ」
いじらしい彼の姿にフ、と満足気に笑みを浮かべた金剛は慶志郎を絶頂へと導き、自分もまた高みへと上り詰めていった。
鏡 慶志郎という男の本心を聞くにはどうしたら良いだろう。
彼と関係を結ぶようになったある日、ふと思ったのが始まりだった。
およそ素直でない、一癖も二癖もある慶志郎の性格を考えるとマトモに訊いて答えなど返ってくるハズもない。
そんな時、彼が快楽に弱く前後不覚になると意外に素直に言う事をきくのに気付いた。
試しに彼を責め立てながら簡単な質問をしてみると、ポロポロと本音を溢す。
しかも殆ど意識を飛ばしている慶志郎は己が何と答えたのか、碌に覚えていなかった。
こいつぁ、いい事に気付いたもんだ。
内心でニタリと笑う金剛は彼と寝る度に1つの質問を繰り返すようになった。
『なあアンタ、俺の事が好きか?』
その度に慶志郎は頷いて抱き着いてくる。
彼すら知らぬ彼の本心を、金剛は教えてやるつもりは無い。
この先もずっと。
いつか慶志郎自身が気付くまで。
「…ん、」
夕方、慶志郎は腰の痛みに目を覚ました。
明け方によからぬイタズラを仕掛けた所為で金剛に好き勝手に犯され、そのまま気絶してしまったらしい。
「クソ…この腹黒め」
しかし悪いのは自分なので致し方ない。
隣でぐっすりと眠っている金剛を見つめ、慶志郎は小さく息を吐いた。
轟 金剛という男の本心を聞くにはどうしたら良いだろう。
彼と関係を結ぶようになってから、ふと気になったのが始まりだった。
真っ直ぐで己を偽る事のない彼だから、訊けば素直に答えてくれるだろう。
でも、それは何だか負けを認めるような気がして悔しくて、慶志郎は意地でも訊いてやるものかと、1人で勝手に金剛に張り合っていた。
そんなある夜、たまたま夜中に目覚めた慶志郎は己を抱き込んで眠る金剛に独り言のつもりで質問を投げ掛けてみたのだ。
『キミは、ワタシをどう思っているの?』
寝ている相手に通じるハズもないと自嘲して、再び眠ろうとした慶志郎を金剛が力強く抱き締めてきた。
『……すきだ』
驚いて声も出ないでいると、金剛がすりすりと慶志郎の胸元に額を押しつけてくる。
『何処にも行くな』
翌朝、起きてからそれとなく訊いてみたが眠りの深かった金剛は何も覚えていなかった。
深い眠りに就いている時だけ聞ける、金剛の本心。
けれど慶志郎は教えてやるつもりは無かった。
もし彼が気付いたら……その時は自分も少しだけ素直になってやろうと思う。
「ねえ、金剛」
慶志郎は眠る金剛にそっと語りかけた。
「ワタシをどう思っているの?」
「………すきだ」
無意識の彼の本音。
答えを聞くと満足して慶志郎は再び眠りに就いた。
よもや互いに記憶のない所で想い合っているなど、本人達は全く気付いていなかったのである。
終