「ぁっ────!!??」
重く熱い衝撃が体の中を押し寄せてくる。
痛い。
打、斬、噛、爪、炎、氷、毒、第一級冒険者であるアイズは、今まで色々な痛みをその身に刻み込んできた。
でも、この痛みは違う。
準備の整っていない女性の証の箇所へ自分でないものが入り込んでくる。
それも鋭く突き入れられるのではなく、鈍く巨大な塊に突き上げられるように圧迫される。そんな痛みは味わったことが無かった。
「あぁ、ぅぅぅ、ぅううっ……!」
その痛みが引かないまま、すぐに体の中を切り裂かれるような痛みが体中に響き渡り喉首を反らせる。
「うぅぅ、ぁぁぅっ……!」
人並よりも小さな膣口が、アイズがベルの亀頭を受け入れている部分が、目いっぱいに押し広げられ、裂けるのではないかという恐れを抱きながら、歯を食いしばる。
「んっ……! んんっ……!」
透明といえるほどに白い裸体を脂汗で光らせながら、徐々に、徐々に、アイズはベルを誰も入ったことのない膣内に入れていく。
力任せに広げていく膣口は限界まで押し広げられ裂けたようにさえ感じられる。
膣口を割いて食い込んだ先端が、内部の肉を軋ませながら入ってくる。
「はっ、はっ、はっ、はっ、んっ、んぐっ、ん、ぐぅ……はぁ、はぁ、い、痛ぁぃっ……あぅぅ……」
今まで感じたことが無い場所に感じたことが無い押し上げる痛み。二つの初めてはアイズに止まらない震えをもたらし、何年かぶりに口から痛みを訴えさせる。
「痛……よ……べ、ベル……」
痛みに浮かべた涙でかすむ視界に映し続けるベルに痛みを訴える。そうすると、少しだけ、痛みが抑えられた気がした。いや、抑えられた。
ベルを胎内にいれている。ベルと一つになっているから。
だから、目に涙を浮かべながらも、アイズは少しずつ腰を落としていける。
「ベル……はぁ……ベル……んぐっ、胸の上、のどまで、硬いのが、き、そう、ん゛っ……べ……ル……」
痛みの中でも、膣襞が何か硬いモノに触れているのが分かり、全身が引き攣るようになり背中が仰け反りそうになるのを気合で抑え込む。
そうしなければ見れない。
ベルの顔を、ぼやけているベルの顔を見れない。
両手足がガクガクと冗談のように震えてもベルの顔を見る。そうすると実感できる。
ベルと一つになっている、ベルが胎内の奥深くにいると実感できる。
実感を味わいながら、奥へ胎内の奥へとベルの逸物を入れていく。
じわりじわりと下ろしていく腰に合わせて、喉から絞り出すようにベルの名を呻く。
「ベルっ……くぅっ……ベルっ……」
初めて男の象徴を招き入れた処女の膣は、硬く巨大な異物を押し戻さんと蠢動しながら圧迫して拒む。
ベルの逸物を痛めつけるほどきつく締め付けながら、アイズはベルの腹筋に繊手を置いたまま、じょじょに奥へ奥へと進める。膣ひだを擦りかき開く痛みにびっくんびっくんと痙攣しながら、ベルの名を呼び体の奥へ奥へとベルを入れていく。
「ベル……おく、もっと、おく、全部……ベル……くううっ!」
今のアイズにはそれだけしかない。ベルの顔を見ながらベルと一つになる、そんな望みしかない。
望みのまま腰を下ろしていくと十分に濡れていても狭い膣をベルの逸物が貫いていく圧迫感に襲われる。
痛い。痛い。涙がこぼれるほど痛い。
「ベル……ベルが、私の……な、か……に」
それなのに、痛みが混じっていても喜びの雌の声を響かせるほど嬉しくて涙が止まらない。
やっと一つになれた。一つになろうとしている。あるべきところにあるべきものを収めている。深く深く、繋がり合おうとしている。
だから、全身を跳ねるように痙攣させながらも止めない。
嬉しくて喜ばしいからやめない。
「う、ぅぐぐっ、ぅぅ……っ」
それでも、痛い。
当たり前だ。何の経験もどころか知識もない乙女が騎乗位をしたところで痛みが少ない挿入などできるはずが無い
「うぐ、うぐぅぅぅぐぅあぁぁぅ」
姿勢を安定させてじっくりと慣らすように挿入するか、いっそのこと一思いに一気に挿入することもできず、中途半端にふらつきながら挿入するという、一番痛い体勢となっている。
痛みに耐えきれず
「ぅぅ、うぅぅぅっ……」
くてりと、アイズの腰から力が抜けた。
「んっんんっ、ぁぅ、ぅぅ……!」
ベルの上に包まれるように覆いかぶさり、荒い息を吐きながらアイズは痛みに耐える。
肌と肌が触れ合う感触。硬い弾力に満ちたベルの体なのに柔らかく大きなもので包まれているような気になってくる。
ぬくぬくとした温もり、陽だまりのような温もり、アイズをいつも安心感と充足感で満たしてくれる温もり。
くんくんと鼻を鳴らすようにして吸い込むと、汗の香りがする。自分のものとは違う匂い。レフィーヤやリヴェリアやティオナ、同性の誰の汗でもこんな風に心地よい香りにはならなかった男性のベルの匂い。その匂いが、異性の匂いがアイズを蕩けさせ体の奥をキュッと疼かせ、逸物の圧迫感に呻かせる。
「は、ぁぁっ。ふ、ふぅぅっ」
愛らしいピンク色の舌を突き出しなら何度か荒い息を吐く。
ぴちゅ
ベルに覆いかぶさったまま、そんなことをすれば、今のアイズのようにベルの顔にその舌が触れることがある。
ぴちゅぴちゅこくこく
「ぷは……は、はぅ、べ、ベル、ベルの味ぃ……」
そのまま、ごくごく自然にアイズはベルの頬を舐めて味わい始めた。その行為に他意はない。ただ、本能と情欲の趣くまま行動しているだけだ。
普段は静脈が透けて見えるほどの透明な白皙の頬を鮮やかに赤く染め、その先端の唇から薄いピンク色の舌を突き出しベルを舐めしゃぶる。
「んっ、んくっ……少し、痛くなくなった……ん……」
ベルの味を味わうたびに脳内麻薬が分泌され、痛みが薄らぐことに気が付いたアイズは、ベルの顔を獣のごとく舐め始める。
鼻
ぴちゅぴちゅこくこく
まぶた
ぴちゅぴちゅこくこく
頬
ぴちゅぴちゅこくこく
額
ぴちゅぴちゅこくこく
「ふぁぁあぁぁっ」
ベルの顔を涎まみれにする頃には痛みもだいぶ薄らぎ、紅潮しきった顔から恍惚の吐息を漏らす。
「あ、あとは、あの、その……」
最後の場所、未だアイズの唾液に侵されていない、犯さなかったベルの顔の一か所をちらりちらりと恥ずかし気にアイズは見る
「べ、ベル……い、いくよ……が、頑張るからね……!」
自分の涎が垂れていってベルの唇につきかけた時、アイズは決意が決まった様に意気込む。
「んちゅ……! ちゅ、ちゅぱ、ちゅぅぅっ……」
緊張気味に顔を寄せると、唇を尖らせてついばむようにキスを始める。
触れるか触れないかから徐々に積極的に押し付けていく
「んっ、んぷっ、ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅぅ」
積極的ではあっても躊躇いを挟みつつ舌を入れない、初々しいキスを繰り返す。
「ちゅ、ちゅぅ、んんっ、はぁ、キス、ベルと、んっ、キス……初めて、んちゅぅ、キス」
胸の高鳴りに従って気持ちのままにキスをする。
「ちゅぱっ、ちゅぅ! 初めてだから、うまくやり方がわからない……んんつ、んむっ、んふっ」
つい先ほど薬を飲み込ませるためにした口付けと、情愛のあまりした触れるようなキスを、ごく自然と記憶から消し去って区切り、アイズはベルの唇に息が苦しくなるまで唇を押し当て続けた。
「んぷはぁ……けふっ」
呼吸一つ。意識を落ち着かせたアイズに疑問が湧いた。
「はぁはぁ、ベル、キス……私は、初めて、はぁ……じゃあ、ベルは?」
ベルは誰かとキスをしたのか、そんな疑いが全身を紅潮させたアイズの脳裏に過り、痛みが激しい情愛により抑えこまれた。
「はぁはぁはぁ……だれ」
勿論アイズは信じている。ベルが自分からはしていないと信じている。何人もの少女と浮気しても、するならば一番最初は誓いをしてくれたアイズだと信じている。
──それ以上に信仰している。
ベルが、ピンチの女の子を身も心も助けたあげく、致命的な言葉をぶつけると信仰している。その態度と言葉を女の子がどう受けとるかを知らずに想いのままをぶつける天性の女たらしだと信仰している。
そのため、無理矢理するなどという、常識も良識もなく衝動と本能で動かざるをえない女の子が居るということが今のアイズには分かる。とてもよく分かる。
だから、ベルの最初のキスがアイズでない可能性をアイズは受けとめられる。
したのならば誰か。疑わしいのは、ベルから攻めるか周りがお膳立てしなければ関係が進展しそうにない
ベルと
そう、
ぴちゃぴちゃはぁはぁ
凄絶なものを瞳に宿しながら舌を伸ばしたアイズは、ベルの唇の縦ジワ一筋一筋に己の唾液を刻み込むように舐め始めた。
どこまでも優しく丁寧に。
ベルの唇に己だけを刻むために舐め塗りつぶす。
情感を持って塗りつぶす。
これは私のものだというように
そうしている間に、ようやく逸物の半ばまでを、アイズは己の膣の中に押し込んだ。
「んちゅ……んっ、んぅっ……」
ベルの亀頭がアイズの処女膜に触れる。ひだでしかない処女膜に当たっているのを自覚し、額に冷たく粘りついた汗を浮かべながら全身を痙攣させてアイズはベルの唇を舐めしゃぶる。
いよいよだと己に言い聞かせるために。
「んっ……ベルっ……いくよ……」
一度呼吸を落ち着かせて意を決し、一気にベルの体の上で己の体を滑らせる。
「あぐぅっ!? ……んぅ、う゛う゛う゛あぁぁっ!」
痛みとやり遂げた想いで目を見開いたアイズが、小さな膣穴を限界まで押し広げてベルの逸物を胎内奥深くにいれ終える。震えるアイズの少し浮かんだ腰、ベルとの腰の間に出来た隙間に血が滲みだした。
「……はぁ……ぁ……これから……どうしよう」
アイズにとって、処女膜を破る痛みはそれほどのものではなかった。
それよりも胎内に自分のものとは違う肉体を初めて受け入れた圧迫感の方がつらかった。
鈍い痛みとともに、お腹がいっぱいになり頭のてっぺんまで押し貫かれたような圧迫感。
そんな圧迫感が僅かに遠のくと、アイズは唾液でべっとりとしたベルの頬に己の頬を押し付けるようにして吐息をつく。
ベルの逸物の先端がじぶんの胎内の奥底──こつん、と硬い部分に当たるまで膣内に入れたアイズには、激情のままままここまで来てしまったアイズには、これからどうするのか知らないし分からない。
痛みと熱さと圧迫感で何が何だかよくわからないまま途方にくれてしまいそうになる。
じっと、ベルの顔を見る。べっとりしているが、いやだからこそ、胸がざわめく。僅かに眉根が寄った眉も、閉じたままの瞳も、血の気が戻った頬も、ゆるく開いた口元も、そこから吐き出されるベルの香りで染められたと息も、流れる汗もアイズを惑わせ落ち着かなくさせる。
今、そんな相手と、ベルと一つになっている──それもおそらく自分だけが一つになった──ことが、アイズの中で優越感に似た熱い衝動となる。
自分以外の誰にもさせたくない。年頃の少女として当たり前の衝動に身を焦がすアイズの膣で変化が生まれた。
「ぁ……」
ベルの逸物が大きくなった。アイズの独占欲に応えるように大きくなった。
「ん……ん、んく……ふ、ふぁ……?」
増える圧迫感に身じろぎしたアイズは下腹部全体に響く様にじんとした感触が生まれたことに戸惑い、すぐに確かめる。
じん
「ふっ、ん……」
ベルの腰の上でアイズはゆっくりと腰をくねらせるようにして動かし始める。変わらない痛みと熱さと圧迫感の中、さっきベルのお尻の穴に指を入れられたときに感じた快感がある。
じんじん
「ふぁ……ん、ふっ……」
愛らしく喘ぎながら腰を静かに慎重に動かす。その度に快感は大きくなり、アイズの下腹部を染める。
じんじんじん
「ふっ……あふっ……んっ……」
じょじょにリズミカルに大きく円を描くように腰を動かしていく。そうやって初めての膣への刺激を快感を味わう。
知識もないアイズにはこうすることしかできない。膣で逸物を締め付けながら腰を浮かして下してピストンをするなどと思いつきもしない。ただ本能の趣くままに腰を動かし、ベルの逸物が自分の膣の中で動き、それに吸い付く様に蠢き締め上げるのに、戸惑いと幸せを覚えながら腰を揺する。
「はぁ……んっ……はぁ、ぁっ、んっ」
アイズの全身から汗が噴き出す。ベルの体臭と混じり合った匂いが、アイズの鼻腔を妖しく刺激する。
ベルの胸板で押しつぶされたアイズの乳房の先端が尖り擦られ、アイズに胸からの快楽を教え込んでくる。
ぴちゃ……ぴっ
「あっ……ふぁ……あぁ、んっ……くっ、ぅんっ」
腰から太腿へのラインを痛みと熱さと圧迫感で引きつらせながらアイズは股間から水音を響かせる。時折不意を打つように強い刺激が起こる度に声が漏れ、びくついた自分の膣がベルの逸物により強く絡みついていく快感を味わう。
「ぁぅ、ぅぅっ……あうっ、くぅ……」
お腹の奥がひくひくと何度も引き攣って愛液を分泌してベルの逸物に絡みついていく。きゅうぅぅぅっと音を立てて絡みついて締め付けているのがわかり、体に叩き込まれていく快感が焦燥感と恐れにも似た思いを抱かせる。
「ベルの……に、合わさ……って……んぅ」
腰を動かすたびに、右側の壁、左側の壁、腹側の壁、尻側の壁に、膣壁の様々な箇所逸物でえぐられる。アイズの膣がその度に広がる。ベルの形に合わさるように広がる。
未開の膣粘膜を擦られる痛みがアイズを駆け抜けても、その顔に痛苦は無い。
自分の体がベル専用に作り替えられていく気がする。それだけでアイズは幸せで、痛みを忘却の淵へと追いやった。
「んっ……ちゅ、ちゅぶっ……んんっ」
唇はベルの唇をついばみ、形のいい乳房はベルの胸板で押しつぶし擦り、互いの陰毛を絡み合わせながら腰を動かす。
洞窟内の限られた光量を吸収するように髪を翻してベルに縋る様に覆いかぶさるアイズは、身震いするほどの淫らさがあった。
「ふあぁ……んっ……あぅ……」
快楽がある。気持ちいいと思う。痛みよりも気持ち良さが優越している。
だが、足りない。
さっき、ベルにしてもらった時ほどではない。
体も心も満たされるような感覚ではない。
それがどうしてなのか考えるまでもなかった。
「はぁ……ご、ごめ……」
アイズは愚かではない。それがどうしてなのかを十全と理解している。意識が無いベルを無理矢理にしているからだからだと理解している。
「ごめ……ぅぅぅんっ」
ベルと一緒に擦ればどれだけ素敵な快楽になったのかを理解している。
だから、自分の愚かさとベルにしたことの嫌悪と羞恥と罪悪感がアイズを責めたて冷静に燃やす。
許されないことをした。謝ってもどうしようもないことをした。
それでも謝らずにはいられない。
「ごめ……んなさい……んぅ……?」
謝罪をして一度ベルから離れようとした時、ベルの逸物が一際大きくなったのが分かった。
「あっ、んっ、びくびく、じっとり……してる」
どくんっどくんっ
まるで心臓の鼓動のようにベルの逸物が震え跳ねる。アイズの膣内をじっとりと愛液ではないぬるりとした液体中を満たしていくのが分かる。
「あっ……ぅぅぅぅぅっ」
ベルの逸物が震え跳るたび滑りが良くなっていくのが分かる。腰を動かすのが楽になっていくから。
精液は特別熱くはない。だから、胎内の奥底に、子宮に入っているのかはアイズには、乙女には分からない。そこまで子宮は敏感ではない、経験しなければ射精されていることに気付かない。普通はそうだ。
だが──
「ぬ、ぬるぬる……あっ、えっ? ……お、お腹、膨れて……る」
外見が『兎』に例えられる少年が、精力までも『兎』ならば前提が覆る。
「べ、ベルが、びくびく、する、んんっ……はうっ、なん、で、お腹、まだ、膨れ……んんんっ!?」
ベルの精を飲み込まんとするアイズの膣がベルの逸物の根本から亀頭に向かってポンプのごとく蠢く。
そうしないと追いつかない。アイズに恐怖感を抱かせるほどベルの精は多い。
「んぅ……んっ、ぅっ……あ、熱っ……」
ベルの精を子宮に飲み込んでいくうちにアイズの体が火照り、アイズの裸体に大量の汗をかかせた。
引き締まった小ぶりな尻が、吐き出される精液に呼応するかのように自然と力が込められ、膣内の圧力を高め盛んに蠢く膣壁とともに逸物を刺激し、根こそぎ精液を搾り取らんとする。
尻だけではなくアイズの白い腹筋さえも同時に蠢く様は、恐ろしいほどの淫らさがある。
少しでも多くのベルの精を搾り取ろうとするようにアイズは裸体をベルの体の上でくねらせる。柔らかな女体が引き締まった男体に擦りつけられ柔らかくゆがむ。
「ご、ごめん……ごめんね……」
全ての精を飲み込んだアイズに訪れるふわふわと雲の上にでもいるような心地よい余韻。男性に──ベルに抱き締めてもらいながら噛み締めたくなる余韻。
だが、アイズの心を襲うのは後悔と絶望だった。
「ふぅぅ……っ、はぁ……ぁっ……」
未だ絶頂とは程遠いが、賢者タイムと呼ばれるように出せば情熱から急転直下に冷静になる男性のものとは違い、女性が性交後に長い間味わう心地好い余韻をアイズは荒い息を吐きながら味わう。
そう、ベルを抱き締めてその体温を感じながら味わう。後悔と絶望を感じながら味わう──
「…………ぇっ??」
こぼれるような吐息が聞こえた。
誰の声か問うまでもない。何度も気絶から覚めた時に──膝枕をしたときに聞いた声だ。
だがいつもとは違う。
「えっ……!!??」
その吐息は茫然と驚愕に満ちていた。
その吐息を聞いたアイズには絶望と断罪を心待ちにする想いしかなかった。
この声から茫然としたものが消えれば何が起こるか。
決まっている。
嫌われる。
絶交されると。
「お、おはようベル」
断罪を待つ罪人の心境で、アイズはベルの顔を見ることが出来ず口の中で転がすように呼び掛けた。
もう取り返しがつかない。ベルに嫌われ絶交されるだろう。だが、それを受け入れなければならないのだ。
瞳を潤ませながら、アイズはその時を待った。
……
「………………ゃだ」
意図せず言葉が漏れた。
「……ゃだぁ」
無理だ。
そんなこと耐えられない。
ベルが側から居なくなるなんて、私には耐えられない。
ベルの温もり強さ笑顔優しさが無い世界にアイズ・ヴァレンシュタインは生きていられない。
笑顔でなくてもいい、嫌われてもいい、憎まれたってもいい、自分の英雄でなくていい、ベルにそばに居てほしい。
──イナケレバナラナイ
なら、どうする? もう、絶交されるのに? そばに居なくなるのに
決まっている
──力ずくだ。
力ずくで叩きのめし何処かに閉じ込めて枷を首に嵌めて四肢をもぎ
「…………ぇっ??」
燃え盛る漆黒の意志に身を任せかけた瞬間、少年の手のひらを優しく頭に置かれた少女の疑問の吐息が部屋に響いた。