とある老神「儂の育て方は間違っていなかった(確信)」
一度唇を離して告白し合い見つめ合ったまま、静かな時間が流れた。
やがて、アイズとベルはどちらともなくゆっくりと唇を再度重ね合わせる。
アイズの唇は柔らく弾力に満ちている。唇から伝わる温もりに目を開くと、こちらも開いた金の眼差しが見つめてくる。
金の中に、光が灯り揺らぐ。もっと欲しいと。重ね合わせた唇を離したくない。同じ願いを抱くアイズは唇を合わせたまま、起き上がり向かい合い強く抱き合う。
互いの身長差で、自然と胡座をかいたベルにアイズがまたがる姿勢となり、自重でアイズの尻がベルの腿に食い込むように潰れる。
尻だけではない。アイズの柔らかな体がベルの鍛えられた体に圧し潰され、ベルの硬い体をアイズの柔らかさが抱擁する。
ベルの腰にアイズが自ずと脚を絡ませたがゆえに、互いの性器が触れあう。互いの背中を走る確かな快楽。
だが、そんなすべての感触は、キスに夢中な恋人たちには脳裏の隅に押し込むものでしかない。
夢中で唇を離すことなく顔の向きだけを変えて互いの唇全体を味わい。形を覚える。
ふれあっているだけで、ベルとアイズはえも言えぬ幸福感に包まれる。
アイズは唇を永遠に重ねておきたいと、瞳を潤ませながら無言で懇願する。その思いを包むようにベルの瞳は何処までも優しさに包まれる。
僅かに安心したアイズに、今度は舌を差し入れた。アイズの唇だけでなく全身がわななく。が、優しく滑らかな背中を撫でるとすぐに大人しく従い応える、
口内をまさぐるベルに対し、アイズもベルの口内を丹念にまさぐる。ふと、触れ合う互いの舌。どちらともなく絡め合う。ぎこちなさはあったがすぐに激しくなり、互いに溢れる想いのまま無我夢中で舌を絡め合わせる。
ぴちゃぴちゃ
唾液が零れ互いの胸にかかるほど激しい燃える交歓。アイズの柔らかな乳房にぽたりぽたりと垂れた唾液が煌めくような肌をさらに嫣然とし、ベルの胸板に垂れた唾液が少年の男の色を強める。
だが、互いの目はそんなものを見ない。目と目で見つめ合いながら、夢中で貪り合った。
呼吸さえ億劫。欲しいのはただただ己と相手の肌と唇と舌と唾液。交し合う唾液が小さな水たまりを作る中、息苦しくなっても構わない。ぼうっと薄れる意識の中で、相手だけを強く感じられるのだから。
「はぁっ…………」
第一級冒険者の身で息が苦しくなるまでキスを続けた二人は、体を押し付け合いながら荒い呼吸を交わす。ベルの呼吸がアイズに、アイズの呼吸がベルに、互いの熱を高めて体が溶けて一緒になってくれるように願い欲する。
はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ
何時までも続くかのように続く荒い呼吸。だが永遠には続かない。
「ベル……止めないで……もっと、もっともっと、ちょうだい、口づけ、して……」
同じ願いを言葉にされたベルはアイズの唇に吸い付くように唇を重ねる。アイズはこちらが照れ臭くなるくらいに顔を綻ばせながら答える。積極的に舌を差し込んでくると音がたつほどにベルの口内を的確に貪る。
そのまま、同じく息が苦しくなるまで互いの口内を貪り舌を絡め合わせる。飽きることなどない。このまま時間が止まってしまえばいいと思うほど続いて欲しい。一方は最初から的確に、一方は最初はぎこちなくも徐々に的確に、唾液を交歓しながら想いを交歓する。
(それにしても)
ふと、思いついたことがベルの舌を止めさせた。その様に疑問を頭に浮かべたアイズが、離れがたい口を離して尋ねる。何で、止めるのか不安に思いながら。離れ離れになることを寂しく思いながら。
「はぁはぁはぁ……どうしたの?」
何時の間にか虜になっていた大人のキスを止め、唇を離すと幸せそうなベルの顔に影がある。
「いや……何でもないんだ」
「話して」
「いや、本当に」
「は・な・し・て」
発情しきった顔つきで口から涎をたらしながら見上げてくるというアイズの破壊力にベルは屈した。
「アイズ、キス慣れてるから、その、初めてじゃ無いんだって思うと……ちょっと、ね」
「……え?」
「……ご、ごめん。自分勝手な我儘だよね。女の人の過去は聞かずに受け止めないといけないのに──」
慌てて捲し立てるベルの言葉に、ぐさりぐさりと心の痛い所を突かれながら、アイズは内心で滝のような汗を流す。
慣れているように思えるかもしれないが、アイズもキスは初めてなのだ。ベルはそうでないと受け取ったようだが初めてなのだ。
だから、私も初めてだと言えばいい。でも、言えない。言えるわけがない。
アイズが初めてだと正直に言えば、ベルはどうして慣れているのか問うだろう。
Q:アイズはどうして初めてなのにこんなにキスに慣れているの?
A:慣れているように思えたのは、重傷を負った体でも私を助けようと奮闘して気絶したベルの唇を治療を盾に奪って、ベルの口の中の構造を覚えるくらいに貪ったからだよ。だから、私がキス初めてなのは間違いないよ。
……そんなこと言えるわけない。
痴女である。命の恩人に発情して唇を奪った痴女である。しかもその後で寝込みを襲いながらキスしたどうしようもない変態である。
さっきこんなことをしたことを怒っていると言っていたし、いくらベルでも怒るだろう。いや、怒るだけなら良い。
(嫌われちゃう)
目の前が真っ暗になった。
心と体も通じ合ったばかりの自分の英雄に、嫌われることにアイズの心は耐えられない。冷や汗を流しながら体を震わせる。
「……ごめん」
でも、ベルに、好きな人に嘘をつくのはもっと耐えられない。隠し事をしている時に見せるアイズの特徴的な様相に疑わしげな目付きになっていたベルの眼差しに、生まれたての小鹿のように震えながら心の内をさらけ出す。
「……さっき……気絶したベルに、治療のために口移しで万能薬を飲ませて……隅々まで舌で……ううん」
アイズは目線を逸らしながら、羞恥に頬を染めた。
「治療終わってから、気絶したままのベルの寝顔見てると……つい、ベルを感じたくなって、キスして……ううん、あれは、その……」
しちゃったけどキスに数えて欲しくない、と蚊の鳴くような声で呟きながらやっぱり痴女の変態じゃないかなあと思うアイズ。
両手を胸の前でモジモジと弄りながら言葉を続ける。
「ご、ごめんね。本当にごめん。お、怒ってるよね」
「怒ってないよ」
「ゆ、許して、くれるの」
「うん。もちろん」
「ほ、本当」
「本当」
何かに耐えるように手短に言葉を捻り出すベルの様子にアイズは気付くことなく、許された安堵と羞恥で全身を赤く染めながら言葉を紡ぐ。
「な、なら、ならね……できれば、なんだけど……私の……私の初めてのキス……私の初めてのキスは、今のにして欲しいんだ……起きてるベルと、したのが初めてにして欲しい……んだけど……」
アイズは、余りの羞恥に全身を赤く染めながら、たどたどしい言葉で全て吐いた。
「ご、こめんね。寝込み襲うようなことしたのに、わがまま言って……でも、お願「アイズ、可愛い」え……んむぅぅ!?」
お願いだから今が初めてのキスにして、懇願を遮った返答は口内への舌だった。思わず目を白黒して逃げようとするが、ステータスでは自分を上回っているベルから逃げられるわけがない。
散々口内をしゃぶられる。舌の付け根、舌の裏側、臍、口蓋、歯茎、頬、縦横無尽に暴れまわるベルの舌にアイズは何とか舌を絡ませようとするができない。
口の中のいたるところを、ベルの舌先が擦り舐め上げ、くすぐり弾くのを甘んじるだけだ。
思わず唇を離す。
「はぁはぁはぁ……べ、ベル、どうして、舌、一緒に……」
一緒に舌を絡ませてくれないのと心で呟くアイズを、寝込みを襲われて唇を奪われたベルは優しく見つめる。
「アイズ」
「な、何?」
ベルのキスにより、寝込みを襲った返答を貰えていないことを忘却してしまっていたアイズ。名を呼ばれて思いだし、どもってしまう。
「うん。今までのが僕たちの初めてのキスだよ」
「っ、ほ、本当?」
「二人が起きてないとキスって言わないでしょ」
「──そ、そうだよね」
「それと」
「それと?」
満面を喜びの笑みにしながら、可愛らしくコテンと首を傾げる器用なことをするアイズ。
ヤバイ。ベルにとって凶器以外の何ものでもない。
「アイズが可愛すぎて我慢できない」
「ふぇ……」
怒るべきかもしれないとは、ベルの思考の片隅にも浮かばなかった。あるのは唯、愛しさ。可愛いと言われボッと赤く染まるアイズのあまりの可愛らしさにベルの野生が刺激される。
「僕もアイズの口の中がどうなってるのか確かめる。それが僕たちの二回目」
「え……う、うん来て……んむっ」
返答を待つことなく唇を塞ぎ、一方的にアイズの口内の構造を確かめていくベル。そんなベルに一瞬戸惑ったが、ベルに関しては取り敢えずさあ来いのアイズ。目をとろんとしてベルのキスを受け入れ、さらなる虜となる。ベルの舌が口内を蹂躙するたびに脳髄が痺れていく。自分の口の構造をベルにあばかれている。自分を曝け出している。自分が返さずに一方的にベルに攻められている。ベルにアイズのことを深く知られている。
自分がベルのものになっている実感にアイズはうっとりする。揺蕩うような快楽。ずっとこのままベルに攻めっぱなしでいてもらいたいと瞳が揺蕩う。
その瞳が突如として開かれる。
「ちゅぱっ……おっぱいも確かめるね」
「む……んっ、んぅっ」
返答を待たないベルの手がアイズの乳房に触れ、ゆっくりと優しく撫で始めた。
突然の愛撫。乙女の柔肌に対する初めての愛撫に、アイズの体は自然と緊張に強張り、ふ、ふ、ふ、と詰まった鼻息をベルの白い髪にかける。
そんなアイズの緊張をほぐすように、ベルは手のひらを添えるようにして撫でてさする。最初から揉んだりせずに優しく撫でるだけの愛撫は、アイズの緊張をほぐし、未熟な官能でもはっきりとした熱となる。
「んっ……ちゅ……んっ……」
緊張がほぐれると、ベルに乳房を愛されている。その事実をアイズは認識する。認識すると同時に、歓喜に体が震え下腹部が熱くなっていることを悟った。
ベルに優しく乳房を擦られる度にじんじんと熱くなる乳房と下腹部。ベルが気絶していた時に触られていたものとは段違いの優しい熱さ。愛しく愛撫される女の官能がアイズの体をじわりじわりと熱くする。
緊張から安らぎへの落差が、アイズを昂らせてくれる。
あまりの心地良さにアイズはうっとりとして、ベルの口付けと胸への愛撫に全身を一層委ねる。
そんなアイズに対し、ベルは祖父に教わったように揉む前に表面を優しく撫でつけ、緊張から安らぎへと変えながら昂らせる。ピクリピクリと閉じた瞼を震わせるアイズが愛らしい。口づけしたままの唇からはちみつに砂糖を溶かし込んだような甘い声が漏れるのが楽しい。
自分に性技を教えてくれた祖父の株を暴騰させつつ、ベルはどこまでも優しくアイズを愛撫する。
(これが……アイズのおっぱいなんだ)
きめの細かい肌だった。しっとりと手のひらに吸い付いて離してくれない。酷く手になじむふんわりとした感触を楽しみながら乳房を愛撫しながら観察する。
向かい合っていてもプルプルと震えるだけの質感を持った乳房は、しっかりと上を向いて美しい紡錘の形を保っている。その頂で小さめの薄桃色の乳首がつんと上を向いている。両手で優しく乳房を擦り続けるとじわじわと固く張り詰め色濃くしていく。
指の裏で擦ると、アイズはぴくんと可愛らしく反応した。
「気持ちいい?」
「…………うん……び、びりってする」
どちらからともなくキスを止める。てらてらと光り輝く唾液の橋の先。ほんのりと恥ずかしそうに頬を染めたアイズが、恥ずかしそうに、けれど素直に頷く。
「ベル……」
「何?」
「私のおっぱい、どうかな」
「とても綺麗で柔らかくて暖かくて……大好きだ」
「ベルに好きになってもらえて……嬉しい。好きにしてね」
返答にベルはアイズの乳房を揉み始めた。手のひらですくい、たっぷんと揺らす。みっちりと肉が詰まった感触と、ふにふにと指を沈み込ませる独特の柔らかさ、と思えば芯がぽよんと弾き返してくる弾力。
女の子だけが持つ魅力的な塊に、ベルは感動さえしながらアイズの乳房を揉む。
「ん……んぅ……」
ちゃんと昂ってから優しく乳房を揉まれた快楽に、甘ったるく鼻にかかったアイズの声。耳から入り頭を蕩けさせる。
アイズの生の乳房を揉みしだき、アイズに快楽の声を上げさせる。そのことが楽しくて、ベルは夢中で揉み続ける。
「……んっ……べ、ベル……んっ」
乳房の裾野を愛され、ぴくりぴくりと震えるアイズ。ちゅっちゅっと音を立ててベルがアイズの首筋に吸い付きながら、ゆっくりと乳房の裾野から先端に愛撫の先を向けていく。
柔らかなアイズの乳房の形を変えながら乳輪の所まで行き、また裾野へ。
「……? ……」
それを何度も繰り返されたアイズの目に疑問が湧く。どうしてベルはおっぱいの先端を可愛がってくれないんだろう。さっき一度だけ触れてくれただけで触らないなんて変だ。
一度乳首での快楽を知っているだけに思いは強い。何度も何度も焦らされたアイズは口に出す。
「ベル……んっ」
「何、アイズ」
「触って」
「触ってるよ」
「ん……ぅぅ……そ、そこじゃなくて、さ、先を」
「具体的には?」
かぁぁぁっ。ベルが何をしたいのか理解したアイズの顔が羞恥に赤くなる。
いじわる。初めてで恥ずかしい所を言わせるなんて。誰にこんなことを教わったの。
無数の思考はすぐに切なさに覆された。
「私の、おっぱいの先の……乳首を触って……可愛がって」
憧憬一途スキルは変化してます。何かバグったのに。
そういえば、ベルってキス誰かとするのかな。今回は、ゼウスの薫陶よろしく「自分が初めてかを言わずに相手が初めてかを聞く」でいきましたけど