※この作品はR-18です。

憧憬が憧憬でなくなった日   作:サリエリキキ

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 今更ですが、この話はダンメモのデートオアアライブのコラボイベントがあった世界線の話です。


ちょっと師匠関連を追加しました。
アイズからしてみれば「ベルの居場所を奪って苦しめた一味なのに、自分を差し置いて師匠とか呼ばれて慕われている存在」を
寝取られ属性が増えるとは、流石ベルくんです。


承①

「んしょ……ふうっ」

 

 一通りベルを拭き終わり、アイズは熱い吐息を吐いた。

 見た目は普段通りに乏しい表情だが、見るものが見れば満たされない衝動を堪えていると理解できるだろう。

 

「んんっ」

 

 腹の奥、胎内から沸き立つ衝動。余りに熱く疼く衝動に、熱い吐息を漏らしながら、ベルを熱い欲情に満ちた眼差しで見つめてしまう。

 

 ぶんぶん

 

 このままでは気絶したベルに、いけないことをしてしまう。

 そんな未知の衝動から目を逸らすために、アイズは自分が気絶した間に何があったのかを考えることにした。

 

 気絶したのに傷一つない自分。

 ベルのすぐ後に着水した土石流。

 土石流と同時に、ベルから離れた所に着水した自分。

 ベルの折れた左腕。

 空中にいた傷ついた火食鳥。

 治療薬が足りずに、治りかけだったベルの体。

 それらを総合して頭の中で組み立てる。

 

「……ふぇ」

 

 何があったか理解して変な音が喉から漏れた。

 布代わりにした絞った下着を横に置いて、もう一度考え直しても答えは同じだった。

 正直、信じられないが認めよう。

 認めると声どころか全身が震える。

 だけど、認めなければならないことはまず認めて次を考えろ。と、リヴェリアもフィンもガレスも言っていたから認める。

 

「つまり、ベルは」

 

 私を気絶させた怪物を脇腹に穴が空いた体で倒し、直ぐに空中に身を投じた。

 そのまま土砂の岩石を蹴飛ばしながら落下速度を上げて、土砂と共に落下する火食鳥に襲われかけていた私を空中で抱き締めた。

 火食鳥の群れに襲われながら空中で何体か仕留めた。その時、左腕で私を庇ったから左腕を折られたのだろう、きっと。

 何とか火食鳥の群れから私を庇いながら、空中落下中に腕が折れたまま私に治療薬を飲ませて傷を治してくれた。

 私の治療を終えて自分が治療薬飲み始めた時に、水面に接触しそうになった。だから、私を壁に向けて放り投げて土石流に巻き込まれないようにした。

 そのまま治りかけの体を冷水に浸けたショックで気絶してしまった。

 脇腹に穴が開くような傷、ハッキリ言って致命傷を負った体で。実時間僅か数秒の間で。

 それを成した。

 

「ことに、なる、よね?」

 

 あまりの衝撃に脱がしたベルのズボンを絞っていたアイズの手が震える。

 

「……無茶苦茶だ」

 

 内面で幼いアイズがガーンと大きく口を開けて固まっているが、仕方ない。

 一つ一つならば出来る人間は居るだろうが、全て纏めて出来る人間など想像出来ない。

 

「だって……」

 

 アイズはベルのおおよそのステータスを知っている。

 ベルのステータスではそんなことは出来ない。

 あの瞬間だけ己の意思で限界を超えなければそんなことは出来ない。

 だから、ありえない。

 

 ……わかっている。ありえなくない。なぜなら自分はそんなベルを知っているから。

 

(あの時、みたい……に)

 

 ジクリと胸が痛むと同時に温かくなる、矛盾した想いを抱く。

 あの時のように、竜の少女のように、一途な思いで守ろうとしたのだ。

 想いを糧にして狂おしい願いを叫んで、誰かを守るために限界を超えたのだ。

 守る為に限界を超えたのだ。

 まるで、ティオナが言っていた。自分が読むのをやめて忌避するのようになった。母が読んでくれた物語の英雄のように。

 私を守るために限界を超えてくれた。

 まるで、英雄のように。

 

「っ……」

 

 心臓が鷲掴みされたようにドクンと大きく跳ねる。

 その単語は自分が心の底から望んで願いながら得られなかった存在。特別な存在を指すのだから。

 

 

 

「……えい、ゆう?」

 

 ベルが英雄。

 私の……英雄? 

 全身が熱くなる。

 視界が暗く歪んでフラフラと白いものが伸びていく。

 純粋無垢なまでの白い髪と閉ざされたルベライトの瞳を連想し、意識が膨れ上がる。

 

 急激に膨れ上がった意識は、過去、子供の頃へ飛んでいく。穏やかな陽だまりのような日々。

 忘れかけていた、幼い日々の記憶。ベルに出会ってその白さに魅せられる内に思い出すようになった記憶。

 おとうさん。おかあさん。温かい場所。大好きな人たち。幸福だった日々。世界中がきらめいて輝いていた。世界にはもっと素敵なことがあるのだと、大人になればもっと素敵なことが起こるのだと何の疑いもなく信じていた。

『あなたも素敵な相手に出会えるといいね』

『いつか、お前だけの英雄にめぐり逢えるといいな』

 そう、大きくなれば、きっと……

 

 おとうさんやおかあさんと大好きな人たちの顔を浮かべようとしても、アイズにはもうはっきりとは思い出せない。

 代わりに浮かぶのは、優しく笑うベルの笑顔。ベルの純粋、ベルのひたむき、ベルの一途さが結実した陽だまりの暖かな笑顔。

 そのルベライトの瞳に映る自分は──

 

 カシャン

 

 冷たい鋼の音。

 今のアイズを象徴する愛剣が地に倒れた音で、アイズは気付きかけた決定的な想いから意識を取り戻す。

 

「……っ」

 

 棄てられた子犬もかくやという眼差しで首を振って、願いを奥底へ追いやる。

 求めていたものを掴めもうと、無意識で伸びていた手をつかんで胸に押し当てる。

 弾力のある乳房が歪む痛みで、胸の痛みを誤魔化す。

 

「……そんな、わけ、ないよ……ね……」

 

 英雄は私には現れない。

 英雄になってくれる人は居ない。

 幸福な過去は消え去った。

 あれだけ哭いて叫んでも、誰も来てくれなかった。助けなど来てくれなかった。だから剣を取った。

 その日から潜り抜けてきた修羅の道筋は、あの頃のあどけなさと無垢を直ぐに奪い取った。

 ベルと会ってから、かつての自分を取り戻し始めているとはいえ、その頃に抱いていた自分勝手な想いをベルに押し付けて縋るわけにはいかない。

 それなのに、未だに愚かしい夢想を抱いて押し付けようとした自分を自嘲して、アイズは唇をわずかに歪めた。

 縋り付いてしまいそうになった自分の弱さと、澄んだ眼差しで違うと訴えてくる内心の幼女から逃れるように、アイズはベルの成したことを評価することに熱中する。

 

 様に見えて、ベルの小指をぎゅっと握りしめたまま離そうとしない姿が、その内面を如実に表している。内心の幼女もまたベルのもう片方の小指をぎゅっと握って離さないのだから尚更だ。

 だが、その薄い防壁にアイズは頼らざるを得ない。ベルがアイズの英雄かもしれないと脳裏に掠めただけで、心の均衡がもう二度と元に戻らないほどに崩れてしまった。

 取り繕わなければ『剣姫』としての自分を保てないほどに。

 

 取り繕うために、ベルの行動が自分には出来るかと思考する。

 直ぐに答えは出た。

 

「多分、私にも……出来ない? ……」

 

 アイズにとって認められない答えに、アイズは言葉を切って首を振る。ブンブンと首を振る。

 ベルの師として先生として認められない。

 アイズにもプライドがある。

 確かにレベルは追い付かれ、ステータスでは超され──超されていないと内心で叫ぶ──たが、最近の訓練でも勝ったのだ。……その前は負けたが、まだまだ勝ち越している。

 冒険者になって一年ちょっとしか経っていないベルに劣るとは、認められない。認めたくない。

 ベルがちょっと(強調)アイズには出来ないことをしただけで、まだまだ総合的にはアイズの方が上なのだから。

 

(だから、しっかりして見せないと──そうじゃないと)

 

 無理やり「師匠」などとベルに呼ばせてアイズの立場を奪いとろうとする白悪魔にベルを持っていかれてしまう。

 

「っ!!??」

 

 あんなことがあったのに、アイズを憧れていると言ってくれたのに、ベルがあの腐れ白エルフを心から尊敬してますと書いている笑顔で「師匠」と呼んだあの時の衝撃と喪失感を思い出し──勿論ベルには「師匠って何? どういうこと?」と問い詰めた、当たり前だ──アイズは歯噛みする。

 

 

 ぎりイ

 

 ゴゴゴとアイズの内心のやる気が燃え盛る。

 内心の幼女も頭に『奪還』の鉢巻きをする。

 

 そう、ベルと自分の服を脱がせて体で暖め合う。

 そして、暖まったベルが目を覚ましたら、頭を撫でながら「頑張ったね。無理しちゃ駄目だよ」と先生としての貫禄を保ったまま優しく言う。

 そうすれば、最近誘うのも誘われるのも「訓練」とその前後の軽食と膝枕とお喋りで終わってしまう。とてもとても楽しくて癒されるけど、ひょっとして、腕っぷし以外頼られては居ないんじゃと不安ではなく危機感を覚える関係が──

 リヴェリアやレフィーヤの同族とは思えない、あのエルフの面汚しとは鍛錬抜きで普通に出かけているのに!!?? 

 ──少しは違うものになるかもしれない。 

 そう、こんなアイズでも、それなりに女子力があるところを見せられる。

 そうすれば、あんな奴、ショックのあまり部屋で枕を抱き締めて呆然としている時にロキが「何やアイズたん、大切なもん寝取られたような顔して(冗談100%)……ん? 寝取られってなんやて? ……せやな、大切に想い合う二人の片方を卑怯な手で、フレイヤの魅了みたいなことして自分の物にするってことや(冗談100%)……ん? アイズたん? どうし、ちょい、まて、三日間も食事どころか一睡もせんで何処行くん──」教えてくれた『寝取り野郎』は不要だ。要らない。ポイして、ベル。

 それに、ベルの自分に向ける眼差しも変わるかもしれない。ひたむきで優しい白い眼差しが──

 

(それは、駄目)

 

 そう、駄目だ。それは変わってはいけない。内心の幼女も強く何度も頷く。あの眼差しが変わってしまうなど想像さえしたくない。

 それは変わってはいけないが、ベルが自分のことを腕っぷし以外頼れない子だという誤った認識は早急に改めなくてはならない。

「師匠は師匠だから師匠ですよ」なんて微笑むベルに言わせないために!? 

 ベルの魅了を焼き祓ってくださいと懇願して「いや、ベルくんは魅了されてない……というかベルくんは魅了されないんだ……されないんだ本当に……間違いなく魅了されてるって言われても、されてないんだよ。……いや、本当だよ。嘘なんてついてない。てか、君が言う、あ~……わかった。ちょっと確かめてみるから、そんな噛みつきそうな顔をしないでおくれよ……ほら、されてなかっただろ。ヘディンくんを師匠って呼ぶのはベルくんの意思なん、だ、よ……そ、そんな、世界に裏切られてから棄てられたみたいな顔をされても──はぁぁぁっ、ほんとにボクはもう、うん。ほら、おいで(優しい笑顔で手を広げる)……よしよし、よしよし……」

 

 ほぅ、と熱い吐息を回帰している最中に、ごく自然とアイズは吐き出した。

 ヘスティア様、凄かったねぇ。と同じく回帰して恍惚の表情になる内心の幼女。 

 うん、本当に凄かった。優しい抱擁と心に染み渡る言葉の数々。円熟の極みだった。ふにふにでぽよんぽよんだった。まるで何億年もやっているかのようだった。圧倒的な包容力で、すべてを受け止めてくれた。ベルとは違うタイプの癒しだった。何かあったらまた来なよとさえ言ってくれた。

 でも、これ以上迷惑をかけていいはずが無い

 

 ただでさえ、あの後──

「……よかったらさあ、心に押さえ込んでいるモノ全部ぶちまけてみるかい。此処だけの話にするよ。

 ……うん、もちろん、さあ来い。

 ……ベルくんが魅了されてないと、ベルくんが君を弄んで捨てたことになる? 何でそうなるんだい? 始めから話しておくれよ。 

 ……約束してから、ベルくんが鍛錬に誘ってくれるのをずっと楽しみにしていたのか。

 ……途切れていなかった絆を、より強く結ぶ時をずっと待っていたんだね

 ……うん、なのに、何時誘ってくれるのかって思っていたら、ベルくんはヘディンくんを『師匠』と呼んで慕っていて鍛えて貰っていて、君との約束を守ってくれなかったんだね

 ……君は魅了されても覚えていたのに、ベルくんは守ってくれなかったのか……そうか、そうかぁ

 ……フレイヤファミリアと戦う前に、ベルくんは君と鍛錬したと思うんだけど

 ……順番が違うって? 何で君より先にヘディン君と? ベルくんが誘ってくれたから約束したのに、何故こんなことを?

 ……まあ、確かに先に君と鍛錬すべきだと思うけど、うんうん、よしよし

 ……それに、君のことは名前呼びなのに、ヘディン君だけ『師匠』なのは、どうしてって、う~ん、逆に聞くけど、君はベルくんに名前じゃなく『師匠』とか『先生』って呼ばれたいのかい? 

 ……うん、そうか。呼ばれたくないんだ。名前で呼んで欲しいんだね。うんうん、よしよし……で、さ、ベルくんは君の技が身についてるって聞いたことがあるんだ。まるで染み込んでいるみたいだって。これは君の方を慕っているからじゃないかな

 ……えっ、と、もう身についたから、君じゃなく別の先生に教えてもらうことを選んだ。君は要らないから、ふんふん、それで、ベルくんが君を棄てたってことになったのかい? 

 ……君のことはもうどうでも良いからそういうことをするって? 

 ……誓うだけ誓って楽しみにさせるだけして実際には何もしてくれない。もうどうでも良いから。そういうのを、弄んで棄てたって言うって聞いたって、それ誰から? 

 ……「ベル×ヘディン、キター!?」って大騒ぎしていた神々から、か……そっか、そっかぁ……よく聞きなさい。悪意のある戯れ言だ。君を惑わせようとする悪魔のささやきだ。忘れなさい。ベルくんは君を弄んでいないし、棄ててもいない

 ……うん、本当だよ本当。そんなことをベルくんがするわけないじゃないか。

 ……うん、うん、そうだよ、その通りだよ。よしよし、良かったねぇ。ところで、君はベルくんのことをどう思っているんだい? 

 ……え? 親に黙って飼っているペット? しかも盗られた? あっ(情感が幼い子が親に黙ってペットを飼うのは「この子は私のもの。誰にも渡さない」という独占欲の現れだと思い出し。その上で盗られたと認識していることにも思い至り。何よりもデート中のベルをカッコイイと言っていたことでアイズの内面を全て理解した)

 ……そっか、そっかぁ(以降、洗いざらい吐くもの吐かせて落ち着かせるのに全力を尽くした)」

 ──迷惑かけただけじゃなくて、また来なよ、絶対来るんだよ、という言葉に甘えて何度も愚痴ったりして迷惑をかけているのだ。

 何度もポンポンと優しく抱き締めてくれたヘスティア様にこれ以上負担をかけさせるわけにはいかない!? しっかりしなければ。

 アイズがこんな状況でもベルを助けることができる確りとした人間だと証明して、ベルに尊敬の色が増えたまなざしで見られる。そして、あのベル泥棒を棄てて私の所に帰ってくる。

 それでこそ、アイズの先生兼人生の先駆者兼冒険者の先輩兼女の子としてのプライドは充足するのだ。

 そんな、育ての親が聞いたら「裸で……ロキの戯言を真に受けて……他のファミリアの主神に迷惑を」と呻いて拳骨したあと性と道徳教育の時間(スパルタ)に直ぐ様移行することを大真面目にアイズは決意した。

 現在のベルへの想いが『親に黙って飼っているペット』よりも遥かに深化していることに気付かないアイズは、決意のまま、衣服で作った簡易ベッドの上に横臥させたベルの体に覆い被さる。

 

 

 

 

「んっ……」

 

 冷えたベルの硬い体に、性欲で火照ったアイズの裸体が冷やされる心地好さと、ベルと裸と裸で抱き合う心地よさに高い声を上げてしまう。

 ベルと裸で抱き合う気恥ずかしさに頬を染めて固まるアイズ。内心の幼女はベルの厚い胸板と腹筋に歓声を上げて喜んでいる。

 ──もっと、しがみつかないと。

 

「んしょ」

 

 アイズの瑞々しい乳房が硬めのプリンのようにプルンプルンと変化しながらベルの胸板に押し潰されていく。

 うつ伏せになっても流線型の形が崩れない美しい乳房が、ベルの胸板によって潰れる姿はそれ自体が艶めかしい。

 

「んぅっ」

 

 それに加えて、普段は淡い桜色の乳輪の中に没している初々しい小粒な乳首の尖りがベルの胸板に擦られ、その刺激で整ったアイズの眉根が寄せられ情欲に満ちた吐息を漏らす。

 

「ふぅっ」

 

 胸からゆっくりとベルに覆い被さったために、ぷっくりと後方に突き出したお尻は、溢れる若さと鍛練により縦に弾性豊かに膨らんでいる。

 尻自体はそこまで大きくはないが、鍛えていても割れていない腰が見事に括れているため、豊満と感じさせてくれる。

 

「はあっ」

 

 水に濡れて楕円形に盛り上がった恥丘に張り付いた一つまみの繁みがベルのパンツに触れて、アイズは熱い吐息を漏らす。

 アイズの尻とベルの股間の隙間、アイズが本能的に拳一つ空けた隙間から、見え隠れするピタリと閉じた一際白い二枚の陰唇が垣間見える。

 未だ育ちきっていない未成熟の秘裂。それが、アイズが身動ぎする度に僅かに捲れて、中の桃色の粘膜を覗かせる。

 

「むぅぅ」

 

 すらりと長い脚線美を誇る美脚を、無造作にベルの足に絡ませる。ムッチリとした柔らかな肉が適度についた太腿をベルの鍛えた太腿に擦り付ける。

 

「んふっ」

 

 そんな、静脈さえ透き通る白い裸体が、白髪の少年に覆いかぶさる姿は、本来ならば押し倒して犯したいと男の情欲を刺激するだろう。

 しかし、今の場合は情欲よりも可愛らしいと評する者が多数派だろう。

 

「ふふっ」

 

 そんな極上の肢体を持つアイズがしていることが、サワサワと幸せそうにベルの髪を撫でることだけだからだ。

 最初の気恥ずかしさはどこかへいったらしく、無我夢中で髪をゆっくり優しく撫でる。

 ベルの髪を撫でるアイズの表情は余りにも無垢すぎて、情欲を抱くことが罪のように感じてしまう。

 そんなアイズ(天然美少女)は、内面の幼女が頬を指差すのに従って、艶やかな頬でベルの頬を擦り出す。

 

「わぁ」

 

 アイズの絹のような肌に、ベルの若々しい弾力に満ちた肌が一瞬たりとも引っ掛からないこそばゆさ。

 思わず小さな歓声を上げるほどに、たまらない感触だった。耐えられない誘惑だった。

 気恥ずかしさという感情は、内心の幼女によって墓場にぶちこまれた。

 

 すりすりすりすり

 

 右頬が終われば左頬。左頬が終われば右頬。交互にベルの自分よりも引き締まった頬を堪能する。

 そうやって、数分間堪能すると熱い吐息とともに声を漏らす。

 

「あたたかい……」

 

 本当に幸せそうに、内心の幼女がふおぉぉと歓声を上げるくらい幸せそうに、ベルの体の温もりと感触と匂いを堪能するアイズはふと気付いた。

(普段と比べて)蕩けきっていた顔を引き締める。

(ベルから離れたくないから)そのままの姿勢で耳をすませる。

 内心の幼女もウサギ耳を着けて耳をすませる。

 間違いない。

 

(ベルの鼓動が弱くなってる)

 

 体が冷えたせいだ。これはいけない。

 自分の乳房の厚みと、ベルに引っ付く時間が長くなるだけ加速度的に脈打つ自身の心臓の音で、ベルの心臓の音が低くなったことに気付かないアイズは直ぐに判断を下す。

 

(擦って温めないと)

 

 ベルの胸板だけでなく、全身を擦り合わせる必要があると決意した。

 で、気付いた。

 

「なら……」

 

 ゴクリ。無意識の内にアイズの喉が鳴る。

 内心の幼女が真っ赤な顔で駆け回りながら歓喜に咆哮する。

 ベルの全身を舐めるように視線で犯しながら思い出す。さっき感じた甘い刺激を。甘くて切なくて心地良いたまらない刺激を。

 ゴクリ。もう一度喉が鳴る。

 

「仕方ないよね……」

 

 仕方ない。さっきは怪我をして気絶したベルを刺激してはいけないと諦めたけど、今は仕方ない。ベルの怪我は治ったし、痛みを感じさせたりはしない。何よりも、温めないといけないから仕方ないのだ。内心の幼女も大きく胸を張って肯定している。

 ベルの背中に腕を回して強く抱き止める。脚をベルの膝裏に回して足を挟む。

 まるでベルを拘束していると思うかもしれない。でも、違う。違うのだ。これは、万一ベルが膝枕の時のように逃げてしまうのを阻止する必要な処置だ。温めないと命の危険性があるベルを助けるために必要な措置を取る。誰も責めるわけがない。

 ベルの体を完全に固定して準備ができた。

 体を強くベルに押し付ける。

 

「ベル……」

 

 艶めかしいのに可愛らしい声で、ベルの名を呼ぶと当然のように乳房からアイズは密着させる。ついさっき火照りを覚えて今も熱を宿す乳房を。

 

「んっ……んんっ……」

 

 形のいい乳房が、互いの体に挟まれてひしゃげながらベルの胸板に密着して、アイズに芽生えたばかりのこそばゆい感覚を呼び起こす。

 

「もっとくっつかないといけないから、ね……んぅ……」

 

 気絶したベルに、言い訳にもならないことを呟くと、乳房を押し潰すようにベルの胸板に密着させる。

 乳房にベルの鍛えられた硬い胸板の筋肉の筋一本一本さえ感じられて、内心の幼女が蕩けそうな笑みを漏らす。

 加えて、ベルのから伝わるひんやりとした体温がアイズを刺激して乳首を隆起させる。

 

「ふぅっ」

 

 甘さを帯びた熱い吐息。得られなかったものを得ようとする飢えた眼差し。火照りきって、平常温のベルが冷たいと感じる体。期待に打ち震える心臓。

 ベルに刺激をできる限り与えないように姿勢を巧みに動かして、起立しきった乳首が折れるようにベルの胸板で固定する。

 先端を少し擦っただけで、あれだけ甘くじれったい心地好い気持ちを味わえたのだ。なら、普段乳輪に隠れている部分を一気に擦ればどうなるかは自明。

 

 ゴクリ、とアイズは喉を意識的にならす。

 ゴーと旗を振る内心の幼女。

 

「よし」

 

 気合を入れ、腰を大きく前後に往復させて裸体を前後に擦り出さんと、たおやかな腰を大きく前に押す。

 

「ひっぎっぐっ!? ……いっ、痛っ!?」

 

 走る電撃にも似た痛み。

 起立しきった根元から先端までを高速で一気にベルの胸板で擦りつけた乳首から走る痛みさえ覚える強烈な刺激に、アイズは体を止めてビクビクと震える。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 苦痛に歪む顔、震える体、荒い呼吸。内心の幼女が泣き叫びながらのたうち回る。

 起立しきった乳首を潤滑液も付けずに高速で擦るなどと、性に慣れていないアイズの体には暴挙でしかない。当然、快楽など感じられず。感じたのは痛みを伴う衝撃でしかなかった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 今までの半生で身に刻まれた様々な痛みと全く別種の痛みに、ベルにしがみついて荒い息を吐きながら悶えるアイズ。

 

「はぁ、ベルっ、んっ……」

 

 痛みから逃れたくてベルの首筋に吸い付く。

 救いを求めるように匂いを嗅ぎ、舌を出してベルの味を味わう。

 ぴちゃぴちゃすんすんとベルを堪能しているうちに、乳房の痛みは甘い痺れに変わり、下半身に熱い疼きが溜まっていく。

 痛みがベルによって甘い痺れに変わる心地好さにアイズの目が細めり顔が綻ぶ。

 内心の幼女がゆっくりゆっくりと体を前後させる。

 

「あっ、んっ、んあっ」

 

 そういうわけで──どういう訳だと突っ込める奴はここには居ない──上体を僅かにベルから離して、ゆっくりとベルの胸板で擦り始める。

 起立した乳首の先端が触れるか触れないかのソフトタッチ。

 擦れば擦るほど、増大していく甘い痺れに乳房が張って火照っていき、ベルの暖かな体から離れるなんて嫌だと泣き叫んでいた内心の幼女も顔を蕩けさせる。

 そうしている内に、幾ら擦っても、甘い痺れが増大しなくなった。

 

「んうっ、んっ……んむぅ?」

 

 物足りなさに、どうすれば増大するかと擦りながら考えても答えが出てこない。

 高めるだけ高めておいてここで終わりなのか。

 アイズは幼児のように口を尖らせて、悲しみさえ混じった無念の吐息を漏らして思い付いた。

 さっきはいきなり擦ったから痛かったのだ。もっと押し付けて慣れてみよう、と。

 

「ふぅぅっ……」

 

 熱い深呼吸を漏らすと、痛みが走らないことを祈りながら恐る恐る張りつめた乳房をベルの胸板で少しずつ押し潰す。

 

「んっ、ふぁっ、んっ……んあっ……」

 

 押し潰す度に、じわじわと染み渡るような甘い痺れがアイズを襲う。

 痺れの甘美感にアイズはいけるところまでいこうと、更に乳房をベルの胸板に押し付ける。

 

「ふぅぅんんっ!?」

 

 乳首が乳輪に押し込まれるほどに深く押し付けた瞬間、甘美の電流が脳天まで一気に突き上げられた。

 同時に口から漏れるのは初めての嬌声。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 ジクジクと疼く体の芯。無意識のうちにモジモジと動く腰。

 

「ふぁ、はっ……なに、今の声……わたし、が? ……」

 

 初めて感じたハッキリとした性の快楽、未知なる世界に、荒い呼吸を吐くアイズは驚きと恐れを抱き、一番安心できることをする。ベルの手をギュッと握りしめて、ベルの顔を見上げる。これがアイズにとって何よりも安心できる。

 

「はぁ……ベル……」

 

 ベルを見ると、白かった頬は朱色になり、唇からは細く安定した呼吸を漏らしている。

 一見して、ベルはもう安定している。もう温めなくとも時間が経てば、自然と目を覚ますだろう。

 

「……やだ……」

 

 いや、まだだ。まだ、上半身しか暖めていない。下半身を暖めなくてはならない。上半身だってまだ全然擦っていない。いや、そもそも人命救助のためだ。やり過ぎなんてことはない。

 内心の幼女が首が千切れるほど何度も頷くのを見ながら、ベルの下半身に手を伸ばす。

 

「あっ……」

 

 初めて性の快楽を得たばかりで痺れる体には、力が上手く入らずに滑ってしまった。

 勢いよくベルの下着がズレ落ちる。

 ぶらんとしたベルの逸物が、乳房の谷間を越えてアイズの目に映る。

 

「…………」

 

 ベルの逸物による視覚に対する奇襲に、驚愕したアイズはフリーズした。

 揺れている。風もないのにプラプラと揺れている。

 内心の幼女が揺れるたびに首を上下にしている。

 プラプラ揺れているモノが、男性器だとはアイズは知っている。

 別名、おちんちん。男性の急所。人間の男と戦うときには、ここを攻撃すれば良い。昔、蹴り上げた敵は泡を吹いて気絶した。フィンとガレスを含めた男性陣が、使いものにならなくなったとか、潰れたとかひそひそ話ながら、何故か敵に対して同情的だった。フィンとガレスから、出来れば他の急所を蹴ってやれと言われた。だからできる限り攻撃しないようにしている。これくらいの知識がある。

 だが、知っているのはそれだけだ。

 

 幼い頃、父のもの見たことがある気がする。それくらいに見慣れないものにアイズの視線は釘付けだった。

 普段ならば、見ないようにして体を拭き、いそいそと下着を戻しただろう。

 だが、ベルが自分の英雄かもしれないという願いを抱き、ついさっき初めて性の快楽を知り、ヘディン脅威により、気恥ずかしさという感情が墓場に葬られたばかりのアイズは普段通りに出来なかった。

 

「大きい……」

 

 ベルの可愛らしい外見に反して、半勃起状態であってもベルの逸物は立派だった。

 細身の身体には不似合いの大きさ。大きさだけでなく形も凶悪だ。

 皮は完全にズル剥け、未使用特有のピンク色の亀頭を露出させている。見えるのは、抜くときに女性に食い込みそうなほどエラを張ったカリ首と、カリの裏側の周りにぐるりとある幾つものおできのようなイボイボ。

 野太いしっかりとした血管が幾つも走る太い竿。

 経験豊富な女性が見れば、膣で動かせばどれ程快楽が味わえるか理解して涎をたらすだろう。

 

「……」

 

 無言で凝視するアイズにはそんなことはわからないが、処女の本能で挿入に恐れおののいた。腰を僅かに動かして秘所を少しだけベルの逸物から離す。

 ホッと吐息を漏らしながら、視線をベルの肉棒から逃した先にある二つの玉に固定した。

 

「わ……」

 

 好奇心の赴くまま、むんずとベルの玉袋を握りしめる。

 ぐにゃりとした未知の感触にアイズは目を白黒とさせ、驚きの声を漏らす。内心の幼女は目を輝かせる。

 

 

「ぐっっっ!!!!????」

 

 そして、男の急所を第一級冒険者の握力で握りしめられたベルが、一瞬目を見開いて苦痛の絶叫をあげた。

 あまりに痛そうな苦痛の呻きに、アイズはビクッとベルの逸物から手を離して慌てる。

 

「うぅ……うぐっ」

 

 離して万能薬をかけたのに、ベルは体を震わせながら苦痛に呻く。

 紙のように白い顔。滝のように流れる脂汗。荒い呼吸。意識を失ったままの体。

 いや、ひょっとしたら、さっき握りしめた時に目を覚まして直ぐに、痛みで気絶したのではないか。もっと深いところへ意識を沈めてしまったのではないか。死の淵をさ迷っているのではないのか。

 そんな心配をしなければならないほど、誰の目から見てもベルは危険な状態だ。

 

「ど、どうしよう……」

 

 自分のせいで脂汗を流しながら苦悶の表情で呻くベルを、何とか落ち着かせなければならないと思っても、何をすればいいかわからない。膝枕をすれば良いのだろうか? いや、でも、多分足りない……

 男性に対してこういう時の交歓方法を膝枕しか教えてもらってないため、オロオロするアイズに、内心の幼女が赤ん坊を抱く手つきをしながら胸を張る。

 ……なるほど。やってみよう。

 




無知って怖いです。
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