次の侵入者達が入り込んで来た瞬間、強烈な悪寒が背筋をかけ上がった。
ヤバい。こいつらはヤバい。強い。それも、かなり。
しかもタイミングも計ったように最悪だ。つい先日、あまりにも侵入者が来ず、そしてついにリザードマンが10体を超えたため、魔物合成をしてリザードマン(真)を作ったばかりだ。そのため、リザードマンは真と偽1体ずつしかいない。
リーナはまだ2体目を身籠ったままで腹が大きく、機敏に動かすのは難しい。
侵入者達は四人。筋骨隆々の大男、優男、男か女か分からないシーフ、そして神官か僧侶らしき女。入ってきて早々、軽く周囲を見渡すその様子からは確かな自信と余裕が見てとれる。だが、俺の勘が最も危険だと囁くのは素手の大男でも、神官の女でも、性別不明のシーフでもなかった。
剣を持った優男。あいつは
侵入者達が入ってきてすぐ、全力で行かないとやられると分かった。すぐさまリーナの仲間ゾンビ2体をスケルトンゾーンまで進ませる。それと同時に、女弓スケを蜘蛛輸送で天井側から一つ目の曲がり角の裏側に待機させる。普通に背後を取るだけだと恐らく気付かれる、曲がり角をクリアリングするその一瞬、前方のみに意識が行く瞬間に背後を取る。
とはいえ、逃亡防止で配置する戦力は最低限だ。今もゆっくりと、しかし確実にスライム共をすりつぶすように丹念に、じっくりと進んでくる様子からしても、こいつらは間違いなく俺達を殺しうるだけの力がある。…神官らしき女が魔法を唱えないところを見るに、恐らくこいつがヒーラー。回復役は絶対に潰す。女だからといって生け捕りなんて出来る余裕はなさそうだ。運が良ければ、ってところか。くそ、スライムの大半が潰された。真スライムがいることまでバレたな。女弓スケ、蜘蛛、準備しろ。タイミング合わせろよ…!まだ、まだだ…。よし、今!
スケルトン共、戦闘開始!女弓スケは気配を隠してろ。今回ばかりは総力戦、最悪スケさんすら囮にする必要すらあるかもな。ち、やっぱり強え。あの大男がごんぶとの腕を振るうだけでスケルトン共が軽々と吹き飛ぶ。真スケルトンでも太刀打ち出来んか…!
こうなれば、ゾンビ2体でシーフを、スケさんは優男を、うちの熊公にあの大男の相手をさせるしかないか?…やはりあの女は僧侶か神官か。大男が僅かに負ったダメージすら神聖な光で癒しやがった。確実に殺る必要がある。
念のため、女弓スケが背後から首を撃つ。それに合わせて、熊公の背後から壁を使ってリザードマン(真)に三角跳びで、女神官を挟み撃ちにする。女弓スケすら囮。確実に、殺る…!
くそ、頭無しすらやられた。せっかくレベルアップしたのに…。いや、そんなこと言ってる場合じゃない。頭無しがやられたってことは、もうスケルトン共が全然残ってないってことだ。…よし、ゾンビ共は間に合ったな。リリス!お前も熊公の後ろに隠れてろ。そんでリザードマン(真)が飛び出したらその瞬間にシーフを撃て!
行けっ、ゾンビ共!…!大男の野郎、なんつー豪腕してやがる。ゾンビが2体まとめて潰された。まずい、女弓スケ!撃て!スケさんと熊公は優男と大男の相手!倒さなくていい、自由にさせるな!くっ、シーフが女神官のフォローに…!リザードマン!殺れ!
その瞬間、タンッ、という軽い音と共に女神官に向かって駆けるシーフの背後から、壁から飛び出したリザードマンが恐るべき速度をもって強襲する。優男の方は気付いてたようだがもう遅い、スケさんを相手に逃がしはしねえよ。暇さえあれば組み手や模擬戦闘をねだられてたうえ、槍の扱いはうちの最高峰だ。
女神官の首には矢が刺さったまま倒れ、シーフの方もリザードマンが無事に心臓を一刺し。あれは生きてはいないだろ。
今さら焦ったように態勢を立て直そうとする優男だが、ここまで来ればもはや焦りはない。じっくりと、確実にやる。…く、大男がやたらめったら腕を振り回すが、それなら熊公を退かせてどうすればいいか分からずキョロキョロしてるリリスに蜂の巣にさせるまでだ。リリス、やれ!
いくら腕でガードしようが無駄、リリスの魔力弾に弾切れは無い。
優男の方は…スケさんとリザードマン(真)を相手に未だに立ち回っては居る。が、こっちも時間の問題だ。回復役は潰した。脱出の機会を作ろうにもトリッキーな動きの出来るシーフはおねんねだ。それでも殺す。ほんのごく僅かな可能性すらも残さない。…大男がついに倒れたか。熊公、心臓壊しとけ。優男くんも、リザードマンの剣の錆に。勝った…っ!
テテテテーテーテーテッテテー!
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ニックネーム:はかいしん
ダンジョンLv:8→9
MP:90→630
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…フゥー。勝った。俺達は、勝ったんだ。
はは。はははは!笑いが止まらない。勝った。勝ったぞ!勝ったんだ!ギリギリだったが、しかし勝ったのは俺たちだ!はーっはっはっはっはっは!
あー、良かった。とりあえず、MPの内訳から行こうか。100、100、120、120か。神官と…は?なんで大男が120?優男の方がヤバかっただろ。確かに能力的には大男の方が上だろうが、あの優男の方が絶対ヤバいヤツだったじゃん。なんか釈然としないが…まあいい。今の俺は気分が良いからな。許してやる。
で、440+レベルアップで100か。ん、よし。
ん?
テテテテーテーテーテッテテー!
『スケルトンのレベルが上がりました』
『スケルトンのレベルが上がりました』
『ダンジョンスパイダーのレベルが上がりました』
『ダンジョンスパイダーのレベルが上がりました』
『リリスのレベルが上がりました』
『リザードマンのレベルが上がりました』
…怒涛のレベルアップラッシュ。まあ強敵だったしな。当然か。
スケさん、女弓スケ、蜘蛛2体、リリス、リザードマン(真)か。…リザードマン(偽)は?いくら直接戦ってないとはいえ(最後の囮としてリーナと一緒に置いてた)、レベルアップしたっておかしくは…。いや、そんな、まさか。
もしかして、(偽)ってレベルアップしないの?そう思いながら魔物合成でリザードマン(真)とリザードマン(偽)で掛け合わせを確認すると、リザードマン(偽)は1/10だったのが2/10になっていた。…言われてみれば確かに、これまでもレベルアップしてたのって大体ゾンビからスケルトン化させたやつか、真のやつだったな…。あとはスケさんとか蜘蛛とか、直接召喚したやつ。
じゃあ、あれか?リーナとかワイルドベアがレベルアップしないのは、生物だから?もしくはレベルアップしてるけどアナウンスされないだけ、とか。…そんな感じか?わからん…。
なんにせよ、山場は越えた。多大な犠牲は払ったが…。
今居るのは、スケさん、女弓スケ、リザードマン真、リザードマン偽、ワイルドベア、リリス、リーナ、蜘蛛2体…。9体か。さっきまでは総勢100体以上居たのがこれだ。十分の一以下。本当に、薄氷の上の勝利だったんだと実感する。だが、勝ったのは俺だ。俺なんだ。
…あ、それと今回手に入ったゾンビが4体居たか。精々役に立てよ。
さて、これでMPは630。秘伝召喚陣が出したいが、MP500要るんだよな。ダンジョン拡張は240…。足りねえ。ダンジョン拡張からだから、残りはえーっと…390?だよな?
とりあえずダンジョン拡張いっきまーす!ポチッとな。
ズゴゴゴゴ…!
『ダンジョンを拡張しました』
よっしゃ。これで初めの直線あたりまで通路が延びた。小文字のyっぽいといえばぽい…か?これもうわかんねぇな。
しっかし、MPが390もあると使いたくなるな…。とはいえ、次の侵入者がまたゴブリンとかだと、レベルアップするか分からないうえに秘伝召喚陣まで届くか…?ってところだしなぁ…。
危なくなってから魔物召喚しようが、今魔物召喚しようが変わらんだろうから、とりあえず取っておくか。
さーて、とりあえずリーナを調教していこう。どうせスライムやらスケルトンがまた湧きまくって溢れるまで、そうやることもないしな。…ないよな?
ニックネーム:はかいしん
ダンジョンLv:8→9
保有スキル:
隷属化Lv.1
実体化
調教Lv.1