だって、ほぼ全員「私」なんだもの……。
濡れ場は半分くらいからです。
「美浜ちよです。よろしくお願いします」
と言って、ちいさな頭をぺこりと下げたのは、高校の制服に身を包んだ小学生児童。よくもまぁ、あんなサイズの制服があったなぁ。
なんて思っていると、たちまち教室は喧噪に包まれる。
「ちよちゃんは、小学生なのに高校生なの?」
「飛び級で転校してきたんだって」
「へぇ、天才ってヤツか。すごいねー」
「きゃー! ちっちゃくって、ツインテールが可愛いー! 小学生って感じね!」
「だから高校生なんだってば」
あちこちで囁かれる、驚嘆の声。
どうも、俺みたいに「あり得ない」と思っている人間は、他にはいないらしい。でも、それっておかしくない?
日本は法律上、義務教育をスキップすることができない。だって、中学までの教育を施すことが親に義務づけられているんだし。
……その筈だよな。
いまひとつ自信が持てないのは、眼前の高校生児童(ひどく矛盾した字面だ)のせいだ。
このちよっ子は、「当然のことですよー」とでも言わんばかりに、こうして堂々と高校の教室に立っている。
この異常事態を前に、俺は頼れる大人に目を向けた。
谷崎ゆかり。我らが担任だ。
彼女なら、きっと納得のいく説明をしてくれるに違いない。
そんな思いは、すぐに裏切られることとなった。
竹を割ったように、彼女はカラッと笑って、
「ガキだからって、いじめないでくださいねー」
などと、とんでもないことを口にしたのだ。
(マジかよ、大丈夫かよこの人……)
懲戒免職もありえる危険な一言だった。
こんな人物が何年間も教員をしているのだから、なるほど、この学校には常識なんか適用される筈がない。
(なるほど、それなら納得だなぁ……)
などと呆れていると、
「ねぇねぇ、ハム太郎」
という無遠慮な声がぐいと、思考の海から俺を引き上げる。
「ハム太郎じゃない、公太郎だって。
セミショートのいかにも元気そうな女の子。もっと言えばバカっぽい。というかバカ。
バカな方の幼馴染み、滝野智だ。
「小学生なのに高校生とか、ちよちゃんってちょーすごいね。アタシも負けてらんないわ!」
「まーたしかに、年下に負けてられないって気持ちは分かるよ。……智にしてはマトモなこと言うのな」
「なによ、アタシがいつもはマトモじゃないみたいじゃん。……とにかく、アタシの年上の威厳を見せつけてやろうって思ったワケさ!」
智は突然立ち上がる。
当然、教室中の視線が集まった。
クネクネと左右の脚をからめるような奇妙な足取り、つまりモデルウォークで以て、
「うっふーん。アタシ、滝野智。ちよちゃん、よろしくね!」
とウィンクしながら自己紹介。
本人はしなをつくっているつもりなのだろうが、これっぽっちも艶がない。無駄に力強く寄った眉と、自信満々な男らしい笑みが、すべてを台無しにしている。
「えっと……」
ちよっこが目を白黒させる。
分かるよ、その気持ち。転校早々、変なのに絡まれてお気の毒に……。
「バカ、まだ朝礼中よ!」
「あいたっ」
パコンと出欠簿で頭をたたかれるバカの、年上の威厳など欠片もない姿がそこにあったとか。
**
そして迎えた休み時間。
「さっきはバカがごめんね、ちよちゃん」
「なんだよー。放せってば、よみ!」
水原
俺と暦は、
「暦の言うとおり、さっきのはお前が悪いよー。朝礼中にあんなことしてたんじゃあ、年上の威厳どころじゃないだろ。ゆかり先生にも叱られたしさ」
「え~、セクシーさが足りなかった?」
「足りてないのは頭だろ」
俺の説教と、暦のツッコミで、智のボケを挟み込む。
ほんとうに智の世話はたいへんだ。
そう思って暦を見やると、げんなりした様子の暦と目が合った。
ふたりで苦笑を交わし合う。俺と暦とは、
そんな俺たちの謝罪を受けて、ちよっこは笑顔で手を振った。
「そんな、いいですよ。わたしぜんぜん気にしてませんし! それに、ちょっと面白かったです」
実に良くできた子だ。でもね、その言動は悪手なんだ。
「ああ、そんなこと言ったらこのバカが……」
「え?」
暦が止める間もあらばこそ。
調子に乗った智が暴走をはじめる。
「ほらほら、聞いた? アタシのギャグはちよちゃんにバカ受けじゃない。そうよ、何を隠そう、実はこれはちよちゃんの緊張をほぐす為の芝居たっだのさ!」
「ウソつけ。セクシーさをアピールするって言ってたじゃんよー」
兎にも角にも。
そんな威厳もあったもんじゃない出会いをしたものだから、ちよっこはすっかり肩の力を抜いたようだ。
自己紹介を交わすと、ちよっこはふにゃりと微笑んだ。
「へぇ、ともちゃん達三人は幼馴染みなんですか。三人そろっておんなじ高校に進学って、ステキですね」
「幼馴染みというか、腐れ縁というか……。あたしとしては、コイツとずっと一緒なのは不本意なところがある」
「うーん。小学校からずっと一緒の暦が言うと、言葉に重みがあるなぁ。ちなみに、俺としても暦と同感」
「まーたまたぁ。ホントはアタシといっしょで嬉しいくせに」
「HAHAHA……」
米国人のように乾いた愛想笑いをする俺と、眼鏡を曇らせて不満を表現する暦に、悪童のような笑顔を浮かべる智。
三人は幼馴染みだ。けれど、俺と暦は、
だから、「一年四組の三羽鴉」とか「四組のヤベーやつら」とかひと括りにするの止めてくれませんかねぇ……。
「そういうちよっこは、幼馴染みとかいるの?」
「え、ちよっこ?」
パチクリ目を瞬かせるちよっこであったが、その耳慣れない呼称が自分を指すと気付いたらしい。苦笑して、それから、悲しそうに口を開く。
「ずっとクラスが同じ子は何人かいたんですけど、ここで離ればなれになっちゃったんで……」
瞳を伏せ、今にも泣き出しそう。
もちろん、そのままにしておくような俺たちではない。
「そんな悲しい顔するなって。じゃあ、今日から俺たちが友達だ。よろしくだ、ちよっこ」
「しょーがない。アタシも友達になってあげるわ。それじゃあ今日の友達代ね! さっそく購買でパン買ってきて」
「そういう笑えない冗談はやめなさい!」
智の良識のない悪ふざけに、暦のツッコミが炸裂する。
「もー、智ちゃんたら。冗談が下手ですよ」
そんな俺たちを見て、ちよっこは可笑しそうに笑うのだった
もっとも、その笑顔も長くは続かなかったけれど。
「……ちよちゃん。このバカの言うことは大抵本気だから」
「あー、ちよっこ。しばらくは智と二人きりにならないようにねー。耐性がつくまでは、俺か暦が防護壁になるんで」
「えっ」
**
俺と暦は同じマンションの、隣り合う部屋に住んでいる。幼馴染みというヤツだ。
当然、二人並んでマンションに入る。
「それじゃあ公太郎、後から宿題持って行くからな」
と暦がはすっぱに言えば、
「じゃあ、飲み物はアイスティーでよろしくー」
俺が飲み物を要求する。部屋を提供するのだから、これくらいの役得はあってしかるべき。そうするべき。
自室に入り、鞄を置く。ベッドの乱れや机上の本など、部屋を簡単に整えていると、いくらもしない間にドアをノックする音。
「はいよー」
「邪魔するぞ」
両手に鞄とペットボトルを持った暦が現れた。すぐにやってきたのだろう。制服姿のままだ。
「なぁ暦、今日の宿題なんだっけかな」
「数学の問題があったぞ。あとは、古文と数学の英語の予習だな」
「うっし。それじゃあ、今日も頑張るかー」
腕まくりをして、机に向かう。
その向かいでは、ブレザーを脱いでリラックスした格好になった暦が、教科書を広げている。
勉強会だ。
「毎回思うんだけど、宿題と予習が多すぎないか? 学校はあたし達を殺すつもりなんじゃないかって思うことがあるんだ」
「進学校ってこんなもんじゃない? よその学校に進学した連中も、宿題多過ぎって嘆いてたしなー」
そんなとりとめのない話がしばらくあって、それからまた、無言で勉強に戻る。しばらくカリカリとシャーペンが紙をひっかく音がして、それから、またぽつりぽつりと会話がはじまる。
「それにしても、暦。智がいなくて本当に良かったなぁ」
「まったくだ。アイツがいたら、こんなに順調に勉強なんてできないぞ」
もちろん智にも声を掛けた。というより、いつも三人で一緒にいるので、声を掛けないわけにはいかない。
学校がはじまって、たくさんの宿題と予習を課されたとき。
「なんか予習復習が大変みたいだし、みんなで一緒に集まって勉強しない?」
という誘いに対する二人の幼馴染みの答えは、真反対だった。
「なかなか良い意見じゃないか、公太郎。せっかくだし、お茶でもしながら優雅に勉強しよう」
「いや、アタシは勉強しないんで。学校終わったら遊ぶんで」
お茶菓子は何にしようか、なんて食欲を垂れ流す暦と、真顔ですっぱり断る
同じ幼馴染みなのに、どうしてこうも大きな差がついたのか。
差がついたといえば、二人の胸部装甲もそうだ。
智の方は、ドラム管でも切り出したかのような寸胴。貧しい。
一方の暦は、ベスト越しに双丘がぶるんと自己主張している。豊か!
「でも、色々と好都合だったな。そうは思わないか、暦?」
「……それは、まぁ」
俺の視線に気付いたのだろう。
暦は、頬を染めて顔を逸らした。
「だって、智にはこんなの見せられないもんなぁ」
「アイツは口が軽いからな……」
俺はそっと暦に身を寄せる。
腕と腕がくっついた。
柔らかな女体の感触を楽しみながら、こっそり後ろ手に隠し持っていた一冊の本を、机上に出す。
暦は身を乗り出して、その本に見入った。
「『JK道中卑猥百景』か……。またイカレたタイトルだな。十返舎一九なのか、太宰治なのかはっきりさせろよ」
エロマンガ鑑賞会。
これこそが、ムッツリ巨乳眼鏡の暦と、健康優良性欲少年の俺とで行っている秘密の儀式だ。
「ほら、めくるぞー」
表紙をめくると、これまたイヤらしい濡れ場が現れる。
一組の男女が、全身くまなく絡み合っていた。
うーん、実にエッチだ。
「うわぁ、うわぁ……」
あまりのエロさに、暦がぶるりと身を震わせた。
すると、豊満な双丘がぷるんと身震いする。
うーん、実にエッチだ。
そんな豊かな双子山に、俺は左手を背中からまわして、そっと手を添える。
「こら、公太郎っ」
お叱りを受けるが、そんなの最初だけ。
「ダイジョーブだって。約束どおり、途中までしかしないから。俺たちがするのは、互いのオナニーの手伝い。だろ?」
「わ、わかっているならいいんだ……」
エロマンガを右手でめくり、左手で暦の胸を揉みしだく。
といっても、ブラ越しではがっかりするような硬い感触しか返ってこない。
「んー。やっぱりブラ越しだと触っても柔らかくないな。こう、ぎゅっと押したりすれば別だけど」
「仕方ないだろ。だって、あたしのサイズに合うブラは種類が少ないんだ。材質だってしっかりしたのしかないし、デザインも可愛いのがない」
「あー。暦はDだもんな。ちなみにDは『デッパイ』のDね」
「……こういうとき、やっぱり公太郎も智の幼馴染みなんだなって思うぞ」
「そこは父さんの息子って言って欲しいね」
そう。我が家の大黒柱はエロマンガ家なのだ。
その伴侶もまた、エロマンガに理解がある。
いや、理解があり過ぎたかもしれない。なにせ、絵本の代わりにエロマンガを読んで聞かせるような、インモラルさんだ。
「ねぇママ、ふぇ○ちおってどうゆーこと?」
「それはね、おくちで○○○を○○たまま○○で○○○○○○と下品に○○○○ことよ」
「なんかすごい! ぼくもしてみたいなぁ」
「あはははっ。ばかねー。それは雌ブタがオチンポ様にすることだから、公太郎はできないのよー」
という頭のおかしな会話をする幼稚園児と母が、いったいどこの世界にいるんですかねぇ……。
兎にも角にも、家庭環境に恵まれて。
小学中学年のころには、そんじゅそこらのエロ中高生男子や耳年増JKなんぞ目じゃないくらい、エロに詳しくなってしまった。だって、家には参考資料があふれている。
となれば、仲良しの幼馴染み(実は結構ムッツリだった)といっしょになって、こっそり
父さん母さん、ありがとう!
あなた達の息子は、ムスコともども元気に薫陶を活かしております。
「……エロオヤジめ」
「エロマンガ家の息子だから、多少はね」
暦は頬をまっかにして睨んでくる。
その間も、俺の左手は止まらない。
手はするすると動き、シャツをはだけさせ、ブラのホックを外す。
「んっ」
ぽろんとこぼれた下乳を支えると、暦が甘い吐息をこぼした。
と同時に、ビクリと肩をこわばらせる。
「うっひょー。暦のでっぱいは綺麗だなぁ~。ふにふに柔らかいし色も白くって、まるでお餅みたいだ。食べたくなっちゃうよ」
「毎度のことだけど、んっ、そのオヤジくさい感想は、んんっ、どうにかならないのか?」
「オヤジくさいとは失礼だなぁ。……でもさ、こんなふうに言われると興奮しない?」
「ばかっ」
「あいたっ」
ぎゅうと膝をつねられた。
「やったな」
「ひゃうっ!?」
お返しに、乳首を指の腹でそっと弾く。
「やめろよバカ、痛いんだぞ!」
「ごめん、ごめん。ちゃんと優しくするって」
ぷりぷり怒る暦の耳元でささやいて、それから、そっと手の腹で乳房を撫でた。
なめらかな肌を撫でるように、するっと撫で上げる。
丘の形に沿うように、やさしく。何度も。
「ふっ、んんぅ……あっ」
そうするうちに、すっかり肩の力が抜けたらしい。
暦は、四肢をゆったり投げ出して、俺の与える刺激に身を任せていた。
肌も上気している。
じっとり肌に汗がにじんで、甘い匂いが漂ってきた。
「暦から良い匂いがする」
「バカ、そういうこと言うなっ」
「でも本当のことだしなぁ。ほら、見なよ。こんなになってる」
ここで初めて右手が仕事をした。
ズボンのチャックを降ろして、愚息を登場させたのだ。
愚息は、とっくに硬く大きくなっていた。
バキバキになった男根が、ズボンを突き破るかのように現れる。
「あっ……」
暦の熱っぽい視線が、男根に注がれる。
「暦がエロくて可愛いから、もう我慢できない。俺はさっそく始めるぞ」
始めるって何を?
オナニーショーさ!
暦の視線を纏わりつかさせたまま、男根をしごきあげる。
「ああ、暦のでっぱいはいつ見てもエロいなぁ」
「ちゃんとマンガの方も見ろよぉ……」
「だって、エロマンガよりもっとエロいでっぱいがあるし」
恥ずかしくてたまらない。
そんなふうに、暦は身をよじった。
が、俺は見逃さない。
暦の片手がするりと股間に伸びたことを。
オナニーを始めたのだ。
「そんなに強くこすって、んっ、痛くないのか?」
オナニーを始めたことを悟られまいと、わざとらしく会話を続ける暦。
でもさ、えちぃ声が漏れてるからバレバレだよ。
「なにを今更。いつも見てるじゃないか」
「――っ。だ、だってほら、やっぱり気になるだろ! あたしにはそんなの付いてないんだし」
スカートに手を突っこんで、もぞもぞ動かす暦。
もどかしそうだ。本当はもっと派手に動かしたいんだろう。
だったら、その背を押してあげよう。
「暦も見せてよ。俺だって見せてるんだからさ」
「み、見せるって?」
「決まってるだろ。オナニーだよ。……俺たちのエロマンガ鑑賞会の目的ってなんだっけ」
「それは、その……オ、オナニーの見せ合いだ」
「だろ? だったら、暦も見せなくちゃ」
「うう……。どうして昔のあたしはこんな約束なんかしちゃったんだ……」
「思春期だったんだ。仕方ないって! ま、俺としちゃ昔の自分を褒めたい気持ちでいっぱいだけど」
「エロオヤジめ! しょうがないな、ほら」
暦は苦笑いして、スカートをめくり上げた。
肉付きの良いふとももが、顕わになる。
ピンク色のサテン生地のショーツが現れる。
「暦のパンツはエロいなぁ」
「フツーだろ、こんなの」
暦はそっと下腹部へと手を伸ばす。
やわらかそうな丘陵地帯。そこには、一粒の淫らなな盛り上がりがあった。
そこに、ゆっくりとさすりだす。
「いやいや、暦だからエロいんだよ。むっちり肉付きが良いのが良い」
「……デブって言いたいのか、こら」
じろりと上目遣いに睨んでくる。
むくりと男根が膨張した。
「女らしくて綺麗だって言ってるんだ。ほら、俺のチンポも大きくなっただろ? 男は海綿体でウソをつけないんだ」
「うわっ、本当に大きくなってるじゃないか……」
「それだけ暦に興奮してるんだ」
それは事実だ。
男根をこする手の動きが、ますます速くなる。
「うわぁ、こんなに速く……。本当に痛くないのか?」
「むしろ気持ちいい」
ムッツリな暦は、もうずっと俺のチンポに釘付けだ。
熱中している。
そのせいか、自らの丘陵地帯をさする手の動きも、ますます速く激しくなる。吐息がどんどん荒くなる。
「公太郎のが、ハァ、あんなに大きくなって……」
「俺の何?」
「そ、それはだな……アレだ。アレだよ」
「だから何?」
「これだよ、これ!」
暦の自由な片手が指さしたのは、もはや空気と化していた可哀想なエロマンガの一コマだった。
女のキャラが、男にバックで突かれながら「おチンポしゅごいれしゅぅぅう~、アヘェェエエ!」と、今となってはすっかり標準語と化したみさくら語を叫んでいる。
「ひょっとして『アヘェ』?」
「チンポだ!」
「ちゃんと言えたじゃないか、暦」
「――っ」
しまった、という表情をする暦。
暦のツッコミ気質を利用した、我ながらクレバーな作戦だ。
「そうだ。チンポだよ。暦のでっぱいとパンツで大きくなった、暦が大きくさせたチンポだ」
「あたしが大きくさせた、チンポ……」
暦が熱っぽく男根に見入る。
んー、これはアレだな。すっかりスイッチが入ったな。
「ほら、見なよ。暦のオナニーを見ながら、こんなにバキバキになってる。暦のショーツにうっすら浮かんだスジを見て、こんなに硬くしてるんだ」
「すごい……」
俺の手の動きが速まると、暦の手の動きも速くなる。
それだけじゃない。
四本の指をそろえて、恥丘全体を撫でるようだった動きが、指を一本だけ使った、ピンポイントにスジを弄くるスケベな動きに変わってきた。
「暦も、いやらしい動きしてるじゃないか。見てるだけですっごく興奮する」
「んっ、だからって、んあっ、そんなまじまじ見るなぁ」
「約束しただろ、小学生のとき。『お互いのオナニーってやつを見せ合う』って」
だから仕方ないよねー。
なんて言えば、暦は無言で俯いた。
堕ちたな。
なんてやり取りは、実はこれが初めてではない。
いつまで経っても
その度に、こうして淫語を言わせて興奮させてみたり、小学生のころの約束を持ち出したりして、なんとか行為を続行させてきた。
正直、めんどくさい。
が、いつまでも初心でおぼこい反応は、実に得がたい萌えポイントであると、エロマンガマイスターの俺は知っている。
これくらいの面倒は喜んで享受するべき。そうするべき。
さて、火の点いた暦はといえば。
「んんっ、んあっ、あああっ」
クチュクチュと派手に水音をさせながら、ショーツ越しにクレバスを弄りまわしている。
いつの間にか俺にもたれかかって、両足を開いてあられもない姿を晒している。
それこそ自室でこっそりオナニーするときのような、リラックス具合だ。ここに、約五年間におよぶ、俺と暦の長い
「暦。パンツも降ろしてくれよ。アソコを見せてくれよ。このままじゃ俺、イケないよ」
「ああ、わかった」
とろんとした目つきで、言うがままにショーツを降ろす。
両手をショーツにかけて、腰を浮かせると、そのままするりとショーツを降ろした。
「おお、ビューチホー!」
現れたのはピンクのクレバスと、育ちかけの稲穂の姿だった。
「暦のアソコはエロいなぁ。色素のうすい生えかけの毛が、子どもじゃないけどまだまだ大人でもないって感じて、なんていうか瑞々しい。見ていて興奮する」
「なんだよ、そのグルメリポーターみたいなコメント……」
「エロマンガソムリエですから」
なんて馬鹿なやり取りをしながらも、互いに陰部をいじる手は止めない。止められない。
「んあっ、やっぱり見られながらのオナニーすごい……」
あんまり馬鹿なことを言ったせいか、いつもはインテリぶってる暦も、言葉が下品になる。
「暦のアソコ、ピンクできれいだ。指に弄られる度にヒクヒクするのも、すごくエロい。アレだ、池の鯉が口をパクパクしてるみたい。ちょーやらしい」
「公太郎のおチンポも、硬そうで逞しそうで、見ててすごくドキドキするぅ……」
暦の瞳がぬれそぼっているのが、眼鏡越しに見て取れる。
クチュクチュと跳ねる水音。それに混じる、甘い少女の声。
俺の怒張はますます昴り、いまにも歓喜の涙を噴き出そうとしていた。
「あー。暦、俺もうイキそうだわ。ちょっと左手貸してくんない?」
「え? あ、ああ……」
暦のフリーな左手を取る。
すっかり自慰行為に夢中な暦は、ぼんやりしながら、導かれるまま、左手を俺の怒張に重ねた。
「行くぞ暦、しっかり受け止めてくれ!」
びゅうぅ、ぶびゅるびゅるびゅるぅ――
そんな擬音でも吐き出しそうなほど勢いよく、俺の怒張は白い怒りを噴き出した。
「あー、出た出た。『マッドマックス~怒りの白濁ロード~』って感じだ」
「うあぁ、熱い……すごい匂い……」
白濁液でどろどろになった右手を、暦は口許に近づけた。
そのまま舐めるのかと思いきや――
残念。すんすんと匂いを嗅ぐに留まる。
けれども、左手は止まらない。
いっそう激しくクチュクチュと秘部を弄りまわし――
「あっ、あっ、あああっ!」
ビクンと腰を跳ねさせ、身体を震わせて絶頂した。
もちろん、豊かなお胸もたゆんと揺れた。
うーん、エロい。
実り豊かな光景に、俺の心も満たされるのだった。
**
ということがあって、十数分後。
窓は開け放たれ、ふたりの淫臭もとうにどこかへと散ってしまった。
暦は、アイスティーを啜りながら悩ましげな声を出す。
「うーん」
「どうしたんだ、暦。そんな、私納得いってませんって感じの声なんか出して」
「やっぱりおかしいぞ、公太郎。お前、エッチなことする時だけ性格変わってないか? なんていうか、意地悪になって、言動もちょっとアレになるっていうか」
「それは、ほら。俺の生育環境というか、我が家の環境に原因があるのではなかろーか」
なにせ、居間の本棚には十八禁シールのついた背表紙がずらりと並んでいる。
「普段はちょっと軽いけどマジメな優等生なのになぁ……。どうしてあたしの幼馴染みは、こんなのばかりなんだろう」
そんな暦のため息もまた、窓から何処かへと散っていくのだった。
9,308文字
すべてのエロマンガ家の先生がアレなわけでは決してありません。
一部の、母校にサイン色紙を送りつけたり、オナニーし過ぎて原稿が進まないという悩みを抱えてたり、親戚の娘に会わせてもらえなくなったりしたという一部の超ビッグネームの事例が独り歩きしてるだけなんですよね……。