※この作品はR-18です。

絶体絶命椚ヶ丘   作:sofuiri

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前回までの人物、用語
※マークはオリジナルキャラクター

◾︎潮田渚

暗殺教室の主人公。
大学時代は市立極楽高等学校に実習生として来ていたが、校長のコネで本格的な教師として来てしまった。
しかし、教師として最も尊敬していた殺せんせーの教え通り焦らず腐らず進んでいる為、苦労は有るが不良とのコミュニケーションも潤滑の様子。また、教師として視野を広げる為にかつての理事長が営んでいる浅野塾のバイトを始めた。
杉野とは恋人未満の親友だが、いつか杉野側からプロポーズを受けるのを期待している。
また、かつてのライバルだった浅野学秀とも浅野塾のバイトを通じて仲良くなった。親友でありながら早期に浅野と結婚した赤羽を羨ましく思っている。
杉野と共に普久間島にバカンスに行っており、帰り道の間に騒動に巻き込まれた。
相変わらず筋力が無いのと低身長が悩みで鳥ささみと牛乳は最早主食。

◾︎杉野友人
東京ヨーグルトスワローズに所属しているプロ野球選手。球速は無いがフロントドアを巧みに操った組み立て戦法が得意で入団時はドラフト3位だった。現在もその実力は衰えず、性格も良いので大人子供女性男性問わずファンも多数居る。
相変わらず神崎には昔の様にゾッコンなのだが、今は渚と一緒に居るのが楽しいらしい。

◾︎赤羽業(カルマ)
経済産業省所属の官僚。中学時代は素行不良でE組に落とされるもの、殺せんせーとの出会いで傲慢さは有ったものの、徐々に落ち着きを取り戻し、2学期期末では努力の末、学年1位という輝かしい成績を取った。
卒業後も渚や寺坂、奥田といった仲間とも仲が良く、仕事終わりには浅野と共に飲みに誘う仲。浅野とは一年前に同性結婚し、彼の帰国中は常に一緒である。旦那らしく、言い争いながらも浅野を支えたりする良い関係である。

◾︎浅野学秀
浅野學峯の息子で、中高時代は生徒会長だった。大学卒業後各地からコネを集めつつ若くしてシリコンバレーの大企業の社長となり、牛耳っている。
企業の具体的な内容はコンプライアンス優先に客のニーズに合わせて様々な物を作る会社らしく最近はハーブ栽培が趣味で、三色のハーブにそれぞれ渚、茅野、カルマの名前を付けているのは内緒。黄色のが栽培出来たら殺せんせーの名前を付ける予定らしい。
カルマとは一年前に同性結婚しており、多忙の中帰国して二人きりになると妻として思いっきり甘えている。どうせなら子供も欲しいなぁとも考えている程に好き。
男性ながら足腰は細く、尻は桃の様に大きく張りのある美尻だがカルマ以外に揶揄われると激怒する。



Chapter1「序章」
Chapter 1「序章」1ー1①


7/27 11:00 椚ヶ丘中学校 第一保健室

 

 

「‼︎ 渚……杉野……」

 

「み、皆…」

 

保健室。

 

この学校の保健室は名門校だけであり、最近は改装されたのか人が150人くらい入れる程に広くて薬品の棚に大型のベッドが5台、防災グッズや非常食の入ったダンボールが収入出来る大型のクローゼット等、数々の備品も豊富にある。

しかし、今は窓際にカラスや犬型の化け物の侵入防止の防護の為か合板や固い大型の木製箱のバリケードがかなり頑丈に張られていた。

 

ドアを開けてくれたカルマと寺坂に続いて学秀、イトナ、菅谷、千葉、磯貝、前原、木村といつもの皆が集まってきて「渚‼︎杉野‼︎」、「帰って来たんだな、良かったぜ」、「良かった……心配したんだぜ、皆」とヒヤヒヤとしたトーンで声を掛けて来た。

 

皆の話によると皆もそれぞれ自由時間を楽しんでいたらこの騒ぎに巻き込まれたらしく、最寄りの椚ヶ丘中学校に来てからは此処以外の他のE組のメンバーとは連絡が取れない状況に陥っていたという事らしい。

皆が無事と知り、渚は暫く安堵の表情で安心していると、周りには見慣れない人々が所々に居た事に気付いた。

 

 

「全く、機動隊か自衛隊が来ると思ったら、こんな金魚みたいな

落ちこぼれ餓鬼が来たもんだな」

 

突如、保健室の隅にいたホームレスの様に継ぎ接ぎだらけのくたびれたスーツの男が渚に向けて苦言を言い放った。

ん?落ちこぼれの餓鬼?渚はその言葉に思わず首を傾げた。

も、もしかして…。

 

 

「もしかして、D組の担任だった…」

 

「忘れたのか⁉︎フン、やっぱり落ちこぼれは洞察力が鈍いな…

そうだよ、元椚ヶ丘中学校のD組担任の大野健作だよ」

 

「やっぱり…」

 

 

あのD組の担任の、大野健作だった。

あの人は常に評価に対してはかなりの高慢で、E組行きになった僕やカルマは彼の愚痴にお世話になった事がある。

その後殺せんせー事件の事で逃げ込んだ避難所で浅野君を含めたA組や自分が教えていたD組達にパワハラまがいの難癖つけた事で新理事長からクビを言い渡されたと浅野君から話を聞いたけど、まさかこんな所で再会するとはね。

まあ、面倒だから関わらなけば良い話なんだけどさ。

 

 

「おいオッサン、また彼奴らに暴言吐いてんのか?イキってんじゃねぇよ」

 

「煩い‼︎こいつらのせいで俺は教師をクビになったんだぞ‼︎

お前もいつまでもブラブラしとらんでさっさと職に付かんかボケェ‼︎」

 

「無職のテメェとは違って俺はフリーターなんだよ、

煩せぇのはどっちなんだよこの人間のカスがよ」

 

 

その横で睨み付けていた金髪にガングロの黒いジャケットを着た不良の男が暴言を吐いた大野先生に向かって怒鳴りつけた。

慌てて僕が止めてやると不良の男は「あ、あぁ、雰囲気壊して悪りぃな」と素直にやめてくれた。

 

 

「すまなかったな、俺は認めたくないが其処のオッサン……

大野健作の弟の大野健示(おおの けんじ)と言うんだ」

 

「お、大野先生の弟さん⁉︎」

 

「あ、あぁ。血縁上ではな。今は家族と共にアイツと絶縁してる。

ちょっとした成り行きで拾ったこのナイフ一本だけで命辛々で

ガキを助けてたら絶縁していたこいつとばったり出会ったんだよ。

全く、嫌な相手だぜ」

 

「嫌とは何だ‼︎仮にも俺の弟なんだぞ‼︎

普通何処ぞのガキなどほっといて俺を助けるだろうが‼︎

ったく、俺が家族と絶縁する前は俺を手本にして教師になりたいと

言ってた癖にマスコミが学校の事態が晒されてクビになってからは一気に嫌いになりやがってクソがチクショウがブツブツブツ…」

 

「もうこいつは空気と思って良いぜ。

自分の評価ばかり気にするロクでもないやつだからな。

 

まあよろしく頼むぜ。

 

ホラ、お前もこのお兄さんに挨拶しろよ」

 

「う、うん……

椚ヶ丘小学校一年生の、如月聖也(きさらぎ せいや)です。

よろしくお願いします…渚お兄ちゃん」

 

弟さんである健示さんは怒鳴り散らすお兄さんを見事にスルーして、後ろで健示さんのシャツを掴みながら怯えていた黒髪に可愛らしい象のアップリケが付いた緑シャツの小柄な男の子に挨拶を促した。

可哀想に、こんな小さな子まで…。

もし、健示さんが助けていなければどうかなっていたんだろう。僕たちが守ってあげないとね。

 

「うん、宜しく。健示さん、聖也君」

 

「健示で良いよ、俺、お前と同い年だからよ」

 

「えっ、そうなんだ⁉︎僕から見たらもっと下かと思ってたよ」

 

「ははは、悪いか」

 

 

健示は思わずへらへらとして笑い飛ばした。

見た目は不良ぽくてぶっきらぼうだけど、お兄さんよりこの子の命を助けるなんて見かけによらず面倒見の良い礼儀正しい人だなと思った。

やっぱり、本校舎の先生の血縁者だからって、不良そうな見た目だからって判断してはならないな。

殺せんせーの教え通りに、渚はその気持ちを新たに肝に命じた。

 

 

「君が渚君かね?學峯のハナタレと烏間から話は聞いたよ」

 

 

二人に続いて、殺せんせーの社会の授業でも度々教えられた…教科書でも度々見る旧日本軍らしき軍服を着た優しそうな白髪のお爺さんが話を掛けてきた。

見た目が軍服というだけでも吃驚したが、一番吃驚したのは浅野理事長と防衛省の烏間先生の名前がサラッと出て来た事だった。

 

 

「儂は…大鳳烈(おおとり いさみ)と申そう。

元は日本軍の大佐を務めていた身だ」

 

「に、日本軍⁉︎それに烏間先生と理事長の名前を…」

 

「いやいや、戦争が終わってからはこれ以上は争いたくないと軍を辞めてな、まっとうな人生を送ろうと學峯のハナタレが通っていた高校の教師を務めていたんだよ。

まあ、偶に軍人だった血が騒いでちょくちょくボランティアで烏間に戦い方を教えていたがな」

 

「本当ですか……す、凄いなぁ………(烏間先生と理事長の超人ぶりも彼の教えからなのか…衝撃の事実だよ)」

 

「まあ流石に今はただの老いぼれのじじいだ。

今儂は山で隠居をしててな、久しぶりに普通の飯を買おうと街まで降りて来たら今回の件に巻き込まれたって訳だ。

お姉さんと逸れたと言う生存者の女の子の保護も兼ねてここまで逃げて来たよ。

おいで、桃奈ちゃん」

 

「あ……うん、古場桃奈(こば ももな)と申します!宜しくね!お兄ちゃん!」

 

「うん、宜しくね、大鳳さん、桃奈ちゃん」

 

 

大鳳さんが保護をしたと言う古場桃奈と呼ばれる小柄な少女を呼び出すと元気よく挨拶をして来た。

ファンタジーアニメに出てきそうな円形の変わった髪飾りに綺麗な桜色のワンピースを着ていて、歳は…この身長だと恐らく先程の聖也君と同じ年齢だろうか。

でも…あれ?古場?何処かで聞いた様な…

確か、浅野塾に同じ苗字の子がいた様な気がする。

でも今はそんな事はまあ良いや。

 

そして、最後の一人が。

どう見ても刑事と見まごうクリーム色のトレンチコートにオレンジ色のカチューシャ、一歩見ればセーラー服に見えてしまいそうな警官服を身につけた女性だった。

昔の刑事ドラマを意識しているのか、時折コートのポケットの中からセボンスターと思わしきタバコを取り出して吸おうとしていた。

 

「初めまして〜…かな?どうも!

あたしは木村君の同僚の交通課の婦警の音無美奈子って言うの。

あたし初めは刑事課に希望していたけど、落ちちゃったのよねぇ、はぁ」

 

「おい、タバコを吸い出すな!

此処には未成年の子供だって居るんだぞ」

 

「え〜いいじゃない、こんな時なんだから吸わせてよぅ」

 

「駄目だ、吸いたいなら外でやらんか。

後あの事は非常事態だろうが、絶対的に口外するなよ」

 

「ちぇー、けちんぼ」

 

サバサバとした口調で話しかけてきた音無と呼ばれる婦警は、尻高さんに喫煙を注意されると不満げにむくれながらタバコをポケットにしまった。

余程昔の刑事ドラマみたいに決めたかったのかな。今じゃ喫煙風潮は昔より厳しいのにな。

それにしてもなんだろう。尻高さんの言っていたあの事って………。

 

とにかく、僕と杉野を含めて生存者は計18名。生存者はわりと多い方だが、不慮の事故で減るかもしれない。

中にはまだ小学生の小さな子も居るし、僕達大人が用心していかなければ。

そう考えていると、磯貝君が閉じていた口を開いた。

 

「兎に角、俺たちでこの学校を調査しながら脱出ルートを探して行こう。こんな時だからこそ、やれる事は沢山有るはずだ」

 

「うん、そうだね…磯貝君の言う通りだ」

 

「でも具体的にはどうすんだよ。今無闇につっ走ったって犬死にするだけだし、かと言ってこの保健室に籠りっぱなしじゃ逆に危険になんだろが」

 

寺坂がもっともな意見を言い放った。

確かに今下手に動き回れば予測出来ない程に化け物に鉢合わせする確率はグンと上がるし、最悪皆死んでしまうのかもしれない。

篭城戦も身を守る準備があるのならそれでも良い。だがここは仮にも学校の保健室だ。

 

窓際のバリケードやドアだって頑丈じゃないから力のある者がくればたちまちに壊されるかもしれないし、第一に僕たちの食料や武器、医薬品はどうなるんだろうか。

全て無くなったらたとえ化け物がやられても手当てが出来ないがために感染症を引き起こして病死したり、食料もないから餓死もしてしまうのかもしれないのだ。

 

寺坂は磯貝君や浅野君みたいなカリスマなど微塵も無いが、周りの言う常識に弁えて、辻の通らない理屈に合わない事は誰だろうが、絶対に言わない性格だ。

これには磯貝も流石に考え込んでしまった。

超生物相手ならいざ知らず、今回は本当に人を殺すようなゾンビの化け物だから。

 

「なら先ずは皆の持ち物を見せ合おう。武器になる物があるかも知れない。

話はそれからだ」

 

 

皆の持ち物を見せ合おうと提案され、皆は素直に手荷物を出した。

ただ、大野健作だけは協力する気はさらさら無い上に怒り狂っていて話にならなかったから無視を決め込もうと健示の指示で省いた。

 

渚はナップザックから先程拾ったサバイバルナイフにハンドガンが一丁、そして旅行の時に使っていたアメニティと未使用のスポーツタオルが一枚。そしてなけなしのお菓子にペットボトルのお茶。そして普久間島の観光ガイドブックにスマホ。

杉野は基本的には渚と同じ荷物であり、追加されているのは金属バットに予備のリストバンドに先程拾ったテニスボールと野球ボール。

 

カルマはコンバットナイフに高級そうなウォレットキーケース、練り山葵にカラシ、奥田に作ってもらったと言う悪臭爆弾。

学秀は救護型なのか、腰に着けるタイプの注射器や包帯、栄養ドリンクと言った物が入った大型の救護ポーチに沢山のハーブや調合キットが入ったウォレット型のハーブケース。そしてペンライトに頑丈な大きな折り畳み傘。共通に、二人とも薬指に結婚指輪を嵌めている。

 

千葉はハンドガンが二丁にアクション式のショットガン、アサルトライフルにドラグノフと呼ばれる狙撃銃、身体に巻くタイプの大型の弾丸ケースにもしもの為のイーグルナイフが二つ。菅谷は写生用のスケッチブックとペンケース、コイントス用のコイン。

 

前原は包丁が2つ、かなりの大型のナップザックに水筒、知り合った女子のプロフィール帳簿が1冊。磯貝は懐中電灯にマッチと蝋燭、保存の効く缶詰やカローナメイツ、折り畳み式の果物ナイフなど防災時に役立つ物が多い傾向だった。

 

寺坂は杉野の物より大型の金属バットのみ。イトナはスパナに電子工作キット、予備のバンダナ二枚とマクビシーチョコビスケットとチョコバー。

 

木村は官給品のハンドガンに弾丸、黒バッグにファイル。

ファイルについては、尻高さんの指示で警察の機密の為ファイルの中身は見せられないと言った。

健示はバタフライナイフ一本にスマホ、音無は木村と同じ物にコートから携帯灰皿にタバコ。大鳳は村田銃に旧型の火縄銃、手榴弾に肉切り包丁。聖也と桃奈はお菓子とジュース以外何も持っていなかった。

 

尻高さんは武器は有るものの、ある程度の武具の援助はするが自分の使うモノには皆には見せられないし、貸せられないと言う事だった。

これは警察の立場だけでは無く、彼には皆が信じられないと言う事らしい。一般市民としては優しく接する事は出来ても未だに僕たちの様な事件の人は信じられない、という事だった。

 

 

「皆、あらかた武器は有るな……警察の人や軍人だった大鳳さんはともかく…千葉、お前の持ち物は一体何処からなんだ?」

 

「事件に巻き込まれた時、セントラルエリアのガンショップを開いていた男性の方に貰ったんだ。初めは嫌だったけどよ…押し付けられた」

 

「あぁ…そうか。こんな時なんだ。大事に使えよ」

 

 

磯貝が千葉に向けて信頼するかのように微笑みながらそう言うと、次は大鳳の方へ顔を向けた。

 

 

「後大鳳さん、手榴弾を杉野にちょっとだけ分けてもらえませんか?

彼は野球選手で投法に長けてます。絶対に役立ちますよ」

 

「あ、ああ、構わんよ」

 

 

磯貝がそう言うと、大鳳はそれぞれノーマル、スタングレネード、

チャフと3個ほどの手榴弾を杉野に分け渡した。

格闘術と護身術以外に戦う術があまりない浅野に気付いた尻高は、止む無く黒いバッグから銃を取り出して渡した。

 

 

「浅野君にはこれを。これはハイスタンダードデリンジャーと呼ばれる物で、弾は1発ずつしか込められないからリロードには時間がかかるが十分に火力が出せるから銃が慣れてない君でも扱える。

本当は渡したくもないが、こんな時なんだ。救護だけではなく、必要な時は自分から戦え。言うまでもないが、自分の身は自分で守れ。

分かったな」

 

「はい、ありがとうございます。尻高さん」

 

 

浅野は思わずにっと笑い、尻高から銃を受け取った。すると寺坂が文句を言い放った。

 

 

「尻高さん‼︎俺達の武器はねえのかよう‼︎」

 

「寺坂君、君は金属バットが有れば暴徒位倒せるからな。磯貝君と前原君はナイフメインで戦えるし、菅谷君は千葉君から銃を貰えば良い。

健示君は銃の扱いには慣れていないから、すまないが、なんとかナイフで持ち堪えてくれないか?」

 

「お、おう」

 

「ま、そりゃそうだけどよ………」

 

「後はイトナ君、コンピュータには詳しいか?」

 

「簡単なプログラム基盤とオペレーション、閉鍵されたドアの開閉位ならな」

 

「そうか……なら、皆のオペレーションを頼めるか?

この学校の放送室に行ったら、インカムで皆と連絡を取ってくれ。皆には小型通信機を渡しておく。

此処ではスマホは機密を守れないし漏れる可能性があるから余程の無い限りは使うな」

 

「ああ」

 

 

イトナはうなずくと尻高からインカムを渡され、皆も小型通信機を渡された。

あらかた話終えると磯貝がおほんと咳払いをして話した。

 

「じゃあ改めて、チーム分けを始めようか!

 

先ず、カルマと俺をリーダーにして四人ずつに調査するチームと、保健室に待機しつつ防衛したり看護するチーム、二人で調査するチームに分かれよう。

 

あ、木村含めた警察関連者と大野先生は省くよ。大野先生はともかく、警察の人は独自に捜査したいと尻高さんから要請が来たからな。後聖也君は健示と、桃奈ちゃんは大鳳さんと一緒に行動してくれ。良いね?」

 

「はい」

 

「はーい」

 

「先ず、俺のチームに前原、菅谷、渚。カルマのチームに寺坂、健示(と聖也君)、杉野のチームでこの学校の中を調査しよう。

 

千葉と浅野、大鳳さん(と桃奈ちゃん)は音無さんと共に保健室に待機してもらってくれ。

浅野と音無さんは救護、千葉と大鳳さんは護衛を頼むぞ」

 

「うん、磯貝君」

 

「ああ、的確な指示をありがとうよ。イケメン‼︎」

 

「ケッ、ガキのお守りはあまり苦手なんだななぁ…」

 

「ワーイ‼︎健示兄ちゃんと一緒!健示兄ちゃんと一緒〜‼︎」

 

 

皆それぞれ色々言いつつも、役割分担が決まり僕は磯貝君のチームに入る事になった。

正直杉野と別れるのは不安だけど、杉野なら大丈夫だと信じている。

きっと今頃避難している僕の親と同じ位に。

 

 

「それでは、各自解散!」

 

「あの、その前に僕、トイレ…」

 

「はぁ⁉︎」

 

 

突然聖也君が尿意を催した模様で、足をもじもじしていた。だが幾ら緊急事態とはいえ、これだけは仕方がない。

……一人では危険だ。僕がついて行かなきゃ。

 

 

「じゃあ、僕が付いていってあげるね」

 

「えっ⁉︎良いの⁈渚お兄ちゃん」

 

「ひとりぼっちじゃ、怖いだろ?さあ行こう」

 

「う、うん…………」

 

 

僕は聖也君の手を優しく引いて、トイレに向かう事になった。

皆は心配しているが、「心配しないで」と声を掛けてやった。

行き側に健示が「どうしようもねーなら、大声で俺達を呼べ。

直ぐに駆けつけてやっから」と優しい声で諭してくれた。

 

…あのお兄さんとは偉い大違いだな。と思いながら僕は男子トイレへと向かっていった。

 




今回の話、補足。
※あくまでも蛇足です。ゲームをやっている感覚でどうぞ。

◾︎保健室で皆と再会しました。
オリキャラの中には、原作モブである大野健作が居ますがぶっちゃけ何もしません。ただ怒鳴り散らして邪魔なだけです。ただの皆のイライラ担当。
パッと見ればのびハザの金田のポジションっぽいですが、彼の場合作品によっては改心していたり悪いやつじゃなかったりするからどちらかと言うとのびハザ2のタオ・ウーロンっぽいかも。怒鳴るところももう似てる…

また、オリキャラですが彼の弟の大野健示が出てきました。
こちらは常識人で周りの配慮が出来る言う良い立ち位置で、いわゆる反面教師です。
彼が何故不良になった経緯はいずれ小説内で話しますが、話の流れを見れば大体予想は……

◾︎皆の持ち物については、キャラのイメージは勿論、今回どんなポジションに着くのかなぁと想定しながら書きました。一番楽しかったのはイトナと浅野と前原のポジションを考え込んでいました。今回律が居ないのでコンピュータ関連はイトナがやってくれます。ついでにセーブ担当のメタフィクションもやりますw
浅野については、秀才という立ち位置ながらバランスが崩壊しない様に気をつけていました。考えた末にバイオハザードアウトブレイクのシンディの様な回復役ならなんとかなるだろうと半ば自棄的になっていましたが。
前原は持ち物に何故か巨大なナップザックが有りますが、偶々ナップザックを背負っていたゾンビから多く荷物が運べる、という理由でぶんどったという裏設定がありますw確かw

◾︎アリシアの捜査は当初は皆に伏せています。
今機密を喋ったら絶対に周りがパニックになると思うし、下手をすれば大野健作の様な虚栄心が強い人物が一方的に日本警察や防衛省を糾弾してかなり不利になってしまう所でしょう。
ただ、調査パートが始まれば隠すのが難しくなると思いますので、きちんと良いタイミングで打ち明けたいと思います。
人間の心情とか勉強しなくちゃ。

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