『お姉様、ランサーさんと確認をお願いします』
そうエルマに呼ばれて再度ミーティングをした。随分遠くまで走ってくれたアサシンが戻ったのだ。そこで彼は起点らしきものを発見した。
『そう来るのか』
地図と照らし合わせ、ルーマニアの古い都市や城塞跡を組み合わせると、ランサーが少し呆れた声をあげた。何故なら、そこには巨大なルーン文字が浮かんだからだ。
『ここだけど、こんな山の中に何があるの?』
『お父さんでも知りませんか? ここがヴラド3世の居城だったポエナリ城塞ですよ』
ドラキュラ伯爵の城と言われるブラン城は、ヴラド3世の祖父が住んでいた城で彼とは関係ない。本当の城はそこから西へ数百キロ山の中を分け入ったポエナリ城塞だ。
『という事は?』
『ああ、組み合わせると『ニード』というルーンが浮かぶんだ。意味は『打破する力、無敵の勇者、必要な学び、束縛と自制、克服』となる。けどよ、そいつはアサシンが見付けてきたのとは別ものなのさ。こいつを見てくれ。古い街や城砦なんかを組み合わせると今度は『ソーン』が浮かぶ。こいつは『魔除け、強い心、運命の門、いばらの道、防御、庇護、中立』なんかの意味がある』
『それってどういう意味だ?』
『まぁ、聞けって。まず間違いなく目の前の戦場に掛かっているのは、この巨大なルーンに拠る結界だ。以前エルヴァから聞いた、冬木の結界(五芒星)がヒントになったのかもな。けど、ここまでは良いんだ。オレ達ならいずれ見破っていたろうからな。でもな、問題っつうか、遣る瀬ないっつうか。こんなのまで見えちまったワケさ』
それが『ソーン』だった。
『この『ニード』に拠って向こうのサーヴァントが加護を得ているのはわかるよな? 例えばそれでバーサーカーの扱う屍兵が厄介な存在になっている。強さはそうでもねぇから、たぶんここの霊脈からマナが枯渇しない限り湧くとか、そっち方面の強化なんだろうな』
『では、ライダーは?』
『決まってる。加護を断ったんだろ』
当たり前のようにランサーは言った。それが『戦士の誇りだろう?』と言外に匂わせている。そもそも説明しているランサーがそういうのを断りそうな性格だ。
あの千にも届こうかという槍の応酬は、二人の大英雄には万遍にも及ぶ言葉なき対話だったのだろう。アキレウスに対するリスペクトが半端ない。
これはモードレッドもわかるようで強く頷いていた。
『ですが、それが戦力増強に繋がるのなら……』
『いえ、エルマ。それはマスターが考える事であって、『戦士』は別です。私も『王』として一軍を率いるのなら、こういうのは遠慮なく利用するだろう。ですが一戦士としては受け入れ難いという彼の言葉も良くわかる』
セイバーの言葉にランサーも頷いた。つまり相手のマスターはライダーの気持ちを汲んだのだ。それで負けたら元も子もないと思うけれど、それでもその道を選んで来るのが英雄なのだろう。
『けどな、引く時は引くのもオレ達だ。なのにアイツは引かなかった。その微妙な心理に作用しているのが、この『ソーン』だろうな。言いたかないが、このルーンは奴さん達がこちらと敵対する前からあったんじゃ無ぇか?』
ここで獅子劫さんの話が繋がる。この地を隠れ蓑と定めた魔術師達が残したルーン。それがプレストーンやアイスコルの運命を、長い時間を掛けて定めて行った。『魔除け、強い心、防御、庇護』でなく『運命の門、いばらの道』として。
特に今のアイスコルはそうだろう。自分達の立場を護りつつ汚名を返上したい、ただそれだけの願いが悪い方へ悪い方へと流されて行く。
プレストーンやアイスコルは元々北欧の家だった。あまり知られていないが、その昔、台頭してきたエーデルフェルトに追い出されたという過去がある。その時に特大の呪いでも受けたのかも知れない。
私と白い彼女は、この件をモードレッド立ち会いのもとで小さなエルヴァに話した。最終決断を促したのだ。
「マスター。いや、エルヴァ。決めんのはお前だぜ? 相手を滅ぼせと言うならオレは全力で叩き潰す。けど、対話がしたいってなら、そういう場を設けれるように持って行く。どうする?」
私はジッとエルヴァちゃんを見た。ここでどういう選択を取るのか。それでこの子の運命が決まるような気がしたからだ。エルなら『滅ぼす』と言うだろうか。私は『対話』を求めるだろう。
「裏口、要はバックドアを作ります」
ん?
「ここは訊かないとわかりませんが、助けたい、見逃して欲しいと願う人が居ると思います。その人の助命を確約した上で、残りを滅ぼします。それがアインツベルンとして見逃せるギリギリのラインです」
そう来たか。けれど、後々の政治的問題をその人に残さないし、血が繋がる保証もできる。時計塔との関係や、様々背負ったしがらみをリセットするには、犠牲を強いるにしても妙案かも知れない。
「わかった。それで行こう、マスター」
この時、セイバーが『我が意を得たり』とばかりに大きく頷いた。
『あれこそが『王道』ですよ。敵対者は見せしめの意味もあって斃さねばなりません。ですが全部を滅ぼすのは良くありません。希望は残して然るべきです』
それは逸話に残るヴラド3世が取らなかった、いや……取りたくても取れなかった方法だ。攻め込む兵は皆んな下っ端で、王族の陣頭指揮なんて無かったろうから。
そしてそれはセイバーにもアルトリア姉さんにも当て嵌まる場合があった。王族が居ないから、見せしめに皆殺しにした姉さん。王族が居たから慈悲を見せたセイバー。
だからこそ、この時のエルヴァちゃんの選択は立派だった。魔術師にとって血を残す事ほど重要なことはないのだから。
『お姉様、それでアサシン達が捕まえている傭兵達はどうしましょう?』
『ニード』の起点を護っていた傭兵だ。『ソーン』の方には誰も居なかった。そこからも知らずに描かれた結界だったのだとわかる。
『最初に捕らえた者達とともに突撃させましょう。それで城を攻略し一気に片を付けます』
私やもう一人の私が話したのではない。エルヴァちゃんがそう言ったのだ。私がエルから免除され、背負っていない『家』をこの子は背負っている。その覚悟のある言葉だった。それで今夜、敵城を攻略する事に決まった。
先陣と言うか先触れの工作は最初に捕らえた内の3名が行う。それはこちらからの脱走を装うためだ。そしてあちらに、ある事ない事をペラペラと喋ってもらう。その後、深夜に他の捕虜が洗脳兵となって突撃だ。
『是非ともお供させて下さいませ』
『私も』
ルヴィア(妹)とフィオレの二人だった。彼女達は私やもう一人の私でなく、エルヴァちゃんに直訴した。それを止める暇もなかった。エルヴァちゃんが正式に受け入れてしまったのだ。
『ルヴィアは私達と近過ぎます。今後のエルヴァちゃんの事を思えば、このコネクションは有益かも知れません。獅子劫さんもそうですが、あの子にはあの子の繋がりがある。何よりこの方がノイントのお祖父様も安心なさるでしょう。ルヴィアにしても、凛との事業や私達の提供するアイデアで先の安泰が見えています。あなたが心配する気持ちはわかりますが、クロエちゃんやおチビちゃんのためでもあると納得するしかありません』
結局、そうなるか。自分でも理解はしていた。けれど小骨のように引っ掛かる。
『あなたのように、優しく甘やかすだけではダメですよ。成長を促してあげませんと』
『彼女の言う通りだよ、エルヴァ。エルヴァちゃんの決断は正しいと思うわ』
白い彼女と姉さんに慰められた。もうやるしかない。そうなるとここを話さないといけない。それはクロエちゃんとおチビちゃんをどうするのかだ。
私達と姉さんはエルヴァちゃんを伴って、二人の妹達に尋ねてみた。
「行くよ、お姉ちゃん。最後まで見届けないと」
「うん」
「人が死ぬかも知れないですよ? 今ではそれを目に触れさせないようにして来ました。ですが今度は目の前で死ぬ人が出て来る可能性もあります」
二人は顔を見合わせた。
「それでも行く。敵の前にお姉ちゃんやエルヴァが心配だし」
「おチビちゃんも?」
「うん」
私は今、替えの効く状態だ。例えここで死んでも本物のエルヴァは日本に居る。それをわかっていても『心配』だと言ってくれる。
それだけ、あの『死』はこの子達に大きな傷跡を残したのだ。そうなると死ねない。何があっても。
ルヴィア(妹)とフィオレは、一度エルマが取り出したクルマの中から、それぞれの礼装を出して装着した。ルヴィア(妹)のは、外骨格が凄まじい、着込むカタチのバトルスーツだ。
フィオレはもっと簡素でタイトなバトルスーツを着、その上から薄いパック型のものを背負った。そこからニョキニョキと蜘蛛の足のように礼装が生えた。
『バルキリー・スカートかサドラーか』
『は?』
『いえ……未来の話でした』
実はバルキリー・スカートの方は、昨年に連載が始まっていたので私が知らないだけだった。サドラーがわかったのは翌年の事だ。エルは彼女にどういう知識を与えているのだろうか。
それはともかく、魔術で動くのでとても滑らかで静かなフィオレの礼装。なのに視覚的にはガチャコン~ガチャコ~ンと音が聞こえてきそうだ。
名は『ブロンズリンク・マニピュレーター』というそうだが、上腕2本に下肢2本でそんなものかと思った。すると纏めてあるだけで四肢は分裂するし、関節部も固定されておらず、どこででも折れ逆方向にも曲がるという。
おまけに腕に当たる部分に銃身のような筒があり、やはりそこから魔力弾が撃てるのだった。
『やはり……』
『ん?』
『いえ、エル様の世界のフィオレさんの礼装は、精神とのリンクがもっとしっかりしていて、あんな口頭指示は出していません。何よりあのような無機物だけでなく、有機物のパーツも使われています。自動迎撃モードの反応速度は、ケイネス先生の『月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)』を上回るシーンもままありました』
『それって先生がプラハに出張した際に直接指導を受けたからでしょう? それは憶えていますよ』
『あらま。エル様もどういう記憶操作をしたのだか。ですが、その失われた記憶を私に質問して来ないのはどうしてですか?』
『これまでも何度か矛盾を感じていました。それでも尋ねないのは、きっと逆の立場なら私でも封印したであろう事柄だからでしょう?』
『それがわかっているなら十分です』
その『十分』という言葉の響きに嫌味はなく、私を気遣ってくれているニュアンスがありありとあった。
「え? エスタフェみたいな助手席側がスライドドアのクルマ? 日本にもありますよ」
「あるんですか?」
「本当、お姉ちゃん?」
「そんなの見たことないよ~」
出撃前の食事時だった。きっと皆んなの緊張をほぐそうと、エルヴァちゃんから振ってきた話題だった。
「おチビちゃんは絶対に見ていますよ。答えはト◯タのクイックデリバリーにアーバンサポーター、それとデリボーイ。い◯ゞのビギンにハイパックと、古いところなら60年代でエルフのハイルーフなどです。このハイルーフを除けばどれも80~90年代からですね」
「そんな名前を言われてもわかんないよ」
「そうですねぇ。クイックデリバリーとビギンはあれですよ。宅配便の配送車です」
「ああ!」
「あれって、スライドドアだった?」
「スライドですよ。その手のクルマをウォークスルーバンと言いますが、タイプHのような普通のドアより乗り降りがしやすく、集荷・配送で荷物を持った時に腰が楽なように背が高いのが特徴です。乗用車感覚で乗れるル◯ー・エクスプレスのようなタイプもニッ◯ンのADバンでありましたね。小型なら同じニッ◯ンからエスカルゴというのがありましたし、日本独自の軽自動車でもありましたよ」
ここでお父さんまで加わった。
「軽で? 本当に?」
「ありましたよ。ダイ◯ツ・ミラとス◯キ・アルトにミツ◯シ・ミニカのウォークスルーバンです。ミラの二代目にはミチートというオシャレなガルウィングなカーゴタイプもありました。また、ス◯キにはハッスルという、エクスプレスと同じフルゴネットもありましたね」
「だけど軽規格なんだよね?」
「そうです。ですから見た目だけです。例えばクレープ屋さんでもたこ焼き屋さんでも良いですが、ムードを出すならその手のクルマで、実用性と経済性を取るなら同じ軽でも商用バンが1番です。それにある程度のペイントやステッカーでオシャレ感は演出できますしね。手作りの木製折り畳みベンチとテーブルを積んでクルマの側に置き、お友達にも教えてあげて下さいとデザインの良いステッカーを配ったりね」
「ああ、なるほど。そういう発想が女の子だなぁ。ペイントとステッカーか。そのステッカーに携帯電話の番号と営業場所を載せても良いだろうしね」
「そうです。複数の場所を載せて、『本日はどこでしょう?』と見付けて買いに来てくれた人には、少しサービスしたりしても良いわけです」
「面白いね」
「でしょう? お父さんのような男性客を相手にするなら『おでんとドテ煮しかありません』って赤提灯と屋台の絵をクルマに描いて、そうだなぁ……。安酒ですがコップ酒1杯250円、1本150円のドテ串3本付きで550円ならいかがです?」
「毎晩通うよ」
ここでエルヴァちゃんが目を剥いた。
「お姉様。屋台でお酒なんて出して良いんですか?」
「海外はダメなところが多いですが、日本は警察から路上営業許可を得られれば大丈夫です。勿論日中の学校近くとかはダメですが、夜であればOKですよ。狙い目は駅に近い公園横。出来ればベンチのある。一人頭1500円落としてくれれば、50人で7万5千円。夜6時から夜11時までの5時間、月20日営業なら150万は稼げるかな?」
「ああ、数ヶ所の駅を転々と?」
「そう、ローテーションで。スジ肉が高くなったらモツの串煮もありです。とにかく絞ったメニューで仕込み時間とストックを削減して路上一筋。売上げの半分が自分の儲けとして年収900万です。実は粉ものは原価が低い分、客単価も低くならざるを得ません。ソバやうどんにラーメンも、水の確保とガス代で厳しいものです。アルコールが一番儲かるのは歴史が証明しています。裏返せばそこが宗教的な倫理観から外れるので煩い国が多いのですよ」
ここで白い方が声を出した。
「そんなお店を魔術師が出す訳です。一見(いちげん)さんもたちまち熱心なリピーターです。『女房が口煩くて』「構って欲しいってサインですよ」『こっちは真面目に働いてるのに、昼間はどこぞでランチだぞ? 誰が稼いだ金だと思ってんだ?』「アメリカではバーベキューを仕切れてこそ父親だそうです。料理、お掃除、日曜大工、何でも良いですから『家の事』もほんの少しやってみましょうよ」『子供は子供で小遣いくれと、お父さんは臭いしか言わないしな……』「お金は私だって欲しいですよ。だから働いているんであって。そこは大黒柱に甘えて、もたれているんだって大容に受け止めましょう。ですけど、香りは気遣った方が良いですよ。それも嬉しい助言です。だって誰だって歳を経て体臭などが変化します。つまり仕事先でもそうじゃないかって気を配りませんと」……な~んて、適当に返事を返せば良いだけです」
「適当なの!? すっごく良いこと言うなって真剣に聞いていたよ?!」
これで皆んなの緊張が一気にほぐれた。
「オッサンもそういうクルマが似合いそうだな?」
「俺に?」
「ああ。箱に骸骨を描いて……」
「内装はカタコンベか? そんなの乗りたくねぇ」
「え~」
「え~じゃねぇ。俺はそこまでパンクじゃねぇよ。けど、その昔にシト◯エンのアカディアーヌってのを持っていてな。50万キロほど走ってくれて。ありゃ~、良かったな」
「へ~。どういうトコが?」
「自分で治せるトコだ。こんな仕事だからな。騎士様には信じられないだろうが、クルマは大抵現地調達なんだよ。それで仕事が終わって売れりゃ~良いが、ぶっ壊れて捨て置くしかない場合も多い。だからクルマとも、そん時限りの関係だ。おまけに現地で溶け込みやすいよう、ごく普通のセダンや商業用バンを選ぶ」
「どんな?」
「言っても知らねぇだろうが、フィ◯ットの900Tや238、242とかだ」
238に242はFFレイアウトでデュカートのご先祖様だ。900TはRRで600の系譜。どれも80年代前半まで生産されていた息の長いモデルだ。
それだけに街のあちこちで見掛けられた、本当にありふれたバンだった。旧市街地の狭い路地だと三輪ベスパのエイプが未だに走っていたりするけれど、それもイタリア限定だ。
対する900Tや238なんかは国を跨いでどこにでもあったし、アカディアーヌはスロベニアでも生産されていたので、旧共産圏も走っていた。
これはポーランドの600や、その後継の126にも言える事だ。どの国の自動車メーカーもいかにマーケットを広げるかに腐心していた。中でも特にフィアットは、共産圏に熱心だった。
だからロシアで見掛けるクルマのルーツを辿ればフィ◯ットに行き着く事が多い。それでも後にパンダやウーノが出ても生産が続いた126には驚かされるが。
なお有名な500(ヌォーヴァ500)は600の廉価版で空冷の2気筒だ(600は水冷4気筒)。そして126は空冷の2気筒だった。
暖かなイタリアで廃れても寒いポーランドやロシアで生き残ったのには、国民の懐具合以外にも理由があったのだ。
「そんな風にクルマを選んでいるから当然思い入れなんてない。それでもな、そのアカディアーヌだけはアジトに置いてずっと乗っていた。気にいっちまったんだな」
「わかるぜ、それ」
その獅子劫さんがかつてお気に入りだったというアカディアーヌは、2CVの商用バンだ。やはり空冷の2気筒エンジンだった。今も乗っていたらメチャメチャお洒落だと思う。外装が錆びていたら誰も盗まないだろうし。
今は見掛けないけれど、一昔前の欧州だとパンダのバンと並んで街のありふれた存在だった。獅子劫さんも仕事を通してそういう商用車が好きになったのだろうか?
「オッサンは新大陸に行かないのか?」
「アメリカか? 神秘ってのは古い文化と、大勢の人の歴史があってこそなんだよ。だから西欧ほど聖遺物や呪体がないんだ。つまりはトレジャーハンターの出る幕は無いって事だ」
「そういやそっちの英霊って聞かないもんな」
「だろう? 南米だとアステカ文明とかがあるが、信仰が弱くてな。聖堂教会がアメリカで発達したのもその辺に理由があるんだよ」
「物知りだな?」
「物を知ってないと商売にならないからだ。お前さんの召喚に使われた聖遺物も、時計塔が放出するって逸早く聞きつけたから買い取れたんだ」
「それをエルヴァに?」
「ああ。あのお嬢さんは前々からお前さんを喚ぶって決めていたからな」
「そっか……」
以前はどうしてオレなんだと不思議がっていたけれど、この頃は既に理由を聞いていたのだろう。モードレッドはスッキリした顔をしていた。
「ミラのウォースルーバンの顔をミラジーノにして塗り直したらオシャレだろうなぁ」
なるほど。白い方の意見だけど、それなら軽でもありだと思う。エンジンにはターボを付けて、マニュアル5速なら。結構使えそう。問題は2人乗りなところだろうか。
「軸荷重と構造計算書を出したりせず、折り畳みの補助席で登録すれば良いですよ。どのみち折り畳まないと自転車やバイクが乗らないのですから」
「なるほど、積載量は?」
「折り畳み時が200kgで、イスを広げれば『-』となります。ですから車検証には最大積載量200kg(-)で表記されます。貨物と違って人の場合はアバウトですよ。体重100kgの人が4人乗っても違反ではありません」
物理的に乗れるのかという問題がありそうだけど、本当になるほどだ。
※) 実は白いエルヴァの勘違い。2001年4月6日より構造変更申請と貨物登録が厳格になり、『自動車の乗車設備を最大に利用した場合において、残された物品積載設備に積載し得る貨物の重量が、この場合の乗車設備に乗車し得る人員の重量より大きいこと』と明確に定められた。
なので軽のウォースルーバンに関しては1人乗りないし、メーカーの指定通り補助席を使っての2人乗りが無難となる。
「まぁ、そんなのより女の子が街中を普通に乗るならワゴンRやアルト・ラパンがお似合いですよ」
そうなんだよね。ワゴンRなら初代の1+2ドアが好きだ。これのマニュアル5速ならターボがなくともキビキビ走れる。当時のオプションが手に入るなら中古でも候補だな。
何よりあの鈴菌のルオン・ママが、その初代ワゴンRのターボと、カプチーノを持っているんだよね。勿論マアエモ・ママがビートの最終モデルを買ったのに触発されたからだ。
そのマアエモ・ママはさすがのホ◯ダ党で、次から次へとクルマを買っていた。一連のタイプRの前は、2代目CR-XとシティターボⅡを中古で手に入れていたくらいだ。
対するルオン・ママは、ス◯キにこれと言ったスポーツカーが無いと嘆いていた。それもあってバイクに乗る事が多かったのだと思う。
そしてお母様に幼稚園への送り迎え用として、ラパンを薦めていたのもルオン・ママだった。だけど結局それは買わずに、買ったのはモコだった。あの緑色ので幼稚園に行くって、美遊の一言で決まってしまった。
懐かしいな。けどラパンはターボ付きSS一択になる。と言うのはそれしかマニュアルがないからだ。お母様が避けたのもそれが理由だった。朝っぱらからかっ飛ばしたい訳ではないからね。
だけど私は日本がここまでオートマ一色に染まるとは思わなかった。スポーツカーが消えた2002年以降は特に顕著だと思う。
そんな諸々を考えると、荷物を無視してコペンも良いかなと思ってしまう。するとロードスターやS2000の立場が失くなる。結局、無駄にクルマは要らないって事だ。
「日本には軽自動車でキャンプという人も居ますね」
居るね。トラックやバンを改造したりする人が多いのかな? 私の感覚ならそんなのはトレーラー(被牽引車)に任せて、トラクター(ヘッド、牽引車)は普段のクルマで良いじゃないのって思うんだけど。
「ですが、それだとヘッドに馬力が必要ですよ?」
そこだよね。それで私、軽自動車ってピンと来ないんだ。おそらく日本では、白物のトラックとバンがなければ話にならないほど重宝されているのはわかるけれど。
イルマもそうだったけれど、本当に好きな人はトコトン好きなのだと思う。あんなデッキバンとか、普通の人は買わないものなぁ。
そんな事を話していたら、すっかり出撃の時間になっていた。
武装した40名弱の洗脳兵士の内、2人が脱走兵を装って城に入っていった。実はここにアサシンも同行していて、その正体だけを気配遮断で見破られないようにしていた。要は霊体を検出する装置なり礼装で存在がバレても良いという判断だ。
後はタイミング。何かサーヴァントが潜り込んだぞと慌てふためくそこに、残りの洗脳兵士が突入して銃を乱射だ。それを狼煙として私達は『空の上から』城に突入した。
当然、妹達は上空で待機だ。ブーブー文句を言っていたが、お父さんの頼むから残ってくれという言葉で引き下がった。ただし安全が確保できた最終局面で城に呼ぶと話してあげた。
これは最後の判断を下すのにエルヴァちゃんが居ないとダメだからだ。念のための護衛として姉さんを残した。こちらもかなり不平を申し立てていたが、妹達を頼めるのは姉さんとエルマしか居ないと言ったら渋々頷いてくれた。
それで屋上にふわりと飛び降りた私達だが、ここで敵の目を逸らすため上空から壮大なオーケストラが響き渡った。おそらく白い方が、携帯音楽プレーヤーの音を空気操作の魔術で増幅しているのだ。
『ショルティだ。『地獄の黙示録』かっての』
天上から鳴り響く音楽はワーグナーの『ニーベルングの指環』、第二夜『ワルキューレ』の第三幕の有名な前奏曲だった。ウィーン・フィルを振って英デッカに残した全曲盤が有名だが、あちらは音が硬く、後に再録音した前奏曲のみもソプラノに癖がある。
演奏としてはベルリン・フィルのフルトヴェングラー盤だろうけど、どうもこの曲はワーグナーの実験性と先進性が未消化でどれも好きになれない。敢えて言うならストコフスキー盤が意外と良いかなって程度だ。
だけどショルティにはあの『タンホイザー序曲』がある。この曲も名曲なので名盤・名録音が多いのだが、ショルティ盤に止めを刺すと私は思っている。
『Ho jo to ho~♪ Ho jo to ho~♪ hei-a ha~♪』
自分で歌うのかよ!?
そんな折、視界の隅ではフィオレが例の多足礼装で器用に塔に飛び移り、シャカシャカと蜘蛛みたいにベランダに降りていった。対するルヴィア(妹)は、ドリャ~~ッと屋上に飛び降り床に大穴を空けていた。大胆だな。
穴はわざとだけど、健康を取り戻したらお姉さん(ルヴィア)よりイケイケなところも見受けられる。エーデルフェルトだなぁ。
そうして私達はその穴から城内部に入った。ちらっと見えた城の外では、案の定、地面に杭がポコポコ湧いて出ている。きっとアレがランサーの宝具だろう。けれど、さしものヴラド3世も空挺部隊と戦った経験は無かったようだ。
潜り込んだ城の上階で並んで前を行くセイバーとモードレッド。私達はその後ろだ。その少し斜め後ろでこちらのランサーとランスロットさんが、父と獅子劫さんにルーラーを囲むようにして辺りを警戒しながら歩いていた。そこで遂に敵のセイバーと遭遇した。
私は問答無用で投影したバルムンクを矢にして番え、ジークフリート目掛け真名開放した。
「幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)!!!!!!!!」
『何!?』
流石は伝説の剣士だ。『何』と驚きつつも構えて待つのでなく、前に出て矢を剣で弾いた。そしてその勢いで私に迫って来た────。
『させるかぁ~~ッ!』
モードレッドが干将莫耶を構える私を押しのけ、ジークフリートの大剣をグラムで受け止めた。危なかった。押しのけてくれないと斬られていた。
アサシンをやって止めたはずの『ニード』のルーンが、城の中ではまだ生きていたのだ。この城全体にも色々仕込まれているようだ。それプラス、加速の加護でも受けているのか。予想外に動きが速い。
大剣をセイバーが受け、その脇を斬り付けようとするモードレッド。見事な連携なのだけど、ジークフリートはグラムの刃を蹴って躱した。
そこで流れる身体を狙ってセイバーが剣を振るうが、瞬時に体制を整えている。何もかもが本当に速い。
野性味溢れるモードレッド、騎士らしい王道の剣を振るうセイバー。その二人の達人の攻撃をことごとくいなすジークフリート。
どういう事だ? 対魔術に強い『セイバー・クラス』に干渉できるとなると、フィールドへの『加護』くらいしか思い付かない。あのエルだってセイバーを跳ばす時は、彼女を取り巻く薄皮一枚の空気ごと跳ばしている。
彼女のセイバーはそうならざるを得ない。間接的でないと魔術が通らないのが、スキルが与えられる冬木式のセイバー・クラスだからだ。
では私はというと、自分のセイバーを跳ばす時はやはり周囲の空気ごと跳ばしている。それは『アルトリア・ペンドラゴン』という人物の対魔力が元から高いからだった。
ジークフリートはそういう意味で何か『穴』があるのかも……。そこで私はモードレッドとセイバーを相手に一人で立ち回る、ジークフリートの周囲に存在する酸素を固定した。
咄嗟なので限度はあるが、ガンド用に練ってストックしてある『呪い』をその空間に混ぜた。やはりたいして効いてはいないが、ほんの僅か、一瞬だけ確実に動きが鈍くなった。
やはりだ。潜水服の背中に穴が空いているレベルじゃない。耐火服の背中に穴が空いているようなものだ。アキレウスもそうだけど、なんて残念な弱点があるのだろう。
『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)!!』
ランクA+の対軍宝具も狙い定めた敵が目の前から消えれば空振りするしかない。更に私はこの瞬間に出現空間を固定し、『呪い』の籠もった矢を放った。
宝具の発動を待っていたのだ。攻撃の瞬間に隙きが生まれるのは、どんな名人でも起こりうる現象だ。空間を跳んだ矢は彼の背中を貫いた。それでもこの寡黙な戦士はセイバーに斬られるまで30分は持ち堪えていた。
前回と違い、敵のモードレッド対策は万全だった。『対竜』効果もある呪いの魔剣。それを遮るための『加護』。だけど弱点は弱点のままだった。
むしろ『加護』を受けているからこそ『呪い』が通る。両者は正負が真逆なだけで、干渉という点に於いては同質の傾向を持つのだった。
『宝具を出した瞬間を狙っているのはわかっていた……。こんな魔術師が居たのだな……』
私達は金色の粒子となる彼を見送って先を急いだ。さすがに『ジークフリートの葬送行進曲』は鳴らなかった。既にランサーやランスロットさんからかなり離れている。
『その空間を跳ばす魔術を封印してたのは、やっぱりルーンがあったからか?』
『はい。捻じ曲げられて、敵のランサーの前だったら最悪ですから』
『ちらっと見えたあの宝具か。足止め程度だろうけど面倒くさいよな』
『あれも最悪は城内で出して来るでしょう。キリツグ達が心配です。急ぎましょう』
大広間のようなところに出ると、バーサーカーとランサーにランスロットさんが戦っていた。ルーラーにお父さん達やフィオレ達は骸骨兵と混戦中だ。
私はセイバーとモードレッドをバーサーカーに向かわせ、お父さん達を手元に跳ばした。
『な? 何だ?』
『エルヴァ、どうして?』
『この場にあの杭の宝具が出たらどうするんですか!? 骸骨兵なんて幾らでも再生できる屍兵です。誘いですよ』
ルーラーが首を捻る。
『セイバーのような直感はその場その場の戦場で得られる勘ですが、あなたの天啓は違うでしょう? 『世界』との交信が絶たれたら得られなくなるのだと思いますよ?』
『神はどこであろうと身近におわします』
『言い争うつもりはありませんが、神も『世界』のシステムです。もっと客観的に見て下さい』
申し訳ないが魔術師である私は、感知できないモノがこの世にある事を疑いはしないが、それを他者にも信じろという者が大嫌いだ。
一つは思想の自由を妨げるから、一つは神秘の拡散行為とも受け取れるから、もう一つはドン底で自分を救えるのは自分だけだと知っているからだ。
暗い海で漂流したとしよう。嵐にあって船が沈んだのか、そんなのはどうでもいい。ともかく自分一人だけという状況だけ想像できれば良い。
そこで助かるには陸に近いとか、自分の体重を受け止める漂流物があったとか運が必要だ。その漂流物が神の慈悲だと受け止めるのも、持ち前の運だと思うのも自由なのだ。
そして岸まで泳ぎ切るには、確実に自分のチカラが必要だ。精神的なウェイトをどこに置いて安定を図るのか。そこだと思う。タイプに拠るとしか言えないけれど。
だから信仰を強引に薦めてこない限り、ルーラーの思想もアサシンの信心も蔑ろにはしない。だけど、客観視できないとこういう場面では危険を伴うと思うのだ。
お父さんやフィオレ達を避難させて正解だった。その広間の床面がバーサーカーの足元以外、全部杭になったのだ。何かRPGの一場面のようだ。
『串刺し公の宝具がこれなら納得ですけれど、ドラキュラの宝具がこれだと泣けますね?』
『串に刺されるのはお前だろうって?』
父と大広間を覗きながらこんな会話をしている最中、セイバー達はバーサーカーと斬り結んでいる。出て来る杭を足場にしてダレイオス三世に飛び掛かっているのだ。
その滞空時間が危険だと感じても何故かアーチャーが出て来ない。どうして?
ラズヴァンは動揺していた。いや、動顛と言っても良いだろう。先程からひっきりなしにどこかで爆発音が響き、床や壁が揺れるのだ。
寝返った傭兵達の攻撃を受けて私とセレニケはここに立て籠もり、アーチャーや領主様に出て頂いた。それで鎮圧は成功したと思っていたら手榴弾なのか爆発音が途絶えない。
『アーチャー!? 外の様子は?』
〈ええ、部屋の外の兵は鎮圧済みです。領主は大広間でバーサーカーの支援です。私は領主の命で塔の上に向かっています〉
『塔の上?』
〈はい、何かがおかしい。近代兵器を持った兵士は鎮圧したのですよ?〉
それは変だ。
『爆発音が途絶えないぞ?』
〈それを足元から感じるというか、それもあっての領主の命です。こ、これは……〉
『どうした?』
〈何もない上空から現代の爆弾ですか、それがばらまかれています。それに弓で狙いを付ければ、瞬時に消えます。これが城の内部で爆発しているのだと〉
『て、転移魔術で送り込まれているのか!?』
何十発どころではない、先程からひっきりなしに爆発音と衝撃音、そして振動が途絶えない。一つ一つの威力は知れている。この城に張った結界なら十分耐えられるだろう。
しかしながら、それは外壁の話だ。ここまでの物量を投入し、あまつさえ内部に魔術で送り込まれるとなると。あちらの『キャスター』は神代の化け物か?
突如、私はゾッとした。人生でこれまで感じたことのない悪寒がした。インフルエンザに罹ったかのように手足の震えが止まらない。だから一目散に部屋から外に逃げた。
吹き飛んできた扉か何かの残骸が背中にあたったが気にしていられない。ともかく領主様と合流すべく逃げた。
大広間に行くと外で領主様が控えていた。
『おお。ラズヴァン、来たか』
『領主殿、セレニケは?』
『そちらの部屋だ』
入り口脇の小部屋だ。そこからバーサーカーを操っているようだ。
『持ちそうですか?』
『これ以上の負担をセレニケに負わせられんだろう』
大広間の中から巨大な炸裂音が轟く。
『余の宝具をものともせん勇者達だ。決断時だな』
家名と血筋か名誉回復か。令呪を見詰める私に領主様はこう言った。
『それを切ればこの場のみは凌げるかも知れんが、名誉回復には遠くなる。交渉しかあるまい』
その通りだと思った。だから私は懐からハンケチを出して、それを振りながら大広間の中に入ったのだった。と同時にバーサーカーがおとなしくなった。
『静まれ! 皆の者、剣を下ろせ!』
相手のセイバーだろうか。女性剣士がそんな風に叫んだ。だから私も叫んだ。
『交渉がしたい! 話を聞いては貰えないだろうか!?』
『降伏でなく和平交渉か?』
『降伏するにも条件がある。そこを聞いて頂きたい』
『承知した。我らの主に奏上するのでしばし待たれよ』
そして交渉は屋上でする事となった。月の浮かぶ星空の下を、ワルキューレの乙女達と天使のような子供達が飛んでいる。相手は一体、何を召喚したのだ?
そんな事よりも疲弊しきったセレニケをテーブルに何とか着かせると、交渉相手も席に着いて漸く話が始まった。バーサーカーは霊体化しておとなしくしている。
相手のサーヴァントはテーブルから少し離れたところで椅子に座り、我々の前に座ったのは10歳前後の少女と16~7歳の少女だった。
この16~7歳の少女は後ろに立つ褐色の肌を持つサーヴァントと瓜二つだ。噂に聞くデミ・サーヴァントの可能性がある。アインツベルンにはここまでの秘術があるのか。
『まず、話しておきます。私はエルヴァ・フォン・アインツベルン。9代目の代理としてこの場に臨んでいる事をご承知下さい。その上で当方は、ダーニックの野望を受け継ぎ、プレストーン家に与し当家と敵対する者ならば必ず滅ぼします』
話しているのは何と幼い方の子だった。その言葉は朗々として明瞭だ。
『しかしながら、プレストーン家に巻き込まれ被ってしまった先祖の汚名を返上したいと言うなら、どうぞご自由にという立場です。ところがそちらのアイスコル家は何を考えたのか、当家に決闘状を送られました。これはまず、どういう意味で?』
『それは……そちらが当家の秘密であるロシアの霊脈を……』
『あれは未開発でしょう? それに例えそちらの家で代々伝えられていた事だったとしても、土地も買い上げていなければ、開発計画も何も政府に出していなかったでしょう? それを調べた上で、こちらは既に関係書類を提出済みです』
『それを待って頂く事は……』
これに年長の方の少女が答えてくれた。
『時計塔への貢物ですか? ロード・クラスでも握り潰すか、自分のものにするかですよ。余程懇意な関係で有益な品や情報を流せる家でないと無理だと思います。旨味のない付き合いなんて誰もしたくありませんからね。何より現在のアイスコル家にはそれだけのコネクションが無いでしょう? つまり協会内には味方が居ない』
実にその通りなのだった。
『考えようによっては、魔術協会なんて会費を払うだけの幽霊会員で良いと思いますよ? 協会のファースト・オーナー、有力会員である、そんな肩書にぶら下がっても、アイスコル家の未来はありませんよ。上納金の金額が多少減るセカンド・オーナーに落としても、どのみち開発費用は捻出できないのでしょう? そうであるなら、こちらに任せて下さい。第一発見者として認め、ある程度なら支払う用意もできます。そしてこの土地と霊脈のみを護りましょう。きっとそれが未来に繋がります』
あの後ろに控える多足型の礼装は……フォルヴェッジのフィオレ……。そうか、彼女が口添えしてくれたのか……。
『領主殿……?』
『あちらの狙いがそのロシアの霊脈のみで、この地に手を出さぬのなら十分ではないか?』
これで腹は決まった。その後、私達とアインツベルンは『自己強制証明(セルフギアス・スクロール)』を交わしあったのだった。