ルヴィアが親御さんと会うために、衛宮君と美遊を伴ってフィンランドに帰っちゃったので、私は予定が狂って暇を持て余していた。まぁ、キチンと謝ってくれたし、何より礼装買取は彼女の仕事だ。私は彼女と契約した子族であってお手伝いでしかない。なので文句もない。ただ、この暇が辛かった。
向かいの衛宮君は年末近い今頃からアルバイトだ。なんと御節料理を詰めるアルバイトだ。よくそんなの見付けてくるなと感心する。ちなみに桜も、この冬休みはアルバイトをしていて、そちらはもう終わった。それは新都にある洋菓子店フルールでの、クリスマス・ケーキの売り子だった。夏のアルバイトで心境が変わったのか、それともそれが成長なのか、桜は積極的になった。そしてそのフルールでのアルバイトを薦めてくれたのはエルヴァだったのだ。なんだかんだと彼女は桜を気に掛けてくれている。本当にありがたい。
だけどそんなエルヴァも今はスイスに行っている。もう1人のエルヴァの結婚式なのだ。これを聞いた時、私は驚いた。18歳で結婚なのかって。だけどルヴィアは違った。火が着いたようだ。あの2人も、一気に進展するだろうなぁ。こうしてマルガリータとアーチャーとで日本に残っていると……なんか寂しい。
「君な。そうため息ばかり吐くと幸せが逃げるぞ?」
「アンタがそれ言うの。でも、ありがと。そんなにため息ばかり?」
「ああ。数秒に一回の割合か」
そう言い残してアーチャーは出て行った。マルガリータは鍋の方に行ってるし。
実を言うと今現在この屋敷に残ってるのは私達3人とルビーだけなのだった。ゾウケンももう1つのルビーもエルマ達とスイスに行った。お向かいも衛宮君と2人のメイド以外残っていない。そしてこれは結婚式なので年が開けて数日すれば帰って来る。だけどこちらの屋敷の寂しさは別の理由だった。
1つは料理長のニコさんの存在だ。彼が居る上にエルヴァやマルガリータも居るし、私達まで料理をするので、アーチャーの出番が少ない。2つ、庭掃除や樹々の手入れにはランサーとランスロットが居る。今は長期で出ているので、樹の冬対策はアーチャーがやった。3つ、こんな風に動ける人が多いので、メイドがそこまで要らない事にルヴィアが気付いた。
それで12月に入ってから数人ずつ本国に帰し、こちらには新年から5人ほど3ヶ月交代で来て貰うのだそうだ。それにニコさんにも休暇を出し、独立するなら出資する方向で話そうと考えているらしい。そうなるとアーチャーの仕事が増える。それがアーチャーのためだとルヴィアは話していた。
またオーギュストさんが高齢なので、徐々に仕事を減らす意味もあるのだそうだ。確かにアーチャーなら経理もできるだろう。私もルヴィアもできるので手伝っても良い。そんな訳でオーギュストさんにも一足早い休暇を出し、今は本国に戻っている。先月はアーチャーの薦めで町内会の旅行に参加していた。秋の味覚なんたらとかいう、一泊二日のバスツアーだ。お年寄りばかりだそうだが、オーギュストさんは楽しかったと話していた。そうよね、そういうのを考えてあげないとね。
なお余談だけど、この町内会の旅行に今回はセラさんとリーゼリットさんまで参加していたのだとか。若く美人な2人にお爺ちゃん達はホクホクだし、お婆ちゃん達は縁談を幾つも申し出ていたとか。
これは少し考えればわかる事で、1に日本語に問題ない点、2に郷に入らずんばの心を2人が持っている点、3は主にセラさんだが、炊事家事が優秀な点、4に家族をとても大切に考えている点、5に4の延長で『家』というものを、そこらの日本人以上に理解し重きを置いている点、6に、だけど重苦しさはなく、常から柔和で朗らかな点……上げろと言うならもっとあげられる。私みたいな高校生でもわかるんだから、そういうお年寄りの信任は最初から篤くなるのも当然だった。
実はこの界隈で息子や孫にお嫁に来て欲しい女性ナンバーワンは、最初からセラさんだったのだ。そしてエーデルフェルトのメイドも、日本独特の微妙な距離感はセラさんをお手本にしていた。何故なら彼女は人種が違うのだ。なのにお嫁に来て欲しいナンバーワンに選ばれている。その評価は伊達ではなかった。またエルヴァの存在がその評価を確固たるものとしてしまった。彼女の真っ直ぐさや、品行方正な部分、そして日本に馴染む考え方とあり方……。
『吉川さんとこの末っ子のボクとお付き合いなさっているそうよ』
『まぁ、あの家と……?』
吉川先輩の家は隣の市なのに、冬木のお年寄りなら知らない人が居ない名家だった。いや、もしかしたら私達の世代が疎いだけで大人は皆んな知っているのかもしれなかった。そんな家にエルヴァは人種の壁を越えて迎えられる可能性がある。もうそれだけでセラさんの評価は鰻登りの鯉登りで絶大だったのだ。曰くお嬢さん(エルヴァ)を躾けたのはセラさんだ、曰くセラさんを雇った奥様の目が鋭い、曰くあの家の子は皆んなセラさんを見習って立派だ。そんな噂が私のような者の耳にまで届くのだ。
そして人は環境で変わるというのは本当で、並行世界で私が知り得る限りのどのセラさんより、ここのセラさんは柔和で心優しい人だった。なのに未婚、なのに誰ともお付き合いの経験がない。お婆ちゃん達のお節介は当然の帰結だった。
そんな事を考えている矢先にインターホンが鳴った。誰も手が空いていないので私が出た。
「はい、エーデルフェルトです」
『あ……間桐桜です。遠坂先輩ですか?』
「ええ。何かご用?」
『先輩とお話がしたいんです』
「私と?」
何だろう? ともあれ私は玄関を出て門まで迎えに出た。
「どうぞ」
それから2人で玄関まで前庭を歩いたのだけど、何だか凄く思い詰めているようだ。積極的になってくれて嬉しいと思っていたのに、俯いて一言も話さない。本当にどうしたのだろう?
「間桐さん、何かあったの? まさか衛宮君と上手く行っていないとか」
「いえ、それはありません。そうじゃなくて、何から話せば良いのか考えていたんです」
「どういう事?」
「あの……私、養子なんですが……。元の家がどこだったか思い出せました」
「え?」
「先輩は私の姉さんなんですよね?」
「さ、桜……。お、思い出せたの……」
「はい、いきなり。これまで幼い頃の事なんて何一つ思い出せなかったのに……。姉さんと呼ぶと迷惑ですか?」
「ううん、ううん」
私はボロボロと泣きながら頷くだけだった。そして桜を招き入れ、マルガリータさんに事情を話した。マルガリータさんは大いに喜んでくれ、美味しい紅茶を入れてくれた。
「だ、だけど、どうして急に? 何か切っ掛けみたいなものがあったの?」
「それが何も」
本当に突然思い出したらしい。話を聞くと、心配していた嫌な記憶は無いようだった。しかも、私が記憶を失った桜のために、わざわざ倫敦留学を打ち切って戻って来たような事になっていた。
「学園に編入してくれたのも私を見守るため……。姉さん、ご心配をお掛けしました。お父さんが大切なので遠坂には戻れませんが、姉妹でいて頂けますか?」
大いに感動しているのだけど、余りにも都合が良すぎない? こんな事ってあるの? するとマルガリータさんが、桜に見えない角度で私にウインクした。そして口の動きで『エル』と。私は人差し指を下に指した。冬木に来ているのかという意味だ。小さく頷いたから、どこかに居るのだろう。きっとマルガリータさんとは逢っていない。その魔力を感じただけだと思う。
そして『エル』は多分、桜の家のマンションに直接行って、そこでこの記憶を取り戻す術を使ったのだろう。どういう魔術なのかまったくわからない。だけど『エル』は約束通り桜を治してくれたんだ……。
お礼を言いたかったが、おそらく彼女はもう冬木を出ているような気がした。今度逢えたなら、必ずお礼を言おうと思った。謝礼に遠坂の財産の半分を寄越せと言われても、私は応える積もりだ。こんなの感謝してもしきれない。幼い頃に一緒に遊んだ事とか全部覚えてくれている。間桐へ養子に出たあの日の事も。なのに虐待を受けた記憶だけが綺麗サッパリ欠けているのだ。
「じゃ、途中でお父さんが変わったの?」
「はい。前のお父さんは、魔術師を辞めたかったそうです」
私が魔術師だというのは桜に知られていた。そういう存在が居る事を桜は知っていたし、エルマが自分の事ついでにエルヴァやルヴィアに、私の事を話してあったのだ。そして共同で暮らしているのは世間の目を欺くためだと思っているようだった。便利なのと、今は友情もあるからだけど、そこも理解しているみたい。
「桜は魔術師になりたい?」
「いいえ。許して頂けるのなら今のままで」
それでもってアイリスフィールさんからの戴き物の数々が、桜を魔から護る効果がある事も知っていた。だから将来は衛宮君と一緒になる事と、国語の教師を目指している事を教えてくれた。この教師という将来の夢もエルマが一緒に目指そうと言ってくれてそうなったそうだ。因みにエルマは英語教師だ。私は感謝した。そして桜には『頑張りなさい。応援しているわ』と話した。
そして時差を考えると、エルヴァの結婚式がちょうどこの時間だった。きっと奇跡が重なったのはそのお陰だろう。何故なら家に誰も居ないと言うので誘ったら、ポンポンと話が進んで泊まっていってくれる事になったからだ。きっと屋敷のどこかを掃除しているだろう赤い家政婦には念話で伝えた。
〈ある程度神秘を知っているのなら、今後、美遊の兄の件は話しても良いと思う。だが無意味に悩ませてもいかん。私とは現段階、会わん方が良いだろう〉
〈バレると?〉
〈君には早いが、向かいの士郎とは身体の関係だろう? そうなった時の女性は鋭い〉
ちょっとムッとしたけど、それは言えるわね。改めて考えると年子の妹の方が先にお嫁に行きそうだ。ルヴィアに頼んでエーデルフェルトのイイ男でも紹介して貰おうかしら?
〈是非、そうし給え。君とルヴィアの師匠が話していたぞ? 聖杯戦争に参加した君の場合、衛宮士郎と結ばれんかったら未婚で子供を産むケースがとても多いらしい〉
〈え? 師匠が?〉
〈うむ。それも桜の事にケリが付いた後だから、30は過ぎてからだそうだ〉
〈げっ、マジで師匠が?〉
〈マジだ。君とは似ても似つかんが、良い師匠だ。とても心配していたよ〉
そんな事をアーチャーに零していたのか……。でもわかる気がする。私は聖杯戦争に参加する事のない『遠坂凛』で、かなり特殊な存在だろうと自分でも思っている。だから本気で良い人を見付けよう。そして遠坂の魔術をこの世界だけは絶やさないようにしよう。そう思った。
〈私さ、全並行世界の『遠坂凛』の保険だと考えるようにしたの〉
〈面白い見解だ。それに、その考えは正しいような気がする〉
〈ありがと〉
そうして念話を切った。それでマルガリータさん監督の下、妹の桜と料理を作ったのだった。
やっぱりなって感じだ。ある一定の先からの積雪が、崖みたいにそびえてやがる。3……いや、4~5メートルはあるか? つまりそこが結界の境目で、その中がそいつのテリトリーって訳だ。
「しゃあねぇ。ここいらでクルマを降りるか……」
中は歩きだな。クルマはアサシンの1人に、途中にあった道路外の広場みたいなところに置かせに行かせた。無理してオレらと合流せずクルマで待機しておけと言ってある。オッサン2人とランスにオレ、そして呂布に魏延の6人は積雪の崖を登って結界内に入った。
こりゃ英霊でないとヤベェ。結界内は寒い。体感温度が一気に20度くらい下がりやがった。しかも体重でズボッと雪に足が沈む。なので足にアサシンから受け取っていた『かんじき』とかいうのを、膝まである雪中用ブーツの上に付けた。オッサン専用のがあるくらいだから、アサシンを先に遣って相当調べてあったようだ。それならもっと情報を寄越せやと言いたいトコだが、『エル』はアサシンに任せ、ここには一度も来ていないのだろう。となるとだ……。
少し歩いた先に雪洞があった。
「こちらです。お入り下さい」
先頭を歩いていた案内のアサシンはそう言うが、狭そうだな。だけど入口にあった扉代わりのカゴみたいなのを避けて中に入ると、予想外に広かった。礼装だ。何らかの魔術装置で空間をイジっている。やがて天井が青空になり、足元の雪もそれ程じゃなくなった。目の前の白樺の樹々の中には、結構いい感じの小屋があった。小屋と言ってもオレやランスのあの小屋とは違う。2階もある大きなものだ。
雪を払って扉を開けると前室になっていて、奥にもう一つ扉があった。『かんじき』などをそこで外してもう一つの扉を開けた。暖けぇ。するとエプロンを付けたアーチャーが、良い匂いのする鍋を抱えながら『よぉ』と言った。この感じは2番目だ。部屋を見回すとどうやら暖炉の火で何かを作っていたらしい。そして案の定、テーブルにスプーンを握り締めたセイバーが居た。だけどアイツの目はオレもランスもオッサン達も見ていなかった。恍惚とした顔で鼻をスンスンと、料理の香りを楽しんでいたんだ。
思わず声を掛けようとしたら、アーチャーが目で『声を出すな』と合図を送ってきやがった。それで少し様子を見ていたんだ。アーチャーは鍋をテーブルの真ん中に置き、中身を皿によそった。どうもシチューのようだ。それでそいつをセイバーに渡さず、セイバーの真向かいの席に置き、その席の椅子を引いた。するとふわりと『エル』が現れ、ガツガツとシチューを食ったかと思えばまた消えた。訳がわかんねぇ。
「ランサー? この結界だが……相手でなく『エル』が張っているとしたら?」
そのアーチャーの言葉でピンときた。陣による囲い込み……罠か?!
「ああ、4~5日前に張った網に漸く掛かってくれた。その頃からこの一帯から出られんようにしてあってな。そこから更に『世界の外』との接触を断ち切る陣だ。その陣に入るのを待っていたんだ。これで神霊とのチャンネルを切れた。おそらくロウヒとフレイヤはもうあの子にチカラを与えられん。残るはシトナイだ。メシを食ったら往って貰うぞ?」
「応よ!」
つまり本当に主人格として憑依していたのはシトナイだった。それはこの土地にも要因があったらしく縁が強く切れないらしい。だけどこの土地と関係ないロウヒとフレイヤはシトナイを介しての間接的な繋がりしかないと『エル』は見抜いた。だから日本での細々した仕事をこなしつつ、罠の礼装をアーチャー達に託して、自身はフィンランドとスイスに行き、戻って冬木で続きの細かい仕事を終わらせ、陣の様子を見に来ていたのだという。何だよ、その忙しさは。
「空間転移や礼装があってこそだ。そしてこれは予想された事だったのだ。『現象』が抑止を制御したので、神霊格がこれは堪らんと地上に来る可能性があるとな」
自発的に来たって事か。しかし、普通は来れないんじゃないか?
「そこは難しいな。『喚べない』とは聞くが『来れない』とは言えん。勿論、手段も選ばんとならんだろう。そこでどこかの聖杯を閉じたイリヤとするなら?」
「少年の話す意味は、聖杯の中には世界の外に繋がるチャンネルがあるかも知れんという意味だ」
オレはオッサンを見てからランスを見た。これは可能性として考えられる。
「元々世界の外に繋げる儀式だったもんなぁ」
「そういう事だ。そして閉じたイリヤとは、私のマスターである巫女の彼女、つまり少年の義姉の並行世界存在に他ならんのだよ」
「それでオッサンは……。そっちは? スイスの嬢ちゃんの方の……?」
「私も聖杯を閉じたイリヤの記憶がある。そして正体を聞いた時から、胸騒ぎがしてならんのだ」
やっぱりな。可能性があるって事か。
「で、セイバーは切り札として待機か?」
ここでアーチャーが面白い顔をした。
「あ~、彼女は君の知っている彼女の誰でもない」
「どういう意味だ?」
「地上に行こうとする神霊に、どうやら座から押し出されたらしくてな。圧は押さえてくれているが、彼女も神霊に近い」
それって、もしや……?
「お察しの通りだと私も思う。大魔導師のセイバーだった可能性が高い。この小屋も彼女を匿う意味がある。実はこの空間は『エル』の宝具の中だ」
何だそれ……。
「それと『エル』がシトナイだけを残した理由は、シトナイとは大正時代の創作だからだ」
はぁ?
「それも中国にあった創作物語を元にして書かれた。つまり神霊には違いないが、歴史と信仰が弱い。確かにここと近い小樽に残る、大蛇退治の少女の伝説も取り入れられているので、地の利はあると言えばあるのだが。まずお話にならんくらい弱いだろう。だから危ないロウヒとフレイヤを切り離す作戦を建てたのだよ」
「何だよ、それ? じゃ、本当に必要だったのは2人のオッサンだったって事か?」
「そう、説得係だ。だから君達の慰安旅行の中に、1日だけ行程に組み込ませて貰った」
チッ、なんでぇ。
「むしろ問題なのは彼女の方なんだ。普通に話せるし、暴力的でもない。そこはセイバーなんだが……」
本人の前で話すって事は、事前の話が通っているって事だろう。警戒しているのか睨んではいるけど、ランスを見てもガーッとならないしな。
「なんだ?」
「外に出せん」
「は?」
「霊格が高すぎて、ホイホイ街中を歩けんのだよ」
「つまり、この空間から出れないって事か?」
「そういう事だ。リンに逢わせてやりたいが……」
この『リン』は魔導師の事だろう。4番目が裏切ったから契約した元サーヴァントだっけ? そんでオレじゃないオレが、エラくカッコ良かったって話してくれたんだ。コトミネの令呪で自分の心臓を突き刺しても、コトミネを斃し後始末までしていったとか聞いた。さすがオレだぜ。だから弟子の魔法使いの嬢ちゃんもサーヴァントにオレか『エル』のセイバーが欲しいって言ってくれてな……嬉しいじゃねぇか。とことん女運のなかった人生だったけどよ。英霊になってやっと運が回ってきたかって感じだ。ただ惜しいのは、今のオレはエルマのサーヴァントだ。それでもって今の気ままな生活が気に入っちまってる。手伝える事があれば手伝うぜとは言ってあるが、マスター替えはないな。それにあの嬢ちゃんなら、別なオレを喚べると思うんだよな。
「まぁ、魔導師も魔法使いの嬢ちゃんもあっちの世界だろ? 『エル』にこのまま連れ帰って貰って、あっちでゆっくり考えるしかねぇだろ」
「そうだな。こちらの考えもその線だ」
「セイバーもそれで納得してんだろ?」
「気安いですね、ランサー?」
そうセイバーに振ったらギロリと睨んできやがった。
「そう言うな。今はコイツラと仲間なんだよ。それにオレのマスターはコトミネじゃない。エルマっていう女の子だ。このランスロットのマスターはエルヴァ。マスター同士が姉妹なんだよ」
「そうでしたか。ではアーチャーの話してくれた『聖杯戦争ではない』というのは本当の事なのですね?」
「ああ、嘘は言わねぇ。ついでに仲間を紹介するぜ。オッサン達は今更か?」
「う~ん……狂化のないバーサーカーが2人も……」
そこでオッサン達がにこやかに挨拶した。驚くしビビるよな? それでもってお前さんの直感でわかるだろう。何だか知らないが『負ける』って。大食いと激辛、どんな隠しスキルだよ……なぁ?
ともあれ、暖かいメシも食った。やる気も出た。なのでセイバーのお守りがある、アーチャーを残してオレ達は外に出たんだ。
「寒っぶ」
吹雪だなこれ。風がビョーッと鳴っている。人間なら死ぬぞこれ。だというのに『エル』はクマに跨ったシトナイが捕らえられた陣の前で座禅を組み何かを呟いていた。身体から湯気のように立ち昇るのは、雪だった。雪が蒸発しているんだ。となるとそれだけ体温が上昇しているって事だろ? なのに尻の下の雪は溶けていない。あれは何だろうな? まったくわかんねぇ。
近づけば陣を破ろうとしてシトナイとクマがもがいていた。
「イリヤ!!」
嬢ちゃんの方のオッサンだった。
「イリヤ、聞いてくれ! 私だ! 君のバーサーカーだ!」
マジか。わかるって4番目も言ってたし、『エル』のセイバーも言っていた。やっぱ、どこかでパスが繋がっていて、それは魔力だけじゃなく、魂とか『ココロ』にも繋がってんだな。だからオレもバゼットと……頭から消えろ、コトミネ!
「オッサン……」
オレは横に立つ『エル』のオッサンを見た。
「うむ。陣が強すぎて彼の声が聞こえていないのだ。彼の声を届かせるために一度陣を解く。逃げられんように私達で四方を固めよう」
「わかった」
やっぱオッサンもそうじゃないかって予感が合ったようだ。見たこともない服に身を包み、クマに跨って暴れる嬢ちゃん……。この雪の化身のような、触れちまえば溶けて消える、あの脆さが陣の中からは感じられない。憑依なのか? なんか合わさったような不思議な存在だ。
魏延と呂布が左右。オレとランスが前後。その4人が配置についた。典型的な四方陣だ。その中に『エル』のオッサンが遊軍として入り、更にシトナイを捕らえている陣に1番近いところに嬢ちゃんのオッサンが立った。全員が頷いたところで陣が解かれ、オレ達の方に魔力が広がった。これでオレ達が起点となった。シトナイはオレ達の外には出られない。
「イリヤ! イリヤ、私がわかるか? 君のサーヴァントだったヘラクレスだ。バーサーカーだよ」
オッサンはとても優しく語り掛けていた。その声でシトナイが暴れようとするクマを止めた。
「え? 嘘? バーサーカーなの?」
お、反応したぞ。こりゃ良い。嬢ちゃんの自我が残っていたって事だからな。何となくわかる。今ままではロウヒやフレイヤからの圧もあって、シトナイとしての側面しかほとんど出せなかったのだろう。暴れていたのは、その3柱のバランスを取るためか、制御しようとしていた反動かもな。つまりシトナイだけは嬢ちゃんに協力的だった。こりゃ、悪い予感が当たったな…………。
「その、君に憑いたシトナイは祓えないのか?」
「それは無理。私はもうヒトのカタチを残してないの。シトナイが居ないと消えるだけなの」
やっぱりか。
「なら、今はロウヒやフレイヤからのチャンネルを切っている状態だ。この状態ならイリヤはイリヤで居られるか?」
「う~ん……。ほとんどシトナイだよ?」
「暴れないで済むか?」
「うん。さっきはこの陣が邪魔だったから、シロウが怒っていだけだよ」
「なら……ロウヒとフレイヤは二度と憑依させない。どうだ? 私達と来ないか、イリヤ?」
「バーサーカーと一緒なら良いよ……ヒッ!?」
落ち着いてオレ達を見回した嬢ちゃんは、真後ろに居たもう1人のオッサンを見て小さな悲鳴を上げた。そりゃそうだろ。ここで声を上げたのが『エル』だった。
「シトナイ、私と契約しなさい。それであなたを私の宝具に取り込みます。そうすればロウヒもフレイヤも、その他、外界での身体を欲しがる神霊もあなたに憑依できません。あなた自身はエーテルで編み直し、外でそのクマとともに活動できます。どうですか? 契約しませんか?」
「あ、あなた……アインツベルン?」
「そうです。エルヴァ・フォン・アインツベルン。それが私の名です」
それでシトナイの嬢ちゃんはオレ達と、さっきの小屋に戻った。そこで自己紹介を改めてやって、ここがどういう世界か、『エル』がどういう魔術師なのかなどを話した。並行世界の妹だと知ってクマからずり落ちていた。そりゃ驚くよな? けど話に納得したのか、あっさり契約していた。そんでもってここを引き払う事にした。セイバーと話し相手のアーチャーは小屋に残したまま、オレ達は外に出た。吹雪はとっくに収まり、外周の結界も消えていた。オッサンがシトナイを抱えながら雪の崖を飛び降り、もう1人のオッサンがクマを抱えながら飛び降りた。
クルマのところまで歩いている間、クマに乗った嬢ちゃんはずっとお喋りを止めなかった。寂しかったのもあったんだろうな。しかしこの人数だとクルマに……。そう考えていたら、『エル』がとっくにクルマのところに居た。しかも、もう1台別のクルマを用意していた。
「こっちに乗って下さい。クマさんとヘラクレスさんには霊体化して頂きますが、もう念話が通じるはずですよ?」
そうしてこの奇妙な話は終わった。オレ達は予定通り、定山渓温泉に向かった。そこで連泊の予定だったんだ。そんでもって明日は札幌の公園でぶらついて、小樽に行って、また温泉だった。だけど『エル』の提案で、このまま札幌で遊んで行く事になった。そうすると明日は小樽でゆっくりできるからだ。オレ達は大通公園でジャガバタやコーンを摘んだりザンギを食べに、嬢ちゃんと『エル』はラーメンを食べにと二手にわかれた。クルマは『エル』が宝具に取り込んでくれた。相変わらず便利だ。けど、嬢ちゃんのあの服、めっちゃ目立つんだが?
「それを買いに行きたいのもあります」
そういう事か。ともあれ、そんな風にオレ達は札幌を楽しんでいた。
離陸した後、私は毛布に包まって眠っていた。今回の旅は仕込みだけだ。この仕込みが、今後どう出るかを明言するのは現段階だと難しいところだが、アメリカの裏に潜み、良い気になっている奴らの鼻をあかせれば良いなと思っている。それは今後発達するだろう、新聞、テレビに続く第3のメディアであるソーシャル・ネットワークへの介入だ。ここに布石を打っておきたいのだ。今回はそこの様子見もあった。
隣は呪腕のハサンで、その横が1人に戻った百貌だ。私の方も『シュラム』と『ボーデン』を戻している。今回のこの旅行は私的な面が大きいので、仕事としてでなく休暇を利用しての旅行の体裁を取っている。なので馬謖は置いてきたし、旅費も浮かせたかったのだ。目的地はワシントンDCだった。
夢の中で香港での日々を見ていた。ここ最近と、以前の体験がゴチャ混ぜになっている。開店前にお店のゴミ出しをしていたら、遅刻したのか随分と遅い時間に歩いている学生がいた。何故見ただけで学生とわかるのか。それは香港も日本と同じで学校ごとに制服が決まっているからだ。香港では学校に着ていく服なので『校服』という。
元は英国統治だったので冬服は基本ブレザーにネクタイだ。夏服も女の子ならサマードレスのようなワンピースが多い。ただし色合いは英国のそれでなく、汚れの目立ちそうな白が圧倒的に多い。それでも神戸辺りの女子校のような重厚感がないのでアニメの制服っぽく思う時がある。それでもフィリピンほどではないし(犯罪が比較的多い国なので、子供達が目立つように、派手な色使いの制服が多い)、イスラム教の国であるマレーシアやインドネシアの独特な民族感(金曜日は放課後モスクに寄るので平素の制服とは別の民族衣装タイプの制服を着る。体育があれば体操服通学だし、スカウトの日はそちらの制服を着ていく。そんな風にアジアは概ね服が日替わりだ。それでもってイスラムの国は、制服とセットの頭巾がある。それがまた、てるてる坊主にしか見えない)、台湾のようなペナペナ感もない(布地が輸入で高級品扱いなのか。妙に薄っぺらく感じる)。
そんな白い夏服に身を包んだ少女がお腹を擦って歩いていたのだ。きっと体調が悪いのだろう。季節の変わり目でもあるし、お腹を壊したのかも知れない。当時の私からしたら彼女の方が歳上なのだが、料理修行で残った私の見た目の方が年長に見えるだろう。だから声を掛けた。お店の中で休憩してもらい、お手洗いも好きに使ってと言い残して掃除に取り掛かったのだった。30分くらいで『謝謝』と出て行ったので、トイレか生理痛だったのだろう。大事に至らず良かった。翌日、少女はお礼だと言って果物を持って来てくれた。それが甘くて美味しかったのに、何の果物だったのかが全然思い出せない。でも懐かしかった。体験は過去なのに風景は最近のだった。あんなビルなんて当時はなかったのに。夢とはこんなものかも知れない。
次に見た夢は私の体験ではなかった。いや、彼女(エル)もどこかで眠っているのだろう。その彼女の夢がパスで流れ、自分の夢だと思って見ているのかも。出て来たのは『姉のイリヤ』だった。
『うわぁ~、今のバイク見た? 女の子が3人乗りしていたわ』
場所はタイだった。これは多分、姉とベトナムやタイを旅行した時の夢だ。その3人乗りは操縦者が真ん中で、前後はパッセンジャーだった。3人とも女の子。一応高校生だ。これも制服でわかる。あのパッツンパッツンでシャツとベルト付きスカートの制服は女子大生だ。ただし裾を切ってミニにしたり、わざわざミニのタイトスカート別に買ったりしている。シャツもわざとサイズの小さなのを揃え、ボタンをオシャレなものに付け替えている場合が多い。その色っぽいスタイルがウケて、タイではレディボーイもよく着ているのでナンパには注意が必要だ。冬服は長袖のワイシャツにブレザーとなるが、こちらは人気があまりないようだった。
ところが女子高生は冬服が丸襟か各襟の長袖ブラウスに、胸元はリボンかネクタイを付けていて上着がない。なのでセーターかカーディガンで合わせるのだが、これが結構可愛らしい。また夏服がキテいる。襟はオーソドックスなワイシャツだけど、袖が独特なパフスリーブになるので、穂群原に通う私達には妙に親近感があった。そこにベルト付きの変形本襞のボックスプリーツだ。このスカートの襞が腰までなく、途中で終わるのでシルエットが引き締まっている。生地は安っぽいのだけれど、私は個人的にこのタイの公立高校生用の制服が好きだった。
『あれでリボンとかあったらカワイイのにね?』
『こんなクソ暑いのに、第一ボタンまで止めてられませんよ』
そんな訳だから、街で見掛ける女子高生に第一ボタンを止めている人はまず居ない。止めている人は私学だろう。そちらはブラウスが丸襟だったり、胸元を飾るリボンがあったりする。スカートは紺か濃い青の学校をよく見掛けた。だけど髪型はインドと同じで三編みが多い。バイク通学は許可されても、身嗜みに関する校則はかなり厳しいらしい。中学生だともっと厳しく、ほとんどの公立学校がおかっぱ指定だと思う。だから大学で弾けるのだとか。そして高校生と違って、スカートはペナペナで、冬は小学校と変わらない長袖の丸襟ブラウス、夏は全国どこでもパフ袖の被り型セーラー服だった。おまけにこのセーラーが前開きでも脇ファスナーでもなく、本当に頭から被る構造なので、そのゆとりのためかシルエットがダボッとしていて結構ダサい。ついでに垂らしたリボンも、お腹のあたりにある片側だけのポッケもダサい(ダサ可愛いとも言える)。大きな街だと足元はストラップシューズだけど、地方に行けばサンダルだし。小学生は冬も夏も襟の大きな丸襟ブラウスで吊りスカートだ。なのでこちらは日本の小学生のような錯覚を覚える。
微笑みの国タイは、仏教国ではあるが軍は徴兵制だ。そしてあちらの仏教では『身体と心と魂は別物』との教えがあり、また20歳になる前に一度は1週間ほど出家生活を送らないとダメなのだそうだ。徴兵は21歳。そして女性上位の社会と、農村部の極端な貧困問題。これらが重なって性同一性障害(GID)とまでは行かなくとも、現実逃避的に性別を変えたいと願う男性が多いのだという。それがシーメールやニューハーフ、或いはレディボーイの多い理由だとか。なお本来は仏教哲学が浸透しているので、結婚までは処女を護るという女性がとても多い国でもあるのだ。売春はまず貧困と、自分だけが犠牲になれば家族が食べていけるという自己犠牲、そして心と身体は別と考える精神性から来ている。
だからあちらの多種多様にある性別は、全部性的嗜好に全振りされていて、もって産まれた性的志向を声高に言う人が居ない。なぜこんな事をつらつら考えているのかというと、目の前を歩く女子高生が魔術で探査を掛けると、どうも男性なのだ。親がホルモン投与を許可し、女子として学校に通わせているのだろう。胸も豊胸手術だろうか? 今後はあそこも手術して女性として生きるのだと思う。それが性同一性障害なのか、貧困から子供を抜け出させたいとの願いから来ているのか……ホルモン剤にも金銭は嵩むので前者だと思う。そしてこのように子供の頃からホルモン投与されている人が稀にいるのもタイだった。
『イリヤ』は物悲しそうな顔をした後、手に下げたビニール袋のジュースをチューっと吸った。紙コップやプラカップでなく、屋台のジュースはこんなビニール袋に入れられ、ストローで飲むのだ。彼女の考えている事はわかる。貧富の差が失くなれば良いのにと思っているのだ。だけど、あなたが思わず水分補給したように、ここまで暑いと頭が回らない人の方が多くなるのだ。貧困に喘ぐのは決まって熱帯だ。
『あいつらはサボってばかりだ』と資本家は言う。だけど偉そうに言うその人でも3時間は働けない。それが熱帯だ。そして熱帯で生きる人達はこんな暑い中でもしっかり食事を摂る(喉に通る)。あのタイ独特の味付けは、インドと同じく暑い中でも喉を通すための工夫でもあるのだ。だけど恐ろしい事に、屋台で持ち帰り用の料理を頼むと、それが例え麺料理であっても、ジュースと同じようなビニール袋にガサッと入れられて手渡される場合がある。一瞬『え?』っと思うが、蓋ができるパックだと蒸らされて痛みが早いからという説もあった。まぁ、持ち帰らずサッサと食べる方が正解なのだけど。
なお、このビニール文化は中国もそうで、一番最悪なのはお酒だった。生温い青島ビールをチューチュー吸うオジサンを見掛けると、チューハイパックを吸う日本のオジサンみたいに物悲しい。お酒だけは吸ったらダメだ。
『金魚すくいの袋みたいでカワイイよね?』
この姉は『エル(私)』より成績が良い。常にトップだ。高等部では二期連続の生徒会長を務め、中等部も生徒会長だった。入学式でも毎回、式辞やら誓いの言葉を話していた。そんな人なのに、8歳の頃と同じで天然のままだった。これは母譲りなのか、もって産まれた性格なのか判断がつきかねたものだ。
『いやぁ、自分の並行世界存在とは思えないくらい賢いよ、あの子』(巫女のイリヤ談)
『私の目標というかお手本だね』(ちぃイリヤ談)
『うん。私もあのお姉ちゃんみたいになりたいな』(おチビちゃん談)
そんな人だった。そしてベトナムではアオザイを、タイではパフスリーブのシャツを、つまり地元で買った学生服を、お揃いで着て歩いていた。そんな人だった。
アオレアールどの、アオレアールどの……?
う~ん……?
「アオレアール殿、アオレアール殿? 起きて下され。もうじき着陸態勢に入りますぞ」
「あ……はい」
機内食は食べた記憶があるが、小分けにして十数時間は眠ったみたいだ。夢もアジアをあちこち回ったり、香港で働いていた頃の夢だった。一部、私の体験していない過去もあった。本体でもある『エル』から流れて来ているのだと、夢の中で結論づけていたから大概だ。今夜はお酒を飲まないと眠れないだろうなぁ……。時差ボケのためではない。自我ボケのためだ。
私と本物のシュラムとボーデンは『エル』にかなり近い存在だ。そして私はシュラムやボーデンと違って、普段は外に出て活動していない。なので『王一诺』という自分を取り戻すのにも時間が掛かるし、本来の『アオレアール』を取り戻すのにはもっと時間を要していた。アオレアール……光輪という意味の、私の本当の名だ。そちらの容姿のボディも『王一诺』や、その他のボディとともに宝具にあった。
そして今の私はそれまでの金髪長身のボディでなく、英霊の能力が使えるカードと融合した47番、『エルヴァ』を基に、更に改良が加えられた新型ボディを使っていた。これは日本で『エル』から譲られたものだ。見た目もエルヴァでなく褐色のアオレアールだ。なのでアメリカではアオレアールで通すべく、香港を立つ前にハサン達にそう話してあったのだった。
ご存知だと思うがワシントンDCはワシントン州にあるのでなく、地理的にはメリーランド州とヴァージニア州の間を流れるポトマック川河畔にある、どの州にも属さいないコロンビア特別区となっている。実際はメリーランド州側にあるので、メリーランドの人は鼻が高いという人が多いようだ。一部、面倒臭いという人も散見されるが、やはりリンカーン記念堂前から、リフレクティング・プール(人工池)越しに臨むワシントン記念塔はアメリカの象徴でもある。この記念塔の向こうに合衆国議会議事堂と議会図書館がある。
ちなみにこのリフレクティング・プールが割れて、大統領専用戦闘機が飛び立つ事はない。だけどこのプールの先、記念塔の前の道路を左に折れると右斜め正面にホワイトハウスが見える。そこにも広い公園があり楕円公園なんて横にずれて、地下に格納してあるロケットが飛び立っても驚きはしない。この公園の更に右にあるのが連邦捜査局本部(FBI)やスミソニアン美術館だ。リフレクティング・プールの反対にはトーマス・ジェファーソン記念堂や国際スパイ博物館にスミソニアン協会などなど見どころが一杯で、ごちゃごちゃした永田町が笑えてくる。それくらい広い。と同時に歩きの観光はとても疲れる。なおリンカーン記念堂の裏手は川で、川向いがアーリントン墓地になる。そこはヴァージニア州だ。そして、その墓地のすぐ横にあのペンタゴンがあるのだ。つまり9.11のテロが、いかに危険だったかがこうして見るとわかると思う。
そして私達はどの魔術師もアルカイーダすらやらなかった、大統領と上院・下院議員、果ては職員への精神工作を礼装を設置して結界と陣を描く事によって行う。合衆国に碌な魔術師が居ない事はわかっていた。なのでこの礼装は誰も発見できないだろう。こうして議会も大統領もこちらの思い通りに動かす。だけど阿漕な事はしない。共和党であろうと民主党であろうと誰であっても『自由を愛する正義の人』になってしまう、ただそれだけだ。するとそういう法案ばかりが可決され、既得権益や市場の独占を狙う者にはキツイ規制や罰則が科される。永田町にもこれをした。なぜなら、これこそが『現象』のバックアップだったからだ。
中国共産党は滅ぼされるべきだったが、あそこまでする事は無かったと思うのだ。日本でも……例えば神奈川県の津久井の山にある豪邸などが『現象』に拠って焼失している。彼らがどうなったのか。三国の英霊に限らず、『現象』の召喚した英霊に連れ去られたり、結界内で殺された者は、全員輪廻の輪から外され消滅させられただろうと『エル』は話していた。要するに腐った魂には二度とチャンスは無いという事だ。そこにイリノイ州選出の上院議員とデラウェア州選出の上院議員を入れろとも『エル』は話していた。ここワシントンDCでの仕事を終えれば、次はデラウェア州で調査だった。
ルヴィアさんは公言していた通り、俺や美遊をあちこちに連れて行ってくれた。フィオレさんも少しずつだけど、遂には立てるようになり、数歩は歩けるようになった。リューリィさんの涙に貰い泣きした俺とルヴィアさんだった。ムーミンランドで一泊した時は、美遊が珍しくはしゃいでいたそうだ。部屋が別だった俺はその夜の姿を見ていないんだが、昼間の美遊は見ていたので、それはそうだろうなって妙に納得した。
その後、ナーンタリの温泉リゾートでリューリィさん達と合流し、半日温泉プールで遊んだ。これは雪の積もったムーミンランドだと車椅子が厳しかったからだ。歩くにしても、まだ数歩しか歩けないフィオレさんには酷だったからな。でも、この数日の外出で俺達はとても仲良くなれた。まさか女性陣からサウナのお誘いがあるとは夢にも思わなかった。
勿論、双方水着着用だ。ルヴィアさんから聞いていたが、混浴サウナはこちらだと親しければ普通の事なんだ。それもあっての温泉プールなんだよ。この話の行き着く先……要は裏庭でランサー達が作ったサウナで、混浴は体験済みだったって事だ。その時は水着の凛さんもエルヴァさんも居たし、エルマも居た。だけど俺とルヴィアさんはその数日後、2人だけでサウナに入った。それはルヴィアさんからのお誘いだったが、あちらの文化をより深く知る意味もあった。汗とともに一方的な欲も流れていく。ただただ好きな人と語らい汗を流す。何とも深い体験だった。
だけど俺とルヴィアさんは、いつか美遊も一緒に家族としてサウナに入りたいと望んでいた。俺も男だ。正直、ルヴィアさんともっと進んだ関係になりたいと思っている。彼女も2人きりの時はそう話していた。だけど、一つずつ階段を登って行こうとお互いに確認しあった。そんなルヴィアさんや俺のあり方を、日本では凛さんやエルヴァさんが、こちらではリューリィさんやフィオレさんが応援してくれていた。本当にありがたい事だった。
「俺ってエーデルフェルトに相応しいのかな?」
「今更何を。シェロがどうかではありません。私がシェロをどう思い、シェロも私をどう思っているのかですわ。アインツベルンには敵わないと思いますが、当家もそれなりの術があります。シェロと私の子なら十分優秀な子が産まれますわ」
これをまだ十代の跡継ぎに言わせるエーデルフェルトの実力は、間違いなく本物だ。そうなると俺に必要なのは商才なのかも知れない。
「まぁ、そこは適材適所ですわよ。シェロが悩む必要はありません。エーデルフェルトにも今に至るまでに様々な歴史がありますのよ」
それは……血も流れたが、人が人として生きるための、自由と伝統を護るための戦いの歴史だった。
バイデン、ひいては民主党が不正をするのは読んでいました。中でもスイングステートやロストベルト、オバマ時代の怪しいフィラデルフィアなどです。
その思った通りのところで集計機のプログラム変更や、票の廃棄、未明の死亡者を含む謎の郵便票の発見などがあった訳ですが。とにかく杜撰。この狙いは米国の混乱に乗じた、中共の台湾侵攻、尖閣侵攻に他なりません。
私程度で7月にはわかっていた事です。それにトランプ氏もこれを予言していました。そこはさすがのビジネスマンです。
わかりますか? 政治は政治屋には無理な時代になったんです。臨機応変に手が打てる一流の商社マンやビジネスマン上がりの人でないと無理なんです。
実績もなにもない現野党や、一部与党の既得権益者には着いていけない時代になったのです。
今回の選挙には、政府発行の正しい投票用紙には特殊な透かしが入っていて、一発で中国で刷られた偽物だとわかるそうです。
中国製品のごとく、悪事もどこか抜けている。そんなものなのですね。
家にあるテレビは捨てましょう。意味がない。時代に遅れますよ。
なおバイデンは国家反逆罪に問われる可能性がかなり高くなり、息子のジョー・バイデンは性犯罪者として収監されるでしょう。
義姉に手を出すまで、ギリギリ愛があるならと許容できても、姪(亡き兄と現在の恋人である義姉の子)やオバマの娘。更にはガガとも。まぁ、いかがわしい画像や動画が出るわ出るわ。
リアルな『悪』ってこんなのですよ。二次創作の小説なんて足元にも及びません。
ともあれ既存メディアにはご注意を。