夕方に近い午後、私達はトクマに向けて出発した。ブラーツクからは300kmくらいなのでそんなに遠くはないのだけれど、ともかく道らしき道が殆どなくガタガタしたところを走るのには閉口する。
トラックのようなリーフリジッドでも危ない。四輪独立懸架だとサスの寿命が心配になるレベルの悪路だ。と言って今乗っているクルマも、しょせんはリジッドのUAZ-3909なので乗り心地は知れている。
このUAZ-3909はUAZ-452という四駆のバンの進化発展モデルで、452の乗用バス・タイプ452Bが近代化されたモデルだ。
まぁ、日本円で1台100万前後なのでべらぼうに安い。ウリヤノフスク自動車工場の頭文字からUAZとなっている、今も数多く見掛けるバンだ。
東南アジアやアラブ諸国ではト◯タのハイエースやハイラックスが神話にも等しい信仰を集めているが、雪の多いロシアでは全然人気がない。
少なからず人気のあるミ◯ビシでも、あの四駆のバンで名を馳せたデリカスターワゴンはまず見ない。それはロシアにUAZがあるからだ。
ジープのようなUAZ-469と、その後継モデルは軍にも採用されている本格クロスカントリーだ。一般の民間ではラーダのニーヴァという四躯の方が人気だが、ヘヴィー・デューティーに使うなら469であり、小型貨物車なら452にとどめを刺す。
というのも、このクルマはセル・モーターとは別に手動クランクがあって、体力があればそれでエンジンを掛けられる構造となっているからだ。
どうしてそんなものがって? 零下30度や40度の世界ではラジエターやバッテリーに不凍液を選んでも、動かない時は動かなくなるからだ。
そして広大なロシアでは飛行機が重要な交通機関なのだが、離着陸のままならない厳しい季節であっても、いや、空港なんて作れない未開の地であってもUAZなら行けてしまうし帰って来れる。
この神話がハイエースやハイラックスの比ではないのだ。壊れないのではない。壊れても致命傷にならず、何とか帰って来れる。つまり生命を守れる。この神話と信仰が凄まじいのだ。
最初期型の450を設計陣は『ブハンカ(パンの「一斤」という意味)』と愛着を込めて呼んでいたそうだが、現地では「これ」であり「あれ」である。まるで神の名を口に上らせてはいけないかの如くだ。
そしてこのエアコンなど快適装備が一切着いていないバンは、西側でも走っている。それはイタリアのヴェスヴィオ火山やエトナ火山の観光客案内用としてだ。
今日(こんにち)のロシアでは乗り合いバスに西側のイヴェコ(イタリアの会社)などが入ってきているが、使用場所が限定的でも過酷な場合の安心感は全然違う。3909はエルが『エル』の記憶からエルヴァちゃんに薦めたクルマだったのだ。
当然貨物トラックはウラル-4320がメインだった。ウラル自動車工場製3軸6×6の、軍も採用する全輪駆動のヘヴィーなトラックだ。
他には同じウラルの4軸8×8、5323やトラクターヘッドの542301/02なども倉庫にあった。空輸した物資をあれで運び込んだのだろう。
私としてはパリ-ダカール・ラリーで優勝常連のチェコのタトラか、タタールスタン共和国のカマズだと漠然と思っていただけに少々驚いた。ここまでウラルで揃えるなんて。
(ウクライナにもクレメンチューク自動車工場という全輪駆動(普通のトラックもある)のトラックを長年作っている会社がある。型番の頭にKrAZなんて略が付くのはソ連式と同じ。面白い事にここのトラックはフィンランド軍で採用されたりしている。この秋に社名をAvtoKrAZと改名)
けれど機材や礼装がほとんど空輸なら、イルクーツクからだとトラック自体はウラルの方が手に入りやすいのかも知れない。
ちなみにBMWと同じ水平対向エンジンを積んだサイドカーとこのトラック会社は別会社だ。前者はウラル連邦管区スヴェルドロフスク州のイルビト市にあるイルビツキー・モーターサイクル工場を略したIMZ社だし、後者はウラル連邦管区チェリャビンスク州のミアス市にあるウラル自動車工場だ。ただし、州は上下のお隣同士だけれど。
余談だけれど、チェリャビンスク州の州都チェリャビンスクとミアスを底辺とした、正三角形の頂点にオジョルスクという閉鎖都市がある。周りは大小様々な湖や池だ。
そのオジョルスク南東にマヤーク核技術施設というものがあり、ここで国際原子力事象評価尺度でのレベル6に相当する事故が1957年に起きている。(キシュテム事故。レベル7はチェルノブイリ原子力発電所事故)
そして酷いのは、その施設はその後も核廃棄物を一つの湖に垂れ流し続けていた点だ。そのカラチャイ湖の湖畔に1時間も佇めばポックリ死ねるとまで言われていた。(現在はコンクリで埋め立て済み)
その事故と近年まで続いていた廃棄物の汚染を包括してウラル核惨事という。何とも恐ロシアな話だけれど、よく西側にこんな情報が流れたものだと違う意味で驚かされる。結局それもソ連崩壊の予兆だったのだけれど。
「お兄ちゃんが凍った話は知っていますか?」
ハンドルを握る私にエルが尋ねてきた。3909型は3台で、1台は私達の39094(ダブルキャブの荷台付き)、もう1台はモードレッドとエルヴァちゃんの3741(窓なしの貨物用)、最後の1台は窓付きのバンで、それにランスロットさんとランサーだ。先生とアーチャーさんは後発で、士郎クンは居残りだ。
「オイミャコン村?」
「人が住んでいるところで一番寒い村ですね。違いますよ。似たような場所ですがサハ共和国のお隣、マガダン州で吹雪にあって、気温は零下70度にまで達したそうです。お兄ちゃんを慌てて取り込んだそうですよ」
この冒険は知らなかった。よく聞くと時計塔からの依頼で、事故の調査だったそうだ。
数年前、フィールドワーク好きで有名なとある講師が変死した。その場所がロシアのマガダン州だった。では、何故そんな極東にその講師は調査に来ていたのか?
それは政治犯の強制労働に拠る、コルィマ鉱山採掘での死者で隠れていた明らかに異様な変死が、ソビエト崩壊で神秘に関わる者達にも徐々に知られるようになったからだ。
そしてその調査をロシア政府に依頼された、ある人が変死した事でハンターの噂になり、その講師の変死へと繋がったのだった。人気の講師で『エル』とも面識のあった人なので、ロード・エルメロイからの依頼を二つ返事で受けたそうだ。
実体はやはりというべきか。要は凍らせて生命力を吸収している、妖精のような幻想種が生息していて、そいつが人の生命力や微弱な魔力に惹かれて気温を下げていた。そして今回は英霊の魔力と『エル』の魔力に反応したのだった。
というより、そう睨んで釣った訳だけど。エルが言う。西側に伝わるロシアの神話や伝承は、西に近いスラブ神話ばかりで、それより東のものが伝わって来ないと。
そもそも伝承で伝えられる怪異や妖怪の類は当てにならず、妖精や土地に根ざした精霊などの場合もある。その犠牲となった講師は、今回のケースような余り知られない伝承を調べる名人で、講師陣の少ない伝承科のホープだったそうだ。
それで精霊と対峙した『エル』だけれど、その頃の彼女は既に今回の霊脈を自在に扱えたので、永久凍土が蒸発する数千度にも達する炎の魔術で精霊を焼き払ったそうである。
だけど魔力を帯びた急速な冷却には英霊にも効果があって、お兄ちゃんのエーテルで編まれた身体が凍らされた。それで慌てて取り込んで事なきを得たらしい。
「そんな事があるんだ?」
「そうです。そしてその怪異はこちらの世界でも生息している可能性があります」
そうなんだよなぁ。もしエルヴァちゃんが依頼を受けたら……。
少し泥濘んだところでタイヤが滑った。だけど四駆なので安心だ。
「意外でしょうけれど、零下40度や50度の世界だとアイスバーンでも滑りません。それは摩擦熱で水の膜が生まれないからですね。大気に含まれる水分ですら凍る極寒の中では、通常の常識が通用しません。逆らったり抗おうとするのでなく、順応したものだけが生き残れる。そこに人も苔もありません。それがロシアの極東です」
ダーウィンの進化論みたいな事を言い始めた。けれど大自然に抗わず素直にというのはロシアの常識だ。寒さを象徴する霜の妖精、ジェド・マロースの物語もそうだ。
砂漠の『インシュアラー(神の御心のままに)』と似ていて、過酷な環境はどうしようもない事だらけだ。だから「それ」に逆らっても損をするぞという教訓は、過酷なところほど徹底している。
ところで零下70.2度を記録した、世界一寒い村というオイミャコン村を地図で調べると実は思ったよりも内陸で、想像するより南にある。
オホーツク海と東シベリア海に挟まれた独特の地形と気象が、同緯度のどこよりも低い気温を生み出しているのだ。なお、地上で一番寒いのは南極で零下80度を下回るそうだ。
それは凍った台地の上に何層もの凍った氷が重なっているからで、標高も高いからだ。対する北極は真下が恒温性の高い海だし、標高も低いので零下60度にも行かない。十分に危険な寒さだけれど、意外といえば意外だ。
「エンジンに最適なオイルの温度は?」
「90度から100度の間?」
「そうです。暖機運転=一晩エンジン掛けっぱですよ。外気温が-50度、そこから100度で差は150度ですからね。ハーレーのショベルヘッドみたいに高粘度のオイルでシールするような、スカスカエンジンでないと持たないんですよ。AKも泥や砂に強いのでなく、極端な寒冷地仕様にしたらそうなったって感じでしょうね」
「なるほど」
運転席に座る私と助手席の彼女との間は結構離れている。それは二人の間にエンジンがあるからだ。452の2.5リットルでなく2.7リットルらしいが、どうしてディーゼルでなくガソリンなんだろう?
それとスピードメーターとトランスファーが相変わらず遠い。また旧型の452だと80km/h巡航が限度で、それ以上出すとぶっ壊れそうな振動があった記憶がある。
エアコンが無いので窓は全開。三角窓も思いっ切り開いている。ただし90度くらいが限度。風が入るように前に回すとバックミラーに当たるのだ。この押し出し式の窓が前席だけでなく真ん中にもあるのは少しだけ嬉しい。
「まぁ、これもあって夕方出発なんですけどね」
内装が一昔前の軽自動車みたいに鉄板剥き出しだから、真夏だと屋根が焼けるのだ。その分、真冬は自分で断熱材を貼らないと確実に死ねるとエルは言う。
「なまじ容積と表面積のあるバンですから、ヒーターが本当に効かないんですよ」
オプションでFFヒーターがあるくらいだからね。ちなみにどれも新車で、ルーフラックとステアリングロッド・プロテクション、ギアボックス/トランスファー・プロテクション、ガソリンタンク・プロテクション、グリルガード、ブロックのオフロード・タイヤなどは最初から付いていた。色もそうだけど、エルヴァちゃんが選んだ訳じゃないよね?
「そこはお祖父様でしょう。でないとウィンチは思い付かないですよ」
しかしこのクルマ。新車のくせにチリが合っていない。プレスの機械が悪いのか、表面が波打っている。西側の板金屋さんが見たら笑い出しそうなデキだ。
けれど、このタフさと積載量は西側のどのクルマも太刀打ちできないだろう。敢えて言うなら70系ランクルかサファリ、ビッグホーン、それと昔のミ◯ビシ・ジープくらいかな。
故障の際のパーツの入手性は断然ランクルが高い。次点はサファリ。ビッグホーンは北米に偏っているし、ジープは77年5月以前のナローボディはインチとミリのネジが混在しているし、それ以降はミリとは言っても輸出はされていない。自衛隊の御用達(73式小型トラック)があってこそのマイナー車だ(マニアは居るけど)。
積載量無視ならジムニー(類を見ないオンリーワン)や、ダ◯ハツのロッキー(欧州名フェローザ)とラガー(欧州名ロッキー)も入ってく来る。
注)この欧州向けフェローザとロッキーは、あのベルトーネ(ベルトーネ・フリークライマー)が目を付けるほど素性の良いクルマで、アプローチアングルやデパーチャーアングルが申し分なしの本格小型四駆として山間部では大変重宝されていた。だけど日本国内ではあまり売れず生産中止になってしまった。それでサムライ(欧州版ジムニー。エンジンは排気量アップ、ボディはワイドやシエラ用)に顧客が流れてしまった。今後はどんどん見掛けなくなるのだろう。とても良いクルマだっただけに残念だ。
ガタガタと揺れる車内で話し続けたら舌を噛みそうにならないか? だけど、エルは私を飽きさせまいと色々話し掛けてくれた。
大勢が乗ってワイワイガヤガヤと走ればそうでもないが、トラックは別として今回こういう2人体制で走ったのは、予備の燃料や飲料水に食料、スタックした場合の脱出道具、修理・交換用の部品に工具にオイル、身の回りの細々した品などなどを分散して運んでいるからだった。
その理由はどこでクルマを棄てざるを得ない目に遭うかわからないからだ。私達の後ろをアサシンが操縦するトラックが走っている。
これは先発隊も同じで、こうやって3台のUAZ-3909で道が安全かどうかを確認しながら走っているのだ。そしてトクマから先は交代して、今後は私達が先発隊になる。つまりその先は命懸けという事だ。
ちなみにブラーツクからトクマまで真っ直ぐ北上できない。もっと東の集落や村を縫うように越え、そこからウネウネと北上しないと行けないのだ。目的地までそんな具合だから、800Kmどころか1500kmはゆうにあるだろう。
そしてガソリンスタンドはどこにもない。そもそも商店もレストランも無ければ、コンビニなんて存在しない。なのに細い細い道の先には集落や村がある。
冬の間、何を食べているのだと声を大にして叫びたい。北海道の一本道なんてメじゃないぞ? おまけに道は砂利もない、ところどころ泥濘んだ土の道だ。
「エルヴァ?」
「はい?」
「トイレ休憩」
遂に来たか。複雑な気持ちを抑え込んで、彼女とは離れたところでファスナーを下げていると陽気な声が掛かった。
「おう、お前らもか? 一緒にしようぜ」
モードレッドだった。エルヴァちゃんは顔が真っ赤っ赤だったけれど、少し離れたところで用を足していた。どうして私の横に立つの?
私とエルのは『エル』特製だけれど、モードレッドとエルヴァちゃんのはお祖父様の製作と聞いている。お祖父様も腕が良いな。すっごく性能が良さそう。
「性能が良さそうですね?」
「うん? 何のだよ?」
「あ、いえ……」
何を口走っているのだ。
「マスター、終わったらしっかり振れよ」
「どうしてそんな事を知ってるの!?」
「オレは父上を越えようとしたんだぜ? どんなだろうって、母上に頼んで付けていた頃があったのさ」
初耳だ。ってか、歴史の裏側を知った気分だ。それなのに終わればきっちり振る私だった。
「何でだろ? お前らとの連れション……。前にもしたような……」
ないないないない。それは何かの間違いだ。
「終わったら行きましょう。男性陣のクルマが追いつきましたよ?」
それで私達は慌てて自分のクルマに戻った。クルマの席に着くと、エルが濡れティッシュを手渡してくれた。最初からクルマに完備してあるところがエルヴァちゃんかなぁ。
私達がトクマ近くの、先発隊が宿営しているテントに到着したのは夜の12時を回った頃だった。ほとんどのテントは灯りが落ちていて、点っているのは先発隊に混じっていたアサシンのテントだけだった。
食事は途中で済ませていたので、エルヴァちゃんを先に休ませると、私はエルとともにクルマの点検をした。そこへランサーがやって来た。
「おいおい、何をやってんだ?」
「灯火類などの点検とボルト類の確認です。明日、日が出たら、朝一からオイル交換ですからね。ドレーンボルトはどこかなぁとついでに見ていました」
「オイル交換? 何でだ? 新車だろ?」
「新車だからですよ。慣らしながら走って頂けましたか?」
「さぁ? 運転はランスだしな」
だからそっちのクルマは人員用のバンで、荷物をあまり載せていないのだ。逆に私達の方は工具やオイルに予備燃料が満載だし、モードレッドとエルヴァちゃんの方にはオフロードバイクを2台載せてある。
レジャー目的でなく、最悪はそれで行くぞという万一の予備だ。
運転席と助手席の間にあるカバーを開けると、エンジンだけでなくラジエーターまでが鎮座している。けれど構造は至ってシンプルで、可変バルタイも可変リフトもない。
一応、ラジエーター・キャップを開けて水の量を見ておいた。まだまだ大丈夫だ。
※)可変バルブタイミング(可変バルタイ)……バルブの開くタイミングを可変する機構が付いたもの。通常はリフト量も同時に可変する。これとは別にバルブは可変してもリフト量は固定というパターンもあって、そちらは気筒休止やバルブ片側停止機構が併用される場合が多い。低回転域では4バルブの内半分の2バルブを閉じ、吸気量や排気量を抑える事で反応を良くし、高回転域では全バルブを開き、パワーを稼ぐという発想。元々はバイクから来たアイデアなのでホ◯ダ車に採用例が多い。
※)可変リフト……VTECで一世を風靡した高回転域ではハイカムになるという魔法のような機構。ちなみに『エル』がプーリーに細工をしていたのはバルタイの方でリフトではない。リフト量を増やすにはハイカムが必要だ。そしてハイカムを入れるとエンジンが高回転向きになるので、当然ECUの燃調マップの見直しも必要となる。また、素早くバルブが戻らないとピストンと当たってしまう。なのでスプリングの強化やバルブ周りの強化等、他のパーツも強化品への交換が必要な場合もある。
※)ハイカム……カムの山を高回転向けに加工したもの。弊害として低速域がギクシャクする。そこを失くし、低速もスムースで高回転は伸びるように考え出された機構が可変バルブタイミングであり、可変リフトだ。そして今は燃焼効率を上げる方向にも使われ、燃費の向上に貢献している。
翌朝、起きてすぐにオイルを交換した。ジャッキアップをしてウマを噛まさずとも、身体の小さな私だと下に潜れるのがこのクルマの素晴らしいところだ。
ウラルのトラックなんて、砂漠の日除け代わりにして標準体型の人が下で昼寝できるくらい下がスカスカだ。どこか日本の大学が、遺跡調査でそういう使い方をしていたと思う。
私がメンテをしている間、エルは先発隊の料理担当と一緒に調理をしていた。食料は余裕があるけれど、問題はお風呂だよね。空きドラム缶も積んでいるが、水が確保できるかどうかだ。
ぞれで食後にバイクを下ろし、下見に出れば集落の近くに池が幾つかあった。汲み取って濾過すれば使える。だから今度はクルマで行って水をポンプで吸い上げた。これで今夜のお風呂は万全だ。
明日の夕方から今度は私達が先に出発する。だからこの後は自由行動なのだけど、何をして良いのやら。軽く斥候をと思えば、ランサーがとっくエルヴァちゃんの使い魔を持って出て行ったそうだ。そもそもアサシンの何人かが自主的に出ている。この上、私まで出れば意味不明だ。
「取り敢えずやる事がないのであれば、休む事も重要な務めですよ?」
ランスロットさんの意見はもっともだ。だけど半英霊の私は常人より疲れない。何より性格が次、次、次と作業や仕事を求めてしまう。根っからの貧乏性なのだ。
思想信条、その他諸々を脇に置いての話だけど、この一点に於いて、私は並行世界の衛宮士郎クンやアーチャーさんと似ているしウマが合う。
自分がないとかどうこうの前に、あんなだだっ広い家を一人で維持管理していた几帳面さ。ここだけは誰も文句は言えないだろう。
料理の腕前云々の前に、日々の掃除や電灯の交換、傷んだ箇所の補修、布団干しにお洗濯。これをきちんとできる男の子ってまず居ない。
実は彼、心の病気さえ無ければ、家庭人として最高の部類に入ると私は考えていた。そして日曜大工に関しては家族の士郎クンより、美遊ちゃんのお兄ちゃんの方が腕が良い。
ただし二人とも家電の修理はあまり得意でない。こういうところに環境の差や世界の差が見えて来る。面白いものだね。
「お姉様」
「あれ? 打ち合わせは?」
「今日は報告を聞いただけです。もう手が空きました」
「なら、宿題でもみましょうか?」
「イリヤやクロエに悪いですけど、私の学校にそういうのはありません」
「フフフ……。スイスでかなり手伝ってあげたのでしょう?」
「ま、まぁ……。日本と違って半年だけ私の方が学年が上ですから」
「9月から中学生でしたっけ?」
「はい。6年から8年までが中学です」
教育制度の違いだ。おまけにエルヴァちゃんは独自色のある私学なので殊の外異なっている。『エル』の頃の記憶だと、まず5~6歳で幼稚園に入り、1~2年団体行動を学んでいた。
7歳でプリマシューレ(初等教育)に入って、4年生までそこで過ごす。……のだが、私というか『エル』は8歳で日本の学校へ転校した。
聖杯戦争は曖昧なのに、こういうのはしっかり覚えている。そしてその4年生の終わり頃に進学適正検査を受けて、5年生からプリマシューレ(職業コースの基礎)とセコンダーシューレ(進学コース)に分けられる。
9年生(中学の3年生相当)で、プリマシューレの人は職業教育を受ける準備に入る。対するセコンダーシューレの人はギムナジューム(高校に相当)へ進む準備をし、ギムナジュームではウニヴェルシテート(大学)に進むかどうかを成績と相談する。州によって微妙な違いはあるけれど、コース分けはほぼ同じだったと思う。
この中学進学時の職業コースと進学コースの比率がほぼ6対4だ。またギムナジュームに進んでも、卒業間際に7~8割が職業コースに鞍替えする。
日本のように誰もが大学に行く訳ではない、というか無理に行かない。大学は本当に難しく勉強漬けで、学者や教師を目指したり、政府に関わる仕事をする人のためのものだからだ。
何より誰もが最後は起業するか就職する訳だ。なら、勉学に適正のない人も社会では成功できるように後押しすべきだろう。スイスではそう考える。そしてそれはドイツと同じで、マイスター制度の伝統が今も根強く残っているからだった。
ちなみにこの職業コースの修了はだいたい20歳頃だ。その修了後に専門職のライセンスを得られるのだが、その後5年実務経験を積み、試験に合格すればマイスターになれる。これは男女の区別なくだ。ただし、男性が20歳になれば兵役がある。
目標も無く、ぼんやりと学校に通う人は居ない。将来どうやって食べていくのか? それを10歳から考えさせられる。また、夏休みのパートタイム(アルバイト)は当たり前なので、誰しもが学生の間に何らかのアルバイトを体験する。
1番多いのは、リゾート地での臨時スタッフだと思う。ホテルだったりレストランだったり。中には牧場で家畜の世話をする人も居るだろう。こんな風にして働くことの意味と大切さを学ぶのだ。だからスイスの人は皆んな働き者だ。
女の子はそれ相応の理由があって州に登録すれば、16歳から売春婦もできる。それも立派な職業という訳だ。
「エルヴァちゃんの学校は全員がセコンダーシューレなのですよね?」
「はい。それでそれぞれの地元(自国)にある大学に進み、その後大学院に進むか起業です」
「起業したい?」
「実は……あんまり。魔術師として食べて行けたらと思いますが、そんなに甘いものではないでしょう。その迷いもあって、この事業を成功させたいというか……」
なるほど、それがあったのか。『エル』も話していたが、この子は魔術師向きだ。家はとんでもないくらい資産があるのだから、研究者として生きるのも良いと思う。
昔はお祖父様も起業家になれと仰っていたのだろう。それが『エル』や『私』との出会いで変わられたのだと思う。それに確かにこの霊脈事業を成功させれば、一族の誰からも文句は出ない。そういう諸々を考えての意気込みだったのだろう。
陽射しは強く気温も上がったが、湿度は低く、草原には風が吹いている。並んで座っていたら、エルヴァちゃんがもたれてきた。
眠ったのかなと思えばそうではなく、歌を口ずさんでいた。
「レイレロレイレロレイレロヒ~♪」
びっくりだ。ヨーデルはヨーデルだけど、アメリカで作曲された「スイスの娘」だ。いわゆるウエスタン・ヨーデル。巧いなぁ。テキサスで覚えたのかな? 思わず手拍子してしまった。
「ヨハン大公のヨーデル」は難しいかと思い、「ひとりぼっちの羊飼い(サウンド・オブ・ミュージックの中の曲)」を歌い始めたら一緒になって歌ってくれた。
「お姉様、日本にヨーデルはありませんか?」
民謡はたくさんあるけれど、ヨーデルはないよ。仕方ない。ここは「ヨーデル食べ放題」だ。それでエルヴァちゃんの嬉しそうな拍手で迎えられつつ歌い終わると、後ろでエルとモードレッドが大笑いしていた。まぁ、日本語がわかるならそうなるよね。
それでピンと来たエルヴァちゃんに、どういう意味の歌だったのかと尋ねられたけれど、そこはモードレッドとエルに押し付けた。
目的地はナカンノという集落に近いだけで、何もないところだ。だけど何度も話したようにその下には巨大な霊脈が眠っている。
こんな奥地で一番近い飛行場はミールヌイにある。ダイヤモンド鉱山で有名な街だ。そして目的地周辺はそのミールヌイとチェルンイシェフスキー・ダムの湖群を挟んで対象の位置にある。
この辺りも掘ればキンバーライトが出て来る。もっと言えば、その霊脈の中心地を取り囲むように、縦長の楕円状でダイヤモンドが掘れるのだ。
千メートルに満たない深さだと縦状に連なっているようにしか思えないだろうけど(ミールヌイの北部にウダーチナヤ・パイプがある)、地蟲を使って千メートル以上掘れば、マーケットの価格破壊を起こすほどダイヤが掘れる。
私達がミールヌイ空港を使わなかったのは、霊脈の秘匿で人目を避けたかったからだけではない。ダイヤモンドがあったからだ。
万一新たに掘れると知られれば、政府主導の自然破壊に繋がるような巨大事業になってしまう。そうなると神秘の秘匿が難しくなる。今回の入国も表向きの理由は工場建設の下見だった。
『エル』のように食品加工工場や倉庫を最初から展開していないだけに、少々理由が苦しいところだ。北極海経由で北米と繋がる光ファイバーを沈め、インフラ事業を起ち上げるにしても既に誰かがやっている。
この『エル』とエルヴァちゃんの年齢差は本当に痛い。提供できるアイデアはあるけれど、時既に遅しで時流に乗れないのだ。だから本人が魔術師のみを選ぶのは悪くない事だと、この時の私は思っていた。だけどエルはどうやら違っていた。
「暗い工房で孤独に神秘を追い求める、そういう学者タイプが魔術師には多いと思われがちです。それはそれで間違ってはいませんが、その弊害というのかな? どうもエゴイストでコミュニケーションが苦手な人が多く感じます。本来魔術は金食い虫で、まさに金持ちの道楽です。だからこそある程度、蓄えられる手段や方法をどの家も確立している訳ですね。ここに矛盾を感じませんか? エゴイストでコミュニケーションが苦手な人がどうやって儲けるんですか? それってどうです? そういう親に育てられた子から衰退して行くのではありませんか? 私はエルヴァちゃんにそういう部分を考えて欲しいです。ビジネスが苦手でも、仲間が助けてくれるような人柄。そちらの方が大切ではありませんか? 長く続く家とは、その部分も忘れていない家ですよ」
その通りだと頷かざるを得ない。それに研究も一人ではない。ビジネスと同じく私達が手伝える。
「一見さんお断り風の頑固そうな職人さんがやっているようなお店。そういうところでも、流行るところはコミュニケーションがきちんとしているものです。真面目だとか腕が良いだけではやっていけません。それは何にでも言えると思いますよ?」
結局そういう事だ。エルは思った以上にきちんと考えていた。彼女はお祖父様とかなり話していて、その結果エルヴァちゃんの参謀に抜擢されている。それに対して私やモードレッドは手足のようなものだからね。
「何を言って……。あなただって落ち着いて、もっと客観視できればこのくらいは考えるでしょう? どうもあなたは、年下の子に感情移入が強いようです。イリヤちゃんやクロエちゃんと離れるから余計にでしょうけど」
「それですよね……」
夕方、スタッフと一緒に料理をしていたらランサーが帰って来た。
「どこまで行って?」
「地図を見ながらだけど、ほぼ目的地のトコまで走ったぜ。取り敢えず妙な仕掛けは無ぇし、妨害して来るようなヤツも見掛けなかった。だけど、道がなぁ。意外とクルマだと厳しい川なんかもある」
目が『どうする?』と聞いていた。
「資材を積んだトラックを待って、橋を架けるしかないですね」
「それしかないよな。それと後で話がある」
話? 何だろう? ともあれ私はランサーをねぎらい、テントで休んで貰った。料理を終えて皆さんのところへ運ぶと、スタッフに知った顔があった。フンボルト・ヘーゲル君だ。そっか、こっちではお祖父様の下で働いているのか。
「クルマを操縦されるんですね?」
「あ、はい」
食後、そのフンボルト君に話し掛けられた。
「何かお乗りに?」
免許は日本の彼女が取得したので、それで国際免許を申請した。
「え~と。MX-5(ロードスター)とS2000です」
「おお、オープンですか。似合いそうですね」
あっちゃ~。こっちのフンボルト君は独身か? 参ったなぁ。エルがウィンクして、後片付けをしてくれた。その間私は逃げるに逃げられず、フンボルト君と車の話を続けていた。
彼も好き者だから、話が合うのはわかっている。だけどそれが誤解を招きそうで怖い。しかもこちらの彼もア◯ディ党だけど、それとは別にホ◯ダのHR-Vにも乗っていた。
信じられないだろうけど、欧州、特にドイツではこれの3ドアがそこそこ人気だ。ファミリー向けな5ドアでなく、プライベート感のある3ドア。元からハッチバック文化のある欧州では3ドアこそスポーツだ。
HR-Vはスポーツではないけれど、多彩なシートアレンジとD16Aエンジンの燃費、それと程よいパワーに味のある足が魅力だ。
ホ◯ダは欧州向けに頑張っているので、こんな風に『味のある足』を持つクルマが多い。古くはコンチェルト(5ドアセダン。欧州ではローバー400)があるし、歴代のアコードやシビックも足がいい。
人を運ぶ上でも足を求めて造られたオデッセイ、貨物車なのに四輪独立懸架のパートナー。
先代シビックのハッチバックセダンもしなやかだが、現行のEPは抜群でタイプR向けでないK20Aで出して欲しいと、内心で思っている人は多い。まぁ、そういう人はアコードを買えよという事なのだろうけど。
注)ハッチバックセダン。別名5ドアセダン。マ◯ダが323F(ファミリアアスティナ、ランティス)でヒットを飛ばし定着した。古くはVWなどにもあったスタイルだけど、その利便性や斬新性が受け入れられず当時はあまり売れなかった。
またHR-Vが売れた理由だけど、まずスタイリッシュに人を多く乗せたい向けにはル◯ー・エスパスがあったので、貨物(遊び道具)に振った3ドアのHR-Vが新鮮だったという背景がある。そしてシューティングブレイクよりアーバンSUVっぽく街に合う。DC5では不評だった涙目も、欧州では格好良いと受け入れられていた。
なのに5ドアを出したのは遊び心を見失った感があってイマイチだと私は思う。あれを出さずにK20Aを押し込めれば、もっと名車になったのに。
「日本にしかないタイプってあるよね? え~っと、インテグラだっけ?」
「ええ。どちらかと言えばアメリカ向けですけど」
「あれって良いの?」
「ウケてるのはタイプRだけですね」
だけど翌月、ホ◯ダはこのDC5型をマイナーチェンジして、北米と同じクラス名のタイプSを出した。涙目ではなくなったけれど、その足はオデッセイ・アブソルートやアヴァンシア・ヌーヴェルヴァーグと並んで素晴らしい(この3台は同じ人が関わっている)。
そもそもスタイリッシュに人を運びたいとオデッセイを出したり、エディックスを出したりするメーカーだ(ニッ◯ン以上にル◯ーが好きだなと言ってはダメ。チャレンジ精神の発露と言おう)。
「それとは別でもっとファミリー向けな」
「もしかして、インテグラSJ?」
「それだよ。あれってどうだった?」
その旺盛なチャレンジ精神は、時にどこのメーカーよりもマイナーなクルマを生み出す。ダ◯ハツやマ◯ダと並んでマイナー車が多いと感じるのは気の所為ではないだろう。
廉価なマイナークラスでなく、鳴り物入りで作ったけれど売れなかったクルマ。このインテグラSJもその中の一つだけれど、普通に乗る分には何ら問題ない。
むしろ足がそこそこ良く、絶対的なパワーは無いけれどそれなりに回る、街中では十分なエンジンが積まれていて燃費もいい……。あれ? 欧州に向いていた?
「雑誌を見てね。オヤジに良いなぁって思ったんだよ」
お父さんか……。ミュンヘンの家具職人だ。似合いそうだなぁ。
この仕事の後、私はスイスで正式に免許を取り、北米のアキュラRSX(インテグラ)タイプSを個人輸入した。色はブレイズオレンジメタリック。Aスペックのトランクリップやスポイラーを付けた上にタイプR用のリアウィングも付けた。
K20A2エンジンはタイプRより低い200psだけれど、足はタイプRよりしなやかで突き上げがない。マアエモ・ママも絶賛してやまないそのRSXを、私は手放すまでに20万キロ以上乗ったのだった。
また、この2004年の晩秋に個人売買で、NA型の青いMX-5を格安で手に入れた。錆び錆びで幌も破れていたこれを冬の間にレストアして、エンジンにも手を入れ夏に乗り回した。
高校卒業後倫敦に行っていたもう一人の私が遊びに来てくれて、スバ◯のWRブルーマイカに塗り替えたそれを本気で欲しがっていた。
その後彼女は英国製のNA型MX-5(右ハンドル)を手に入れ、大切に乗っていた。やっぱりロードスターは楽しい。S2000も素晴らしいけれど、それはママから借りられるしね。
フンボルト君との楽しい時間を終えると、私とエルはランサーとランスロットさんを交えて話し合った。
「ルーンで安全を確認された?」
「一応な。けど、集まって貰ったのは妙な感覚があったからだ」
「妖精?」
「お、良い線突くねぇ。正直、正体はわからねぇが、何か居そうだ。用心に越した事はねぇと思うぜ」
まさかダイアを抱えてドラゴンが地中に眠っていたりはしないだろうけど、ランサーが言うからには何らかのモノが居るのは間違いないだろう。私達はお互いに見詰め頷きあった。
夜明け、テントの外に出て用を足す。目標は専用のバケツだ。エルも起きてきてこんな事を言われた。
「狙いを定めてバケツの縁に。ジョボジョボさせたら寝ている人に煩いでしょう?」
ごめんなさい、初心者に近いもので。
「うっわ。お姉様方の大きい……」
何だと思えばエルヴァちゃんだった。ポロンと出したモノがちゃんと子供用で、その造形にお祖父様の拘りを感じる。対する私とエルのものは色以外、形も大きさも同じだろう。
これは『エル』が自分の遺伝子を調べて、男性だった場合をコンピューターでシミュレートして造ったものだ。そして『エル』はその仮想の男性が10歳から20歳までの成長過程に持つであろう形を1年毎に造っていた。
理由はデータ取りだ。とある親戚から言われたのだ。『初めての精通で得られた衝撃は凄まじい』と。そして遂に完成をみたその作品は、70代の老人にもローティーンの刺激と快楽を与えた。
魔術はお金になり難い。それは神秘の秘匿が優先されるからだ。だけどそれを医療器具や性産業に転嫁すればたちまちお金になる。また必ず既に使用している者の紹介と、契約書にサインを書く事が必須だとすると、面白いように秘匿は守られる。
まぁ、刻印の複製などとセットなので、口外する魔術師は居ない。例え魔術師でなくとも、様々なペナルティを記した契約書にサインすれば秘匿は守られる。そんなものだ。
正式にはどこの政府からも許可を得ない部外品だけれど、お金を出す人が後を絶たないところに商品力の高さが伺える。それに全部その人に合わせたカスタムメイドだ。勿論、要望があればもっと大きくも硬くもできる。造形も思いのままだ。
『エル』は変人だけれど天才だった。そんなカスタムが可能だから、顧客は一人で3本も4本も買う者や、新しいデザインが欲しいというリピーターばかりだった。
手を洗い洗顔を済ませた頃にモードレッドが起きてきて、ランサーやランスロットさんも起きて来た。当然バケツの場所は別だ。
その後、皆んなで食事専用のテントでお茶を楽しみながら歓談していた。私達は今日の夕方に出発するので、料理番から外れていたのだ。なので朝食が出来上がるまでお喋りを続けていた。
ほぼ全員が揃ったところで、昨日ランサーが感じたという違和感と、幾つかの怪異について話した。やはりこの辺りにそういう伝承は何もない。
だけどこの先の奥地にはそこに住まうようになった開拓者かしか知らなかったり、まだ人間が出逢っていない事もあるだろう。となると、何かわからないので各自の慎重を期す他は無かった。
夏なので周囲は草がボーボーの草原だ。だけど空気は澄んでいて、とても静かだ。午後4時。少し太陽が傾いて来た頃に、私達は次の目的地に向かって出発した。
先日もそうだったのだが、暗くなっても通常のライトで十分見える。ただし泥濘と思ったところがそれなりの深さがある溝や穴という事もある。
それを地図に書き込むのがアサシン達の仕事だった。そして今のところ大きな問題はない。今夜も300kmは走る。そこまでクルマが無事に走れたら良いけれど。