万能細胞を使ってIS学園を洗脳・改造・侵蝕・ハーレム! 作:地球最適化プログラム
ここは、何処かの国、何処かの場所。ここは、一部の限られた人間にしか知られていない、とある目的のために作られた施設だ。
その施設の内部は、蟻の巣のように廊下と部屋が広がっている。
その中の一つ、薄暗い部屋、中心には手術台とライトが置かれ、トレーに乗せられた手術道具のようなものが側にある金属製の台車の上に置いてある。
周りを忙しく行ったり来たりして作業している人は、青い医療用の服を着て、完全抗菌の装いだ。
そんな部屋の様子を見ていると、ここは病院の手術室なのかと思われそうだが、この施設には病院ではない。窓口もなければ、待合室なんてものもない。
あるのは、
そして、その実験室のドアが開き、五人の青い服を着た人と一緒に、ストレッチャーが搬入されてきた。
ストレッチャーには、年端もいかない少年が横たわっている。
手早い動きでその少年を手術台に移し替えると、手術台を取り囲むようにその五人は立って、少年を見下ろす。
「『材料』はまだか」
その五人の中の一人、長身でガタイの良い男性が呟く。
程無く、この部屋にあるもう一つの扉が開く。先程少年が搬入されてきた扉とは反対側にある扉だ。
開いた扉から入ってきたのは、鉄製の台車と、それを押して運ぶ男性。
そして、その台車の上には、水銀のような液体が詰まった点滴のバックと、黄色い塗料のようなものが詰まった小瓶。どちらもラベルは貼られていない。
「先天処置実験は身体が異常分裂を起こして栄養失調になり、母親共々死亡。遺伝子組み換え処置も発言不調を起こして失敗。後天処置実験でも上手く行くとは思いませんが」
「それはまだ分からん。彼は第一次成長期を終えて、元々の細胞分裂速度は穏やかだ。それに、一定以上の細胞分裂を抑制するナノマシンも投与する。拒絶反応に関しても出来るだけの対策は考えてある。それに、ラットでの成功保証もあるじゃないか。後は運勢次第だ」
実験室の隣には、マジックミラー越しに実験室を覗くことが出来る部屋が併設されている。そこでは、二人の研究員が実験の行く末を見守っていた。
「取り敢えずは、成功するまでやり続けるしかなかろう。上も資金と
二人の視線の先、手術台の上で横たわる少年の頭に、そこをすっぽりと覆う機械が被せられる。
壁にいくつも掛けてあるモニターがパッと明るくなり、少年のバイタルサインを表示する。
「人類が、新たなステージへ進むために」
白い髭と度のキツいメガネをかけた研究員が、そう呟くと同時に、実験は始まった。
点滴スタンドに、先ずバックをかけて、点滴のラインを組む。輸液ラインと延長チューブを三方活栓で繋ぎ、クレンメをしっかりと締める。点滴バックに輸液ラインの先の針を刺し、液だめを揉むと、銀色の液体が流れ始めた。
「針、射って」
隣にいた男性がアルコール綿で腕の腹をそっと拭き、点滴ラインの先にある翼状針を刺した。
銀色の液体が、チューブを伝って血液の中へ、流れ込んでいく。
「バイタルチェック、怠るな。『
一連の作業は、手術……というよりただの点滴に近い。
銀色の液体を注入後に、それが身体全体に回ったところで黄色い液体を注入するだけなのだから。
しかし、作業中は実験体の容態に細心の注意を払いながら点滴を続ける必要があった。
一つでもミスを犯せば、被験者の細胞は癌細胞とは比にならない程の異常分裂を起こし、被験者は破裂。つまり実験は失敗する。
他にも、生命活動が極端に低下し、生命を維持出来なくなったりする可能性もある。
この黄色い液体──『彼ら』はそれを、バナナオレと呼称している──には、人間のDNAの大部分を書き換え、
理論上では特殊なDNA配列により細胞の特性を環境によって変化させることであらゆる変化にも耐えうる生物、いわば『完全生命体』といっても遜色ないものを作り出すことが、この液体には可能だった。
他にも機能があるのだが…………。
この究極の生物を作り出すプロジェクトが行われた背景では、今を取り巻く現代の実情があった。科学技術の発達、そして『インフィニット・ストラトス』という『
世の中は『インフィニット・ストラトス』へ傾倒し、その技術を発展させようと躍起になる。
だが、この研究所にいる『彼ら』は、自らの進化を望んだ。自らを『人類を超越した何か』にステップアップし、『インフィニット・ストラトス』によって大幅に変動した世界の覇権を、それを超えることによって再びこの手に戻す。このプロジェクトには、そんな意図があった。
そして、プロジェクトの目的から察することが出来るだろう。
嘗て『インフィニット・ストラトス』と、その開発者である『篠ノ之束』により社会から排斥された者たち。それが、『彼ら』の正体である。
「バイタル安定、ナノマシンによるバイタルチェック、表示します」
先程の銀色の液体が、体内に隅々まで渡る。それは、黄色い液体の作用をコントロールするために作られた、ナノマシンであった。
モニターの一つに、『tip』と右上に表示されたバイタルサインの情報が映し出される。
「被験者の容態は安定、続いてバナナオレ、注入します」
「いよいよだな………」
隣の部屋から見ている、白衣の男は唸る。
そして、チューブを通って、『バナナオレ』は、被験者の体内に流れ込む。
手術台のすぐ側で様子を見る作業員達も、その額にじんわりと汗を出しながらその行く末を見ていた。
バイタルは変わらず正常値を報告し続けている。麻酔を打って眠っている被験者の様子にも、異常はない。
黄色い液体は、内部の細胞と結びつき、先ずは異常分裂を始めようとする。だが、ナノマシンが効いているのか、それは抑えられているようだ。モニターを見ると、ナノマシンのプログラムが正常に作動し、生命として保ったまま、細胞が書き換えられている旨を報告している。
もうすぐ、我々の長年の夢が叶う時が来た。そして、ナノマシンの制御権を持つ我々がこの被験体を操り、
一同が、歓喜に満ちた笑顔を見せようとした、その時だった。
ビーッ!、ビーッ!、と、けたたましいアラームが鳴り響いた。
こんな忙しい時に、何が起こったのか。
モニターの横にある非常ランプが点灯し、モニターも同時に切り替わる。
『侵入者アリ』
その文字に、この場にいた誰もが唖然としたが、白衣の男はすぐに我に帰って、手前にあるマイクを掴み、実験室に向かって叫ぶ。
「何をしている。被験体を渡すわけにはいかん。早くソイツを連れて逃げろ!」
その声に青い医療用の服を着た作業員も我に帰り、部屋の端に置いたままだったストレッチャーに被験体を移動させ、すぐに材料を持ってきた方の出口から部屋を抜け出た。
「畜生。恐らく、侵入者はこの機会を狙っていたな」
「とにかく、私達も逃げましょう。それから………、!!」
「!?」
二人の研究員は、部屋から出ようとしたが、不意にその若い方の動きが止まる。
もう一人はそれに気付いて振り返ったが、うめき声を上げる研究員の胸から、鮮血のついた刃物が突き出ているのを見て、血の気がサッと引いて行くのを感じた。
「あんまりこういうのは好きじゃないけどねぇ」
刺された研究員の後ろから聞こえる、若い女性の声。それは、この場に似つかわしくない程に陽気な声だった。
うそだろ。だが、この早さは。
後退りながら、もう一人の研究員は、頭の中にポッと出てきた最悪の結果を、全力で否定しようとしたが、しかし、その最悪の結果は、事実として彼の目の前に現れていた。
侵入者は、稀代の天災、篠ノ之束だった。
「死んでもらうよ」
酷く冷めた声で、彼女は一言呟いた。
「点滴針とか、邪魔だろ。抜いとけ」
作業員のうち、一人が点滴針が打ってある左腕の側にいる作業員に急かす。
幸い、バナナオレは一定量の注入は完了していた。
被験体から血が流れ出るのもお構いなしに男は点滴針を抜く。
しかし、血は流れることは無かった。
「これが、『バナナオレ』………いや、『アルティメット細胞』の力か」
被験体を移送しながら、ガタイの良い男は呟く。
「おい、お前とお前は、警備室から武器を持って来い。俺とコイツがここを出るまで、食い止めろ」
「はい」
男は周りの作業員にそう命令し、その後一人でストレッチャーを押し続ける。曲がり角を幾度も曲がり、とにかく一心不乱に死守を続けた。
「ハァッ、ハァッ、やっと、脱出口だ」
最後のコーナーを曲がり、残り数十メートル。そこには、脱出用のポッドがあり、そこからヨーロッパ中の何処かに脱出することが出来る。ポッドの通る脱出ルートは幾つもあり、それはランダムだ。例え篠ノ之束だとしてもどこへ脱出したのか特定するには時間がかかるだろう。
あばよ、篠ノ之束。
男はそう思いながらポッドの入り口に突っ込むようにして入り、起動する。篠ノ之束の姿は、ない。
それを確認して、男はポッドの中のベンチに崩れ落ちるように座った。
ドッと、何かが爆発したような音が鳴り、ポッドが射出する。ポッドの中にも衝撃が走るが、それに構っていられる程彼の体力も残っていないようだ。
ふと見上げると、ストレッチャーの上の少年は、未だに眠り続けている。
それを見て安堵したのか、男の瞼は段々と重くなっていった。
「久々にやらかしちゃったね。この束さんを手こずらせるとは、中々やるじゃないの」
脱出口のトンネルの前に立ち、その先の暗闇を見据えながら、篠ノ之束は、不機嫌な顔をした。彼女のお気に入りのエプロンドレスは、先程人を殺しまわったにも関わらず、返り血一つついておらず、料理前の綺麗さを保っていた。
「でも、収穫も少なからずあったね。クーちゃんは良い子だからね、束さんの助手にしようかそうしよう!」
しかし、彼女はすぐにいつもの笑顔に戻り、その場を後にする。
どうせこの地球上にいる限り、彼女から逃げ切れることは出来ない。今は逃れても、必ず捕まえられる日は来る。
彼女は人類最高の知能と、人類最高の運動能力を持つ故に、そう自負出来る程の自信があった。
しかし、彼女は持ち合わせていなかった。彼女が人類を超える存在と相対した時に、それに勝利するという自信が。
作者は豆腐メンタルです(だから何なんだ)。
エロシーンまではもう少し待って下さい