万能細胞を使ってIS学園を洗脳・改造・侵蝕・ハーレム! 作:地球最適化プログラム
「契約って……ふざけているの?」
未だ蔓に四肢を固定されて身動きの取れない楯無が問う。
「気に入らなかったら呼び方なんてなんでもいいですよ? 取り引きでも約束でも」
「そんなことを言っているわけじゃっ……!」
そうだな。そうやって苛立たせる作戦だもん。そんなに気持ち良く術中にハマって頂いて、貴方はどういう策略があるのか知りませんけど。
「じゃあ、いいんですか? 契約しなくても。契約しなかったらしなかったで、俺はここで好き勝手やるだけですけど。話だけ聞くならタダですよ?」
……そこまで聞いて、楯無はようやく口を噤んだ。目はこちらを睨んだままではあるが、これでもお利口さんな方だろう。
ホテル滞在時に、やることもないので日本のテレビを見ていたのだが、その時のコマーシャルみたいな言い回しって、結構効くものだな。とある法律事務所の過払い金がどうたらとかいう内容だったが、タダという言葉は日本人には効果てきめんのようだ。日本のことわざに、『
「それでは、契約内容を発表致しましょう」
マジシャンがやるような丁寧なお辞儀をしてから、俺は契約内容を語り出した。
「まず、こちらの履行内容から発表しましょう。契約が締結されたこの瞬間から、しばらく俺は、
「!?」
楯無は当然、驚いた。
勿論だ、俺の目的は楽園の創造、即ちIS学園をDG細胞で埋め尽くすことだ。だが、誰にも手を出さないとなると、そのお題目自体が達成出来ない、不可能なものとなる。それなのにどうして、そんな自分に不利な契約内容を発表したのだろうか。多分そう思っているのであろう。
そして同時に、この契約には裏がある。今までの反応でこのビッチは妹のことになると周りが見えなくなるというのは痛い程分かったが、だがそれでも頭の回る部分はあるだろう。
「しばらく? しばらくとはいつ──」
楯無の質問を、俺が遮った。
「おっと、質問は後ほど。次に貴方に関することですよ」
いちいち質問されていればキリがないし、こちらの
「貴方が守るべきことは、俺の情報を絶対に漏らしてはいけないこと。それだけです」
楯無は目の色を変える。これも当然の反応だろう。内容が簡単過ぎる。
「いいですか? 今日俺がここで会ったこと。UC計画の人間であること。それら全てを忘れて、普通に生きるのです。直接伝えずとも、悟らせてはいけません。僕はたまたまISを動かせてしまった、奇跡の男の子。そういう認識で暮らして貰いましょう。ああ、そうでした。貴方もこちらに手を出して来ちゃだめですよ。こんな蛇腹剣で首斬ったり、ナノマシンで爆発とかやめて下さいね。校舎が傷つきます」
楯無は自分のISのデータが既に知られていることに目を見開いたが、すぐに目を細めて、注意深く聞いてくる。
「どうです? ……ああ、そういえば質問したい所があったんですよね?」
「ええ。……『しばらく』っていうのは具体的にいつまでなの?」
「いつまで、というのは契約が破棄されるまでのことですよ。とどのつまり、我々が契約を守っている間はこちらは絶対に手出ししない、ということです」
「質問の答えになってないわ。契約の破棄はいつ行われるのよ。まさか明日まで、なんてことはないわよね?」
「せっかく契約をしたのにすぐに破棄するなんてこと、するわけないでしょう。……ご安心を、一学期期間中は破棄の予定はございません。破棄する際は直接お伝えしましょう。もっとも、そちらが契約を守っている前提のお話でございますが」
「……私が契約を守らなかったら?」
「契約は破棄され、俺は侵略行為に出ます。この学園はDG細胞で溢れ、人の住めない世界のなるでしょう、ね?」
俺はにっこりと返した。
「学園の安全を第一に考える楯無サンなら、そんなことはしないとは思いますけど」
「あら、私だって危険になればこの学園を切り捨てることだって厭わないわ」
息を吹き返したかのように、楯無が食ってかかってきた。トラップがバレたか? ……いや、こちらの魂胆を読み取ろうとしている途中だな、まだ。
「それは……脅しですか?」
「いいえ、警告よ」
「……分かりました。それでは、契約の紋を刻んでおきましょうか」
俺はそう言って、懐から筆を取り出す。
「なっ、どういうことよ?」
「いやいや、貴方の身体に刻んでおいた方がいいと思いまして」
「なんて下劣な……!」
顔を強ばらせながらも、渋々楯無は了解した。
俺はクスリと、笑みを見せる。
「契約成立、ですね」
そして、楯無に絡みつく蔓を取払ってやる。楯無は急に身体の自由がきくようになってよろけるが、そこを俺は支えた。
……主に楯無の胸を触って。
「~~~!!」
触られた楯無は、咄嗟に飛び退いた。然してこちらをキッと睨む。だが、その顔は若干赤らんでいる。
多分今、女の敵とか思われてるよな。それで結構。女の敵というか、俺は人間の敵だから、さ?
「じゃ、楯無サン。服、脱いでよ。上半身だけでいいから」
「くっ……」
俺に言われるがままに、楯無は服を脱いでいく。
屈辱か? 屈辱だろうな。
楯無は上半身がブラジャー一枚になったところで、後ろを向いて、ブラのボタンを取り外す。
肌をだいぶ見せているにも関わらず、乳首周りは見せたくないらしい。……何故女は陰部はともかく乳首を見られたくないのだろうか。よく分からん。
「それじゃあ、書き込んでいこうか……」
月明かりが窓を通して俺達を照らす中で、俺はそっと楯無の背中に触れた。
……とてもスベスベとした肌をお持ちで。束がとてもモッチリとして水分をたっぷり含んでいそうな肌をしていた反面、楯無はクロエと似ている。
歳を取っていたり胸のサイズに関係があるのだろうか。興味深いところだ。
「ひうっ……は、早くやりなさい」
「まさか、肌触られちゃっただけで、感じてるんですか?」
そうやって中指で背中の筋を撫でてやると、楯無は身震いする。
「あ、貴方っ……!」
これ以上は悪戯すると面倒かな。
俺はそう思って、掌を楯無の背中に押し当てる。
「あっ……!?」
楯無が仰け反る。その瞬間、背中に木の根が張るようにビキビキと皮膚が盛り上がった。
俺が手を離すと、楯無の身体には、黒い紋章が浮かび上がった。
「い、一体何を……」
身体に浮かび上がる紋章を見て、楯無の顔の血の気が引いていく。
身体に書くことを予告はしていたのだが、いざ書かれると来るものがあるらしい。自分としても、タトゥーだったり刺青だったり淫紋だか何だか知らないが、本当はそういうのはあまり好きではない。
だが、こうでもしなければ簡単に契約破棄されてしまう。
「そんなに心配することじゃないですよ」
「何を言っているの!? これのどこが──」
「貴方が契約を守っている限りは、その紋章は誰にも見えません。守っている限りは」
そう俺が言うと同時に、楯無の身体に刻み込まれていた筈の紋章は、スーッと消えていき、元の白い素肌が月夜に光っていた。
「じゃあ、楯無サン。契約は取り付けましたから、しっかり守ってくださいね。あ、そうそう。バレないと思ったらダメですよ。不履行された瞬間に紋章出ちゃいますから。それでは今日は以上です。ごきげんよう」
「そんなっ……」
俺は、ズブズブと、まるで底無しの沼に沈んでいくように、床へ沈んでいく。
「待ちなさい!」
楯無は声を上げたが、走り出す頃には俺はもう、床と
楯無の前には、誰もいない。暗い廊下が、続いているだけ。
今イギリスが鋭意開発中の第三世代IS『ダイブ・トゥ・ブルー』が使うような『
何故なら、床もDG細胞によって浸蝕された俺自身であるからだ。擬態……でもないな。俺そのものであるわけだし。
そうして俺は、夜の闇に紛れて、楯無の前から姿を消した。
ともかく、楯無にはいい契約を取り付けることが出来た。
内心でほくそ笑みながら、学園の壁内を伝って、自分と簪の両部屋の前に降り立つ。
(さてさて。すぐ戻るとか言っておきながら、妙な邪魔が入ってしまったな。不審がられてないだろうか)
女の勘は鋭いと聞く。
少し慎重になりながらも、俺はドアをノックした。
……コンコンコン。
「俺だ。今入って大丈夫だよな?」
「……うん」
家主の了承も得たところで、俺は部屋に入った。
「ただいま」
「…………」
(分かってはいたが返事はなし、か……)
とりあえず荷解きが先かな、と思いながら俺はデスクに座る簪の前を通り過ぎる。簪はまだ風呂に入っていないそうでまだ制服だった。……やっぱり俺が後の方がいいんじゃないのかと思っていたのだが、
「あ、あの……」
声がかかった。紛れもなく簪の声だ。俺は振り向く。
「え?」
「……お、おかえり……」
俺は一瞬、彼女が何を言ったか分からなかった。
簪の言葉を理解するまでに、あろうことか数秒もの時間を要するほどに。
若干頬を赤らめて、目を逸らす。そして発した、小さな、小さな言葉。だが確かに聞こえた、『おかえり』と。
………………。
「……? どうした……の」
はっと、我に帰る。
俺は硬直していた。たった数秒間……されど数秒間の間、俺は完全に無防備な状態を晒してしまった。
何故だ。ここは未だ敵地。本当は一挙手一投足、警戒して事に当たらねばなるまい。それはこの部屋の内でも同じだ。
現に楯無はここまで追いかけてきた。彼女は暗殺に適した(と勝手に推測したのであろう)放課後の校舎の廊下を俺が歩いているのを狙って実行に移した。結果的にそれは失敗に終わったが、彼女が失敗したその先を考えていない筈がない。
そして普通に考えれば、次に適した場所といえばこの部屋の中。つまりここだ。一番油断しやすい場所であろう。彼女の立ち位置を利用するだけでも簡単に寝首がかける。マスターキーを利用して部屋には簡単に入ることは容易に想像できるし、何があってもおかしくはないIS学園だ、秘密の脱出口から勢いよく飛び出してくるなんてことがあったとしても不思議ではない。実際盗聴器と隠しカメラは存在していた。今はダミーの情報を流しているが。
そんな中で、俺は数秒間という致命的な隙を晒してしまった。
俺は今日この時までただの優しい人間を装いつつも、ありとあらゆる場所に注意を張りながら生活してきた。DG細胞のおかげで疲れないからこそ出来る芸当だ。
だが、何故……。
俺は額を拭って平静さを取り戻す。
見せてしまったものは仕方がない。次から気を付けなければ。
「いいや? なんでもないさ」
平静を装ったつもりだったが、しかし結局は内心で焦っている。誤魔化しきれなかったかもしれない。
簪からは怪訝そうな顔をされたが、彼女は身体を机の前に向き直す。
俺は内心で溜め息をついた。
気付かれなかった……のか。
「……先にシャワー浴びてくるよ」
逃げるようにシャワールームに飛び込む俺の姿は、自分から見てもとても無様だった。
ベッドの上で俺はゆっくりと目を開いた。
簪が部屋の電気を消してからもう二時間は経つ。カーテンの隙間から月の光が差し込んでいて、思っていたより明るい。ここから少し歩けばもう都心だというのに、IS学園内というのは空気がとてもいい。
そんな感傷に浸りながら、隣のベッドを覗いた。簪は気持ちよさそうに寝息をたてている。これなら気付かれないだろうな。
室内に仕掛けられてあった盗聴器と監視カメラは全てダミーの情報が流れている。監視しているのはおおよそ楯無だろう。モニターの中では俺は何をするでもなくぐっすりしているのを見て、とりあえずの安堵をしている姿が想像出来る。
それに反して現実の俺は起き上がり、小さく欠伸をしてからベッドを抜け出る。
そして未だぐっすりの簪を襲い……。
……たくなる衝動を何とか抑えて、荷物が入っていた鞄の中から一枚の封筒を取り出した。
何故か分からないが、簪に対して早く処分すべきとも考えてしまう俺であったが……まだいいだろう。ある程度は、普通の学校生活を送っても誰も文句は言うまい。
楯無との約束もある。
だから、簪については一旦頭の片隅に追いやり、今はこの封筒の中身に注力することにする。
薄いピンクの紙に、『愛しのキョウちゃんへ』と大きく書かれたなんとも個性的な封筒だ。裏には小さく差し出し人の名前が書かれている。
やはりというかなんというか、篠ノ之束だった。
彼女には身分を偽造して貰って俺の母として今朝までホテルで一緒に過ごしていた。保護者兼ボディーガード兼オナホって感じの立ち位置だ。
そこで俺たちは、玄関までやってくる研究機関だったり政府の人間だったりをあしらったり、その中でも上物の女性をDG細胞で浸蝕させておいたり、あとはベッドでセックスに励む傍ら、色々と作戦を練っていた。
余談だがクロエはラボでお留守番だ。しばらく会えなくなってしまうことに涙ぐんでいたが、何とか了承して貰えた。
本当は連れて行きたいところではあるのだが、帰投した後の束のお目付けも兼ねて、だ。
俺は封筒を開く。封筒はとても軽かったが、特に何かが仕込んであるわけではないらしい。中身は俺宛の手紙が一枚、ただそれだけだった。
DG細胞のおかげで夜目がきくため、ライトを点けることなく、そのまま俺は手紙を読み進めることにした。
『ブイブーイ。貴方のための束さんだよー♡ 手紙っていいよねー、データみたいに自動で消えちゃうものと違って。束さんの愛、伝わってるよね?
……うんうん、早く何があったか知らせろって? 焦らない焦らない。とりあえず──』
長ったらしい。半分くらい愛がどうたらとか忠誠を尽くしますだとか余計な文だらけで読んでて呆れるレベルだった。その辺りは篠ノ之束といえば束らしいが。
そんな文章の中でも重要なことは掻い摘んで説明が成されていた。内容は……ともかく。
そんな風に思いながらも、俺は手紙を読み進めていく。だが、とてもグダグダした文章とは裏腹に、内容は結構衝撃的であった。
俺専用のISの開発状況や送付準備について。ホテルに滞在中に俺はISについてある程度の注文をつけておいたのだが、それの開発がギリギリになるかもしれないということ。束が俺に付き添って来た理由というのはもう一つある。それが『白騎士』──いや、今はもう『白式』か、そのISコアを元の場所に戻す作業だ。
白式は倉持技研の倉庫に半ば放置されるように保管されていたのだが、それを俺がDG細胞に覚醒して束を支配した日に、こっそりと奪取してきたというのが翌日にラボにコアがあったことのあらましだそうだ。
IS学園と倉持技研の研究棟の距離は差程離れておらず、またホテルからも近い。また白式を元に戻す作業は俺がDG細胞によって浸蝕したために盗む前とコンディションが違うために盗む作業より時間がかかるそうだ。そのため彼女は毎晩俺と交わった後に研究棟に忍び込み、下準備をしていた。また、『白式』を無事に一夏の専用機にするための根回しも行っておく必要があり、やることが多いらしい。
余談ではあるが、『赤月』は篠ノ乃箒と織斑千冬の私闘後に束が預かっていたもので、俺のものについては白式同様に盗品かと思っていたが、以外にも新造だった。所在が分かっていないコアもあるとはいえ、そんなに簡単に新造してもいいのか、とホテルにいた時に聞いたが、コアナンバーを偽装して、
そんなこんなもあり(大体は俺が路線変更させたのが原因だが)、さしもの束もスケジュールが逼迫しているためにISに関するリクエストを全てこなせないかもしれない、というのが一つ目のお知らせだった。
本当ならもっとじっくり作戦を練りたかったわけではあったが、急遽今日から寮で暮らすことになり、また一週間後にはもうISを使用せざるを得なくなってしまったからにはしょうがない。
本音を言えば今日から寮生活というのは束という極上の身体をしばらくお預けにされたという意味では口惜しいところではある。
だが、そうも言ってはいられない。束のお知らせはもう一つあった。
──大体話をする時というのは『いいお話』と『悪いお話』を最低でも一つずつ用意するものだろうとは思っていた。だが、よりにもよって悪いお知らせしかないとは思わなかった。『テヘペロ♡』などと書いてはあるが、束もこの関係バレについては若干の焦りが伺える。そこまで危惧すべき事態というわけでもないのだが。
荷物を渡してきた織斑千冬の口調から、これは何となく察していた。荷物を受け取りに行ったのは知っての通り織斑千冬で、千冬と束は旧知の仲。ある種の因縁さえ存在している二人が出会ったところで、気付かない方がおかしいと言った話だ。
特に差し障るような話はしていないとのことだが、そもそもバレたこと自体が大問題で予想外だ。
(おいおい、俺の楽しみを奪わないでくれよ……)
急な寮生活と、女二人の対峙。全て織斑千冬の仕組んだこと……の可能性は低いだろう。
ただ、何であろうとバレてしまったのは事実だ。
俺は手紙を一瞬で焼失させた後、ベッドに倒れ込む。
俺は目を覆った。
(所詮、どれだけ優秀なものでもそれを扱うものが上手く扱えなければ無用の長物になりかねん)
篠ノ之束のような代物であればこちらの指令なしでも彼女自身である程度のことは何とかしてくれるが、それは彼女のポテンシャルを扱い主──つまり俺の持つデメリット分に充てることになる。
だから、例え篠ノ之束と織斑千冬に戦力比嘉が大きく離れていたとしても、色々なことを隠蔽するのに力を入れながら戦う場合、そこに戦力が削がれて実際の比嘉が大差ない場合になってしまう。
DG細胞は多くのものを浸蝕して、その勢力を物理的に広めなければ強くはない。コロニーデビルガンダムサイズまでになれ、という訳ではないが、今のままでは篠ノ之束の頭脳に守られて生きるので精一杯であった。
織斑千冬と白騎士とを繋ぐ何か、あれはただ単に織斑千冬の乗機、という訳ではない。
それ以上の何かが……。
それさえ掴めば完全に攻勢に出ることが出来るのだが……。
とにかく、クラス代表決定戦が終わるまで、目立った動きは出来ない。
とにかく、安全第一。
今は眠って精神を養う必要があると思い、俺は布団を被って寝ることにした。
その一連の光景を、隣で見ていた者がいるとは全く知らずに。
お久しぶりです。
読者に読みやすいネット小説の文章スタイルに関して試行錯誤をしていたら自分の持ってた文章スキルを忘れかけてしまって悪戦苦闘してしまいました……。
みんな一文おきに改行しまくってるけどそれだと色々と独特な言い回しに関してブレーキがかかってしまうのよね。
明日も更新する予定。