万能細胞を使ってIS学園を洗脳・改造・侵蝕・ハーレム! 作:地球最適化プログラム
「やり過ぎるな、と言ったのにな」
スピーカーの向こうで織斑千冬が目を細める中、アリーナでは白き二つの機体が向かい合っていた。
「
「おかげさまでな」
一夏の見据える先にはツインバスターライフルをその手に持つ『ゼロ』がおり、キョウジの見据える先には純白の機体『白式』の姿があった。
どちらも巨大なカスタムウィングを備えた高機動型のIS、と見受けられる。
(意外とISとの親和が早いな……俺ならまだしも、十分そこらで終わらせるとは、あれでも織斑、か)
キョウジは顔を顰める。
織斑一夏の言っていた通り、俺が戦っている間に、彼はまんまと白式の
『白騎士』のようで、反吐が出る。
ブルー・ティアーズがピットに戻ってすっかり経ち、もう試合は始まっている。
しかし、二人は微動だにしない。
「……なんなんでしょう、コレ」
ピリピリとした空気が、見るもの全てに伝播していく。
それはモニター越しに流れる映像を眺める山田先生、そして篠ノ乃箒とて同じだ。
(……何をしている、一夏)
箒の額に汗が滲む。
この空気に煽られた箒の心はますます複雑になっていく。
勝って欲しいとも思えず、とは言いつつも元の、これまで抱いていた織斑一夏の像から──たとえ現実がそれからかけ離れていたとしても──そう簡単に離れられるわけではない、負けて欲しいとも思えなかった。
そして勝敗の如何で、一夏はどうなるのか。どういう行動をとるのか。
一夏は……一夏ならそんなことしないとは思うけど……私に八つ当たることだって──。
「篠ノ乃」
「はいっ!?」
不意に後ろから声をかけられる。
遠くから射抜かれるような鋭い声の主は、やはり織斑先生であった。冷淡な声で言葉を続ける。
「何かあったか?」
「い、いえ……」
箒が恐る恐る首を振ったら「そうか。野暮だったな」と返す織斑先生。チラリとそちらを覗くと彼女の顔は既にモニターに釘付けになっているのが見えた。
内なる恐怖と、外なる恐怖。箒はその二つに板挟みにされ、震えていた。
そして、モニターの先では遂に動きが生じる。
ツインバスターライフルの号砲が爆ぜ、白式の肩アーマーを抉る。
そして両者が動き出し、空を舞う。
「叩き潰す」
キョウジの呟きを、一夏は聞くことは無かったが、彼の目の色が変わっていることは、気付いていた。
(……ってぇっ!)
いきなりの発砲を食らい空に逃げた白式だったが、しかし攻撃はそれだけでは終わらない。
分裂したツインバスターライフルで続けざまに連射をするゼロに対して、回避の一方だった。
一夏は顔を歪める。
あの攻撃を食らった時の、気持ち悪い衝撃。
まるで身体がねじ切られたような様子が想起できるほどに、感じが悪い。
しかし、ISというパワードスーツを纏っていなければ、そうなっていただろう。
ライオンの牙に容易く食い破られ、弾丸が身体を貫く程には人の身体は脆い。
だから人は、自らの脆弱さを文明の利器によって補ってきた。ISも今では、その一つと言えよう。
──今俺は、そのISを纏っている。男はISに乗れない筈ではあるが、幸か不幸か、俺は同じ土俵に立つことが出来た。向こうも同じだ。
負けるかもしれないが、勝てなくもない。
ブラフを読み、その後に撃ってきた直撃コースを避ける。
先程見ていたブルー・ティアーズの弾幕よりかは射撃弾数は少なく、面で迫ってくるような脅威は感じなかったが、だが威力が強い分、一発一発に強烈なプレッシャーを感じる。
だが、当たらなければどうということはない。
カスタム・ウィングの巨大なスラスターを開き、スピードを上げてゼロの頭上を通り過ぎながら山なりの起動を描く。そして、白式は武器スロットから近接ブレード『雪片弐型』を呼び出した。
生憎ながら、白式の武器は一つしかない。それがこの雪片弐型。かつて千冬姉が使っていた刀『雪片』の名を次ぐこの武器、たった一つだけ。
あの強力なビームを避けて、近接戦闘を仕掛けなければいけない。
近付くことが最低条件ではあるが、相手にもビームサーベルはある。
こちらが間合いに入るということは、すなわち向こうも間合いに入っていることになる。
斬り合いをしてもいいが、しかし分が悪い。
どうしたものか、と一夏は頭を捻る。
ただ、それを構えて機会を伺う間にも、敵機の弾幕は止まない。
一弾一弾、確実にこちらを仕留めに来る弾であり、それを避けるのは至難の技だ。
背中に被弾しながらも、白式は体勢を立て直して飛ぶ。
ダメージは深刻だが、まだいける。連結状態の攻撃ならどうなるか分かったものじゃないが。
ツインバスターライフルを再び接続させたゼロがダメージを負った白式に追いつき、双方がスピードを上げた。
連結状態で一発発泡した後に急旋回で回り込もうとするゼロに白式も旋回で対応し、まるでシザーズのような膠着状態に陥りながらスタジアムを回り続ける。航空機による戦闘とは違い、これは先に前方を取った方が有利になる。が、このシチュエーションは元々ゼロに有利だ。
航空機は前方にしか攻撃出来ない一方、ISは人間を基本単位にしていて、更に言えばPICにより空気抵抗を受けにくいシステムになっているので、身の振り一つで全方位に攻撃出来る。
つまり、ローリングシザーズ中にもライフルを敵機に向けて発砲が可能であった。
近接武器しかない白式では、避けることしか出来ない。
だが、既定パターンの旋回に誘い込まれた白式は、その避けることすら至難を極めた。
パターンから抜け出す一瞬の隙を、ゼロは逃がさない。
しかし、幸運にも熱線は肩アーマーを掠める。
スタジアムのグラウンドを抉る大爆発が起きる中、しかし砂煙の中から白式は現れる。
存命だった。
直撃を確信していたたのか、キョウジは舌打ちする。
そのまま白式はシャンデルでマークから抜け出してもう一発来たビームを避けたあと、体勢を立て直す。
ただ、肩アーマーのダメージの報告を聞いて、一夏の顔は歪んだ。
このままじゃかすり傷でジリジリと追い立てられて負け。
かと言って突っ込んだら、あのビームの餌食になって負け。
どう攻めようとも、負けるビジョンしか見えない。
あまりISでの機動の感覚が上手く掴めず、自分がまだまだ未熟なのは否めない。
だが、そんな未熟さが霞むほどに目の前の敵機が、自分の思い浮かんだビジョンを全て否定して返す程に、キョウジが大きく見えた。
生まれ持った自分の感覚が伝えてくる。
彼は、強い。
一夏のブレードを握る手が油断したら手から滑り落ちてしまうほどに気圧され、装甲内のグリップを掴む腕が汗で濡れる。
──どうする。どうすれば、勝てる。
送り出してきた千冬姉や、箒のためにも、ここで負ける訳にはいかない一夏であった。
一回考え直したい。
相手をしっかりと観察し直して、じっくりと作戦を練り直したいところではある。
だが、休んではいられないし、そんな時間はない。
打開策を考えられなくても、動いてなければ撃ち抜かれて負ける。
一夏は、記憶の奥底で朧気に浮かぶ、箒の目を、今のキョウジの目に重ねていた。
剣道の試合で箒と相対した時、彼女はいつもマスクの奥に冷静な目でこちらを見つめていた。
今思えば、それは『戦士の目』などと呼ばれるものだったかもしれないと、一夏は思慮する。
この目をしていた時の箒はとても強く、一瞬の油断もならない強敵だった。
そして、目の前の彼も、戦闘のプロとでも言うべきなのだろう。
経験は無きにしろ、墜とせる敵を見逃したりすることはしない。
そして、言うまでもなくこれは真剣勝負だ。
浮き上がる白式に、容赦なく光弾が浴びせられる。
しかし、真剣勝負だと言いつつも、下がりながら射撃をするゼロの姿は、まるで弄んでいるようにも見えた。
まるでこっちがこの近接ブレード一本しか持ち合わせていないのを見透かしているかのような動きだ。
──何がおかしい。
顔の皺が寄る。
織斑一夏は胸の中で何かが燻るのを感じて、心の中で毒づいた。
いや、そう言いたいのを抑えて、心の中に留めておいたというのが正しいだろうか。
だが、一度は抑えたものの、続いて湧いてくる怒りを抑えることは、直上的な一夏にとって難しい話であった。
「これは……真剣勝負、だろうが!!」
雪片弐型を構え、突撃を仕掛ける。
相手の視界から刀身を隠すように下段に構え、相手の足元、真下から攻める。
真下──。それも、ISのハイパーセンサーを持っても認識に一手間要する、『死角』である。
しかし、単体で攻めても効果は薄い。
急加速して回り込んだ一夏であったが、その動きにゼロは容易くついていき、バスターライフルの光に呑まれかける。
避けたものの、間合いは更に突き放されてしまった。
──ダメか。
一時の怒りに任せるのは危険であり、そして力押しではダメだと一夏は悟る。ただ、搦め手を繰り出したとしても生半可な攻撃では手堅いしっぺ返しを食らうのは目に見えている。
しかし、どうすれば──。
そんな時だった。
右手に握っていた『雪片弐型』の刀身の、その近未来的なラインが入った場所から、ほんのりと漏れ出ているのを、一夏は見た。
そして、その光は、一夏には一度見たことがあるように感じていた。
もしかしたら──。
いや、もしかしなくても、俺はこれに賭けるしかない。きっと、賭ける価値はあるはずだ。この戦いに負けたとしても。
100メートルは離れたゼロの砲身をハイパーセンサーを通して気にかけながらも、握ったブレードに意識を集中させる。
その無骨な剣に自らの身体が内包している熱を伝えるような、そんな感覚で。
想いを伝えれば、帰ってくる筈だ。
視界いっぱいに広がるウインドウの文字を見て、それは確信に変わった。
白式が飛び出す。
直線軌道、自殺行為か。
見え透いたチャンスをみすみす逃すようなことを、キョウジはしない。
すかさずゼロは発砲する。
だが、避けようとしない。
あの装甲のダメージからして、分離状態のビームでも即死にまで持っていける筈だとゼロは踏んだ。
当たれば負けである。
ならば、何故──。
そこまで思念したところで、しかし次に起きたことは彼の思考の範疇外であった。
正面に迫る脅威に対して直進する理由など、目の前の脅威に対抗出来る何かがあるからに決まっている。
だが、そんなものがあるというのか。いや──あるにはあるが──。
そんな一瞬の思考の鈍りが、キョウジを襲う。
一夏はISの初心者ではあるが、剣道である程度鍛えていた観察眼というのは、ISでの勝負にもある程度通用するものではあった。
故に、一夏はハイパーセンサー越しにあるキョウジの目が狼狽えたのを、見逃さなかった。
「『零落白夜』ァァッ!!」
ビームに衝突する白式だが、真白な光を発する。
それは被弾の、増してや爆発の光ではない。
そして、それをキョウジが理解した時には、白式の姿は眼前にあった。
『
「甘く見過ぎたか……」
「うおおおおおおっ!!」
ビームサーベルを取り出すが、それは気休めにしかならないと分かっていた。
雪片弐型のブレードから噴き出るあの光『零落白夜』は、あらゆるエネルギーをたちまち減衰、消去させてしまう一撃必殺の大技なのだから。
実体ブレードならまだしも、ビームサーベルはエネルギーの刃である。
展開したビーム刃で上段から振り下ろされる雪片の光を受け止めようとするが、やはりビーム刃は怖気付いたかのように掻き消えて消滅する。
零落白夜という強力な武器を手にした白式は、一夏の剣術への潜在能力も合わせて、ゼロを打ち負かす程の自力なのは、誰の目にも明らかであった。
「ちいっ!」
雪片弐型を振り下ろしながらゼロの頭上に飛び込むように身体をグルンと空中で一回転させることでマシンキャノンの射程からも抜け出す。
そして、胸部のトリコロールの装甲を、白き光の刃は切り裂いた。
──あ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
その一瞬にして、キョウジの中の何かが切れた。
織斑一夏が、この俺に傷を負わせた。
──あの馬鹿が? まだ数回しか乗っていないというのに? 知識もないというのに?
──お前はこの俺の人生を狂わした張本人だ。俺がここにいるのも、全部お前のせいだというのに。俺はお前に復讐したいからここに来たというのに。ここから俺の物語が幕を開けるというのに。
──俺の気が済むまで殴られて潰されて弄ばれて、最後に吐き捨てられるのがお前の人生の筈だろ?
──なのに、なのに、なのになのになのにぃぃぃ!!!!!!!!
その事実だけが、キョウジにとって許し難いことであることは想像に容易い。
スラスターで距離を離し、上空で荒い息を吐く一夏の姿を見た。
その姿は、キョウジにとって上から目線で、気に入らないものに違いなかっただろう。
だが、このまま怒りに駆られては勝てる試合も勝てなくなる。
キョウジは引き際を弁えていた。
アラートが五月蝿く情報を頭に流し込んでくるのだが、キョウジは分かっていると首を振った。シールドエナジーはあの攻撃で半分近く持っていかれた。胸部には装甲が引き裂かれて裂傷が刻まれている。
まさか、あの織斑千冬の必殺技とでも言うべき
しかし現実は実際に織斑一夏は零落白夜を発動した。
織斑一夏は織斑千冬のサブユニットだから、凍結された『暮桜』のデータを織斑一夏を触媒に白式にサルベージした……と推測出来なくもないが。
そして、零落白夜はあらゆるエネルギーを消滅させてしまう『無効化攻撃』であり、敵機……今で言えばゼロのシールドを消去して、その内側にある操縦者の最終保護シールドである『絶対防御』を強制的に作動させた。発動中は同時に自らのシールドエナジーも消費する『諸刃の剣』でもあるわけだが、俺は本当に運がいい。あんなもの、当たったら即負けだ。
ちなみにではあるが、これは競技用にリミッターをかけた状態であるらしく、リミッターを解除した零落白夜は絶対防御さえも貫通してしまうと聞いている。
ISを倒すため『だけ』のIS。その呼び名が相応しいだろうか。
白式の中にはまだ白騎士の魂が残っている。残された白騎士の力なのか知らないが、一矢報われたらしい。
キョウジは溜め息を吐く。
だが、さっきのは一夏が運が良かっただけだ。
土壇場で零落白夜を編み出し、
だが、全ては運がいい方向に働いた、ただそれだけ。
もう、相手の手は読めたのだから、二度目は絶対に食らわない。
そして、もう時間はかけていられない。
フワリとスタジアムの上空に浮かび上がる。
「零落白夜……意外だったが、もう遊びは終わりだ」
分離したライフルを水平に持ち上げるゼロ。だが銃口は上の空へ向けている。敵が複数いる訳でもないのに、それぞれの銃口を、真反対に向けていた。
「? 一体──」
織斑一夏はそう呟こうとした。
だが、轟音が全てを掻き消す。
バスターライフルから熱線が溢れ、アリーナを一直線に貫く。
そして、機体が旋回しだすと共に、ビームが回り出す。
それは、カトルがアニメで見せたものが印象的な、ローリングバスターライフルであった。全てを飲み込む熱線の渦のように、付近の機体を蹂躙する、大技。
「これは……これこそまさに、
ピットで様子を伺っていたセシリアも、言葉を零す。
全てを飲み込む、それは白式も例外ではない。
「うっ、うわあああああああ!!」
熱線の中に身を躍らせてしまった白式は、ただでさえ少なかったシールドエナジーを、遂に尽かす。
不意を疲れたものの、終始優勢。
紛れもないキョウジの勝利だったが、その目は悔しさに包まれていた。
遅くなりました。仕事が忙しくて頭がこっちまで回らないです。ダレカタスケテ……。
それで、まだ序盤から抜け出せていないんですけど投稿頻度がまた落ちます。ほぼ失踪になるかも……。
一応次回予告しとくと決定戦のまとめとセシリア濡れ場になる……のかなぁ。
しばらく仕事に専念したいです。このまま書き続けてもクオリティ下がります。
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駄目!すぐ書きなさい!
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1ヶ月くらいなら…
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半年なら…
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いつまででも待つ!
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興味無い、勝手に失踪しとけ
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代筆したいです!→感想へ