(この声……そんなまさか……)
「……M4?」
「…………はい」(照)
(Oh...)
戦術人形には気を付けよう!
場は施設の射撃場。
人影は無く静まり返ったそこで、指揮官は自らが前線へ赴いた際に手に取った銃を、珍しく自分でメンテナンスをしていた。
普段は物好きな戦術人形が何故か勝手に整備してくれるのだが、彼の思い立っての行動である。銃を完全に綺麗にするのは長い時間を有するので、そこは簡単に。
ぶっちゃけ完全に綺麗にしようとノイローゼに陥る必要は無く、少しばかり汚れていても特に作動上問題は無い。だが少しでも綺麗にしようと心を養うのが大切なのだ。
慣れた手つきで銃を分解し順に並べ、部品を一つ一つ、ガンオイルで濡れたハケで薄く塗り広げていき、数分したらウェス等の乾いた布で軽く拭き取っている。どうやらバレルの手入れは既に済ませ、内部機関の細かな部品に着手している様だ。
指揮官という役割上、彼が前線に出ることは少ないが過去に何度かあった。が、今でこそ世は平穏。この銃は使われなくなり、鍵を掛けたロッカーに仕舞いっ放しに。
ある時、そんな彼の銃を物好きな戦術人形たちがメンテナンスさせてほしいと願い出てきたのだ。そういった経緯もあってこれまでとっかえひっかえ、複数の戦術人形たちにメンテナンスされてきた。
彼の銃をメンテナンスする人形は楽しげに、指揮官が前線に立った際の思い出を語ってくれる。
その為あってこの銃はよく整備され続け、品質状態は良好にある。
指揮官が選んだ銃はR4。AR-15系統のクローンにあたる。
彼の手によってカスタムが施され、バレルもハンドガードも目測6~7インチ程に抑えられたコンパクトな調整になっている。おそらく閉所での運用も考慮しているのだろう。その為形式上はR4“c”となるのだろうか?
銃全長も短く、取り回し易く使い勝手も良い筈だ。
初期の頃はアンダーレイルに良かれと思って付けたアングルフォアグリップが存在していたのだが、彼はR4のマガジンハウジングの部分を持って銃を構えて射撃を行う為、全く活用されずに結局外された。
光学サイトは指揮官の好みもあって、レティクルの形状を少々弄ったホロサイトを使用している。……そして何故かは分からないが、光学サイトの不調や破損に備えたバックアップサイトの類は一切装着していない。その為、彼の銃のトップレイルはやたらとすっきりしている。
チャージングハンドルも見慣れた物とはまた違う形状のハンドルを採用。指揮官は薬室に初弾を送り込む際に、掌底でチャージングハンドルを引くという変な癖があるので、その為らしい。
◆
黙々と自分の銃を整備する指揮官の傍には、いかにも不機嫌そうな表情を浮かべたHK416が座っている。彼にくっついて来ていた様だ。
そんな不機嫌な彼女の眼差しは、今指揮官が整備している手元の銃に向けられていた。
(貴方の“そこ”には、私が居たかったのに……)
そう心の中で呟くHK416は心穏やかではない。
彼女がどうして不機嫌なのか。
その理由は、彼が選んだ銃がR4だった事だった。
周囲に持て囃されつつも実力と自信を付け、名実共に高名にあった彼女はきっと自分が選ばれるだろうと高を括っていたのだが、現実は違った。
指揮官に選ばれなかったHK416はR4というただの銃に対して異常な執着を見せ始めた。
当初は射撃スコアに耐久テスト、トライアル――……今では銃の性能の評価などに全く関係の無い事柄にまで、自分がR4より秀でている部分の粗探しまでする様になってしまった。
もう立派な鬼女である。
普段はただの美女なのだが、指揮官の
羨ましい。 R4が妬ましい。 指揮官が使う銃に私が選ばれたかった。
本来、そこは私の場所の筈だ。
R4なんかに――渡さない――
だけど私は……選ばれなかった。 彼に選ばれなかった。
この言葉がHK416の頭中で蛆の様に這いずり回り続け、嫉妬が彼女を狂わせる。
指揮官はそんな思いを抱えるHK416の事は露知らず、知る由も無く、黙々とR4の整備を続けている。
指揮官が彼女の思いを知らないのは無理もない。彼女がこの様な思いを胸に秘めているとは全く思っていないからだ。
おまけに、その胸の内を彼に明かしたことはこれまでで一切無い。
実の所彼女は、ただ自分が選ばれるだろうと思い込み、そして当てが外れ、ただ拗ねているだけなのだ。
指揮官はただ、R4を選んだ。 ――それだけだった。
現状のHK416をあえてキツく言うと、根拠無く勝手に自分が指揮官に選ばれるだろうと幻想を抱き、そして当てが外れて夢破れ、嫉妬に狂っているだけである。
勿論、HK416以外の人形たちにも指揮官に選ばれたい気持ちがあった。
何せ他でもない想い人である指揮官に使われるのだ。彼女たちにとってとても喜ばしい事だった。
指揮官はR4を選び、その選択に皆が納得し、すっぱりと諦めをつけて割り切った。
だが……HK416だけは今になっても自分が選ばれることに執着し続けている。どうやら今に至っても諦め切れていない様だ。
私に一体……どこが足りないの!完璧なはずなのに!
まだ足りないの……?でも一体何が……?
どうして私は選ばれなかったの……?
誰もが優秀だと言った。
これは特殊部隊向けだと言われた。
小型化も精度向上も可能だと言われた。
――だが違った。 私は指揮官に選ばれなかった。
彼はただR4を取った―― そう、それだけ。それだけだ。それ以上もそれ以下も無い……
分かっている……彼に落ち度なんてないことを。
ただの私の勝手な独りよがりだと……分かっている。勝手に期待していただけだと……。
そんなことは分かっている筈なのに……。 彼の
諦めきれない。
(私は……ああ……指揮官……)
ふつふつとドス黒い感情がHK416のメンタルを蝕んでいった。
(指揮官……)
整備も一段落つき、指揮官が一息ついている最中にふと横を横を見ると、俯いて力なく座るHK416の姿が。俯いている為、表情は確認できなかった。
彼女の様子が気になり、指揮官は声を掛けた。
「眠いのか?」
「……違うわ」
HK416は急に座る指揮官に向き合って、何も言わずに彼の太腿の上に跨って彼に抱き着き始めた。
あまりにも急な出来事で指揮官も困惑し、思わず硬直状態だ。
指揮官の胸に顔を埋め、そのまま沈黙するHK416だったが、しばらくするとゆっくりと顔を上げ、ハイライトの消えた吸い込まれる様な目で指揮官を見つめてきた。
「……416?」
いよいよ末恐ろしくなってきた指揮官は彼女の名前を呼ぶ。
HK416は――
「ねぇ、指揮官……シましょ?」
そう言って腰を淫靡に前後し、下腹部を擦り付けてアピールをしてきた。
瞳はどす黒く濁り、メンタルも不安定に陥ったHK416は指揮官との行為を求めてきた。
こんな状況でも愚直に隆起する愚息に、ある種の感服さえ抱く。
彼女は酷くメンタルが不安定な状態になると指揮官と身体を重ねたがる。好きな彼と肌を重ねることで精神の安定を取り戻そうとするのだ。
……まさにそれが今起きている。
(R4なんかより……私の方が優秀なんだから……。指揮官は……渡さない……)
(指揮官の銃に選ばれないのなら――)
(
「私は完璧よ。R4なんかより私の方がずっと気持ちいいわ……♥」
「(R4?……一体何を……)ほ、ほら……誰かが来るかもしれん。だから……な?」
慌てて必死に取って付けた言い訳を並べるも……
「指揮官は座ったままで構わないわ♥ 私が動くから……♥」
(ダメだ。取りつく島も無い……)
聞く耳を持ってくれず、なんとHK416はこの場での行為をご所望の様だ。あっという間にズボンのベルトは緩められ、モノを取り出されてしまった。
そして彼女は自身の秘部の割れ目を指でくぱっ、と広げた。広がった割れ目からは愛液が滴り落ち、椅子を濡らす。
先端を秘部へ当てがい、少しずつ腰を落としていくと、くぷっ……と亀頭がHK416の中へと少しずつ沈み込んでいった。
「っあ゛っ……♥ ほら見て……♥ 指揮官のが私に入って……」
指揮官と再び一つになっていく感覚と実感に、HK416のその身が打ち震える。彼女の中は浅い為に男根を幾らか余し、すぐに奥まで達してしまっていた。
指揮官との性行為は大好き。
自分が生きているという実感が心地良く伝わってくるから。
空いた心が彼で満たされるから。
今ではすっかり指揮官との行為に溺れてしまっていた。
「はぁっはぁっ……っん……どう?私の方が気持ちいいでしょう?♥」
色々な事を無理矢理に関連付けて、R4より自分が優れている面をアピールしてくる彼女だったが、しかも今回はセックスでアピールをしてきた。
彼の下腹部に跨り、分からせるかの様に腰を淫らに何度も上下する。上下する腰に伴い、HK416の豊かな双丘が元気よく揺れて眺めがいい。
「ああっ気持ちっ……♥ もう最高っ♥ すきっ♥すきっ♥」
普段の気丈なHK416の姿はどこにも無く、ムードもへったくれも無いHK416による強引な淫行が続いた……。
◆
◆
◆
それから複数回の絶頂を経て、次の絶頂までのスパンがどんどんと短くなっていった。
「はぁっ……♥はぁっ……♥
ここでようやく、指揮官も絶頂を迎えた。
「アハッ♥ いっぱいきたぁっ♥♥♥」
放たれた大量の精は見る見るうちにHK416の中の狭い部屋を満たしていく。
「あーっ……あぁああっ……♥」
HK416の中で多幸感が広がり、心身ともに指揮官で満たされていく。そんな実感に彼女は打ち震えていた。
「分かったでしょう?♡ 私は完璧なんだって……ふふっ……ふふふ……♡」
「……」
うわ言の様に呟き、抱き着いて甘えてくるHK416に、指揮官はただ、彼女が満足するまで傍に居てやる事しかできなかった。
HK416は……果たして何処へいくのだろうか……。
~真夜中~
(ぐっ……寝苦しい……)
(か、身体が動かん……一体何が……)
AR小隊「「「「「Zzz…」」」」」ガッチリ
(……道理で……)