「……」スッ
「でないと……私の大事なトコ切っちゃうかもよ?」
「……わかってるさ」
(……どうして俺が45の毛を剃らねば……)シュリシュリ
「……♥」ゾクゾク
戦術人形には気を付けよう!
――ヴヴッ
ふと、指揮官の端末が微細に振動する。
今日の執務は終え、指揮官が自室で寛いでいる最中にそれはきた。通知か何かがやってきたのだろう。少なくとも着信ではなさそうだ。
指揮官は何の気兼ねもなく、デスクの上に置いておいた端末を手に取って通知を確認する。
ヘイヘイ指揮官!今日はどんな色の下着穿いてるー? 20:31●
「…………」
唐突なMDRからのセクハラメッセージ。あまりにしょうもなく、そして返答に大変困る内容であった。
どうやら通知の正体はMDRからのメッセージの様だ。
MDRに限った事ではないが、人形たちは普段からよく指揮官の端末を通して彼にメッセージを寄越してくる。戦術人形との他愛もない日常的なメッセージのやり取りも、きっと指揮官の務めなのだ。
……多分。
ヘイヘイ指揮官!今日はどんな色の下着穿いてるー? 20:31
アレな内容だが、指揮官はそれでも律儀に返事をしてくれる。
指揮官の堅物っぷりを必死で角落とし、柔らかな気質になったのも人形たちの並々ならぬ努力の賜物だ。
手元が狂わない様に気を付けつつ、指揮官はMDRにメッセージを返した。
うっかりスクロールしてしまおうものなら、MDRとの過去のやり取りが出てきてしまうのだ。
そこにはMDRが指揮官へと一方的に送り付けたえっちな自撮り写真だけでなく、MDRが思い出作りと称して撮影した指揮官との行為中のハメ撮りの数々。
MDRは普段から指揮官へのオカズ提供に余念がなく、お蔭様で指揮官は悶々とした日々を送っている。
――ヴヴッ
と、端末が小刻みに震え、指揮官はすかさず画面を見る。
相変わらずMDRの返信は早めだ。
酔ってない酔ってなーい! 20:36
まぁ……確かにちょっとアルコール入ってるけどね! 20:39
入ってるって言ってもホントにちょっとだけ!ちょっとだけだから!20:40
普段から明るくテンションも高めのMDRだが、今はアルコールも回って猶更その気質に拍車がかかっている様だ。
酔っていてもタイプミスしない辺り、流石はMDRと言ったところか。
うーんとね 20:43
最初は宿舎に戻ろうかなぁって思ってたんだけど途中で気が変わって 20:44
歩いてる所かなぁ 20:44
指揮官のお部屋~☆ 20:46●
(!?)
酔ったMDRが、何故か指揮官の自室を目指している。
それを知った指揮官の表情が途端に曇り始めた。酔った戦術人形が部屋に押しかけてくるなどと、これまでの彼の経験上碌な目にあってきていないのだ。
決まってるじゃ~ん! 20:49
これから指揮官の下着の色を確かめに行くんだよ~♡♡♡ 20:51●
「」
犯 行 声 明
MDRが最初に一発、唐突にかましてきたセクハラメールは冗談ではなく本気だった様だ。
酔いとは恐ろしい。人だけでなく戦術人形まで狂わせるというのか。
(MDRめなんて恐ろしい事を…… これはしばらくどこかで身を隠すべきか……?)
◆
◆
◆
「――それで、私の部屋に逃げ込んできたのね」
「恥ずかしい話だが、その通りだ」
あのまま自室に籠っていたら、駆けつけてきたMDRに嬉々としてしゃぶりつかれてしまうだろう(意味深)
「なるほどね……いいわ。指揮官を匿ってあげる」フフン
「! すまないなFAL。本当にありがとう」
事の流れを説明したところ、指揮官の予想に反してFALは快諾してくれた。
「ただ……ちょーっと待っててね?」
「ああ」
FALは静かにドアを閉めた直後、慌ただしく自室に戻っていった。
軽く片付けでも済ますのだろうと思った指揮官は、簡単な返事のみで後は何も言わないことにした。
(流石に……こんな玩具は隠しておかないとね……)
部屋に慌てて戻るや否や、FALは顔を赤らめながら歪にグネグネしたピンク色の物体をウェットティッシュで拭いたのちに丁寧にラップで包み、引き出しに仕舞い込んだ。
そしてFALはその後、飛ぶような足取りで指揮官の元へと向かい、彼の手をグイグイと引いてウッキウキで部屋へと招き入れた。
そんなこんなで、指揮官 in FALの部屋
「貴方のお部屋ほどきっちりしていなくて申し訳ないけれど、それでもよかったらしばらく寛いでね」
「構わんさ。匿ってくれるだけでもありがたい」
「しかし言うほど散らかっている訳ではないだろうに。俺の部屋と違って趣のある部屋じゃないか」
「フォローありがと指揮官。 そうね……貴方の部屋はそもそも物が無いものね……」
殺風景だと人形たちに定評のある指揮官のお部屋。
人形たちがこぞって指揮官の部屋を賑やかにしようと何度か画策したが、Before-Afterであまり変化が無いのが実情だった。
テコ入れ前とその後で写真を撮って見比べてみても間違い探しか何か?と誰かがツッコミを入れた程。
……全く以てその通りだった。
このままではいかん!と人形たちが再び立ち上がり、大がかりな模様替えを計画している様で、そんな日が来ないことを祈りつつ、指揮官は戦々恐々と日々を送っている。自分の部屋を改められるのいうのは中々のストレスになるだろう。
指揮官のお部屋事情はさておき、一方FALは心穏やかではなかった。
(指揮官が突然部屋に来てくれるなんて…… なんてサプライズなの!)
と、指揮官の突然の来訪に心躍るFAL。
彼の前では必死に隠して振る舞っているつもりのFALだが、どうしても気分が高揚して仕方がない様子。
「それにしても、MDRがねぇ……」
「……いつものことでね。基本的に他愛の無いやりとりが続くだけだが」
「ふぅん…… (何それ……羨ましい……)」
なんだか先を行かれている様な気がしてムッとする。
「……私も貴方とそういうメールのやり取りがしたいのだけど……いい?」
「全然構わんさ」
快諾。
「あら本当?ありがとね指揮官」
クルッ
(や、やった…… 言ってみるものね!) ガッツポーズFAL UC
何処の誰にアピールをしているのかは定かではないが、こちらに振り向いて静かにガッツポーズをするFALの姿が確認できた。
この嬉しさをバネに、FALの会話は弾みに弾んでゆくのだった。
◆
◆
◆
「最初は驚いちゃった。夜分に突然やってきて匿ってくれ なーんてね」
「……悪いと思っているさ」
「ふふふっ、全然構わないわよ。私と貴方の仲じゃない」
思えば仕事終わりに指揮官の手を引いて空き部屋に連れ込み、彼と身体を重ねて火照った身体を鎮めることを除けば、プライベートを二人きりで健全に過ごす機会は久々。
FALにとって有意義な時間を過ごすことが出来た。
そんな楽しい時間はあっという間に進みゆくもので。言葉を交わしていくうちに、気付けば日付が変わるまであと数時間程となっていた。
FALに至ってはもう気が気でなく、彼女の理性は邪な方向へと昂ってしまっていた。
宿舎の自室にて指揮官と二人っきり……
なんだか彼を独占している様で――
すっごく―― 興奮する――♡
「……ん、もうこんな時間か」
(え 嘘…… もうそんなに経ったの?)
壁掛け時計が告げる時刻に、FALは思わず目を丸くする。
「匿ってくれて有難うな。流石にMDRは正気に戻って帰っただろう。……流石にこれ以上居続けるのも悪い」
(あ……)
二人きりの楽園が終わりを迎えようとしている。何とも言えない寂しさや終末感がメンタルに。
「この恩は後日、何らかの形で報いよう」
玄関へ向かうべく、指揮官はゆっくりと立ち上がろうとする。
(……帰すものか!)
……すると、FALが指揮官が座る席の背後に素早く回り、指揮官の両肩に手を置いて、彼が席から立ち上がろうとするのを制止してきた。
「……FAL?」
指揮官からすれば、彼女のこの行動の訳が分からなかった。もう自分をここに留める理由がない筈だからだ。
FALは何も言わず、ふらりと自室の玄関方面へと向かい、程なくして聞こえてきたのは――
FALが玄関のドアを複数回施錠する音。
……それは玄関のドアが何重にも掛けられてしまった事を意味する。
FALが俯きながら両手を後ろ手に組んで戻ってくる。
そして指揮官の座る席の背後にねっとりと回り込み、彼の両肩にふんわりと手が置かれた。妖しい笑みを浮かべているが指揮官からは死角となり、彼女のその表情は窺えない。
「……今夜は、貴方を帰さないわ」
そう彼の耳元でそっと囁き、指揮官の首にそっと両腕を回して抱擁する。
「……!」
はっとする指揮官であったが、もう遅かった。
「そんな顔したってダーメ♡ 日付が変わるまで、私と一緒よ♡」
指揮官に極刑が下された。直後、FALが指揮官に覆い被さって小さく息を乱しながら、下腹部をねっとりと擦り付ける。
FALの熱の帯びた潤んだ瞳が近づいてきたと思ったら、唇に柔らかく湿っぽい感触――
戦術人形が指揮官と二人っきり、何も起きない筈がなく……
行為中も指揮官の端末が何度か震え、通知を持ち主へと訴えるも、煩わしく思ったFALが端末くんの電源を落とした。
以降、指揮官の端末くんは沈黙……うんともすんとも言わなくなってしまったのだった。
日付が変わればすぐに解放……とまではいかず、思いの外FALがベッタリで、指揮官は中々解放されるには至らなかった。
結局ところ、彼が帰って来られたのは昼頃だ。今日が休日で本当によかった。
FALに限った話では全くないが、改めて認識したことがある。
溜まった戦術人形は、すごい(小並)
指揮官はやっとこさ自室に帰還。腰を掛けて一服でもしようとしたが、彼は自室の異変に気付く。
何やら微かに変な声が聞こえるのだ。そしてその声はクローゼットに近づけば近付く程よく聞こえてくる。
指揮官はドアの取っ手を握り、音を立てずにゆっくりとドアをスライドさせる。
そこにいたのは――
指揮官の上着を羽織って一人遊びに耽るMDRの姿だった。
彼女が元々着ていた衣服は無惨にもクローゼット部屋の隅に乱雑に脱ぎ捨てられている。
MDRは指揮官を探し求めていたが結局見つけられなかったので、代替策として指揮官のお洋服で遊ぶ(意味深)ことに決めたらしい。そういや上着は自室に置きっぱなしだったことを思い出した。
静かな部屋に際立って聞こえるMDRの甘い声。秘部に指を這わす際に頻りに聞こえてくる色っぽい水音。クローゼット部屋の雰囲気がピンクに染まっていた。
裸で指揮官の上着を羽織るMDRは、深呼吸を繰り返して上着に残った匂いを堪能しつつ、何度も指揮官を呼びながら秘部に挿入した指を出し入れし、嬌声をあげている。
思いの外指の動きが激しくて驚いたのは内緒。自分の私物がオカズに使われているのはなんとも複雑な気分だった。
この光景を見た指揮官は神妙な面持ちで踵を返し、何も見ていないと自身に言い聞かせ、気分を変えるべく射撃訓練場へと向かった。
人間、時に切り替えの早さも大切なのだ。 きっと。
射撃場に訪れた指揮官は何気なく、幼少期に作った秘密基地の思い出感覚で訓練場の射撃スコアを確認する。
スコアトップは……依然変わりなく、覚えのある登録名が首位に君臨し続けるままにある。
――まぁ、気を取り直して射撃訓練で気持ちを切り替えよう。
◆
◆
◆
一旦射撃を終え、休憩している指揮官の元にMDRから一通のメッセージが届く。そのメッセージには写真ファイルの添付を示す表示もそこにあった。
文は全く綴られておらず、ハートの絵文字が一つだけ。
恐る恐る添付された写真ファイルを開く……。
そこにはメス顔で指揮官の下着にしゃぶりつくMDRの姿が映し出されていた。
MDRも、スゴかった(小並)
「『私MDRさん。今指揮官のお部屋にいるの……♡』 ……送信っ♪ えへへ♡」
MDRは今日も元気に、指揮官へとメッセージを送る。
「じゃーん。にゃんこVectorですよ指揮官」ニャリン
「まさか、お前がそんな格好を……」
「私にだって……色々あるんですよ?」
「……凄いな。本物のそれみたく、尻尾まで稼動するとはまた手の込んだ……」
「あ、引っ張っちゃダmぁあぁあああっ♥」
「!?」
ぐぷぷ…… ぬぽっぬぽっ♡
「~~~~ッ♥♥♥」ビクンビクン
(えぇ……) つ尻尾アナルビーズ