カリーナ「(面白そうだからって理由で仕入れたけど、今思えばなんだか騙された気分…… うーん……)」
カリーナ「(……丁度そこで指揮官さまの後ろをこっそりついて歩くネイトさんで試しちゃえ)」
カチッ
ネイト≪指揮官指揮官指揮官指揮官指揮官指揮官指揮官指揮(ブツッ
※電源off
カリーナ「」
ネイトには気を付けよう!
「……あんたが指揮官?」
M870が品定めも兼ねた刺すような眼差しを指揮官へ向ける。
「ぷぷ……いつもそんな
――と、張りつめた空気が一変し、途端に砕けた雰囲気に。
「客人の前ではどうも緊張しがちでな」
「ふ~ん。まっ、あたしを前にすれば当然のことよね~」フフン
M870は気を良くした様子。ここで場を同じくして話を聞いていたAA-12が、彼女の指揮官に対するあまりの言い様に苛立ちを覚え始め、やがて腰の後ろに回して隠していた手で握り拳を作りだした。
爪が手のひらに食い込んで出血しようが知ったこっちゃあない。彼へのぞんざいな物言いが……どうにも許せない。
「……どうも、AA-12、よろしく」
だが心中穏やかでない筈のAA-12は右手を差し伸べ、友好的意識の表れである握手をM870に求めた。
流石に顔合わせの場の雰囲気を乱すことは避けるべく、フレンドリーに徹する様だ。
(握手しろ握手しろ握手しろ ――その手潰してやる)
そんなことはなかった。
「ぷぷ、やぁねぇ。あんたのその不健康そうな目つきと色白さが不気味~」ケラケラ
「…………」
嘲笑うだけでM870は握手に応じなかった。AA-12の思惑は成功せず、M870にとっては幸運であった。
そんなこんなで。
「しょうがねぇなあ……(悟空) まぁあたしの力を貸してあげないこともないわよ」
「でも大丈夫~?あんた仕事できるぅ~?」ヘラヘラ
「是非とも力添えを願いたい、どうかな」
「っはあぁ~みっともないねぇ~。あたしでさえかわいそうに思えてきたよ。これは炭酸水の一本はいただかないと~」
「そうか、なら準備が要るな」
「なあんだ、堅物のクソ真面目そうな面構えにしてる割には中々話が分かる指揮官じゃない~」
「(こいつ黙って聞いていれば……)」ギリギリ
さっきからこんな調子のM870相手でも指揮官は平然と話を進める。AA-12の機嫌は悪くなる一方であり、なんなら歯軋りだってしている。
そんなAA-12の心中を察したのか、指揮官がフォローのつもりでポンポンと頭を撫でてくれた。
(ありがと指揮官。結婚する? いや、結婚しよ?)
「ぷぷ……、もしかしてあんた、指揮官とデキちゃったりしてる訳~?」
「……!」
AA-12に対する指揮官の
そして覚醒するAA-12。
「上司と部下の関k「そうだよ。私と指揮官はそういう仲なの」 ……!?」
AA-12の思わぬ返答に、指揮官は驚愕と困惑の心境が入り混じった絶妙な表情を浮かべ、彼女の方へ物言いたげな視線を向けた。それに気づいたAA-12は人差し指をぴんと立てて口の前に置き、ニッコリと首を傾げる。
「っっ……ぷっはは!やっぱりねぇ~流石はあたし、色恋沙汰も分かっちゃったかぁ~」
M870が額に手を当て、してやったりな表情を浮かべつつ天を仰いだ。
再度指揮官がAA-12に目をやる。そこには頬を紅に染めてニヤリとするAA-12の姿があった。
なんだこれはたまげたなぁ……
M870がやってきたのは今朝のことで、事前通達も何も無く、急遽このグリフィンへの配属が決定した。
風の噂だと、彼女を管理していた前任者が我らが指揮官に泣きつき、ほぼほぼ左遷の様な形でやってきたらしい。あの調子だ、勤務態度云々でいざこざがあったのだろうと想像に難くない。
折角指揮官と二人っきりで会話に花咲かせていたのに、この女に邪魔さr……話の内容を塗りつぶされてしまった。
自己紹介時にあの女に嫌味ったらしく、何か一言添えようかとも思っていたけど、指揮官の目もあるし……結局止めた。
でも実際、止めておいて正解だったかもしれない。
指揮官に叱られるのだけは絶対に……絶対に嫌だ。
――でも、溜飲の下らない自分がいる。
ごめん指揮官、ここまでイライラしたの久々、かも。
指揮官に施設内の簡単な案内人を頼まれたけど……さっきからこの女は歩調を合わせずしっかりとついても来ない。
……どうする、この女をちょっと、いびってしまおうか?
AA-12の内に沸々と黒い感情が育っていく。
M870を適当に案内する中、
「おぉー、見ない顔だね。ここに新しく配属されたのかな、仲良くしようぜ?」
曲がり角からぬっとAEK-999が現れ、そう言った。
「あ、そうそう。ちょいとこの新入りを借りるよ~」
と、AEK-999が間に割って入ってM870の肩を乱雑に組んだ。借りるって言ったってどこへ連れて行くつもりなのか……
「あ、おい!私は指揮官に頼まれて……」
「ごめんごめん、すぐ返すからさ~」
そう言ってAA-12の方に振り返りもせず、AEK-999は空いた片手をひらひらさせて二人ともどこかへ行ってしまったのだった。
ぽつんと取り残されたAA-12は、さてどうしたものかと壁に寄りかかって大きく溜息をついた。
一方二人組。
「ちょっと~、あんたの目は節穴ぁ?」
ぶすーっと文句を垂れるM870。
「案内してくれるのかと思ったのに行き止まりじゃないのココ」
無言のAEK-999。
「黙ってないで、何とか言ったらどう……」
直後――
胸ぐらを掴まれて壁に押し付けられ、首筋に円筒状で硬く冷たいものが首筋に押し当てられる感触。
「えっ」
フレンドリーに肩を組んできたAEK-999が、どうして
M870はこの状況が理解できなかった。
「えっ えっ ちょっ やめ」
「――で、ここに何しに来たんだ?」
初めに出会った時と全く同じ雰囲気と口調で、AEK-999がM870に問う。近い顔はにこやかなままだ。
「え」
死への底知れぬ恐怖から頭が真っ白になり、言葉に詰まるM870。
そのまま黙っていると首に押し当てられる冷たい感触が更に強まり、AEK-999の顔から一切の笑顔が消えた。
「っひ……」
揺らめく視界。
別に首を絞められている訳でも何でもないのに、気道がきゅうっと絞られた様な錯覚に陥る。身体は強張って背筋も凍り、首に押し当てられた冷たいものがより恐怖をもたらす。
「何しに来たんだ?」
AEK-999は同じ問いを出す。さっきと違って能面みたいな表情だが、口調だけは先程と同じく静かで優しく柔らかく、そして酷く不気味だった。
彼女の手元を見れば、
徐々に、
徐々に、
引き金の引きしろが絞られている。
――死ぬ。
「っあ゛ぁああああぁああああああああああああっ」
「っお?」ヒョイ
M870はありったけの力を振り絞ってAEK-999を押し退け、元来た道を金切り声をあげつつ走って引き返した。
「……あららー、こりゃあ脅かし過ぎたなぁ…… 失敗、失敗」
M870の姿が見えなくなってから、AEK-999はそう呟いた。
つい先程まで彼女の首筋に押し付けていた拳銃のマガジンを抜いてスライドを何度も引き、薬室内を弾を取り除いたのち、目視で薬室内を再確認。
そしてAEK-999の手のひらに何かがポトリと落ちてきた。
それは、複雑怪奇な仕掛けでカラフルな花束と紙吹雪がワッと飛び出す遊戯弾。
――ではなくどう見ても実弾。
「…………本当に、失敗」
その弾を指で弄びつつ、AEK-999は一人再び呟いた。
To be continued...?
「っふふ…… ああ、イイなあ」ぎゅー
「一段と酔っているなM16……全く、どうした」
「指揮官はイイ眼をしているなあ」ペタ
(目? そういや前にも似た話を……)
「イイ眼だ……本当に……」ポー
「はいはい、水飲んでソファーで寝ていろ。掛け物も俺の上着で我慢して貰うぞ」パサ
「私の、指揮官だ…… くっふふ……」クンカクンカ
(全く、訳の分からんことを……)(執務再開