-Vector-
指揮官を密室に連れ込んでしっぽりと行為に及び、臀部の拡張されたスロット(意味深)にお手手を突っ込まれて悦ぶ戦術人形。
お尻の気持ち良さを他の人形たちにもひっそりと布教中。
ケツでしょ。 by - Vector
戦術人形には気を付けよう!
指揮官のデスクの上には彼の端末くん。
して、休憩を取ろうとした丁度にソレは震えた。
設定したバイブレーションのパターン的に、おそらくメールの類の通知だろう。
ロック画面には通知タブが表示され、カリーナからのメッセージを知らせてくれている。
カリーナ
指揮官さま宛てに大荷物が届いていますよ!
✉picture.pct 18:04
ご丁寧に配達物の写真まで添えてメールをくれた。添付された写真を選択して開いてみると……
そこには重厚そうな見た目をした直方体の箱が映し出されている。
カリーナの言う通り、確かに大荷物だった。
――まるで棺桶の様な……
その荷物を一目見て抱いた感想がそれだった。
不安を拭い去れぬままにあるが確認の為に仕方なく、指揮官は荷物の止置き場に訪れることとなった。
差出人が不明であること以外はただの大きな荷物。
しかしそれだけでも充分に不審に思え、どうにも胸騒ぎがする。組織ぐるみ類の荷物ならば事前に報告があるのだが、現状それも無い。
だが身内贔屓抜きに、施設の安全性は高く、そしてそれは厳格な規定と水準、それらを順守しようとする努力によって実現なされている。
ゆえに、あらゆるブラックな荷物は過程で捕捉され、淘汰されて危険にさらされることは無い。
その考えに基づけば、荷物が本当に危険なものであるのならばこの場に存在しない。
して、この荷物がこの場に存在している以上、過程をクリアしている訳であり、この荷物は安全なものであるとの判断が下されていることにもなる。
……ならば、何も問題は無い筈なのでは?
一応は信じてみることにし、自室に荷物を搬入して貰うことにしたのだった。
◆
(こうして改めて見ると……大層な荷物だな)
側面についた複数のロック機構を外しつつ、指揮官は改めて思った。しかし未だ期待より不安の気持ちのが大きいものの、一応は中身を知らなければならない気がした。
贈り物は確かに嬉しいが、正直なところお返しが難儀なのだ。おまけに送り主は不明ときた。
ガコガコとロックを外し、重厚そうに見えて案外軽く、それでいて丈夫な荷物の蓋を持ち上げ、脇へ置く。
すると箱の中身が瞑っていた目を開き――
「ああ、指揮官……」
“彼女”はふんわりと笑みを浮かべ、ゆっくりと上体を起こす。
「また、お会いできましたね……」
「!!?」
なんと、荷物の中身はエージェントだった。
エージェントは瞳を爛々と輝かせながら、指揮官との再会を喜んでいる。
(どうして彼女が荷物の中に……)
指揮官は困惑した。
……無理もない。こんなところから出てくることなど誰が想像しようか。
「貴方のお顔をもっとよく見せて……」
エージェントの滑々とした手が指揮官の頬に添えられ、壊れ物を扱うかの様な手つきで撫でていく。
「ああ、素敵…… 写真なんかよりもずっと、ずっと……」
指揮官の知る彼女らしからぬ緩んだ笑みを浮かべ、ねっとりと距離を詰めてくる。
かねてより指揮官が抱いていた彼女のイメージが音を立てて崩れていき、今目の前にいる彼女は前に会った時とまるで別人に思えた。
「……場を空けて大丈夫なのか?」
「ええ。あの子達も、よくやってくれていますからね」
「……それより」ススス
「?」
「ようやく二人きりになれましたね…… この時をどれだけ待ち望んだか」
「そ、そうであったか」
「……貴方は私を堅い女とお思いかもしれませんが」
「私にも、募る気持ちがあるのですよ……?」
すると、エージェントが指を絡めて手を握ってきた。
「!」
「以前に、私が査察に為にグリフィンへ訪れた時の事を覚えておいでですか?」
「勿論。あの時の貴女は――」
「今更“貴女”、なんて呼び方は寂しいですわ指揮官……」
「あ、ああ…… エージェント」
「ふふっ……ええ。話を戻しましょう――」
こうして一グリフィンの指揮官と鉄血工造における高位権限者とのイチャイチャ思い出話を交えた会話が続いたのだった。
曰く、エージェントの中で鉄血工造の職場環境……並びに雰囲気を良くしたいという思いがあったのだと。それをなんとか実現しようと模索するべく、彼女はグリフィンへと訪れた。
そこでは職員も戦術人形も、素朴だが乾いた温かみが確かに在り、それだけでなく、鉄血には無いものが多く感じられたのだ。
隣の芝生が青く見えたのかは定かではないが、
鉄血がより良くなる為にはグリフィンが必要なのだ――、と。
その後、エージェントは三日程グリフィンに滞在し鉄血工造へ戻ることに。
気遣いも要らず、彼女は自分の足で鉄血へ帰るのだという。
エージェントは去り際、独りグリフィンの方へと向き直り――
『……嘘を吐いてごめんなさい、指揮官』
『鉄血がより良くなる為――、なんて、本当は大嘘』
『そんなものは格好だけの、建前に過ぎない真っ赤な嘘なのです』
『本当は、貴方にまた会いたかった。肌と肌が重なるような触れ合いがしたかった。その思い一心だったのです』
『“ここ”に居続けたら、鉄血に帰りたくなくなってしまう』
『鉄血を大義名分に掲げた……そんな悪い女なのです』
斯くしてエージェントはグリフィンを去り、元いた鉄血へと戻った。
彼女が訪れて以降ギクシャクとし、なにやら様子がおかしかったアーキテクトやアルケミストはほっと胸を撫で下ろしたのだった。
安寧の日々が始まったのである。
「…………」ソワソワ キョロキョロ
(あれは…… エージェント!?)
「♡」ニコォ
後日、二日と経たずに再びエージェントが指揮官の元へ遊びにきた。