(あ"~……開発のアイデアが行き詰るぅ……)
(なーにがコストパフォーマンスよ……全く面倒臭い……動きゃいいのよ動けば……)(爆弾発言)
「はああぁああ……」ベチャア
「…………………………指揮官襲お❤」ヌウ
ペルシカには気を付けよう!
「指揮官、先のブリーフィングでどうして部隊の投下既定座標を――」
「ん。ああ、その位置はな――」
「なるほど……」(感銘)
「あ。指揮官様、お茶を淹れてきました~」
「わざわざすまないな。頼んでもいないのに」
「いえいえ~」
作戦司令室にて指揮官と話をするある戦術人形、彼の為に茶を淹れて持ってきたもう一人のある戦術人形。
「「…………」」
――に、ばったり出くわしてしまったAK-12とAN-94の二人。
指揮官に呼び出されてウッキウキでやってきた二人組。指揮官の顔を見て表情を綻ばせていたのも束の間、彼の傍にいた者の顔ぶれを見たその瞬間、二人組の表情が瞬時に固まる。
「……………………いつ来たの?」
「お互い一昨日にはもう着いていたよ」
「あら~お久しぶりですね~。お二人ともお元気でした?」
「……………………そう」
AK-15。
RPK-16。
馴染みある面子の顔ぶれ。
しかし不思議と全く感動はなく、『うわ……』と思わず声に出してしまいそうな具合だった。
面倒なのがきた……と。
(…………ねぇ、アンジェから何か聞かされてない?)
(いえ、私の所には何も……)
耳打ちするも、勿論アンジェリアが二人に告げる筈もない。
……実の所、思うような成果を上げられずに痺れを切らしたアンジェリアがヤケを起こし、結局送り込んできたのがこのAK-15とRPK-16の二人なのだ。
しかも転属理由の真意は今回も(主に自身の威厳を保つ為に)ちゃんと話していない徹底ぶりだ。
AK-12とAN-94をグリフィンに転属させて以降、アンジェリアによる保安局における重要戦力の私的運用のガバガバっぷりに拍車がかかっており、つまりは前回使った全く同じ手をAK-15とRPK-16にも使ったのだ。
アンジェリアさん?
「先にグリフィンへ発たれたお二人をずっと羨ましく思っていたんですよ~。素敵な指揮官も居て環境もいいですし」
「またいつの日か、指揮官と共に仕事をしたいと思っていたところさ」
「ええ。願いが叶いました」
「いい所だ。本当に」
(ゲェッ!しかも二人とも指揮官に好意的……)
二人のそれは指揮官の手腕の評価と称賛であり、彼の健全な仕事ぶりを証明するものでもあった。
指揮官を上手いこと利用しようと企んで近づいた当初の自分たち(※過去話参照推奨)と違い、彼への真っ直ぐな好意を感じた二人に、AK-12とAN-94の両者はなんとも言えぬ自己嫌悪を抱きつつ……
しかも会って間も少なく、真面目な仕事の話を個人的に質問しに来るわ、彼の為に言われずとも茶を淹れて持っていく気配りが出来てるわでポイント高い。二人に脅威も抱くのであった。
それに比べ、出会って間もない彼と粘膜接触を求めて下半身の欲求の赴くままに暴走していた当初の自分たち……と思ったが、今も結局やろうとしていることは指揮官と繋がろうとしていることであるのは内緒。
……以前変わりなく。
指揮官がこの場にAK-12とAN-94の両者を呼び出したのは、同じ小隊繋がりの者であるAK-15とRPK-16がグリフィンにやって来た報せを二人にする為で、やり取りの中で指揮官に悪意が無いことは二人にはすぐに解った。この二人は独りでに来たのだ。
(……ちっとも想像の半中に無かった……)
(……この二人が……)
(グリフィンに……転属、だって……?)
思わず意識がぐにゃりと歪む感覚に陥いる……
しかしAK-12やAN-94の見立てには正しいものがある。
普通に考えたら、どこの世界に"他の機関"に所属する人間に"個人的に近づきたい"が為だけに、自身が所属する保安局の重要戦力の極々私的投入を図る保安局の人間がいるのかという話で、延いては国家安全にも関わることだ。立場を鑑みても酷くプロ意識に欠けている。
そんな事情が事情がゆえ、アンジェリアがAK-15とRPK-16に真意を打ち明けないのは当然のことだ。
AK-12やAN-94の転属が決まった時もそうだが、これに関して指揮官も重ね重ね疑問を抱いており、グリフィンにおける戦力増強には確かになるものの、しかし保安局における戦力でもある小隊の面々をグリフィンに集約させるのはバランスが悪く不自然。勿論質問は交わしたものの、未だアンジェリアの真意が掴めぬままにある。
((アンジェは一体……何を考えて……?))
それもその筈、グリフィンに気に入った人間がいて近づきたいが為に職権乱用。部下を彼の元に送り込んで触手を伸ばしているだけのしょうもない理由とは誰が予想するだろうか。
真の目的は指揮官とのオフパコとしょうもなさ過ぎて逆に誰にも悟られないのである。
((……いや、今はアンジェの考えることなんか関係ない……))
二人にとって気が気でなく、もっと本質的な脅威と要因(?)が今まさに生まれた。
((……AK-15とRPK-16の二人がグリフィンにやってきた、即ち……))
((……指揮官に近づく女が増えた!!!))
えぇ……(困惑)
グリフィンに転属してきたイコール指揮官に近づきに来た!というクッソ歪な思考回路に陥っている謎な二人組であった。
(なんて面倒な…… たただでさえ――)
(全く、こんなことが…… ただでさえ――)
ちらりと一瞬だけ互いを見るAK-12とAN-94。
(ただでさえAN-94が邪魔だというのに……)
(ただでさえAK-12が邪魔だというのに……)
考えることは同じだった。
(どうしましょう……)
(ヤバいわね……まずは様子見、か……)
AK-15とRPK-16がグリフィンにやってくるなんて露ほども考えていなかった二人は、互いの足を全力で引っ張り合うことで指揮官への抜け駆けを許さぬよう牽制をし合っていた。
その水面下の泥沼の抗争が功を成していたのか定かではないが、事実、互いに自身が知る範囲で、指揮官に直接的行為(意味深)を行った事実は未だ確認出来ていない。
簡単な話、私が先にスタートダッシュを指揮官に決めるんだ!という競争意識と、アイツよりも先に指揮官とイチャイチャするんだ!と独占欲があった為だ。
元々グリフィン所属勤務の戦術人形、彼女らが先に指揮官に手を出していたとしても、過ごす場所と時間ゆえに彼女らには幾らかアドバンテージがありまして……
元居る者たちとは競ったところで、公平な競争とは言い難いし……まぁ、しょうがないものがあるんじゃない? ……ということで、競合からグリフィン勤務の戦術人形たちは除外されているらしい。
しかし、競合相手をスケールダウンすると、転属のタイミングが全く同じ、並びに同じ小隊所属で同期であるAK-12とAN-94の間柄に限っては平等で恰好の競争相手と化した。
結果、私が先に指揮官に手を出し、先行く関係になるのだ!……と具合に謎の競争意識が生まれ、争いの火蓋が切られたのだった。
そして指揮官を巡って泥沼の牽制が互いに生じることなり……(負の歴史)
……だが今回AK-15とRPK-16の登場で(単純計算だが)その競争における労力が3倍以上に膨れ上がる可能性があるということだ。これまでは邪魔が少なく、簡単に実行に移せたのである。
「まぁ何がともあれ、二人とも元気そうだな」
「ですねぇ。また会えて嬉しいです」
「「…………」」
「先ほどから口数が少ないようだが」
「きっと久しぶりで照れてるんですよ~」
二人の心中は穏やかではなかった!
「指揮官、これからよろしくお願いします」
「重ねて、よろしくお願いしますね指揮官様~」
((指揮官を守らなきゃ……マモラナキャ……))
そんなこんなで、AK-15とRPK-16がやってきた。
(なんだか悪寒が……)
指揮官さま強く生きて。
指揮官「せめてゴムさせて」
ペルシカ「嫌です」
飢えたペルシカに襲われる指揮官の図