これは三話連続投稿の中編です。
もしも前編を読んでいないまま間違えてここに飛んできた方は前編への移動をよろしくお願いいたします。
「ところで、一つよろしいでしょうか?」
IS学園の食堂。ある休日、健康的に日焼けしたような褐色の肌に映える濃い緑色の髪をショートカットにした少女──ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシーが唐突に問いかける。
「どうしたんだ、ヴィシュヌ?」
「須藤成志、でしたか? 世界で唯一の男性IS操縦者。彼はどこにいるのでしょう?」
箒が聞き返すが、ヴィシュヌの言葉を聞くと彼女を始め、セシリア達の表情がこわばった。
「あ、そういやそうね。そいつもIS学園に入学したんでしょ? どうし──」
「忘れろ」
「──は?」
続けて聞くのは鈴と似た雰囲気を見せる(だが一部分だけ違う)少女、鈴の従姉妹である凰乱音。だが彼女の言葉を食い気味で鈴が遮る。その表情は思い出したくもないものを思い出してしまったというように歪んでいた。
「忘れろって言ってんのよ。須藤成志? 誰よそれ、IS学園に男性IS操縦者なんて入学しなかったわ」
鈴の吐き捨てるような言葉に、今度は水色の髪を長く伸ばしたこちらもまた健康的に日焼けした様子の少女──グリフィン・レッドラムが苦笑いを漏らした。
「え、いやいやいや。そんな無茶苦茶な、世界中で大ニュースになったでしょ? お姉ちゃん、会うの楽しみにしてたんだけどな~」
「それは幸運な事ですわ。夢だと思ってお忘れくださいな」
グリフィンの言葉をセシリアがきっぱりと切り捨て、紅茶を口につけてこれ以上は話したくもないと会話を打ち切る。
「な、なんだかただ事ではない様子だけど……どういうことなんだい、箒?」
「私に聞かないでくれ……虫唾が走って、それを思い出させたお前を斬る衝動が抑えられなくなりそうだ」
銀髪ショートのどこかボーイッシュな雰囲気を見せる少女──ロランツィーネ・ローランディフィルネイが己の恋人である箒に尋ねるが、その箒さえもまるで触れるもの全てを斬り裂かんばかりの鋭利な威圧を見せ、挙句の果てに腰に挿した刀に手をやっている始末。
これ以上聞いたら自分の命が危ないと直感的に把握した彼女も無言でこくこくこくと頷いて口を閉ざす。その顔に冷や汗が流れている辺り相当である。
そんな険悪な雰囲気を見た、赤髪ロングに眼鏡の少女──ベルベット・ヘルが、隣に座る金髪ロングにまるでお人形のような繊細な可愛らしさを持つ少女──クーリェ・ルククシェフカの目を、見ちゃいけませんというように優しく遮りながらシャルロットを見た。
「相当嫌われてるみたいだけど……本当に何があったのよ?」
「あ、あはは……私からはノーコメント……あ、
ベルベットの言葉にシャルロットは苦笑しながらノーコメントをコメントし、巻き込まれたくないのか取ってつけたような理由で席を離れる。シャルロットの隣に座っていたラウラがハァとため息を漏らして頬杖をついた。
「私も詳しくは知らんが、というより聞きたくもなかったのだが。一応同じクラスだったからな……いつだったか忘れたが、日本国家直属のあるIS研究機関に特別協力研究員として招集された。私が知っているのはそれだけだ」
これ以上そいつについて記憶するなど脳細胞の無駄遣い以外の何物でもない。と締めるラウラに箒、セシリア、鈴、そして戻って来たシャルロットがうんうんと頷いて同意。そこまで言わせる須藤成志にヴィシュヌ達の頬が引きつった。
その時、突如学園内に
「皆!
「お姉様と簪先輩が既に出撃してるわ! 皆も急いで! 私達も急ぐわよオニール、
「うん、ファニール。お姉ちゃんを助けないと!」
楯無の指示に続いてオレンジ色の髪を逆サイドのサイドテールにした小柄な愛らしい少女──ファニール・コメットと、青色の髪を彼女とはサイドテールにしたファニールそっくりな小柄な愛らしい少女──ファニールの妹であるオニール・コメットが報告すると、箒達は弾かれたように立ち上がる。
そして全員に伝えた瞬間踵を返して走り出した三人を追うように、さっきまでのどうでもいい話は頭から追い出して出撃準備のため走り出した。