※この作品はR-18です。

ラナー調教   作:黒糖バス

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3.4話続く予定。


ラナー調教

 クライムは最愛の主人であるラナー王女と共に宮廷の廊下を歩いていた。

 騎士である彼は主人の数歩後ろを歩いている為、ラナーの顔を伺う事は出来なかったが、きっと不安気にしているだろうと心配に思った。

 しかし未熟な自分では彼女のその不安を取り払う事は出来ない。

 

「ねぇ、クライム。お姉様の用事って何かしら」

 

 クライムの方を振り返る事なくラナーが訊ねる。

 それに対する答えをクライムは口にする事は出来なかった。

 あの性悪王女の用件など碌でもない物に決まっている、と無意識に顔を歪める。

 

 殆どの王族に対して一定の敬意を持っているクライムが、唯一嫌悪する人物がいた。

 

 

 

 ────リ・エスティーゼ王国第二王女ミレーヌである。

 

 

 

 ラナーを化け物呼ばわりするザナック王子や、常にクライムを見下した様な態度をとるバルブロ王子ではなく、だ。

 

 それは別にクライムに限った話ではない。

 賢く、優しく、美しいラナーは"黄金の姫"と呼ばれ、民から絶大な人気を誇っている。

 そのラナーとは反対に民から最も嫌われているのがそのミレーヌ王女であった。

 

 美貌という点ではラナーと双璧を成す王国の美姫であり、同時に王女でありながら宰相という地位を与えられ、王国の運営に携わるほどの才女。

 しかし、そんな彼女の最大の欠点がその残虐性である。

 

 美しい女性をいたぶる事を好む彼女は、その権力を使って目に付いた女性を好き勝手に扱っている。

 宮廷のメイド達は気まぐれに呼び止められ、暴力を受けているし、市井に降りれば妙齢の女性から小さな子供まで手当たり次第に弄んでいると言う。

 

 ──馬車に連れ込まれ、 往来の真ん中で王女の騎士達に犯された宿屋の少女。

 ──半日もの間王女の鞭打ちを受けて消えない傷跡を刻まれたメイド。

 

 他にも数え切れないほど多くの被害者達がいる。

 

 しかし、優秀であり絶大な権力を持っている為に誰も糾弾出来ないのだ。

 

 そして、そんなミレーヌ王女のターゲットは妹であるラナーも含まれていた。

 クライムがまだラナーの騎士になる以前、幼いラナーは度々ミレーヌ王女の部屋に連れ込まれていたという。

 中で何が行われていたのか知る者はいなかったが、ラナーの悲鳴や鳴き声を聞いた人が何人もいる。

 その話を初めて聞いた時、あってはならない事だがクライムは王族であるミレーヌに殺意を抱いてしまった。

 

 しかし、クライムが騎士になってからはラナーが部屋に呼ばれる事はなくなり、偶に廊下ですれ違っても挨拶以上の接触はなかった。

 それが、ここに来ておよそ10年ぶりの呼び出しである。

 

 クライムが不安に思うのも当然だった。

 

 

 

 

 

 

「お姉様。ラナーです。お呼びでしょうか」

「入りなさい」

「はい。失礼します」

 

 ミレーヌの部屋に入ると4人の男性と1人の女性がクライム達を迎えた。

 男性達はクライムの様に全身に鎧を身に付けている。間違いなく王女の騎士だろう。

 唯一の女性が笑顔でラナーを手招きする。

 

 銀色の髪にティアラをのせた美女こそ、この部屋の主ミレーヌ王女である。

 ラナーより10歳年上の彼女は妹のラナーにはない色気を放っていた。

 王女と言うより女王様と呼んだ方が似合いそうな女性だ。

 

「よく来たわね、ラナー。こうして私の部屋に呼んだのは何年ぶりかしら。さあ、どうぞ座りなさい」

 

 ラナーに自分の対面の椅子を勧めたミレーヌは、その背後に立つクライムに視線を向けた。

 

「貴方はラナーの騎士だったわね。貴方は廊下に出ていなさい。姉妹で話したいの」

「しかし私はラナー様の護衛で…」

「ここには私と私の騎士しかいないわ。大丈夫よ。────それとも私がラナーに何かすると疑っているのかしら?」

「い、いえっ、そう言うわけではっ…!」

 

 正直に言えばその通りであったが、仮にも相手は王族である。

 クライムは慌てて否定の言葉を口にする。

 と、そこに彼の主から声がかけられた。

 

「クライム。お姉様の言う通りよ。廊下に……いえ、しばらく時間を潰して来なさい。これは命令よ」

「ラナー様……。わかりました。半刻程してからまた来ます」

 

 主人から言われては従う他ない。

 クライムは部屋を出ると、そのまま離宮を離れた。

 

 

 

 

 

 

 クライムがいなくなった部屋の中ではミレーヌとラナーが笑顔で微笑みあっていた。

 

「それでお姉様。どういった用事でしょうか」

 

「その前にラナー。私の部屋ではその気持ち悪い作り笑いはしないでって昔言ったわよね。頭脳が唯一の取り柄なのに、たかが10年前の命令も忘れてしまったのかしら」

 

「……申し訳ありません。少しだけ待ってください」

 

 ミレーヌの冷たい声での指摘を受けラナーはゆっくりと目を閉じた。

 そして次に開いた時、その表情は激変していた。

 顔から笑みは消え失せ、瞳から光は無くなる。

 

 見ていた騎士達は、優しげなお姫様が一瞬にして人の形をした化け物になったかの様な錯覚を覚えた。

 ミレーヌはそれに満足したのか嬉しそうに眺める。

 

「ふふ。相変わらず生意気そうな顔ね。全てを見下した様なその目────イジメ甲斐がありそうだわ」

 

 

 

 ドンっ。

 

 

 突然ラナーの身体に衝撃が襲った。

 勢いよく前方に押し飛ばされた彼女は、ミレーヌの足元に膝をつく形になる。

 背中の痛みに顔を歪めながら、チラリと背後を確認する。

 

 そこには足を出した格好の騎士の姿があった。

 ラナーは自分が彼によって背中を蹴られたのだと瞬時に理解した。

 か弱い王女に暴力を振るう事を微塵も躊躇しない。

 それが悪名高いミレーヌの騎士である。

 

「さて。何から話そうかしら。──ああ、そう言えば貴女は私程ではないけれどそこそこ頭が回ったわね。なら当ててみなさい。どうして私が10年間貴女を放置していたのかを」

 

「…………」

 

 突然の騎士の行動に驚いているラナーに、ミレーヌが話しかける。

 その顔には黒い笑みが張り付いており、無言の威圧感がその場を支配していた。

 無視する訳にもいかず、ラナーは瞬時に思い浮かんだ自分の予想を口にする。

 

「──10年前の私はお姉様から受ける暴力に疲れて死のうとしていました。……だから時間を与えたのではありませんか? お姉様にとって私は玩具なのでしょう。別に憎い訳ではないし、死なれてはつまらない。だから私が回復するまで待っていた。違いますか?」

 

 かつて、目の前の女性から受けた虐待の数々を思い出しながらラナーは答える。

 自分が"苦痛"と"恐怖"と言う感情を植え付けられたあの日々を。

 

「ふーん。成る程ね」

 

 

 

 

 

 

「5点ね」

 

 

 

 

 ドゴッ! 

 ラナーの顔をミレーヌが蹴飛ばした。

 脳が揺れたせいで一瞬目を回し、倒れ込む。

 

 そんな彼女の頭を踏み付けながらミレーヌは口を開いた。

 

「はぁ…。人の心を理解出来ない貴女じゃこの程度ね。10年前の貴女ってつまらなかったのよ。生に未練はない。周りからは変な子供として見られている。身体はガリガリで浮浪児の様。そんな貴女をいじめてもなーんにも楽しくなかったわ。不幸なクソガキに何したってダメね。不幸に慣れきってて大した反応してくれないし。色々とやって、漸く泣き叫けんだと思ったのに全然興奮出来ないの。アレならその辺の虫けらでも踏み潰してた方がマシね」

 

 ミレーヌの脚が、起き上がれないラナーの頭をグリグリと踏み潰す。

 

「だからね、貴女を痛めつける前に幸せにしてみることにしたのよ。豚を食べる前に肥え太らせる様に。だってその方がいざどん底に突き落とした時、より楽しめると思ったから。その成果が今の貴女よ。クライム君という大切な存在が出来て、他国まで知られるほどの美貌を手にし、民から親しみを持たれている。それに性格も良い感じね。長いこと情報を使って色々な人を操って来たんでしょ? 他人を見下した良い顔をする様になったものね。そんな貴女を玩具として弄ぶの。最高だわ! 10年待った甲斐があったわね」

 

 狂った様な笑みで自らを見下ろすミレーヌを、ラナーは冷めた目で見つめ返す。

 

「ふふ。さあ、ラナー。貴女はこれから私に昔の様な事をされるのだけど、どんな対策をしていたの? 聞かせて。こんな日が来るってわかってた筈よ。何にもしてないなんてことはないわよね」

 

 確信を持って聞いて来るミレーヌ。

 そしてそれは正しい。

 姉が、美しく成長した自分をいつかまた標的にするとラナーは予想していた。

 だから対策を講じていた。

 

 ラナーはチラリのミレーヌ付きの騎士の1人を見る。

 その視線に気付いたミレーヌは、微笑んだ。

 

「私の護衛騎士のカガリを裏切らせようとしたのね。ええ、把握しているわ。彼の病気の妹の治療を申し出たのでしょう? 残念。その妹ならとっくに完治済みよ。カガリは裏切らないわね」

 

 さも当然の様に告げる。

 僅かに目を見開いたラナーは、次に懐に手を入れた。

 

「ああ、転移の魔法が込められた魔道具をこっそり買っていたわね。でも残念。この部屋では使えない様にしてあるの。で、他には?」

 

 まだ取り出してもいない魔道具の効果を当てられる。

 数年前に誰にも見られる事なく手に入れ、その後一度も使用した事がないにも関わらずである。

 ここに来てラナーはミレーヌに対する評価を数段階引き上げた。

 自分に近い智謀の持ち主だと認めていたが、こちらの行動をここまで把握する情報網は異常だった。

 

「…お姉様の不正の証拠をいくつか握っています。公開されたらお姉様は宰相の立場を追われる事になるでしょう」

 

「知っているわよ。その証拠の資料は貴女の机の引き出しの中ね。二重底にして見つけにくくしているのよね。今、回収に行かせているわ」

 

 何故知られている…。

 これは最早智謀だとかそんな話ではない。

 なんらかの方法でこちらの行動を全て把握しているとしか思えなかった。

 いくら手を尽くしてもその全てを知られ、そしてそれに対処出来る力を持った相手に勝ち目はない。

 ラナーは最後の策も読まれているとほぼ確信しながら口を開く。

 

「………あるツテを使って宮廷内に私の指示で動く戦力を派遣してもらっています。今この部屋の外で待機してもらっているわ」

 

「うん知ってる。貴女が八本指と繋がってる事を。今回雇ったのはその暗殺部門の連中。合図をしたら私を殺す様に指示していたのよね。因みに八本指の議長、つまりトップは私。部屋の外には誰も待機させていないわ。で?」

 

「…………」

 

「終わりみたいね。じゃあ、大人しく負けを認めなさい」

 

 ラナーは小さく溜息を吐いた。

 

 ──完敗だ。

 

 成る程、ただ宰相という立場にしては知り過ぎていると思ったが、まさか王国を裏から支配する組織の長でもあったとは。

 ラナーは完全にミレーヌの掌の上だったのだ。

 

 八本指と繋がっている事を知られている以上、ラナーはミレーヌに逆らうことは出来ない。

 それを晒されてしまえば最悪死刑もありえる。

 

 それ以前にクライムにその事が知られたら自分は唯一の救いさえ失う事になる。

 それはミレーヌも理解しているだろう。

 だから彼女に逆らわなければその事は内緒にしてくれる筈だ。

 

 その結論に至った瞬間、ラナーは諦めてミレーヌに服従する事に決めた。

 

 もし自分が10年早く生まれていたとしてミレーヌと同様のことが出来ただろうか。

 答えは不可能。

 

 自分の思考の上を行く存在を初めて認識し、ラナーは気持ち悪さを覚えた。

 何を考えているのか全く想像出来ないのだから。

 

 

 

 

「……私はどうすれば良いのかしら」

 

 仕方なく素直に訊ねる事にする。

 

「そうねぇ。先ずは私に服従しなさい」

「脚でも舐めれば良いのでしょうか」

「それも中々良いけれど、ついでに貴女がどれだけ成長したのかも見たいわ。服を脱ぎなさい。全部ね」

「…わかりました」

 

 ラナーは頷くと直ぐにドレスを脱ぎ始める。

 部屋にはミレーヌの他に男の騎士達がいたが、気にする事なく肌を晒していく。

 桜色のドレスが床に落ち、水色の下着姿になった彼女を騎士達が好色な目つきで見つめる。

 

「胸は相変わらず貧相ね。さ、下着も除けてしまいなさい」

「……はいお姉様」

 

 ブラジャーを外し、そして最後の下着も脱ぎ捨てる。

 露わになった裸体を隠す事なくラナーはミレーヌに目を向けた。

 

「脱ぎ終わりました」

「なら、そのまま床に膝をついて頭を下げなさい。逆らってすみませんでしたってね」

「………」

 

 言われるままにミレーヌの足元に平伏する。

 ある国では裸土下座と呼ばれる格好になったラナーの姿はとても惨めなモノだった。

 

 彼女の後ろ側に立っていた騎士からは、その大切な場所が丸見えになっている。

 この国で最も美しいと称されるお姫様の不浄の穴と、そして誰にも穢された事のない女性器に視線が集まった。

 

「屈辱、という感情が貴女にあるのか知らないけれど、今の貴女はとっても惨めね」

 

「………今私が抱いているとても不快な感情を屈辱と呼ぶのでしょうね」

 

「そう。昔の貴女なら裸で平伏すくらいなんて事なかったでしょうね。良い傾向だわ。ねえ、貴女の後ろにいるサミットが貴女のお尻に夢中になっているわよ。きっと女の穴を見ているんだわ」

 

 

 煽る様に言葉を紡ぐミレーヌは、ラナーの髪を掴むと引っ張って上を向かせる。

 痛みに僅かに顔を歪めながら、ラナーは姉の顔を見上げた。

 

「躾は明日からね。毎日この時間に訪ねて来なさい。従う限り貴女の犬には内緒にしてあげるわ」

 

 それだけ言うとミレーヌはラナーを解放し、退室を許可した。

 騎士達にニヤニヤと見られながら服を再び身に付けると、ラナーは一礼だけして部屋を後にした。

 

 




暴力とかあんまり好かれないのは知ってますがこーゆーのが読みたかったので書きました。

ラナー王女の捏造設定やキャラ崩壊酷い自覚はあります。

でも原作のラナー王女はメイドがスパイだったり、ロクな護衛いないのに八本指の恨みを買って、どう対処するつもりだったんだろうかと思いまして。
八本指に手を回してたら面白いかなーっとこんな感じに。
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