やっぱり平日は更新が遅くなりますねぇ……。
とにもかくにもタイトル通りの話です。導入なのでエロなし回。
「ぜっっったい、変よ!!」
童守小学校5年3組の教室。そこで周囲の机がひっくり返るほどの勢いの大声を出したのは、世紀の美少女(自称)にして噂魔(他称)の巨乳娘、細川美樹だ。
「い、いきなりどーしたのよ美樹!?」
「どーしたもこーしたもないわよ郷子!のろちゃんよ、のろちゃん!最近変だと思わない!?」
美樹の出した大声にひっくり返ったツインテールの女の子。稲葉郷子が驚いて美樹に文句交じりに問いかければ、興奮冷めやらぬ様子で美樹は指を立てて郷子に向き合う。
「のろちゃん?別に変なところはないと思うけど?」
「いーえっ!美少女探偵美樹ちゃんの目はごまかせないわ!あの子最近妙に浮かれてる感じだし、遊びに誘っても「用事がある」ってそそくさと帰っちゃうし。きっと何かあったのよ!」
人の噂話が大好きな美樹は他人のアレコレを詮索し、見聞きしてはペラペラと話してしまう悪癖がある。
今回もその類だろうと思った郷子は白けた様子で温度差のある美樹に水を差す。
「考えすぎでしょ。それより、ほらっ!今日は私と美樹がゴミ捨て当番よ。ちゃちゃっと行っちゃいましょ!」
「げえっ!」
ゴミ箱を渡されて嫌そうな声を上げる美樹を無理やり引き連れて、郷子は校舎裏の焼却炉へ足を運ぶ。
その道中も「なんでこの私が、ゴミ捨てなんて……」とぶつぶつ文句を言ったり、「私の考えじゃ、のろちゃんは――」と根拠のない推論をスピーカーのようにひたすら喋り続ける。
郷子としては美樹の勘違いか、何かあったとしても大したことじゃないと考えているので、熱弁する美樹の話に適当に相槌をうつだけだ。
「もー、美樹。喋ってばかりいないで足を動かしてよ。遊ぶ時間なくなっちゃうじゃない」
「ひい、ひい……。そもそも私みたいなか弱い美少女にゴミ箱なんか持たせるなんて、うちの男どもときたら気が利かな、い……?」
「もう、またそれ?」と呆れた声で半ば無視するように足早に美樹の前を歩く郷子だが、その後ろでは美樹がたまたま視線を向けた保健室の窓に目をくぎ付けにして絶句して足を止めている。
「あんびりーばぼー!?」
美樹が頭を両手で抱えて凝視する先には、保健室の窓の向こう側のベッドの上で身を起こすのろちゃんと金髪の美少年が抱き合ってキスをする光景があった。
このとんでもないスクープ映像に大興奮の噂魔美樹は、前を歩く郷子にドヤ顔で自分の予想が当たったことを伝えようと話しかけるが――。
「ちょっとちょっと郷子!いまあそこ、で……?」
「美~~~樹~~~!?」
前述の通り、美樹は驚きのあまり両手で頭を抱えていた。しかし彼女はゴミ箱を持っていたはずである。ではゴミ箱はどこに行ったのだろう?その答えが目の前にある。
美樹が放り出したゴミ箱は前を歩いていた郷子へと放物線を描いて放られ、その頭に見事にはまった。
結果、頭から全身をゴミだらけにされた郷子は怒髪天を衝く(比喩でなくツインテールが直立している)勢いで怒りを美樹へ向けている。
「覚悟はできてるんでしょうね~!?」
「ま、待って待って!ほら、あそこでのろちゃんが……っ!」
「へ~~~~?のろちゃんが?誰もいないけど?」
郷子の本気の怒りにさすがに焦った様子の美樹は、なんとか郷子の気を少しでも逸らそうと先ほどの光景を見せようと保健室の方向を指さすが、先ほどまで開いていた保健室のベッドの仕切りが閉まっていてそこには誰の姿も確認できない。
「へ?……ちょちょちょっ!ほんとよ!?ほんとにさっきまでは開いてて、そこでのろちゃんが男とキスを――ー」
「のろちゃんは風邪で保健室に行ったんだからそんなことするわけないでしょ!!美樹のことは親友だと思ってるけど……今日という今日は勘弁ならないわっ!」
これが日頃の行いの差というやつなのか。冷や汗を流して必死に確かに見たと説明する美樹だが、それは郷子の怒りに油を注ぐ行為でしかない。
あのおとなしいのろちゃんが男と?しかもキス?それはのろちゃんが仮病を使ったということになる。正義感の強い郷子にとって、謝るでもなく我が身可愛さから友達を侮辱するようなことを言う美樹に怒りが爆発した。
「ほんとなのに~~~~~!」
「まだ言うか~~~~~~!」
ちなみに真実はゆーくんがのろちゃんとの桃色授業の前に念のために仕切りを閉めただけだったのだが、窓の外の騒ぎなど知らないゆーくんとのろちゃんの瞳にはお互いの姿しか映らずにいた。
「ゆーくんだめえっ!クリちゃん弄ったらぁっ♪あっ、い――イっくぅ♡学校なのにぃっ、ずっとイっちゃうのおぉぉ♡」
「先生に逆らうなんて悪い子だなあ。これはもっと厳しく教育してあげないとね♪」
☆
「とほほ……郷子は怒らせちゃうし、みんなには嘘つき扱いされるし……今日は散々だわ……」
放課後の廊下を肩を落としてトボトボと歩く美樹。
あの後、教室に戻った美樹と郷子だったが、服を汚した郷子と頭にたんこぶを作った美樹の姿にクラスメイト達が何があったのかと質問攻めにされた。
あきれ果てたと言わんばかりの態度の郷子と確かに見たと言い張る美樹の話を聞いたクラスメイト達の反応は、満場一致で郷子の意見に賛同して美樹の言い分は一蹴されるというものだった。
「な~にが「美樹じゃあるまいし、のろちゃんがそんなことするはずないだろ」に「のろちゃんの変な噂を広めるなんてひどいわ」よ。挙句の果てに「欲求不満なのか?」ですってぇ~~!?バカにすんじゃないわよ、あたしは確かに見たんだから!」
一人でクラスメイト達の言葉を百面相しながら反芻する美樹は、あの時保健室で見た光景が見間違いなどではないことを確認するために保健室に向かったが、すでにのろちゃんは下校してしまっていた。
別に明日に確認を取ればいいのだろうが、噂好きとして人を傷つけるような噂は流さないという自分の名誉にかけて一刻も早くのろちゃん信者と化したクラスメイト達の目を覚まさせて「美樹さま、疑って申し訳ありませんでした~」と土下座させねばならない、という使命感から美樹はのろちゃんの逢引相手のほうを探すことにしたのだった。
「目星はついてるのよ。あの特徴的な金髪は……うぐぐ……キー!年上イケメン転校生の彼氏だなんて、のろちゃんのくせになまいきよ~~~!!」
のろちゃんの逢引の相手は6年5組に転校してきた高橋くん――つまりゆーくんだと美樹は気づいていた。しかしあまりに認め難くて目を逸らしていたのだ。
最近転校してきたゆーくんは頭脳明晰、成績優秀、スポーツ万能、そしてなによりイケメンで女の子の扱いが上手くモテモテで、6年の美少女たちが恋人の座を狙って何人もそばに侍るハーレム状態――と完璧超人なのだ。
当然、情報通で超絶面食いの美樹も一目見て好きになったのだが……そんなゆーくんが美樹が地味に見下しているのろちゃんと恋人だというのだから彼女にとっては青天の霹靂というやつだろう。
「高橋君も高橋君だわ。ここにこーんなにかわいくてスタイル抜群のスーパー美少女がいるってのに―――……そうだわ。ぐふふ……いいこと思いついちゃった☆」
自慢のDカップを両手で救い上げるように持ち上げて自分のほうが優良物件であることを、重ねて言うが一人で喋る美樹だったが、足を止めてしばし顎に手を当てて何かを考えていると突如不気味に笑い出した。
その姿はさながら悪い魔女のようで、どうもすでに当初の目的だった保健室での一件を問いただす、ということは頭の隅に追いやられているようだった。
「こうしちゃいられないわ……すぐに準備しなくちゃ!」
美樹ちゃんの動きがありありと想像できる書いてて楽しい話でしたw
書く時間はないのに妄想する時間(仕事中)はあるからアイデアはもうかなりたまってます。時間が欲しいw